通常弾ぺちぺちマン   作:三流二式

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VSガノトトス亜種?

「依頼を出したうえでわざわざ出向くとは」

「こちらとしては内密に事を運びたい。故に我が依頼を受けるに足るかその目で確かめたい。失敗でもされたら堪ったものでは無いからな」

「そうか。仕事熱心なのだな。国もさぞかし誇らしいことだろう」

「……さて何の事やら」

「ふん、まあいい。そら、そうこうしている内に丁度件の受注者が来たぞ。貴殿の自慢の観察眼でせいぜい見てみるがいい」

「言われなくてもそのつもり……おふっ」

「おいネコート、今度はどんな面倒な依頼を持ってきたんだ?」

 

 

 

 ■

 

 

 

 

「全くこのモンスターが蔓延る世界で権力争いだなんて、随分とまあ()()()連中だな」

「へへ、違いねぇや」

「……」

 

 

 依頼人への愚痴を楽しみながら、俺たち3人はデデ砂漠(2ndG以降なら旧砂漠と呼んだ方が分かりやすいか)のエリア5の水辺を殺気立ったアプケロスを蹴散らしながら進んでいた。

 

 

「クオオ!!!」

 

 

 レベル1通常弾を頭に受けて頭蓋を破砕されたアプケロスが、断末魔の悲鳴を上げてずしんと倒れ伏した。

 

 

「「グルル……!」」

 

 

 倒れ伏し、動かなくなった同胞と俺を見つめ、アプケロスの群れは遠巻きに尻尾を振り上げて威嚇を続けるものの、これ以上は踏み込んでは来なかった。

 

 

「こいつらみたいに危ないと分かったらすぐに手を引きゃあいいのにな」

 

 

 轟弩【大戦虎】から空薬莢を排出し、遠巻きにこちらを威嚇するアプケロスを睨みつけ、舌打ちを一つ。

 

 

「お偉方にも事情があるのさ」

「あーやだやだ地位にしがみつく奴っていうのはどうしてこう醜いのかね」

「……」

 

 

 レベル2通常弾を装填しながら俺は唾を吐いた。マサムネはそんな俺を見てくすくすと笑った。

 

 

 マサムネに向けて舌打ちをもう一つすると、俺は彼女の隣で無言で佇み、延々睨みつけているヨシツネ(バカ)に向けて声を張り上げた。

 

 

「おいそこのウスラバカ、いつまで不貞腐れてやがる。あんまりしつこいとマサムネの代わりに留守番させるぞ!」

「……は?」

 

 

 そこではじめて反応を見せたヨシツネ(バカ)が、目をすがめてこちらに振り返った。

 

 

「は? 僕が? は? こいつの代わり? は?」

「イヤだってのならとっとと動け、このボケ」

「あ? 何ニャソれ? は? こいつなんかいニャくてももう十分ニャ? こいつこそ留守番ニャ? は?」

「はぁーははは、それで済むなら私も有難く留守番させてもらうんだが」

 

 

 にやにやとヨシツネに笑いかけていたマサムネがこちらを見上げてきた。

 

 

「バカかお前は。G級相手にお前1匹で話になるか。あれだけ酷い目にあってまだ理解できてないのか?」

 

 

 俺の脳裏には、未だティガレックスの暴れっぷりがこびり付いていた。あれから1ヶ月以上時間が経ったのだが、それしきの時間じゃこびり付いた記憶が過ぎ去るには程遠い。

 

 

「……チッ」

 

 

 俺と同じことを思い描いているであろうヨシツネは苦い顔を作ると舌打ちを一つし、それからマサムネを思い切り睨みつけたと思えば視線をそらし、正面を向いた。

 

 

 ……話はこれで終わりらしい。

 

 

「初めからそうしろ、この馬鹿が」

「は!」

 

 

 マサムネがヨシツネを鼻で笑った。ヨシツネは唾を吐いた。

 

 

 

 アプケロスがこれ以上襲ってこない事を確認した俺たちは改めてエリア7へ向けて歩き出した。

 

 

 道中での出来事と言えば、エリア7へ向かう洞窟の入り口に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()位で、後は特筆するような出来事は無かった。

 

 

 エリア7の地底湖に着いた俺たちは姿勢を低くしてしめやかに中央を横切り、湖の端へと向かった。

 俺はギリギリ水の底から姿が見えないように屈み込んだ。事前の打ち合わせ通り、ヨシツネとマサムネが身を低くしながらそっと湖を覗き込み、ターゲットの姿を探した。

 

 

 俺はその間にポーチから釣り竿とエサ用のカエルを取りだし、釣り針にカエルを突き刺した。

 痙攣するカエルを目尻に、刺さり具合を確かめて外れない事が分かると俺はヨシツネたちへ目を向けた。

 

 

「「……ッ! ……ッ!」」

 

 

 丁度向こうもターゲットの姿を確認できたようで、無言でこちらに向けて手を振っていた。

 俺は分ったと頷くと、姿勢を低くしたまま湖へと近寄り、それから竿を振って釣り糸を垂らした。

 

 

 ターゲットはすぐさま食いついた。尋常じゃ無い勢いで釣り竿が引っ張られ、やがてピンッと糸が張った。

 

 

「ぐ、ぬ、ヌウウウー……!!!」

 

 

 俺は必死になって釣り竿に()()()()()()。これは最早握り締めるとか、引っ張るとかそういう次元ではない。ゲームでは拮抗した様な描写で一本釣りをしていたものだが、現実ではこんなもんだ。

 

 

 というかヤバい。マジでやばい。下位上位の個体の時ですら漁船でも引っ張ってるんじゃないかって手ごたえだったのだが、G()()()()()はその比ではなく、最早鯨と綱引きでもしてるんじゃないかという感覚になってくる。

 

 

 それでも釣竿を手放さず、曲がりなりにも釣りの体を成せているのは、ひとえにこの肉体の性能が良いからである。

 まったくこのように産んでくだすった母上父上には感謝してもしきれない。思わず天に祈りを捧げてやりたい気分である。

 

 

 だが某漫画でも言っていたように祈ると手がふさがってしまうので、頭の中で思い描くだけで留めておいた。

 

 

 いやはや実に、実に残念である。

 

 

 

「グワーッ!?」

 

 

 さて現実逃避はこのくらいでいいだろう。駆け寄って来たオトモと協力して、命がけの綱引きは徐々にこちら側へと均衡を傾けつつあった。

 

 

「ニ゛ャ゛ー!!!」

 

 

 ここでヨシツネが起死回生の一投を見せた。一瞬の隙を見て投げ放たれた小タル爆弾が切れ味鋭いカーブを描き、見事水面を暴れ狂う翡翠色の影の目の前で炸裂した。

 

 

「ッッッッッ!!!!???!!???」

 

 

 翡翠の影は爆発の音に驚き跳び上がり、俺たちはその勢いを利用して竿を思い切り振りかぶり、翡翠の影を、まるで魚を思わせる顔つきをした巨大な魚竜種、『ガノトトス亜種』を俺たちの土俵に叩きつけた。

 

 

「ギョギョギョ~!?」

 

 

 ガノトトス亜種はビタンビタンと地面をのたうち、未だ自分が置かれた状況をあまり理解できていないようだった。

 恐らく今まで誰かに釣り上げられたことが無かったのだろう。そりゃそうだ。G()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 だから釣り上げられた経験の無いこいつは、その後どうしていいのかが分からない。攻めるならば今しかない。ここで殺しきる。水中になんて戻らせない。

 

 

「オトモ!」

「ニ゛ャ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!」

「シャー死に晒せー!」

 

 

 のたうつガノトトス亜種の顔面に()()()()()()()()()()を叩き込みつつ、俺はオトモに呼び掛けた。

 以心伝心。先を言わずともこちらの意図を察した彼らはすぐさま動き出した。

 

 

 ヨシツネは大タル爆弾Gを抱えて腹に向かって突っ込み、マサムネはティガレックスの剛爪を加工して作ったブーメランを投げ放ち、ガノトトス亜種の足を切り刻んだ。

 

 

「アバーッ!!!」

 

 

 俺たちの総攻撃を受け、ようやっと自分の置かれた状況を理解したガノトトス亜種は跳ね起き、憤怒を露に翼を広げた。

 

 

 満身創痍の翠水竜は、しかし傷を負っているにも拘らず命が尽きるには程遠く、憎悪と憤怒に燃える白濁した瞳は未だ活力に満ちていた。

 

 

「くそ、だから魚竜種は嫌いなんだ。特にお前は大嫌いだガノトトス!」

「ブシュ―!」

 

 

 吐き捨てると、俺はすぐさま横にステップを踏んだ。その一瞬後に奴の吐いた高水圧のブレスが着弾し、俺がいた地点に一直線の切り傷を大地に刻み込んだ。

 

 

「クソが―!」

 

 

 俺はガノトトス亜種の執拗なブレス攻撃をかわしつつ通常速射を奴の顔面に叩き込みながら、悪態をつかずにはいられなかった。

 

 

 完全に判断を見誤った。虎の子の徹甲速射をぶち込みまくってとっとと殺しておくべきであった。

 何が起こるか分からないから。殺しきれるか不安だから。言い訳はいくらでも言えるが、何を言おうが今この瞬間命の危機を迎えるくらいなら、これから起こる想定外に喚き散らした方が何倍もマシだった。

 

 

「この、亜空間判定野郎が!!!」

 

 

 ブレスだけでは殺しきれないと判断したのか、それとも通常弾速射を延々頭に叩き込まれるのを嫌ったのか、ともかく奴はブレスを中断し、足元でうろつくオトモを無視して俺に向かって這いずり突進をしてきた。

 

 

 俺は射撃を中断し横にステップ、だけではかわしきれないので更に横っ跳びをした。

 

 

「ギョゴ―!」

 

 

 ガノトトス亜種は突進がかわされたと見るやすぐさま立ち上がり、()()()()()()を繰り出してきた。

 

 

「ッッッ!!?」

 

 

 もちろん俺はかわした。大事を取って大げさなくらい距離を取ろうとした。が、どうも奴の巨体は動作一つで風圧が物凄く、タックルの時に発生する風圧はその中でも最大級の強さであり、最早それは衝撃波と称するに相応しく、つまるところ()()()()()()()()()()()()()()()()()()という事になった。

 

 

「ぐっ!?」

 

 

 地面を2転3転してようやく体勢を立て直した俺は、眼前でタックルを終えた体を引き戻すガノトトス亜種から視線を外さずに自分の体の負傷具合を確かめた。

 

 

 あくまでタックルのおまけでついて来た衝撃波だけあって、負傷自体は肉が多少痛むくらいで目立った傷は無かった。

 ただせっかくこちらが押していた状況だっただけに、それを強引に引っぺがされてしまった。

 

 

 俺たちとガノトトス亜種は互いに息を荒らげたまま、じりじりと動きながら互いの出方を窺っていた。

 

 

 とはいっても俺たちに大した負傷は無く、向こうは満身創痍の瀕死状態。エンカウントの際にしこたまぶち込みまくったのが功を奏し、このまま放って置いてもじきに命が尽きる事は明白であった。

 故にこちらが攻めてやるメリットも無いし、仮に向こうが戦いを放棄して逃げ出そうものなら奴の逃げ道に陣取っているヨシツネが仕掛けたシビレ罠にかかってもらうことになる。

 

 

 要するにオーテ・ツミである。

 

 

 俺たちは悠々とした態度(無論気は抜かないが)で、ガノトトス亜種を挑発し続けた。

 

 

 楽な仕事である。

 

 

 ガノトトス亜種が目に見えて焦れだし、今にも膠着をうち破り、動き出そうとしていた。

 それに合わせて俺たちも今まさに動き出そうとした。

 

 

 楽な仕事のはず()()()

 

 

 その瞬間、脳髄に電流めいてある記憶が閃いた。まるで己の存在を誇示するかのように積み上げられた糞の山を。

 

 

 全身の毛が総毛立ち、冷汗が垂れる。命の危機を直感した脳が脳内麻薬を多量分泌し、主観時間が鈍化した。

 泥のように重みを増した時の中で、俺は予感に従ってゆっくりと後方を振り返った。

 

 

 後方を振り返った俺が目にしたのは、視界一杯に広がる砂茶色だった。

 

 

 それと同時に時間の流れは元に戻り全身に衝撃を感じ、視界は暗転した。

 

 

 気が付けば、俺はベースキャンプで大の字で倒れていた。

 

 

 理解が追いつかず一瞬だけ呆け、それから軋む体の痛みを軽く凌駕する憤怒に従って腹の底から吠えていた。

 

 

「「ニャイエエエエ!?」」

 

 

 いそいそと撤収しようとしていたネコタクが俺の声に驚いて尻もちをついた。

 

 

 俺は立ち上がり、抱き合ってプルプルと震えているネコタクの内の一匹をむんずと摘み上げると、尋問を始めた。

 

 

「あわあわあわ!」

 

 

 初めの内は口から不明瞭な音が出るくらいだったのだが、()()()()()()()()それなりの事を口にするようになった。

 

 

 曰く砂色の大きな影を見た、速すぎて碌に全貌を掴めなかった、4つ足である事、ビッグフッド! だのなんだのかんだのという情報が得られた。

 

 

「くそ、ここら一体に()の縄張りがあるだなんて聞いてないぞ」

「フギャ!?」

「あぁ相棒!?」

 

 

 ネコタクを放り投げ、空に浮かぶギルドの気球を睨みつけながら独り言ちる。

 

 

「まあ亜種の方は目撃情報が少ないからさもありなん、てか。後で要報告だな。ついでに吹っ掛けるか。ライトボウガンの製作費は全額向こう持ちとか何とかで」

 

 

 それ位してくれないと割に合わない。

 

 

 ため息を吐きながら俺はポーチから回復薬グレードを取り出し、瓶のふたを開けてがぶりと飲み干した。瓶を放り捨て、俺は急いでエリア7へと急行した。

 

 

 普段なら気配を消してそろりそろりと移動するものだが、今は腹の底から湧き上がる怒りに我を忘れそうになっており、気配全開で猛ダッシュでエリアの中心を爆走していた。

 

 

 道中でギアノスやらアプケロスが視界の端に映ったが、ただ単に俺の運が良かったのか、それとも気まぐれでも起こしたのかは知らないが遠巻きに俺を眺めているだけで襲ってはこなかった。

 おかげで俺は大した時間を空けずにエリア7へと戻ってくることが出来た。

 

 

 戻ってくると、そこには地獄絵図が広がっていた。

 

 

 砂色の大狒狒が翡翠色の大魚と取っ組み合いの大げんか。その足元を豆粒みたいな2匹の猫が巻き添えを喰らわない様に必死になって駆け回り、どうにか足止めをしようと爆薬を鳴らしたり、ブーメランを投げたり、取っ組み合って殴り合ったりしていた。

 

 

 ヨシツネ(バカ)マサムネ(アホ)ガノトトス亜種とドドブランゴ亜種(畜生共)の醜い喧嘩を遠巻きに直視した俺は、脳髄のどこかで何かが千切れる音を確かに聞いた。

 

 

「よし、全員爆殺しよう」

 

 

 そうしよう。

 

 

 背負っていた轟弩【大戦虎】を手に取り、残っていたレベル2通常弾を排出し、代わりに取りだしたレベル2徹甲榴弾を満身の怒りを込めて一発一発丁寧に装填する。

 

 

((グルルルルル……))

 

 

 俺の怒りに呼応して、轟弩【大戦虎】に宿るティガレックスの『意思』が俺の脳髄に流れ込んできた。

 

 

 これは余談になるが、G級の武器を手にして分かった事なのだが()()()G()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()宿()()()()()

 モンハンの武器にはそれぞれ武器説明文を読むことが出来る。で、下位から上位ではただのそういう逸話程度の物で、G級からは逸話通り、あるいはそれに準ずる物になり果てる。

 

 

 初めて轟弩【大戦虎】を手に取った時はそれはもう酷いものだった。的に向かって撃とうとしたら脳裏にティガレックスの姿が閃き、まるで何かに引き裂かれたかのように腕にざっくりと3本の裂傷が刻まれたのだから。

 

 

 だがそれも過去の話。今ではこいつはすっかり従順になり、俺の意思に呼応して弾丸に力を乗せて威力を上げたりしてくれる。

 

 

 怒りを注ぎながら弾丸を込め終えた俺は片膝立ちになり、ウロチョロ動き回るドドブランゴ亜種とガノトトス亜種がひとまとまりになる瞬間をひたすら待ち続けていた。

 

 

「グオオオオオ!!!」

「ブシュ―!!!」

 

 

 俺がネコタクに運ばれてからまだ大して時間は経っていないはずだが、ドドブランゴ亜種はすでに結構なダメージを受けていた。どうもドドブランゴ亜種は執拗に吐き出される高水圧ブレスに近寄るすべを見いだせず、攻めあぐねているようだった。

 

 

 恐らくこのドドブランゴ亜種は若く、ガノトトス亜種がこの地に根付いた後からやって来た個体なのだろう。で、力関係はガノトトス亜種>ドドブランゴ亜種で、縄張りに居ながら対抗する術の無い彼はずっと排除する機会を窺っていたに違いない。

 そして俺たちがガノトトス亜種を追い詰め、その機会が訪れたわけだ。

 

 

「その癖碌に攻められずにあまつさえ一方的にダメージを喰らうとか……じゃあなんで俺は殴られたんだ? 殴られ損じゃないか……」

 

 

 そう思うと怒りがさらに上乗せされ、噛みしめた奥歯がぎりぎりと音を立てた。

 

 

 そうこうしている内に事態はどんどん進み、いつの間にかガノトトス亜種の足元に居たマサムネがシビレ罠を起動させ、ガノトトス亜種の動きを封じた。

 

 

「ブオオオ!!! ……ブオ!?」

 

 

 突如現れたその好機に飛びついたドドブランゴ亜種だったが、踏み込んだ瞬間ヨシツネが仕掛けていた落とし穴を踏み、上半身がすっぽりと隠れてしまった。

 

 

「BWAHAHAHAHAHAHA!!!」

 

 

 2体の怪物が揃って動きが封じられる光景はあまりにも滑稽で、俺は大笑いを隠す事無く引き金を引いた。

 

 

 発射された幾多の徹甲榴弾は砂獅子と翠水竜のあらゆる個所を爆炎で染め上げ、俺は調合分を含めてすべてが尽きるまで延々徹甲速射を叩き込み続けた。

 

 

 最後の徹甲榴弾をガノトトス亜種にぶち込んだ俺は、3度の爆音が鳴り終わり、爆発によって生じた黒煙が晴れるまで微動だにしなかった。

 

 

 先程の喧騒とは打って変わって、洞窟内は恐ろしい程の静寂に包まれていた。遠く離れているはずのマサムネとヨシツネの息遣いすら聞こえてくるほどの静寂の中、俺は空薬莢を排出し、レベル2通常弾を込めてゆく。

 

 

 やがて黒煙が晴れると、ズタズタになった砂獅子と翠水竜の亡骸が力なく横たわっていた。

 

 

「ふぅ―……」

 

 

 こちらに駆け寄ってくるオトモを迎えながら、俺は安堵の息を吐いた。

 

 

 ひと悶着有ったが、これにてクエストは完了である。

 

 

 ポッケ村に戻った俺はドドブランゴ亜種の乱入の件をギルドに報告しつつ、今度の依頼人へのクエスト達成の報告も同時に行った。

 

 

 依頼人は大層俺に感謝し、あの怪物の毒があればようやく、等と不穏な事を口走っていたが、こちらとしては知ったこっちゃない。どうぞご自由に。

 

 

 後日、どこかの国でどこかの貴族が毒を盛られただのなんだのかんだのという風の便りを聞いたような気がするが、おそらくそれはお礼にもらったブレスワインの酔いが齎した幻覚かなんかだろう。

 

 

 ギルドは俺の要望を聞き入れ、武器防具の製作費は無償で行ってくれるとのことだ。

 

 

 まあ何にせよ、しばらくは仕事も砂漠もこりごりである。

 

 

 幻獣チーズのつまみをブレスワインで流し込みながら、俺はしみじみそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




狩猟してほしいモンスターとか、トチノキ君に起って欲しいシチュエーションとかどしどし募集中です。遠慮せずにコメント、書こう!(コメント乞食)
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