異界でかつらぎとあきづきが奮闘する話   作:短SAM

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16話 海に浮く金髪少女は絵に…ならないわね

「ふぅ~…これで終わりね。」

 

「急な派遣要請ですいません、ありがとうございました。帰りは南に迂回するルートを使ってください。」

 

「迂回?」

 

「はい…ハワイが包囲されてしまった影響で敵が増えているので。」

 

「あ~分かったわ。じゃあまたね。」ザザザ

 

「お気を付けて~。」ヒラヒラ

 

二人が佐世保に来て約三ヶ月経過した。

 

順調に護衛や出撃をこなし馴染むことが出来た。

 

そして何故この世界にやって来たのかについての解明は完全に二人の頭から抜け落ちているのであるっ!!!!!

 

「リムパック以来の長距離移動でしたね。」

 

「ええ、正直移動中の景色だけ見れば現代と変わらなかったわ。」

 

「いや海ですから。」

 

呉から船団護衛を行う艦隊がハワイ侵攻の影響を受け、空母編入をしなければならなくなったが足りないので案の定二人が派遣されたのである。

 

そして現在はサンディエゴから佐世保への帰路の途中で、マーシャル諸島付近を航行している。

 

「かつらぎさん、ちょっと燃料貰えません?」

 

「いいわよ、はい。」

 

かつらぎが艤装から引っ張り出したホースをあきづきに渡す。

 

かつらぎは空母型のため燃料が多く積めるということに加えて僚艦にある程度補給が行える機能を有している。

 

なぜなら日本のお財布事情が(ry

 

「このくらいで持ちます、ありがとうございます。」

 

「じゃあ行きましょ?」コツン

 

何かが足に当たる。

 

「あら?何かしらこれ。」

 

「板…いや鉄鋼ですね。しかも赤と白に塗ってあるので喫水線部分の物でしょうか。」

 

「あ…あっちにも。」

 

「後ろにもありますよ。」

 

よく見るとそこら中に似たような鉄鋼のパーツが浮いている。

 

「貨物船ですかねぇ。」

 

「客船なんてこの辺通らないだろうし、焼け焦げたパーツもあるから深海棲艦にやられたのかしら。」

 

「ここに航路はありませんよ?」

 

「じゃあ流れてきたってことね。」

 

かつらぎが流れてきたと思われる方向に目をやると黒煙が僅かに上っている場所があった。

 

「あきづき、あれ何だと思う?」ユビサシ

 

「え?…あ~…火がくすぶっているのでは?」

 

「発煙筒?」

 

「それにしては煙が黒過ぎます。」

 

「じゃあ見に行きましょ。」ザザザ

 

「物好きですねぇ…全く。」ザザザ

 

二人が近づいて行くと黒煙を上げている何かは回りのそれとは違うということが分かった。

 

「かつらぎさん、何か変ですよ。」

 

「ええ、戦闘態勢用意。」

 

「はい。」チャキッ

 

その何かは金髪で大破した戦艦の艤装を纏った艦娘であった。

 

何も反応がないところを見ると気絶しているか死んでいるかのようだ。

 

「何処の国籍かしら?」

 

「この辺で戦艦を所有しているのはアメリカと日本、あの人は恐らくアメリカ艦です。」

 

「十中八九そうでしょうね…ちょっと大丈夫!?」ユサユサ

 

「水を大量に飲んでるかも知れないので吐かせるのが先だと思いますよ!」グイィィィ

 

「意識の確認が先よ!」グググ

 

「マニュアルに従って下さい!」グググ

 

二人があまりにも騒がしく、激しく体を揺するのでアメリカ艦は思わず目を覚ます。

 

「う…ゲホッ…うるさい…。」

 

「あ、起きましたよ。」

 

「あきづき!周囲の警戒して!」

 

「はい!」ザザザ

 

喧嘩はしても即時対応は大切にする。

 

「大丈夫?」セナカベシベシ

 

「ちょ…いたいいたい…。」ゲホゲホ

 

そのアメリカ艦だと思われる娘は痛がりながらも何とか水を吐き出すことが出来た。

 

深呼吸をさせて落ち着かせる。

 

「あなたはアメリカ艦?」ショウドクスル

 

「USS BB45 Coloradoよ…。」イタタタタ

 

怪我が酷いので取り敢えず消毒や包帯を巻くなど治療をする。

 

やはりアメリカ艦であった。

 

「どうしてこんな所にいたの?えらく大怪我もしてたし…。」

 

「どうして…あっ!無線貸して!」

 

「え?」

 

「早く!」

 

「?…はい。」

 

コロラドは慌てた様子で無線機を受け取る。

 

『もしもし!?エバーグリーン!?』

 

『…。』

 

その後しばらく無線に呼び掛けていたが一向に返事が返ってくる様子は無かった。

 

「貸してくれてありがとう…。」

 

コロラドが肩を落として無線を返す。

 

「はぁ…で、説明してもらっていいかしら?」

 

「ええ…ハワイ諸島が約一週間前、深海棲艦に包囲されたのは知ってる?」

 

少し離れたところであきづきがレーダーと睨み合いを続けている。

 

「これを受けた合衆国政府は深海棲艦側が完全に態勢を整える前にこっそりハワイへ物資を送って、海軍の主力が到着するまで時間を稼いで貰おうとしたの。」

 

「その送り出した貨物船はこれ?」

 

かつらぎが足下を漂う瓦礫を指差す。

 

「多分ね…。貨物船4隻に護衛艦12隻、私が旗艦だった…。」

 

「何処でやられたのかしら?」

 

「ハワイ沖東方向200kmくらい…暗闇に紛れて行こうと思ったんだけど見つかっちゃって最初に私が狙われたわ。」

 

「最初に?」

 

「旗艦の私が最初にやられたから指示も出せず…壊滅まであっという間よ。何も出来ないのが悔しくて仕方なかったの。」

 

思い詰めた顔をするコロラド。

 

「その輸送作戦は一回で終わり?」

 

「後続があったんだけど、無線が繋がらないの。既に手遅れね。」

 

「ふぅん、事情は分かったからそろそろ移動しましょうか。佐世保に連絡も入れたし。」

 

「あの、私主機動かないんだけど…。」

 

「ちゃんと曳航するわよ。」

 

曳航用のワイヤーを接続する。

 

「あきづきー!行くわよ-!」ザザザ

 

<リョウカイデスー!

 

「護衛はあの子だけ?」

 

「そうよ、日本への帰り道なの。」

 

「砲一門なんて戦えるのかしら。」

 

「世の中見える部分が全てじゃないのよ。」

 

ついでに世の中の真理を教えておく。

 

将来役立つだろう(多分)。

 

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