『あの、モモンガさん。お願いが…』
『おやアテナさん。どうされました?』
『実は、守護神の種族を取るためのクエストが、レイドクエストだったみたいで…その、私1人だとどうにもならなくて。それでお手伝いしてほしくて…』
『良いですよ』
『そうですよね。難しいで…って、え?』
『良いですよアテナさん。そのレイドクエストとやら、やりましょう。俺も目新しいことがなくて暇だったんです。ついでですし皆さんと冒険する良い機会です。アテナさん、私達と一緒に戦ったことないでしょう?』
『え?ええ。まあ、はい』
『ならば是非ともやりましょう!俺もアテナさんの戦闘スタイル見てみたいですし!それにギルメンの皆さんにもメールを送ればきっと来てくれますよ。てかなんなら今から招集かけてみましょうか』
『い、いや!そんな大事にしなくてもいいんですよ⁉︎』
『みんなこう言うの大好きだから大丈夫ですよきっと。‥‥おっ、早速。ペロロンチーノさんとぶくぶく茶釜さん、たっちさんとウルベルトさんもokしてくれましたね。って、珍しい。ギルメン全員ログインし始めた』
『え?』
「きーたーぞー!はよレイド行こうぜ!」
「落ち着けというか黙れ愚弟。あーアテナちゃーん!久しぶりぃ!元気にしてたぁ?」
「ぶくぶく茶釜さん。アテナさんは…」
「ああそう言えば。失念してたわ」『アテナちゃーーん!久しぶりぃ!元気にしてた?』
『はい。それはもう。毎日が楽しいです!』
真っ先に来たのはバードマンのペロロンチーノさん、ピンクスライムのぶくぶく茶釜さん。ペロロンチーノさんが何故か私をみて何かをしようとした瞬間にモモンガさん達にぶっ飛ばされていたけど、何をしたんだろう?
それからあれよあれよというまに円卓の間の席が全て埋まった。
『さてみなさん、今回はアテナさんがいるので意見がある場合はチャットにてお願いします。議事録的なものにしてアテナさんにもわかるようにお願いします』
『はいはーい!とりあえずアテナちゃんが死んだら一番近くにいたやつ罰ゲームってのはどう?』
『却下、アテナさんが死んだら責任は全てペロロンチーノさんが負う、と言うのはどうでしょう』
一同『異議なーし!』
『なんで⁉︎』
『難易度的にはこのナザリック攻略時よりは低いので、恐らくは大丈夫だと思います。ですがダンジョンの名称から恐らくは天使系統のモンスター、神聖属性を使うモンスターが闊歩していると思われますのでその辺の対策は充分してください。また、アテナさんはまだビルドは不完全ですがタンク向きのビルドに近いので戦い方を教えるためにぶくぶく茶釜さんと一緒に前線を張ってもらおうと思っていますがどうでしょうか?』
『構わないわよん。よろしくねーアテナちゃん!女同士仲良くしましょー!』
『よ、よろしくお願いします!』
まさかのギルドの人が全員集まってくれて攻略に乗り出すとは思っておらず、終始ポカーンとしていた。
‥‥途中、なぜか複数回に渡りペロロンチーノさんが袋叩きにされていたが、本当に何をしたのだろう?
『それではみなさん!アテナさんに我らの力思う存分見せつけてやりましょう!』
それからクエストの説明文にある推奨期間が2週間なのに対しまさかのその半分の1週間で攻略できた。もう終始驚いていた記憶しかないです。
それでも私の中では一生記憶に残るくらいに一番の思い出だった。
モモンガさんから唐突にされた相談の内容は至ってシンプルだった。
ただ名前を変えたい、と。
モモンガからギルドの名へ、アインズ・ウール・ゴウンへ改名しても良いか、ギルドの名を勝手に使っても良いか、ということだった。(てっきり私が代わりに紹介してくれ、アドリブRPしてくれってお願いが来ると思っていたけどそうじゃなかった)
「アテナさん、改めてありがとうございます。俺の我儘を聞いてくれて」
「いえ、大丈夫ですよ。ももんが……じゃなくて、あいんずさん?ごうんさん?どう呼べば、いい、ですか?」
「お好きな呼び方で大丈夫ですよ。ですが公の場ではアインズと呼んでいただけたらと思います」
「わかり、ました」
2人きりの時だけモモンガさんと呼びたいなぁ、なんて。
公私混同してたらアルベドに大目玉喰らいそうだから間違ってもアルベドの前では言わないようにしなきゃ。
それにしても、死を前にして神に祈るくらいなら虐殺なんてしなければよかったものを。
「……もしかして、この世界の人間、弱い?」
「ま、まぁ、コイツらだけって可能性も……ありますから」
デスナイトの虐殺っぷりを見るに、この鎧を纏っている騎士たちはかなり弱いと言うのはわかる。デスナイトに手も足も出ない時点で、レベル換算にして20以下、と言ったところだろうか。
「そろそろ下へ降ります。アテナさんは出来る限り無言でお願いします。アルベドもだ」
「わか、りました」
「承知しました」
「そこまでだ!デス・ナイトよ!」
騎士が残り5人程度となったのを確認してデス・ナイトを止め、人間の前に降り立つ。
「初めまして。諸君。私はアインズ・ウール・ゴウンという。諸君らには生きて帰ってもらい、君たちの飼い主へ伝えよ。この辺りで騒ぎを起こすなら、今度は貴様らの国まで死を告げに行く、と。いけ!そして確実に我が名を伝えよ!」
俺の言葉を皮切りに騎士達は逃げ惑う。村人達はと言うと安堵の表情になっていた。
『あ、モモンガさん。あの騎士、1人、2人くらいは、捕まえておいたほうがいい、と思います』
『と言うと?』
『ねんのため、です。それに情報源は少しでも、多いほうが、いいとおもいます』
『なるほど。確かにそうですね。ではスルーズへ命じましょう』
アテナさんからの助言は的確で、すぐにスルーズへ連絡を取る。
『はい、どうされましたかモモンガ様』
『スルーズよ、先ほど逃げた騎士を2名ほど捕らえよ。どれも大差はないと思うが、1番実力のある人間を捕らえてくれ』
『畏まりました。分身体でもおそらく充分かと思われますので、そちらを使用してもよろしいでしょうか?』
『ああ、それで構わない』
『ありがとうございます。ではただちに』
演技も疲れるなぁ。
「あ、あなたは……あなた様は……」
「この村が襲われているのが見えたものでね、助けに来た。さて、君たちはもう安全だ。安心してほしい」
そう告げるも、村人の顔はあまり良くない。何かおかしいことを言ったのだろうか?
と、考えを少し巡らせて一つの答えに辿り着く。
おそらくは後ろのデス・ナイトに怯えているのと、何か気に触ることをしたら今度は自分達が騎士達のようになるのでは、と怯えているのだろう。
「とはいえ、タダというわけではない。それなりの礼を頂きたい」
それにより、村人達の顔も多少は良くなった。
「(営利目的と思われたほうが余計な疑いをかけられずに済む、というものか。しかし、あの姉妹が怯えていたのは骸骨の顔だったのか。あの姉妹にはまた口止めしておかないとな。魔法による記憶操作が有効だといいんだけど)」
「(すごいなぁ。こんなに人前でスラスラと喋れてる。流石モモンガさんだなぁ)」
その後は村人を安心させるために金銭を要求。だけど本当に欲しいのは情報なので金銭を支払えない代わりに情報を要求した。
結論から言うと、ここは完全にユグドラシルとは別物の世界、と言うことだ。聞いたこともない地名、街、国。
それに加えて村人達の喋っている言葉も日本語とか英語とかそう言うのではなく、勝手に翻訳されて聴こえている。
アテナさんはと言うと、村人の治療をしてもらっている。最初こそ渋い顔をしていたが、少しでも恩を売るためだと理解してもらった。(その際、アルベドがなぜか勝ち誇ったかのような顔をしていたのは気のせいだろうか)
「お待たせしました」
「お疲れ、様です。どう、でしたか?」
「そうですね。一度人間の街に行って住んでみるべきかと思っています。一番近いエ・ランテルという街で冒険者をしてみるのも良いかと思います」
「なるほど」
本音を言うと俺がやってみたいだけなんだけど、それだと絶対反対されるからなぁ。それらしい建前をまた用意しとかないと。
しばらく経って村人達の弔いの準備ができたようで、アインズさんと一緒に見守る。蘇生までしてあげてさらに恩を売るといいのでは?と思ったけど『死を齎す者』と『死者を蘇らせる者』だと後者の方が圧倒的に面倒ごとに巻き込まれるだろう、ということとそこまでしてやる義理はない、との事です。
にしてもアルベド、あからさまに勝ち誇った顔をしてきて……い、いいもん。冒険者になりに行く時は絶対に私がついていくし?まだ2人きりになれるチャンスはたくさんあるし?
「ここですべき事も終わった。撤収するとしよう』
「承知致しました」
「(コク)」
と、不意に村人の1人が私たちの前を横切る。その際にアルベドが明らかに不機嫌になっていた。
「……アルベド、人間、嫌い?」
「脆弱な生き物、下等生物、虫のように踏み潰したらどれほど綺麗になるかと」
……うわぁ、評価0どころかマイナス。
「アルベド、だがここでは冷静に、優しく振る舞え。演技というのも重要だぞ。(とはいえ、俺も人を殺して何も感じなかった。これはアンデットになった影響なのか?そういえば、アテナさんも虐殺を見ていたはずなのに何も感じていないようだったし……)」
アインズさんの言葉で少しは考えを改めて……るのかな?
私もシグルド達に後で人間について聞いておこうかな。
「……ん?」
「はぁ、また何か面倒ごとか。アテナさん、もう少しだけお付き合いしてください」
「はい、もちろん、です」
村人達が集まっているのを見てアインズさん達と近づく。と、話を聞く前にスルーズから
『モモンガ様。アテナ様。武装した集団が2つ、こちらへ向かってきております』
『2つ?どのような集団だ?』
『ハッ。一つは武器も防具もバラバラ。しかし1人のみ頭一つ抜けて強いと思われます』
『ほう?スルーズよ、お前なら勝てるか?』
『問題ないかと。頭ひとつ抜けていると言っても、精々デス・ナイト程度かと思われます』
『なるほど。もう一方は?』
『杖などを持っていたり、近距離用の武装ではないことからマジック・キャスターの集団かと思われます。また下位の天使である
『わかった。では引き続き監視を行え。特にマジックキャスターの軍団の方に分身体を割いておいてくれ』
『畏まりました』
スルーズとの会話もアインズさんが基本やってくれるので、うん、仕事が無い。
「村長殿」
「おお、アインズ様!実は、どうやらこの村に騎士風のような者が近づいているようで」
「なるほど。わかりました。村長殿の家へ生き残ったものを至急集めてください。村長殿は私たちと広場へ」
「は、はい!」
広場でしばらく待っていると、スルーズの情報通り装備がバラバラな騎士の集団が現れた。
中でも先頭を走っていたのは、確かに集団の中で頭ひとつ抜けているように感じた。……どの程度かは正直わからないけど。
私たちの前に止まった騎士は、一瞥した後に口を開く。
「私はリ・エスティーゼ王国、王国戦士長のガゼフ・ストロノーフ。この近隣を荒らし回っている帝国の騎士達を討伐するよう王に命じられ、村々を回っているものである」
「王国戦士長…!」
「ん?」
「?」
どうやら、その王国なんとかは結構すごいもの?らしい。
……そうなの?
「この村の村長だな?その隣にいる御仁は誰なのか、教えてもらいたい」
「この方は…」
「それには及びません。初めまして、王国戦士長殿。私はアインズ・ウール・ゴウン。この村が襲われていたので、助けに来たマジックキャスターです」
「っ!」
アインズさんの言葉を聞いて王国戦士長さんはすぐに馬から降りた。え?何か文句言われる?
「この村を救っていただき、感謝の言葉もない!」
「いえ報酬目的なので、お気になさらず」
「村を救ってくれた恩人だ。用意できる限りの御礼をさせて頂こう」
おおう、どうやらめっちゃいい人ぽい。
それよりもわたし蚊帳の外です。
「ところで、あのアンデットは…」
「私が召喚しました。ご心配なく。暴れることはありません。仮に暴れたとしたらこちらの方が止める手筈となっております」
「この方はあのアンデットよりも強いと?」
唐突に紹介をされ、思わず背筋がピンと伸びてしまう。が、それに意を介さずに2人が話す。
「ええ」
「(ペコ)」
「失礼、彼女は人見知りなもので。あまり喋りたがらないんですよ。ですが実力は折り紙付きです。手合わせをしていただいても構いません」
「いや問題ない。あのアンデットを使役する方の護衛だ。実力も相当なものだと伺える。さて、話が逸れてしまったが本題を…」
「戦士長!」
やっとアインズさん達が本題を話そうとした瞬間にまた横槍が。
悪いタイミングって重なるものなのかな?
「周囲に人影あり!村を取り囲むように展開しています!」
「確かにいるな」
「ふむ」
「(懐かしいなぁ。ほんとに初期の初期に使ってた種族だ)」
村の外を取り囲んでいるマジックキャスターと使役している天使を見てそんな感想を抱く。
確かに使役してるのがあんな下位天使なら変に身構える必要もないのかな。
……いや、油断大敵だ。万が一セラフ級が来たらちゃんと戦わなきゃいけなくなるんだから。
気を引き締めないと。
「この村にそれほどの価値があるようには思えないのですがね。何か心当たりは?」
「俺、だろうな」
「なるほど。恨まれているのですね戦士長殿は」
「全くだ。俺を殺すためだけにあのような特殊部隊まで使ってくれるのだから」
「特殊部隊?」
「ああ。恐らくだがあの数のマジックキャスターを揃えれるとなるとスレイン法国の特殊部隊、六色聖典のどれかだろうな。
ゴウン殿。一つ雇われてはくれないだろうか?報酬は望む額を用意しよう」
「お断りします」
ここでアインズさんが戦士長の申し出を断ったのは意外だった。
てっきり最後まで助け切る流れかと思っていたけどどうやらアインズさんの頭には別の何かを描いているみたい。
「ならば…武力で無理矢理、と言うことでどうだろうか?」
「ッ!」
「……」
いきなりそんな事を言い、周りの兵士がアインズさんに剣や槍を向けられる。それを目にしてアルベドから殺気が漏れていたけどアインズさんが諌めていた。
が、そんなアインズさんを気にせず王国戦士長とアインズさんの間に割って入る。
「…?」
王国戦士長が怪訝そうな目でこちらを見る。
自分でもなんでこんな事をしてるのかわからない。
心臓がバクバク鳴っているのがわかる。緊張で震える。
だけど頭の中はとても冷静に物事を考えていた。
「悪いですが、それはさせません」
「ほう?」
「私はこの方を守護する立場を預かっています。主が武で以って望まない事を強制されると言うのならば、私はソレから主を守る義務がある。お分かりいただけますか?」
「……」
「貴方とは出会って僅かとはいえこれまでの言動などから少なからず評価しています。とても誠実な御仁だと。それに分かっているのでは?私達に対し武力では敵わないと。それでも僅かな可能性に賭ける蛮勇とも呼ぶべきその姿勢は評価しますが」
自分でも驚くほど言葉がスラスラと出てくる。
「それでも我が主へ刃を向けると言うのなら私は貴方達を今すぐこの場で殺します」
「……ふっ、確かにな。俺達ではゴウン殿には勝てない。失礼したゴウン殿。恩人であるはずの貴方達への無礼を許してほしい。そちらのご令嬢も、主人への無礼な仕打ち、どうか許していただきたい」
「いえ、気にしていませんので」
「なら……よし、です」
と、戦士長さんは意外にもすんなり剣を収めてくれた。
「恐らくですが、敵対している国へ私たちのことがバレた際に王国の後ろ盾を作ってくれようとしていたのでしょう?命令されているという建前があれば私達への面倒ごとが少しでも減るのではないか、と」
「え?あ、そうだ、たんですか?」
「見抜かれていましたか。ええ、その通りです」
「ご、ごめん、なさい。わたし、なにもかんがえずに、かってなことを」
「いえお気になさらないでください。主の守護を担う者として貴女の行動は立派でした。そのような若さでその立ち振る舞い。このガゼフ感服しました。っと、どうやら相手も痺れを切らしてきている様子。この辺にて我らは失礼するとしよう。ゴウン殿、この村を救ってくださり感謝する」
私の謝罪に対してもなんとも思っていないようで、死を覚悟した人の目になっていた。
そしてアインズさんと握手をしていた。すぐに手を離すと思ったが戦士長はさらに強くアインズさんの手を握る。
「本当に、本当に感謝する!そして我儘を言うようだが、もう一度だけ、村の者を守ってほしい。私が差し出せるものはないが、何卒、何卒っ⁉︎」
そのまま土下座でもしようとしていた戦士長をアインズさんが止める。
「そこまでされる必要はありません。了解しました。村人は必ず守りましょう。このアインズ・ウール・ゴウンの名にかけて」
「ならば後顧の憂なし。私は前のみを見て進ませていただこう!」
その際にアインズさんが何か木彫りのようなアイテムを戦士長に渡していた。……なんだっけあれ。
『アテナさん、頃合いを見て戦士長と入れ替わります。殺されては恩を売ることができないので、入れ替わり後にスルーズへ戦士長達の治療をするよう命じておいてもらえますか?』
『わかり、ました。それとあいんずさん、本当に勝手な事をして、ごめん、なさい』
『いえ、気にしていませんから安心してください。ですが、なぜあのような事をしたのか後ほど聞かせていただいても?』
『もちろんです』
本当に、なんであんな事をしたのか自分でもわからない。……フレーバーテキストの影響なのかな?
考えてもしかたないし、目の前のことに集中しよう。うん、わからないことは後で考えよう。
いやぁオバロ4期、面白い(サボるなだって?はっは……すいませんでした)
他作品よりも数倍モチベはあるのでもう少し更新はできると思われます。
今年中に完成させたい(願望
読んでくださりありがとうございます
読んでくださった方の暇つぶしになれば幸いです
評価や感想などくださるととても嬉しいです。