A.I.M.S.内に、居心地悪そうに座っている少年がいた。
「少年の名前は山利緑郎。16歳。高校2年生。今朝の告発文の差出人であり、先程のテロの関係者だそうです。
はい。
はい。
了解しました。」
彼がここに来る原因は、大分前まで遡る。
幼少期から、彼は勉強はできるが運動ができない、引きこもり気質の人間だ。
人付き合いが苦手で、それを避けるために本をよく読んでいた。
彼は別に人間嫌いという訳ではない。人付き合いを面倒に思っているだけだ。むしろ、寂しがり屋な面もあるくらいだ。
それ故に、稀に誰かの悩みや相談を、膨大な物語の知識を元に解決する事がある。
今回もそんな気質が原因だ。
高校1年の初めての課外授業での事だ。
友達などいない彼は、同じくペアが出来なかった男子とペアになった。
その男子は頭は良いが、戦争等に対して過激な思想を公言していたため、避けられていた。
移動時間にその男子はいろいろ話した。
彼は相槌を打ちつつ、話の方向をずらそうとしていた。
ある時、その男子は言った。
「病院など無駄の極みだ。ヒューマギアがいる以上人間なんてこんなに要らない。そう思わないか」
彼は、ついこう言ってしまった。
「病院は必要だよ。医学にしろ、なんにしろ弛まぬ努力こそが人間の意味だからね。
不要なのは老人や重罪人だ。これらを生かすコストの方が無駄じゃない?」
それ以来、その男子は彼を同志として扱い、シンクネットを紹介した。
彼はビクビクしながら見ていたが、
一度、ある論争を勝利に導いて、"先生"と呼ばれるようになってからはハマってしまった。
人と会わずに人に必要とされる事で、自尊心を刺激されたのだろう。
何度も議題に対して書き込みをした。
しかし、元々人付き合いが苦手な気質。
だんだん頻度が減っていった。
学年が上がると、あの男子ともあまり話さなくなった。
彼方は別で同志が出来たようで、わざわざ此方に来る事はなかった。
ある日、その男子から「返事が遅い!」と怒られたので数日ぶりに覗いた。
皆が「支持する」と書き込んでいたのを見て、彼も「支持する」と書き込んでから寝た。
しばらくして、謎の道具が送られてくるが、課題に追われて、埃を被る事となる。
数日後、学校でその男子から
「いよいよ明日だな」と言われるが、
なんのことだか分からず
「そうだね」と返して帰った。
家に帰ってからサイトを確認するとテロについて書いてあった。
慌てて2部印刷して封筒にしまい、1つはA.I.M.S.もう1つは飛電宛にして、投函した。
ほっとするが、明日までに届くわけないことに気づいてもう3部印刷して、当日渡せるようにして寝た。
翌朝、始発でA.I.M.S.と飛電の郵便受けに直接投函した。
アバターに1部持たせてA.I.M.S.の近くで待機。
開始宣言で騒ぎが起きたら、変身。封筒を持ってA.I.M.S.を訪ねた。
知っている情報全て提示して、自分のプログライズキーと毒ガスを解析してもらった。
開始から10分程経過して、テロが一段落してから、生身で訪れて、現在に至る。
「協力ありがとう。しかし、何故君は告発する気になったんだい?」
「それは本気だと思わなかったんです。
ただ変な人が馬鹿みたいな話をして気晴らしをしているだけだと思って、参加してました。ごめんなさい。」
「そうか……。詳しい話を後日聞かせてもらえるかな?」
「はい。」
「じゃあ、今日は帰ってもいいよ。気をつけてね。」
「はい。失礼します。」
「あれ、あの子のZAIAスペックは?」
「えっ。あれ?………返しちゃいました…」
彼は何も考えずにZAIAスペックを持ち帰ってしまった。
家についてから後悔したが、いっそのこと加勢することにした。
彼はシンクネット側に合流した。
「エスの野郎、俺たちを騙しやがって」
「ぶっ殺してやる」
「ダメだよ」
「何?」
彼は近い方から銃を奪い、2体を撃ち抜いた。
「テメェ!」
切り掛かってきたやつの腕に腕を当てて、軌道を逸らして複眼をゼロ距離で撃ち抜く。
もう一方の銃で別のやつを撃つが、相打ちとなった。
「ふう。不意打ちで4人か。
時間稼ぎにしては少ないけど、もう少し頑張ってみるか」
✳︎ ✳︎ ✳︎
彼は何度も不意打ちを繰り返した。
そして、終わりの時が来ました。
「あれ?繋がらない? 解決したって事か」
彼は安心して寝る事が出来ました。
後日、A.I.M.S.できっちり怒られるとは、考えもせずに……