魔法少女リリカルなのはFH   作:ワンダバ

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010 海上での決戦と彼女の願い

 アースラに乗り込んでジュエルシード回収を手伝うことになったおれ達は今、アースラのブリーフィングルームにいる。

 話の内容はリンディ艦長たち時空管理局の人達の任務が正式にロストロギア回収に替わったことを伝えるため、それとおれ達3人の顔見せだ。

 少し薄暗い部屋で、横長のデスクを囲うように座って話を聞く。なんかいやに緊張するな。

 

「というわけで、本日0時をもって本艦全クルーの任務はロストロギア〝ジュエルシード〟の捜索と回収に変更されます。また本件においては特例として、問題のロストロギアの発見者であり結界魔導師でもあるこちら」

「はい! ユーノ・スクライアです!」

「それから彼の協力者でもある現地の魔導師さん」

「た、高町なのはです」

「咲良雪道です」

「以上3名が臨時局員の扱いで自体に当たってくれます」

「「「よろしくお願いします」」」

 

 名前を名乗りながら立ち上がり、腰を折って挨拶をする。ユーノ、ちょっと硬くなり過ぎだな。

 なのはが自分のことをじっと見ているクロノに気付いたのか微笑んでみせる。

 クロノは顔を少し赤くしながらそっぽを向く。なんだあの反応、こうなんかイラッとするな。特に理由はないが。

 ユーノをほうをチラ見すると渋い顔をしている。大体おれと考えていることは同じだろうか。

 ブリーフィングの最中だっていうのにこんなんでいいのか……先行き不安だなぁ。

 

 

 010 海上での決戦と彼女の願い

 

 リンディ艦長に連れられてアースラのブリッジに来た。今後の方針なんかを決めてくれているらしい。

 

「じゃあここからはジュエルシードの位置特定はこちらでするわ。場所がわかったら、現地に向かってもらいます。」

「「「はい!」」」

 

 ジュエルシードはどうやら管理局の方で探してくれるみたいだな。それについては非常に助かる。どこにあるかもわからない小さなあれを地道に探さなくていいのだ。

 説明を受けていると女性……えっと、エイミィさんだったかな。エイミィさんがお盆に緑茶を入れて持って来る。

 

「艦長、お茶です」

「ありがと」

 

 椅子に座ったまま手を伸ばして湯呑―――ではなく隣の小さな、あれはシュガーポット? それについてるスプーンを手に取る。1回、2回と砂糖を投入(しかも山盛り)。さらにその隣の小瓶を掴んで何か白い液体を入れる。もしかして……牛乳………?

 うっとりと美味しそうに飲んでるけど、それ緑茶ですよね? コーヒーとか紅茶じゃなくて。おれもなのはも唖然である。日本人としてはなんだそりゃ!とつっこみたい。不味そうだ……

 

「そういえばなのはさん、雪道君」

「「は、はいぃ!?」」

「学校の方は大丈夫なの?」

「あ、はい。家族と友達には説明してありますので」

「おれも大丈夫です。家族は出払ってて家にはいないし問題ないです」

「そう。それなら安心ね」

 

 なのはと共にアリサとすずかにはぼかしながらだが話をしてある。完全には納得できてないみたいだったけど、一応は了承してくれた。いつか2人にも話せる日が来るといいのだが。

 その後も少しリンディ艦長から説明を受ける。そうしているとデバイスの話になる。

 

「2人のデバイスはインテリジェントデバイスだし、それなりの整備をしないといけないわね」

「そうなんですか?」

「自己修復などである程度はメンテナンスなんていらないけど、やっぱり人の手に掛かったほうが安心できるってものよ」

「そうだね。僕はメンテナンスなんてできないからなのはにレイジングハートを渡したきりになってるけど」

「おれも簡単なメンテならいつもやってるけど、本格的なのとなるとな」

 

 おれは母さんが残してくれた説明通りにやってるだけで専門的な知識はない。ユーノもそんな技術はないしレイジングハートはなのはに渡してからそのまま。

 やはり本格的な点検は必要だろう。専門の人にバッチリと調整をしてもらった方が安心できるのは頷ける。

 

「今はまだロストロギアは見つかってないし、ちょうどいいわね。1人専門の人がアースラに乗ってるの。折角だし案内と紹介をするわね」

「はい、お願いします」

 

 歩き出したリンディ艦長について行く。一体誰なのか……そういえばその人はさっきのブリーフィングに居なかったような?

 

「あの、その人は先のブリーフィングの時にいなかったと思うんですけど」

「ああ、彼女はちょっと忙しい身でね。基本的には部屋にこもっていろんなところから受けてる仕事してるのよ」

「へえ、女の人なんですね」

「実は昔馴染みでね。彼女の腕は確かで信頼できるから同行してもらってるの」

 

 なるほど。艦長を務めているほどの人が信頼を置くとはよほど腕が立つ人なのだろう。昔馴染みってことは年齢も……さすがに恐ろしくて聞く気にはなれないが同じくらいと見ていいだろう。

 

「どんな人なのかな?」

「さてな、会ってみないことにはなんとも」

「すごい人ではありそうだよね」

「さ、着いたわよ」

 

 なのは達と軽く話しながら歩いていると、艦長が1つのドアの前で立ち止まる。どうやらここがその人の部屋らしい。艦長がまず部屋に入り、その後に続いて入るのだが……めっさ散らかっている。

 

「「「……………」」」

「ごめんなさいね。彼女は無意識のうちに物を散らかす天才でね、言うなれば家事音痴ね」

 

 何かの書類らしき紙が床中に散らばって踏みどころがない。服や機械類なども散乱しており生活破綻している。しかしこの風景と家事音痴という単語、なんだかどことなく懐かしさを覚える。

 まさしく母さんのことだ。あの人の周りも放っておくと大体こんな感じになったものだ。海外に行っているらしいけど元気にしているだろうか? ここ最近はあまり連絡が無くて少し心配だ。今は厄介ごとに巻き込まれているため連絡されても困るのだが。

 

「これは……すごいね……」

「う、うん。って雪道、なんで君そんな懐かしそうな顔してるのさ」

「き、気にするな」

 

 少し前のことを思い出しているとユーノにつっこまれてしまった。こんなことで思い出にふけっている場合じゃないか。床の物をどかしながらリンディ艦長は部屋を進んでいき、とある場所で足を止める。そこだけ何か不自然に紙の束や服が盛り上がっている。

 まるで1人の人がそこに横になって寝ているかのように。

 

「もう、またこんなところで寝て。ほら起きて、昨日話していた子たちが来てるから」

「うぅ……リンディ、もう少しだけぇ」

「さっさと起きる!」

 

 艦長に引っ張り出されてしぶしぶといった感じで起き上がるその人。ボサボサだがウェーブのかかっている茶混じりの黒髪、おれの髪の色によく似ている。長さは腰辺りまであるか。身長はリンディ艦長と同じくらい。

 すごく眠そうにして立ち上がっているが、まだ完全に起きてはいないのかこちらを見ていない。さて、ここまで冷静に見て来たがあれだ。この人おれ知ってます。声もめっちゃ聞き覚えあるわ、うん。

 

「しゃんとして。挨拶くらいはしないといけないでしょ?」

「はいはいっと。初めまして、アースラでデバイスの事を引き受けてます。ハルミ・サクラです。よろしくね」

「「よ、よろしくお願いします」」

「………………(呆然)」

「? 雪道君、どうしかしたの?」

「そんなに目を見開いて。もしかして知り合いだった?」

 

 どうかしたも知り合いもクソもない。何を隠そうこの人は、おれの目の前にいるこの人は……!

 

「か、かかかか……!」

「「か?」」

「母さん!!?」

「「母さん!!!??」」

「はーい。久しぶりね、雪ちゃん」

「「雪ちゃん!?」」

 

 そう、この人は紛れもなくおれの母。咲良春美その人だった。や、やばい一体何から聞けばいいんだ。リンディ艦長と昔馴染みってことはやっぱり母さんは別の世界の人だったってことなのか? だとしたらどういう経緯でおれ達の世界に住むことになったんだ? 突然のことで頭が追いついてこない。

 

「雪道君がこんなにうろたえてるところ初めて見たの……」

「う、うん。珍しいねこれは」

 

 なのはとユーノが何か言っているが耳に入ってこない。お、落ち着けおれ!

 

「やっぱり伝えたほうがよかったんじゃないの?」

「それじゃサプライズがないでしょ? 折角の家族の感動の再会なんだから♪」

「感動というより呆然として言葉もないみたいだけど……」

「と、とりあえず! どうして母さんがここに?」

「家を出る時言ったでしょ? ちょっと出張的なものに出かけるって」

 

 いや確かに言ってたけどさ。まさか海外どころか世界飛び出してるとは思わないだろ。とにかくまずははっきりさせておくべきことがあるな。

 

「艦長と昔馴染みってことは、母さんは別の世界の人なのか?」

「ん、そゆこと。いろいろあって地球に来て、お父さんと会って雪ちゃんが生まれてって感じかしらね」

「そう……」

 

 できればその『いろいろ』の部分を詳しく聞きたかったのだけど、もういいか……

 このままだと話が一向に進みそうにないので深く追求するのは諦める。

 

「エリスも久しぶりね、元気してた?」

「はい。お久しぶりです、お母様」

「うんうん、見る限りではちゃんと私のマニュアル通りにメンテナンスはしていたみたいね」

「まあね」

「非常に手際が良くて私も最初は驚きました。私を創られたお母様の血がマスターにも流れてる証拠ですね」

 

 さすが創った張本人であるためか、エリスを見ただけで調子が大体分かるようだ。

 

「え? エリスって雪道君のお母さんが作ったの?」

「あれ、言ってなかったか?」

「うん、初めて聞いたの」

「そっか。ま、今聞いた通りエリスは母さんが創ったんだ。どういう経緯でエリスを創ったのかははぐらかされて知らないけど」

「へぇ~。すごいんだね、雪道君のお母さん」

「そうだなぁ」

 

 感心したように頷くなのは。確かにどういう仕組みでデバイスが動いているのかはまったく知らないが、エリスの様なものを創れるって言うのは確かにすごいことなんだろう。魔法の詳しい事情なんかはユーノが来てから初めて知ったようなものだったので、いままで母さんがどれくらいすごいのかをいまいち理解していなかった。

 しかし別の世界の人だったのか……それならば魔法のことについて知っていたり、家の結界のことなんかにも納得がいく。いままでなんの疑問も持たなかった……訳ではないが特に何も考えてなかったおれは能天気なのかバカなのか。

 

「それで、2人が雪ちゃんのお友達?」

「あ、はい! 高町なのはです!」

「ユーノ・スクライアです」

「改めまして、ハルミ・サクラよ。地球風に言うと咲良 春美ね」

 

 漢字はこう書くのよとその辺の紙にペンで自分の名前を書いて見せる。それ資料の紙っぽいのだがいいのか?

 ひとまずそれぞれの自己紹介も終わってデバイスのメンテナンスなどについて一通り説明を受ける。アースラに乗っている間は母さんが定期的に点検をしてくれるそうだ。説明が終わった後、リンディ艦長は他の仕事のために部屋を後にした。おれ達3人と母さんが残される。

 

「ふんふん、それにしてもようやく雪ちゃんにもお友達ができたのね」

「まあ……ね」

「家を空けてそれだけが気がかりだったから、本当によかったわ。それにしてもこーんな可愛い子を捕まえるなんて、なかなか隅に置けないわねぇ」

「ふぇ!?」

 

 フフリといった感じの顔をしてそう言う母さん。多少連絡は取っていたもののこうして実際に会うのは半年ぶりだ。ここぞとばかりにからかってくるつもりだろう。なのはもそんな分かりやすい反応してくれちゃって……手のひらの上で踊らされない様に釘をさすべきか。

 

「またそんなこと言って……茶化すのもほどほどにしてよ」

「もしよかったらこれからも末永く雪ちゃんの友達でいてあげてね?」

「は、はい!」

 

 なのはの手を取ってお願いをする母さん。スルーである。露骨に。

 

「聞けよ人の話を」

「他にも友達はできた?」

「え? なのは経由で2人ほど……」

「女の子?」

「あ、あぁ」

「そう……ハーレムを作る気なのね。別に雪ちゃんの友好関係が広がるならそれでもかまわないけど」

「いや違うわ! どこからその発想が生まれたんだよ! 頼むから話を聞いてくれ!」

「あの雪道が見事に振り回されてる……」

「あ、あはは」

 

 アースラでの生活がこの上なく不安になってきた。ここに来た当初とはまったく別の方向で。

 

 

 

 

 アースラにお世話になり始めて数日、今おれ達はとある森の中に来ている。アースラの人達が突き止めたジュエルシードの回収に来たのだ。

 今回も暴走をしており、大きな鳥みたいな姿を取っている。縦横無尽に空を飛びまわっているためまずは奴の動きを止めないといけない。

 

「マスター、ここは折角ですのであれを使ってみるべきかと」

「そうだな。よし、2人とも! あいつの動きはおれがなんとかする! ユーノは動きが止まったらバインド、なのはは封印を頼む!」

「「了解!」」

 

 エリスの提案を受けて練習していた魔法の一つを使うことにするし、2人に手早く指示を出す。飛び回っている怪鳥にライオットトリガーを向け姿勢を整える。足元に魔方陣が輝きおれの周りに4つほど薄く紅く輝く魔法弾が現れる。

 ここまではいままでの空圧弾と同じだが、おれはさらに弾殻(バレットシェル)に空気を込めて圧縮率を上げる。薄く紅い輝きだった空圧弾は、その輝きを白に変えていく。よし、そろそろだな。

 

「空圧弾、プラズマシュートォ!」

「Plasam shoot」

 

 白い輝きとなった空圧弾は怪鳥へ向かって勢いよく飛ぶ。もちろん相手は自由に飛び回っているため軽々と回避されるのだが、こいつは飛んで行って終わりではない。空中での姿勢制御などはエリスに任し、空圧弾に意識を集中させる。すると怪鳥を通り過ぎて行ったはずの空圧弾はその進行方向を変えて再び怪鳥に向かって飛翔し始める。

 そう、このプラズマシュートは誘導も可能な誘導制御型なのだ。さらに当たれば魔法ダメージと共にプラズマの熱でのダメージもある。真っ直ぐ飛ぶ空圧弾だけでは空中での戦いは厳しいと思いエリスと一緒に開発した新しい魔法だ。

 とはいえ今はまだ集中してコントロールしないといけないため、フェイトとの戦闘の様な実戦投入にはまだ少し早そうだ。ただ今はあの怪鳥の足を鈍らせればそれでいい。なのでぶつけるのではなく、周りを飛び回らせて動きにくくする。

 好き放題飛んでいた怪鳥はプラズマシュートのせいで思うように飛べずに動きを止める。

 

「今だユーノ!」

「うん! チェーンバインド!」

 

 ユーノは地面に手をつくとそこから魔方陣が現れ、いくつもの魔法の鎖が伸びて怪鳥を絡め取って行く。あれならもうそう簡単には動けないだろう。ダメ押しで周りを飛び回らせていたプラズマシュートをぶつけてやって怯ませる。

 

「捕まえた、なのは!」

「頼むぞ!」

「うん!」

 

 なのはがレイジングハートをシーリングモードへと移行し構える。思いっきりスカートがなびいているけどあれ、後ろから見たら丸見えなんじゃないだろうか? 誤解を招かないために一応言っておくが、位置関係でおれからはまったく見えない。嘘じゃない。

 レイジングハートから桜色のロープが伸び、封印の態勢に入る。怪鳥の顎(?)の部分にはⅧの数字が浮かぶ。

 

「Stand by? ready」

「リリカル、マジカル……ジュエルシードシリアル8――封印!」

「Sealing!」

 

 怪鳥は光の粒子となって消え、ジュエルシード本体はレイジングハートに回収される。

 ふぃ、どうやら無事終わったようだな。アースラのスタッフの人から通信が入ってくる。

 

《状況終了です。ジュエルシードナンバーⅧ、無事確保。お疲れ様、なのはちゃん、雪道君、ユーノ君》

《はーい》

《お疲れ様です》

《ゲートを作るね。そこで待ってて》

 

 通信が途切れ、それぞれ楽な姿勢でゲートが開くのを待つ。ここまでは中々に順調だな。アースラの人達のバックアップのおかげでおれ達も結構楽させてもらっている。

 

「それにしてもユーノのそのチェーン、すごいよなぁ。あれを抑え込めるんだから」

「そ、そうかな?」

「うん。いつもありがとね、ユーノ君」

「いやぁ」

 

 あまり褒められ慣れてないのか照れまくるユーノ。たまに女の子と間違えかけるんだよなぁ見た目的に。この間アースラの風呂に一緒に入った時に男の証は確認済みなんだがな。

 

「なあユーノ。今度おれにもその鎖の魔法教えてくれないか?」

「別にいいけど、どうして?」

「おれもバインドの1つくらいは覚えたいしさ。それにいろいろと応用が利きそうで面白そうだ」

「うーん、バインドだからそんなに応用なんてできないと思うけど」

「ともかく今度頼むな」

「分かった」

 

 話している間に目の前に魔方陣が現れる。どうやらゲートが開いたらしい。話を切り上げてゲートをくぐり、バリアジャケットを解除して歩き始める。

 歩いている途中にふと気になってなのはの方を見てみると、なんだかあまり浮かない顔をしている。先ほどの戦闘で何か問題があっただろうか?

 

「どうかしたのか?」

「あ、えっとね、フェイトちゃん現れないね」

 

 なるほど、そういうことか。確かにここ最近はフェイトに会っていない。そのおかげでジュエルシードは穏便に回収できてはいるのだが、なのはの目的はフェイトのこともあるのだ。現れなければこの前話した対処も意味をなさない。

 

「こっちとは別にジュエルシードを集めて行っているみたいだけど」

「時空管理局とはなんか折り合いが悪そうだったし、多分会わない様に極力避けてるんだろうな」

「うん……」

「そう浮かない顔するなって。フェイトの目的がジュエルシードなら、こっちがいくつか所持してる以上絶対にまた会うことになる」

「向こうも全部揃えるつもりみたいだったし雪道の言う通りだよ、なのは」

「そうだね」

 

 そう言って少し笑うなのは。やれやれ、また無理して笑ってるな。だが今はそこには触れないでおく。こればっかりはフェイトともう一度会わなければどうしようもないのだから。

 2人を促して再び歩き始める。今はこうして適当な話をして気を紛らわせることぐらいしかできない。

 そんな自分が少し、悔しかった。

 

 

 

 

 さらに数日。おれ達がアースラに来てから10日目になる。それらしき反応を追って日々あちこちを回っているのだが、今のところは空振りに終わっている。

 ここまででおれ達が集めたジュエルシードはⅧ、Ⅸ、ⅩⅡの計3つ。フェイト達に先回りされて回収されたのがⅡとⅤの2つ。これまでの集めてきたジュエルシードの合計数から残りはあと6つ。これがなかなか見つからないでいる。

 今は食堂で適当なお菓子をいただいて休憩中だ。

 

「はぁ……今日も空振りだったね」

「うん。もしかしたら結構長くかかるかもね」

「そうだなぁ。ここまで難航するとはなぁ」

 

 クッキーをポリポリかじりながら呟く。アースラの協力があるからそうかからないと思っていたのだが、少し見込みが甘かったな。でも足で探してる時よりかははるかに楽で早く見つかっているのだし、あまり贅沢を言うものじゃない。

 一緒にもらってきたジュースを飲んでいると、ユーノが申し訳なさそうに口を開く。

 

「なのは、雪道、ごめんね」

「え?」

「寂しくない?」

 

 なるほど、そのことを気にしていたのか。確かに学校や家から離れて暮らすっていうのはなかなか経験するものじゃない。なのはは家族や友達と一時的とはいえ離れてしまっているのだからそう思っても不思議じゃない。

 

「別にちっとも寂しくないよ?」

「おれも。というかなのはと知り合うまで友達なんていなくて1人が普通だったんだ。むしろこっちに来てからは母さんと再会なんてして、むしろ騒がしいくらいだ」

「本当ですね。マスターにしては周囲が賑やかすぎますね」

 

 自分で言ってて悲しくなるが本当の事だ。なのはとユーノ、母さんにエリスがいる。ちょっと前のおれからしたら騒がしいというのは全然言い過ぎじゃない。

 さらに母さんがこの船に乗ってるのを知ってからは、母さんの部屋に行き片付けるのが日課になってしまった。どうしてたった1日で散らかるのか……家で暮らしてた頃よりはるかに忙しい日々だ。

 

「うん。ユーノ君や雪道君と一緒だし、1人ぼっちになっても結構平気。小っちゃいころはよく1人だったから」

「なのは?」

「家、私がまだ小っちゃいころにね、お父さんが仕事で大けがしちゃってしばらくベッドから動けなかったことがあるの。喫茶店も始めたばかりで今ほど人気がなかったから、お母さんとお兄ちゃんはいつもずっと忙しくて、お姉ちゃんはずっとお父さんの看病で……だから私、わりと最近まで家で1人でいることが多かったの。お父さんが帰ってきてからもまだまだお店は忙しくて、だから結構慣れてるの」

 

 ………それは知らなかった。1人でいるっていうのは小さいころ会ったことがあったから知っていたけど、そんな背景があったなんて。

 その話を聞いてより一層昔の自分のしでかしたことがいかに無粋に踏み込んだ真似だったのかが浮き彫りになる。穴があったら入りたい気分だ。

 

「そっか……」

「そんな事情があったのか……なんか悪いな、あの時は」

「ううん! 雪道君がああやってみんなに言ってくれたから今があるんだし、それは本当に感謝してるの!」

「そう言ってくれると助かるよ」

「2人の間で何かあったの?」

「ん? そういえばユーノには話したことなかったな。実は―――」

 

 数年前の出来事をユーノに話す。ぶっちゃけおれの黒歴史でしかないのだが、こんな感じの話になっては話さないわけにもいかない。

 

「へぇ、そんなことがあったんだ」

「うん。本当に雪道君に感謝してもしきれないよ」

「分かったてば、もういいだろう?」

「ふふ、マスターは今非常に照れているのでもっとからかってやってください」

「エリスてめぇ! 余計なことは言わなくていいっつの!」

 

 くそっ、なのはもユーノもニコニコしかやがって……顔が熱いったらありゃしない。

 話題を強引にでも変えにいかないと居心地が悪すぎる。

 

「そ、そういえばユーノの家族についてなんにも知らないよな」

「あ、マス《強引に話逸らしましたねとかいいやがったら砕くぞ》―――そうですね、思えば聞いたことありませんね」

 

 念話で脅してこれ以上のからかいを握りつぶす。なんかこんなことばっかり上手くなっていくな。

 

「ああ、僕は元々1人だったから」

「え、そうなの?」

「両親はいなかったんだけど、部族の皆に育ててもらったから。だからスクライアの一族皆が、僕の家族」

 

 そう言って少しだけ寂しそうに笑うユーノ。話題を変えるためとはいえ、チョイスをミスっただろうか。

 ともかく、フォローがいるよな……

 

「そっか。ユーノ君、いろいろ片付けたらもっとたくさん、いろんなお話しようね」

「うん、いろいろ片付いたらね」

 

 フォローしようと思ったら先になのはにされてしまった。しかも2人で微笑み合ってクッキー食べて……おれは邪魔だろうか?

 別の意味で居心地悪くなっちまった。なにこれ遠回しないじめ?

 

「完全に存在を忘れられましたね」

「別に気にしてないし」

「わわっ! 違うの! 雪道君!」

「そ、そうだよ! 別に忘れたわけじゃ!」

「いいですよ別に。2人していい雰囲気になっちゃって。おれは存在感のない空気になりますとも。魔力変換資質も風ですし?」

「ゆ、雪道く~ん」

 

 盛大にすねてみると情けない声でこちらを見るなのは。ユーノの方はというと、どうやらわざとやってると気付いてるのか微妙な視線を向けている。なのはみたいにそのまま真に受けてくれればいいものを、からかい甲斐のないやつめ。

 

「冗談だよ、そんな情けない声出すなって」

「本当?」

「ほんとほんと。片付いたらいろいろ話そうぜ。今までのこととかこれからのこととかさ」

「あ……うん!」

 

 な?という感じでユーノの方にも目を向けると、笑って頷いてくれる。なんとか綺麗にしめることができたな。

 一安心してジュースに再び手をかけて飲もうとした、その瞬間にアラートが鳴り響く。

 

『エマージェンシー! 捜査区域の海上にて大型の魔力反応を感知!』

「雪道君ユーノ君、これって!」

「ジュエルシード?」

「もしくはフェイト、あるいはその両方か……ともかくブリッジに行くぞ!」

 

 おれ達は状況を詳しく知るためにブリッジに走り出す―――のだがなのはが遅い。魔法はあんなにすごいのになんでこう普通の運動はそうなのかね!

 

「ほら、急ぐぞ!」

「う、うん!」

 

 なのはに手を差し出して握り、引っ張って走る。ようやくエレベーターに辿り着きブリッジへ上がるために操作、その間になのはには呼吸を整えてもらう。

 エレベーターが止まり扉が開くと同時になのはが飛び出していく。モニターには大荒れの海を飛んでいる、フェイト。

 

「フェイトちゃん! あの! 私急いで現場に!」

「その必要はないよ。放っておけばあの子は自滅する」

「なんだって……?」

「仮に自滅しなかったとしても、力を使い果たしたところで叩けばいい」

 

 淡々とそう告げるクロノ。本気で言ってるのか? ………いや、多分本気なんだろう。フェイトは管理局とは対立してるし、わざわざ助けるような真似をする必要はどこにもない。ならば力を使いきったところで捕獲するのが一番効率がいい。そういうことだろう。

 

「でも!」

「今のうちに捕獲の準備を」

「了解!」

 

 なのはと共にモニターに映るフェイトを見やる。バルディッシュを掲げて果敢に挑みかかっている。しかし途中で弾き返され、サイスフォームの刃も消えてしまう。肩で息をしているし体力もないのだろう。とてもじゃないが見ていられない。

 

「私たちは常に最善の選択をしないといけないわ。残酷に見えるかもしれないけど、これが現実」

 

 そんなことは分かってる。いままで苦汁をなめさせられてきたフェイトが自ら戦闘不能になろうとしている。自滅を待ってジュエルシードもろとも回収してしまうのがいいなんて事は火を見るより明らかだ。

 どうするべきか考えていると、ユーノから念話が入る。

 

《なのは、雪道、行って!》

《ユーノ君?》

《なのは、振り返るな》

 

 話しかけられたことで振り向こうとするなのはの動きを制する。ユーノがしようとしてることは声の調子からそれとなく分かった。でもそれは命令違反に他ならない。ばれれば確実に止められてしまうだろう。

 だからなるべく行動を起こすまではさっきまでの通りにして悟られないようにするべきだ。

 

《僕がゲートを開くから、行ってあの子を!》

《でもユーノ君、私があの子と……フェイトちゃんと話をしたいのはユーノ君とは! それに雪道君も!》

《関係ないかもしれない。だけど僕は、なのはが困ってるなら力になりたい。なのはが僕にそうしてくれたみたいに》

《まあここまで来ちまったら乗りのかかった船だよ。今さら手を引くなんてできるか》

 

 隣にいるなのはに目をやる。なのはもこちらを見ていたようで申し訳なさそうな、でも安心しているような目をしている。管理局では指示に従うとしてたけど、こればっかりは無視させてもらう。

 なんていっても、おれ達はジュエルシードと同じくらいに……フェイトのことも気にかけているんだからな!

 

《ユーノ、頼む!》

《任せて!》

 

 ユーノの後ろ、現場に行くためのゲートが輝く。

 

「!? 君は!」

「行くぞ!」

「うん!」

 

 おれとなのははゲートに向けて走り出す。すれ違う時に一瞬だけ目を合わす。特に言葉はいらない、少し笑いあうだけで、それでいい。

 ゲートに入り振り向くと、ユーノが両手を広げて道をふさいでくれている。

 

「ごめんなさい。高町なのは、指示を無視して勝手な行動をとります!」

「右に同じく! お叱りなら後程!」

「あの子の結界内へ……転送!」

 

 視界が白くなり、それが晴れたときにはおれ達は遥か上空に投げ出されていた。少し下には荒れている海が見える。どうやらバリアジャケットを安全に展開するために少し上の方へ転送してくれたらしい。

 

「行くよ、レイジングハート。風は空に、星は天に。輝く光はこの腕に――不屈の心はこの胸に! レイジングハート――セーット・アーップ!」

「こっちも行くぞ! エリス――スタート・アップ!」

「Stand by.....ready!」

「Start up!」

 

 いつも通りのバリアジャケットを身に纏い、なのははフライヤーフィン、おれはクワイエットウィングを広げ降りて行く。まだ距離があるが、フェイトとアルフの姿を確認する。まだへばってはいないようだ。

 

「フェイトの……邪魔をするなぁ!!」

 

 こちらを認識するやいなや攻撃を仕掛けてこようとするアルフ。だがその前に自分も転移してきたのか、ラウンドシールドを展開したユーノが立ちふさがる。

 

「違う! 僕たちは君たちと戦いに来たんじゃない!」

「ユーノ君!」

「なのは、アルフはユーノに任せよう! おれ達はおれ達のできることをするんだ!」

 

 ユーノが折角アルフを止めてくれている、その時間を無駄に使うわけにはいかない。なのはと共にフェイトのところへ向かおうとした時、クロノから通信が入る。くそっ! 時間が無いってのに!

 

《バカな! 何やってんだ君たちは!》

《ごめんなさい、命令無視は後でちゃんと謝ります!》

《命令無視だから謝るだけじゃダメだっていうんなら、罰も受けます》

《《だけど・・・ほっとけないの!(ほっとけないんだ!)》》

 

 アルフがいるとはいえフェイトは今日までほぼ1人きりでジュエルシードの回収をしてきたはずだ。おれ達は最初はなのはとユーノと3人で、時空管理局の人たちと会ってからはさらに多くの人たちと関わって回収作業をしてきた。時にはしんどい事もあったけど、みんなでそれを分け合ってここまでやってきたんだ。

 だけどフェイトはそれをたった1人で、しかも見知らぬ土地でやってきた。それがどれだけ大変なことなのか想像もつかない。そんな彼女をほっておけというのが無理な相談というものだ。

 なのはにもフェイトと存分にやり合えばいいといった手前、ここで脱落してもらっても困るしな!

 

 《まずはジュエルシードを停止させないとまずいことになる! だから今は……封印のサポートを!》

 

 アルフを止めていたシールドを解除し、少し後ろへ下がった後ユーノは魔方陣を展開する。魔方陣から魔法の鎖が伸び、ジュエルシードの本体があるであろう竜巻を縛り上げる。

 しかし数が多い、ユーノ1人じゃ少し厳しいか? ともかく今回はフェイトたちの協力が必要不可欠だ。そう思いなのはとフェイトの近くへ降りる。

 

「フェイトちゃん、手伝って! ジュエルシードを止めよう!」

「数が数だからな、1人じゃしんどい。だけど3人で力を合わせれば!」

 

 なのはがレイジングハートを前に向けると、桜色の魔力の帯が流れ出しバルディッシュへと流れ込んでいく。おそらく消耗したフェイトの魔力を補うために自分の魔力を受け渡したのだろう。

 できればおれもやってやりたいが、そんなことをすればジュエルシードを封印するために魔力が足りなくなる恐れがあるので断念しておく。

 

「Power charge」

「Supplying complete」

「2人できっちり半分個」

 

 半分渡したのか。それでいてなおなのはのやつけろっとしてるし、恐るべき魔力保有量だな……まあともかくこれでフェイトもそれなりにやれるようになっただろう。

 ユーノ1人で抑えるのはきつそうだったが、今はアルフも協力してくれて2人がかりで押さえ込んでくれている。封印するのは今しかないだろう。

 

「3人で一気にせーので封印!」

「なのはから魔力半分もらったんだ、余裕だよな?」

「Shooting mode」

 

 なのははレイジングハートの形状をシューティングモードに移行しながら、まだ少し戸惑っているフェイトより少し先行する。進む途中で雷が何度かこちらに落ちてくるが、なんとかそれを交わしつつ進み魔方陣を展開してフェイトを待つ。

 

「Sealing form, setup」

「バルディッシュ・・・?」

 

 フェイトはともかく、その相棒はどうやらやる気十分って感じだな。フェイトがこちらを見たのでなのははウィンク、おれはサムズアップで答えてやる。もちろん、魔法の方でだって答える気は満々なんだが!

 

「ディバインバスター、フルパワー……いけるね?」

「All right, my master」

「おれ達も行くぞ! 魔力全部もってくつもりでな!」

「はい! 熱い展開ですからね、私もいつも以上に張り切っていきますよ!」

 

 レイジングハートから桜色の翼が展開、フェイトのほうも魔方陣を展開。どうやらやる気になってくれたようだ。おれも魔力を注ぎ、発射体制を整えていく。

 そして全員の準備が今……整った!!

 

「いくぞぉ!!!」

「せーっのぉ!」

「サンダー……」

「ディバイィィィン……」

「サイクロン……」

 

 フェイトの周りに電撃が走り、なのはの正面に魔力が収縮、おれの周りには風が逆巻く!

 いっけぇえええええええええええ!!!

 

「レイジィイイイイイイ!!」

「バスタァアアアアアア!!」

「パニッシャァアアアアアア!!」

 

 収縮していた砲撃が放たれ、雷鳴が轟き、旋風が駆け抜けていく。おれ達が放った3色の閃光がジュエルシードのあるエリア一体を包み込む! 強力な魔法を放ったことによる余波でよく前が見えない。だがジュエルシードの魔力反応が少しずつ弱まっているのが分かる。

 余波も収まり、封印されたジュエルシードがおれ達の前へと飛んでくる。どうやら上手く封印することができたようだ。盛大にぶっぱなしたから前みたいに爆発しないかと少々肝を冷やしたが問題はなく、暴走も収まったからか空も晴れてきたみたいだ。

 2人の様子を伺うと、ジュエルシードをはさんで見詰め合っている。なのはは何か腑に落ちたような顔をしてるな。なんというかまたなんかちょっと疎外感……でもまあ、なのはの考えてる気持ちはそれとなく察せる。

 多分なのはは―――

 

「フェイトちゃん、私……あなたと友達になりたいんだ」

「なんだか、ここまでかなり遠回りした気がするな」

「いいじゃないですか」

「まぁな」

 

 フェイトの気持ちがまだ分からない。だけどなのはは自分の気持ちに落ちどころをつけれたんだ。それだでも今回は命令違反した意味が―――

 そう思い緩んだ表情で2人を見ていた次の瞬間、晴れかかっていた空が再び曇り紫色の電撃が走り始める。

 なんだ!? 何事だ!!? ジュエルシードの暴走はもう完全に収めたはずじゃ……!?

 

「母さん?」

「なんだって?」

 

 空を見上げながらポツリとフェイトが呟く。母さんって……いったいどういう!?

 その真相を聞こうとした矢先、黒雲を走っていた雷がフェイト向かって牙を向く。

 

「うああああああああああああ!」

「フェイトちゃん!?」

「フェイト! なっ……まずい! なのはぁ!!」

「え? きゃっ!」

 

 フェイトになのはが近づこうとする瞬間、こちらにも雷が降ってきているのが見えたためになのはを抱えその場を離脱する。くっそぉ! こいつはいったいなんだってんだよ!!

 ひとまず多少安全な場所まで下がることができたのでなのはを離す。

 

「ありがとう……」

「いや、でもまだ気を抜かないほうがいい」

「うん」

 

 空の雷を警戒しながら海へと落下していくフェイトを見ると、アルフが人の姿となって海面スレスレで受け止める姿が確認できた。アルフはそのまま止まらず高度を上げ向かっている先は―――放置されたままの6つのジュエルシード!!

 ダメだ、こっちは上からの雷のせいでジュエルシードにたどり着けそうにない。アルフが手を伸ばしてジュエルシードを回収しようとするが、その手は途中で阻まれる。いつの間にか転移してきていたデバイスを構えたクロノが道に立ちふさがっているからだ。しかしアルフはそれで止まらず、クロノのデバイスを掴み、その手に魔力を収束させていく。

 まさかあの状態で撃つつもりか!? そんなことをすれば彼女の手も傷つくっていうのに!

 

「邪魔ぁ……するなぁ!」

「うわぁ!」

「クロノ!」

 

 傷つくこともいとわずに放たれた魔力弾はクロノを吹き飛ばす。そのまま海に落下していくが水面ギリギリで堪える。

 クロノを吹き飛ばし再び回収しようとジュエルシードの方へと顔を向けるアルフ。だが―――

 

「3つしかない!?」

 

 宙に浮いていたはずの6つのジュエルシードは3つに減っていた。クロノのほうを見るとその手には3つのジュエルシード。それはそのままクロノのデバイスに収納される。どうやら先ほどの接触の際、とっさに回収していたのだろう。さすがというかなんというか……

 

「ううう……ああああああああ!」

 

 アルフはフェイトを抱えていない右手を振り上げ、魔力を集めていく。攻撃かと身構えるが、その拳がおれ達ではなく海へと向かって放たれる。

 大きな水柱が立ち上り視界を奪われる。攻撃じゃなくてめくらましか!

 水柱が収まりようやく視界が戻った頃には、2人の姿はもうどこにもなかった。

 

「逃げられた……か………」

 

 水柱が起こった余波の、雨のような水しぶきが………おれ達の体を叩いていた。

 

 

 




ご意見、ご感想のほどをお待ちしております<(_ _)>

気付いたらエリスがほぼしゃべってないとかあるんでなるべくそういうのをなくしたいですね・・・
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