「あ~食べたわ…。」
量が多めの体型に見合わないカツカレーをかつらぎは昼食として食べた。
「あんなに量があるとは予算に余裕があるのでしょうか?」
あきづきは唐揚げ定食を選んだ。
これまた量が多かった。
「太らないかしら。」
「この体にその概念があるからどうか分かりませんが…山でも登ってみます?」
「山?」
「ここから南に行くと山だか丘だかの頂上に愛宕神社の本殿があるんです。」
「へぇ~、いいじゃない。行きましょ。」
思い立ったら即行動を体現したように早速執務室へ向かう。
「かつらぎです。失礼します~。」ガチャ
「あきづきです。失礼します。」
「なんだぁ?仕事は終わってねぇぞ。」
そう言いながらどっかり椅子に座ってるだけの提督がいる。
「外出したいんだけど。」
「外出?書類だせばいいぞ、ほれ。」ピラッ
引き出しから一枚紙を取り出し渡す。
「えーっと…。」カリカリ
かつらぎが綺麗な字で空欄を埋めていく。
「買い物か?」
「いえ、ちょっと山に登ろうと思いまして。」
「また変わったことを…。」
提督は半分呆れている。
「ほい。」ペラッ
「うい。」ハンコオシ
「気を付けろよ~。」ヒラヒラ
「「失礼しました。」」
外で守衛に書類を見せ外へ出る。
「佐世保の外観は現代とそこまで変わらないわね。」
「あんまり変わっても困りますけどね。」
二人は海沿いを南に歩いて進む。
「この登山道を上ればいいのかしら。」
「恐らく。」
登山道はしっかり整備はされておらず足下に気をつけながら登った。
「おっとっと…。」
「かつらぎさ~ん、頂上ですよ~。」
遅れてかつらぎが頂上に着く。
「おお~綺麗じゃない。」
「いい景色です。」
「あそこが佐世保重工業かしら?」
「あっちが米軍がいた場所ですね。」
米軍基地があった部分は綺麗さっぱりなくなって何かの施設が建っている。
「佐世保駅ありますよ。」
二人は景色について2~30分話していた。
「さて、帰りますか。」
「帰りましょう。」
二人は登山道を降り始める。
「足下気をつけてくださいよ。」
「いった!!!」グキッ
かつらぎが速攻で足を滑らす。
「いわんこっちゃないです…。ほら、手つかんで下さい。」
あきづきが手を差し伸べる。
「…。」
「かつらぎさん?」
「あそこ、なんか変。」
かつらぎが少し離れた斜面を見つめて言う。
「?…どこもおかしくないと思いますが。」
「しゃがんで見て。」グイ
「…確かに変ですね。」ツカマレテ
しゃがんで見るとある部分に違和感を覚える。
角度的に立った状態では分からなかったようだ。
「ん~。」サワサワ
「どうです?」
「あった。」ガシッグイ
僅かにある段差を掴んで引っ張ると板状の物がとれた。
「ベニヤ板に植物を付けて覆うことで擬装させていたようです。」
覆われていた部分には扉があった。
鉄製でかなり頑丈に見える。
「あ…鍵がない。」
「溶接系の何かで切り取られていますね。まぁこれについては帰ったら聞いてみましょう。」
「何言ってるの?今から入るのよ?」
「え?入るんですか?」
あきづきが凄く嫌そうな顔をしている。
「当たり前よ、面白そうだし…よっこらせ。」
かつらぎが扉を開く。
中から冷えた涼しい風が吹いてくる。
壁や天井などはコンクリートで作られており見たところ電灯もある。
「電気のスイッチは…ないわね。」
「やめましょうよ~。」ユサユサ
「ダメよ。話のネタにもなりそうだし。」
「う~…。」
あきづきは唸っていたが決心を決めたようだ。
二人はスマホのライトを頼りに進んでいく。
このスマホは艤装のタブレットと一緒に付属していた物で一般の物と遜色ない機能が付いていた。
なお使えるのはネットを使用しない物で、また電話は無線と同じくある電波が飛ぶ場所なら使えた。
「結構しっかりした造りね。」コツコツ
「…かつらぎさん。」
「なぁに?」
「ここの床、やけに綺麗じゃありません?埃やチリが積もってないです…。」
「…ホントね。最近まで使ってたのかしら、電灯も欠損した物がないし。」
しゃがんで床に指をなぞらせても汚れはあまり付かなかった。
むしろ鎮守府より綺麗だと思える。
更に歩くと壁に施設の間取りなどを表す表示があった。
「何々?…第八中央実験施設?研究施設なのねここ。」
「研究!?…何の研究ですか?」ガタガタ
「それは資料とか日誌とか見ないと分かんないわよ。」パシャッ
かつらぎは表示を写真に撮って地図にする。
「資料保管室…すぐ近くだから行ってみましょ。」
「かゆうまとか書いたファイルがないといいんですが…。」
資料保管室は30m程先にあったが鍵がかかっていた。
「時間的にも暗くなってくるから中央行って終わりかしらね。」
二人(ほぼ一人)は最後、中央に位置する実験・システム制御室へ向かうことにした。