どうも、受験の合間に書き直した文字マシマシなやつです。キャラもちょっと毒っぽくなったかも知れない…。
1話改 こんな酷いことある?
「う…」
酷い目眩と吐き気を感じる。これほど酷い症状は就役して間もない頃参加した、アメリカ軍との共同訓練以来である。主な内容は発着艦訓練や相互運用の試験であったが、それだけでも新人の自分が緊張するには十分であった。
そんなことをのうのうと考えながら目を開けようとするが、瞼越しに照射される日光があまりにも眩しい。この眩しさに慣れるにはもう少し時間が掛かるかもしない。そして更に五分ほど時間の流れに身を任せ放心する。
間もなく片手で目を覆いながら開ける。光の反射に思わず目を閉じてしまうが、負けじと立ち向かう。ようやくまともに目を使えるようになった。目に飛び込んできたのは鮮やかな青色の海である。色の濃さから海水だろうと見当がつく。また水平線の向こうには立派な入道雲がある。ざっと見たところ季節は夏だろうと見当が付いた。
「…近年稀に見る素敵な景色ね…。」マワリミワタシ
海の上。解体されて以来久しい風が後ろへ吹き抜ける。取り敢えず立ち上がる。闘病生活を思わせるような長期間、動いてすらいないので体が軋む感じがした。と言うかしているに違いない。そこで何か違和感を覚える。するとこの気を逃すまいと、本能が必死に気付けと私へ訴え掛けてくる。なんだ?何がおかしい?ひとしきり自問自答を繰り返してようやく気付いた。
「…あ?」
から、体?船体ではなく?しかしそんなことよりここは何処だ?なぜ立ち上がるという行動が?
一つ気づけば芋づる式に疑問が噴き出した。なぜ今まで気付かなかったのか不思議でならない。そう考えている間にも疑問は増え続ける。意識を取り戻してから碌な事が無い。必死に疑問と考えを現状と照らし合わせ、自分が置かれた不可解な状況を分析する。そうすることで失われそうな自我を保つ。保てているかどうかは分からないが、かの有名な哲学者デカルトが「我思う、ゆえに我あり。」という言葉を残しているからきっと今自我、というか最低限自分が意識レベルでここに存在していることは確認できる。そうでないと困る。昔の偉い人は信憑性が高いのサ。
考え始めて数十分。思考もクリアに意識も完全に覚醒した。取り合えずかつらぎは自分が置かれた状況を認識した。まず最初に突っ込みたいのは退役して解体もされてしまった自分が、形を持って存在していること。次にいわゆる人型になっていること、しかも自我と謎の装備付き。更に言えば何処かの海上に浮いていること。何の説明も無しにこのような場所に放り出されたらたまったもんじゃない。俗に言う「ガンジーでも助走つけて殴るレベル」に匹敵する酷さである。現役当時流行っていた異世界転生モノでも取り扱っていない。
しかし最後の発見は朗報であった。この惨状においてただ一つ輝かしい光を放つ奇跡である。驚くべき事に、あきづきが自分の足下に転がっていたのである!!!言い方は悪いが実際そうだったから仕方ない。この際さっきの疑問は置いておく、あきづきを起こすことが先決である。これ以上一人で考え事をしているとどうにかなってしまうと感じたから。
「考えても仕方ないか…ちょっとあきづき、起きて。」ユサユサ
幸せそうな顔で寝ているあきづきを揺すって起こす。ちょっと激し目に。自分が自問自答を繰り返している間も寝続けていた事への恨みである。あきづきからすればとんだとばっちりで…。心の中で「ちくしょう、いい顔で寝るなぁ」と悔しがった。
「うっ…う~ん…?…誰かと…おもえばはつらぎふぁんひゃないれすか。」メヲコスリ
あきづきは目を覚ますがどうも意識がはっきりしない様子。というかこの娘も私も見た目が原型を留めないほど変化していると言うのに、あっさり見分けを付ける事が出来ている。しまった、また解明すべき謎が出来てしまった。今も昔も研究者はこんな苦悩を抱える経験に事欠かないんだろうか。
そしてあきづきは私と違って汎用護衛艦(対空メインであるが)という艦種なので、現役時代は汎用の名の通りいつも訓練やら哨戒やらで忙しそうにしていた。眠る事に意地らしい様子はそのせいかもしれない。オールマイティな設計故の酷使である。一体何処のChinaとRussiaのせいなんでしょうね。労災を受け取っても問題ないくらいには働いたであろう。まぁ護衛艦に労災なんてないけど。
「あぁもう…さっさと起きて現状把握を手伝いなさい。私一人じゃどうにも頭が可笑しくなりそうだし…。」
「え~…お休みなさい…。」スピー
「…。」
意地でも起きないつもりらしい。そんならこっちにだって最終手段を使う権利はある。
「スゥ」
「レッツ!!!!!!!!」クワッ!!
「背徳!!!!!!!!」ガバッ!!
「…あ、おはよう御座います。」
「はいおはよう。あなたが起きるまで五分かかりました。」
「うわでた。それ嫌われますよ、今から説教コースですか?」
凄い嫌そうな顔をされる。あ~、感情に落差がありすぎて憎しみしか覚えない。と思いつつもそれは心のシュレッダーにかけておく。いちいちこんなやりとりするから話が進まないのだ。本題に入るためあきづきに返事をする。
「説教?こんな状況でするわけないじゃない。あなた今どういう状況に自分が置かれてるか分かってる?」
「今ですか?…なんかよく分かんないですけど、海上にいるって事は…任務遂行中?」
「違う、もっと根本的な事。」
どうやら気付いていないだけかも知れないが、自分の目線の変化や私が人型になっている事に全く触れようとしない。この景色を当たり前と思う程記憶が変わっているのか?私も最初は気付かなかったが…個人差があるという事だろうか。それとも本人が寝起きであったため寝ぼけているのか…。
「分かんないですよ、勿体ぶらないで教えて下さい。」
「あんたも私も解体されたのよ、おかしいと思わないはずが無いでしょう!?」
思わず声を張り上げてしまう。こんな現実認められるかぁ!という嘆きがしっかり込められている。
「…あ~…確かにそうですね、今よく考えてみれば突っ込み所いっぱいありますよ。」
「えなんであんたそんなに冷静なの?え?」
声を張り上げたかつらぎとは対照的にあっさり状況を肯定するあきづき。塩味具なしのスープくらいあっさりしている。自分と同じようにあきづきが困惑すると思っていたかつらぎは拍子抜けせずには居られなかった。むしろここまで来ると一周回って尊敬に値する気がしてきた。一体何が二人の対応にここまでの差を生んだのか。
「いや~正直に言いますと、尖閣諸島で追跡してた中国軍フリゲートがミサイル撃ってきた時の方が焦りますよ。」
「…あ~…そういえばあんたフリゲート事件の当事者だったわ…。確かにそっちの方がやばいわね。」
理由を言われて納得する。比較対象が圧倒的すぎる故にこの塩対応は当然の事だろう。ちなみにフリゲート事件とは、2027年10月に尖閣諸島周辺に現れた中国フリゲートの追跡任務に従事していた護衛艦あきづきが、該当艦にミサイルを発射された事に端を発する一連の緊急事態を指す。ミサイル撃墜後、日米と中国が艦隊を即座に派遣したため開戦止む無しと言われるほど双方の緊張が極限に達したが、日中両国が流石に不味いと分かっていたため和解が成立して開戦は避けられた。後の中国政府の調査報告書によると、艦長が急進派に所属しており独断でミサイルを発射したと記述されている。意外にもこの人物は終身刑が言い渡された。
結局あきづきののほほんとした雰囲気に引っ張られてかつらぎも興奮状態から復帰しつつあった。ようやく状況整理に入ることが出来るのである。
「さて、まずは考えてもどうしようもないことを除いた現状についてよ。最初は艤装ね、私は一式あるけどあなたは?」
「艤装は…一式あるようです。サイズが変わってるので正常に作動するか不明ですが。」
「手元のパネルで動かせるのは確認したわ。後…意識するだけで操作できる物もある…神経系に直で接続されたりしてないわよね?」
「じゃあ無理矢理装備を剥がして確かめてみますか?」ワキワキ
あきづきが興味津々といった様子で嗜虐的な笑みを向けてきた。おかしい…自分が見下ろす側だから明らかに有利なはずなのに恐怖を感じる。潜水艦に狙われている気分…獲物を狙う目をしてますこの人!このままだと装備どころか下着まで全部持って行かれそうなので、日本に伝わる必殺技「先送り」で何とかやり過ごす。
「それはいいから!あんた身ぐるみ全部剥がすつもりでしょ!」
「べっつにぃ~そんなこと無いですよぉ?」
あからさまな返事で飛んでくる非難を綺麗に受け流す。くっ日本の余計な性格まで取り込みおって…。
「ほら次いきましょ?次。」ポン
あきづきがニヤニヤしながら肩に手を置いてくる。
オ前マジブッ飛バス
…
「次にここが何処かという問題なのだけれど…。」
「…海水の色からして南の方と言うことは分かりますが、そもそも我々が知る海なのか疑問が残りますね。」
あきづきが顎をさすりながら言葉を口にする。かなり鋭いアッパーを入れたので流石に懲りて口数を減らした。先陣切る勢いの良さも考え物である。今後は注意しながら様子を見ようと決めた。
「魚の種類で判別するのはどうです?」
二人の艤装が大きいため足元に影が出来、魚が集まっていた。
「馬鹿ねぇ、そんなこと出来たら苦労しないわよ。」
「出来ますよ?ほら。」バシャァァァ
ものすごい勢いでしゃがんだかと思うと、海水に手を高速で入れる。勿論それ相応の海水が弾け飛ぶ。飛んで来た海水に思わず目を閉じてしまうが、次に目を開けたとき目の前には魚を手に持ったあきづきが。
魚<ビチビチビチ!!!
「」ハ?
「う~ん…真鯛ですね…正直取れる範囲が広いのでなんとも…。」
目にも止まらぬ速さで魚が捕獲された。信じられないが目の前で実際にされては反論のしようがない。しかも本人はなんとも思ってない様子から、あれがデフォなのか?デフォなのか?と考え始める。頭の回路が酷使で焼き切れそうだ…と同時に思い出す。あ、GPSあるじゃん。馬鹿なのか?やっと気付いた。
「GPSあるじゃん。」
「…それもっと早く言ってくださいよ。無駄なことしちゃったじゃないですか。」ジト-
君に睨まれる筋合いはない。
「今気付いたんだからしょうがないでしょ。はぁ、え~っと…。」タタタ
慣れた手つきでタブレットを取り出し操作する。おかしいなー初めてなのになー、もうこの際どうでもいいや。現在地を確認しようとするが、画面にはERRORの文字が表示されるだけ。ん?んん~?????
「そっちのGPS使える?私のやつERRORって出るんだけど。」
「ERROR?そんな表示見たことないですけど…あ…。」
同じく慣れた手つきでタブレットを操作する。が、ERROR表示で固まった。まあそうなるな。
「ネットワークが見つかりません…?GPSが使えないとかそんな致命的な事がありますか、システムがただの金属ゴミに…。」ダダダ
落ち着いた口調でタブレットを連打している。このままでは破壊されてしまうのでやめさせる。危ない、大事な機器が失われるところだった。直せないんですよこんな精密機器。
「と、なると最終手段は足で地道に探すしか…」
正直一番辛いのだが…。
「いやそもそもこの装備の稼働時間すら分かってないですから、下手に動けませんよ。」
「じゃあどうしろって言うのよ、このままだとジリ貧よ、粉砕玉砕大喝采よ!」クワッ
「しませんよ!ご自慢の艦載機があるじゃないですか。」
「…使い方分かんないけど。」
言われて見ればそうであるが、動くか怪しい、使えるか怪しい、操作できるか怪しいの三点セットがご丁寧に揃っている。動いたところで実機と同じように運用できるかいささか疑問である。飛ばし方も…飛行甲板があるにはあるがぶっちゃけ微妙である。
「操縦は?マニュアル無いわよ?」
「feelingですよfeeling。ほら、ユーロトラックシミュレータとか頭文字Dみたいに。」
「あんたその二つ一緒にしないでよ、トラックで豆腐運んでないしドリフトしないし。もうやるしかないか…。」ハァ
潔く諦めて直感に任せて動作を行う。恐らく実艦と運用方法は同じはず。サイズなど現実と異なる部分に不安が残るが仕方ない。右側の甲板が載った部分を水平に起こす。案外静かに動作する、潤滑油がしっかり塗られているのだろうか。そしてE-2Dがエレベータに載って甲板上に姿を現した。まぁまぁコンパクトなサイズの割に勇壮な雰囲気を醸し出している。錆が良い味出してるわ(小並感)。
「ちゃっちゃと飛ばしてくださいよ。」
「初心者に酷い事言うのねあなた。」
E-2Dがカタパルトへ向かい、発進バーにセットされる。フライトデッキクルーの姿が見えない。
代わりに艦首側面に信号機の類が設置されている。遂に発艦準備は整った。
「発艦!」
機体前部を沈み込ませるとすぐに急加速を始めるE-2D。勿論落ちる事もなく発艦を成功させた。ついでに操作方法を探す。と言っても何となく頭で操作できると感じた。なぜかって?感ですよ感。リモコンで1機ずつ操作するなんてあり得ないでしょ?
「お~綺麗に飛びましたね。」
「意識で操作してるからそれほど難しく無いわよ。」ウーン…ト
「また謎テクノロジー出すのやめてもらえません?後ちゃんとレーダー動くんですか?」
「ええ…あ、あんたもSH60K飛ばしてみなさいよ。今をチェックの機会にしましょう。」
「は~い…。」
会話をしながら数分間レーダーを注視するが未だに気になる物は映らない。
なげぇ~なこれと思ったけど、5400文字って出てあれ?あんまりって思ってしまった。くそう。