魔法少女リリカルなのはFH   作:ワンダバ

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ども、ワタクシでございます。
書ける時間が取れたのと、なんとなくやる気が満ちていたので間隔をあまり開けずに投稿できました。
今回からA's編です!

ではごゆるりとどうぞ。


A's編
017 終わりを告げる日常


 12月1日朝。秋よりも一層冷え込み、いよいよ冬本番となってきた今日。雪道となのははいつも通りに桜台で朝の訓練を行っている。

 今日は2人揃って魔力弾のシュートコントロールの訓練。今からするのはその仕上げだ。

 

「そんじゃ、いっちょやりますか」

「カウントスタンバイ」

 

 雪道はエリシュオンのその言葉に頷き目を閉じる。足元に雪道の魔力光と同じ紅色・円形のミッドチルダ式魔方陣が輝き、彼の前にプラズマシュートが2つ現れる。

 

「よし、いいぞ」

「それでは、レディ…ゴー!」

 

 エリシュオンの掛け声とともにプラズマシュートは勢いよく上空へと上がり、ある程度の高さまで来たら左右へ別れるように移動、その後に旋回。再び2つの魔力弾の距離は近づいていき、ぶつかるかどうかというギリギリの位置ですれ違う。

 2対のプラズマシュートは、近づいてはすれ違って離れを何度も繰り返す。まるでダンスを踊るかのように自由自在に空を駆け巡る。そしてすれ違うたびにエリスがカウントを増やしていく。目標回数は100。

 これが雪道の今日の仕上げの訓練。ちなみになのはは、少し離れた場所で空き缶を1つのディバインシューターで何度も上空へ弾き上げる……という訓練をしている。

 

「ブースト」

 

 雪道のその言葉でプラズマシュートはさらにスピードを上げる。なのはも同じタイミングでアクセルでディバインシューターのスピードを上げ、一気にカウントを増やしていく。

 

「「98……99……100!」」

「「ラスト!」」

 

 雪道の操る2対のプラズマシュートは接近、今度はすれ違わずにぶつかって消滅。

 なのははディバインシューターを操り空き缶を弾いてゴミ箱へと入れようとする……が、少し集中が切れていたのか弾かれた空き缶はあらぬ方向―――ちょうど雪道へと向かって素早くスピンしながら飛んでいく。

 

「あっ!」

「へ?」

 

 雪道は横を向くが時すでに遅し。空き缶と彼の頭が衝突し、カコーン!と小気味良い音が鳴り響く。

 空き缶で軽くはあるものの、それなりのスピードでぶつかればやっぱり痛いわけで………

 

「いっってぇええええええええええええ!!!」

 

 雪道の叫びが冬の朝に吸い込まれていった。

 

 

 017 終わりを告げる日常

 

 分かれ道まで一緒に帰る途中、雑談をしていると彼らの話題は自然と今日の訓練の事になる。

 

「ごめんね雪くん……痛かったよね?」

「そりゃそうだろ。魔導師でも痛いもんは痛いし」

「しかしよい出来でしたよ、マスター」

「あはは。ありがとう、レイジングハート」

「レイジングハートはなかなか手厳しいですね」

「エリス、お前がそれ言うかね……」

 

 白い息を吐きながらあそこが良かった、あれはダメだったなど話しながら歩いていると分かれ道に来たので、2人はそこでまた学校でと別れる。

 家に帰って学校へ行く準備をしている途中、雪道はなんとなくカレンダーを見る。

 

「もう12月か……」

 

 プレシアが起こした事件……管理局内ではPT事件と言われているが、それが起こったのが春先の4月から5月。あれからもう半年以上の月日が流れた。

 訓練に付き合ってくれていたユーノは今、クロノ達と共に管理局の本局のほうへと赴いている。なんでもフェイトの裁判があるため証人として付き添っているそうだ。

 そしてPT事件の際になんども衝突し、ようやく友達となれたフェイトとは実はビデオメールでやり取りをしている。なのはの家族やアリサ達にも説明済みで、こちらからも何度もビデオを撮って送っている。まあ基本的にしゃべるのはなのは、アリサ、すずかの3人で雪道はさほどしゃべらないのだが。

 これまでの事を思いふけりながらも朝食や準備を済ませ、家を出る。

 通学バスに乗って学校へ行き、学校が終われば家に帰って夕食を済ませて夜間訓練。それが終われば風呂に入って1日終了。

 なんでもない、けれど大切な日常。今日までこれがずっと続いてきた。これからも続くと……フェイト達も帰ってくればより楽しい毎日なって続いていくと思っていた。

 次の日の、夜までは……

 

 

 

 翌日の12月2日、放課後。

 帰宅した雪道はなのはに念話を入れることにした。ここ最近家の掃除をサボって放置していたことに気づき、今日の訓練に出れないことを伝えるためだ。

 

《と言うことは、今日の夜は訓練に来れないんだね》

《ああ、悪いな》

《ううん、気にしないで。今日は私も家でゆっくりするの》

《そっか。分かった》

《それじゃ、また明日》

《おう、また明日》

 

 念話が終わり、気合を入れて家を掃除していく。

 掃除機をかけたり雑巾で拭いたり……雪道の家は普通の一軒家だが、数日放置していたためあちこちでほこりなどが見える。これはなかなかに骨が折れそうだった。

 

「これは時間が掛かりそうですね」

「サボらないでちゃんとやっとけばよかった……」

 

 ぼやいてみてもほこりは消えない。1秒でも早く終わらせるために無駄口をやめ、必死に掃除機を動かしほこりを吸い取って行く。

 日が暮れても作業を続け、晩ご飯を間に挿んで数時間……ようやく掃除が終わる。

 

「はぁ……終わった……」

「お疲れ様です、マスター」

 

 どかりと自分の部屋のベッドに腰を下ろしてぐっと伸びをする。もう掃除はサボらない様にしようと心に刻み込み、ようやく始められると宿題に取り掛かろうとしたその時、外で少し違和感を感じる。何か魔力を感じたような?

 窓の外を覗いてみるが特に変化はない。思い過ごしだろうか。雪道は一応エリシュオンに聞いてみることにする。

 

「なあエリス。今外でなんか魔法が発動したりしなかったか?」

「確かにそうですけど……なのはさんですかね?」

「ふーむ……」

 

 なのはは今日は家でゆっくりすると言っていたが気が変わったのか? まあ気のせいかもしれないし、何かあれば連絡してくるだろう。

 そう決め込んだ雪道はそのまま宿題へと取り掛かった。

 

 

 

 

 夜、なのはは家で宿題をしていた。今日は雪道は家の片付けに追われて訓練に出てこれないため、なのはも訓練はやめておいた。

 1人でやってもいまいち身が入らないし。何よりつまらない。……あれ、でもなんでそんな風に思ったんだろ? そういえばユーノ君がいたときでも、雪くんがいなかったらなんとなくやる気が出なかったような……?

 ふとした疑問に思考を取られ、なかなか出ない答えに頭を悩ませてるその時、レイジングハートが慌ただしく明滅しだす。

 

「警告、緊急事態です」

「えっ?」

 

 レイジングハートが言葉を放った直後、空間が切り替わる感覚を覚える。この感じは―――

 

「結界!?」

「対象、高速で接近」

「近づいて来てる? こっちに!?」

 

 窓の外を見ても今はそれらしきものは見当たらない。でもレイジングハートが言うからには確かなのだろう。

 なのはは窓の外、それから手のひらに乗せたレイジングハートを見る。そしてレイジングハートを握りしめる。相手がなんであれ、自分の家の周りで何かをさせるわけには行かない。

 決心したなのはは家から外に出て、しばらく走り街の中へ。結界の中なので誰もいないのは当たり前だ。しかし正体不明の相手ということもあり、なのはに言いようのない不気味さを与える。

 飛行魔法を発動させビルに上り、空を見渡す。まだ相手は見えない……その数秒後、レイジングハートは警告を出す。

 

「来ます」

 

 なのはが今向いている方向、斜め上空から何かが飛翔してくる。きらりと輝いたそれの色は赤。一瞬雪道かと思うが、彼の魔力光はもっと深い色のはず。ではなんなのか? よく目を凝らして見る。

 徐々に近づいてきたそれは、鉄球のような見た目をしていた。

 

「誘導弾です」

「っ!!」

 

 レイジングハートの言葉にとっさに手を前にかざしてラウンドシールドを展開して受け止める。シールドにぶつかった鉄球の様な誘導弾は消えることなく、そのままなのはのシールドと拮抗する。

 なのはのシールドはかなり強固で、並みの魔力弾ならぶつかっただけですぐに消滅してしまうのだが……そうならないということは、この魔力弾はかなりの威力を持っていることになる。

 必死に力を込めて鉄球を受け止めていると、背後から誰かが近づいてくるのを感じる。とっさに振り返るが、もうその相手は攻撃態勢に入っている!

 

「あっ!?」

「テートリヒ――シュラーク!」

 

 その赤い服の少女―――ヴィータは手に持った己のデバイス、グラーフアイゼンを振りぬきなのはに奇襲を仕掛ける。

 なんとか空いているもう片方の手でシールドを展開するが、左右からの重い攻撃に耐え切れず、勢いよく吹き飛ばされビルから落下してしまう。

 

「きゃああああああ!」

「ふん……」

 

 ヴィータはグラーフアイゼンを振るい、そのまま追撃するために落下するなのはの後を追う。

 右手に少しダメージが入ったけど、まだ大丈夫。なのははレイジングハートへと声をかける!

 

「レイジングハート! お願い!」

「Standby, ready, setup……」

 

 なのはの体が桜色の魔力光に包まれ、真っ白なバリアジャケットが展開される。

 それを見ていたヴィータは手に先ほどと同じ鉄球を取り出し、投げた後にグラーフアイゼンで鉄球を叩きつけ撃ちだす。

 

「ふっ!」

「Schwalbe fliegen」

 

 撃ちだされた鉄球―――シュヴァルベフリーゲンはなのはへと一直線に飛んでいき、爆発。気合の声を出しながら煙で見えないなのはに向かってグラーフアイゼンを振るうが、手ごたえは無し。

 なのはは鉄球をシールドでいなした後、フライアーフィンを展開して素早く横へと移動していたため、ヴィータの攻撃は空振りに終わる。

 

「いきなり襲いかかられる覚えはないんだけど……どこの子? 一体なんでこんなことするの!?」

「……………」

 

 なのははひとまずヴィータに声をかけるがその返答は無し……いや、彼女は手に先ほどよりも小さめの鉄球を取り出した。

 それが答えと言う訳か。

 

「教えてくれなきゃ……分からないってばぁ!!」

「っ!?」

 

 なのはが右手を左から右へと振る。すると、ヴィータの遥か後方からディバインシューターが2つ飛翔してくる。先ほどの爆発で起きた煙に紛れて放った置いたものだ。

 ヴィータはそれに反応して1発目はなんとか躱し、2発目はシールドで受け止める。大人しくやられてればいいものを……!

 

「このやろおおおおおおおお!!」

「ちょっと!!」

 

 グラーフアイゼンで殴りかかってくるヴィータに戸惑いつつも、フラッシュムーブで距離を離す。そのままレイジングハートをシューティングモードへと移行。なのはの足元に魔方陣が輝き、レイジングハートをヴィータへと向ける。

 当てるつもりはない、牽制で1発!

 

「話を……聞いてってばぁ!!」

「Divine buster」

 

 桜色の砲撃が放たれ、ヴィータの横をかすめて通り過ぎていく。ディバインバスターの威力に態勢を崩してふらつく……その際にヴィータの被っていたうさぎのついた帽子がわずかに触れ、ボロボロになって地面へと落ちる。

 それを見てなのはは申し訳なさそうに目じりを下げる。そしてヴィータの顔つきが………変わる。

 

「グラーフアイゼン、カートリッジリロード!」

「Explosion」

 

 ヴィータの足元に三角形の古代ベルカ式魔方陣が輝き、振るったグラーフアイゼンがアクションを起こす。

 

「Raketenform」

「ええ!?」

 

 グラーフアイゼンの先端が普通のハンマーから、左右非対称のロケットの様な形状へと変化。そして噴出口から火が噴き出し、ヴィータはそのロケットの勢いその場で回転、遠心力を付けた上でなのはへと一気に距離をつめてくる。

 フラッシュムーブを使っても今度は距離を離しきれない。なのははレイジングハートを縦に構えラウンドシールドを展開した。

 

「うおおおおおおおお!!」

「うあ!」

 

 展開したラウンドシールドはグラーフアイゼンに触れて瞬間あっさりと砕かれ、そのまま構えていたレイジングハートへと直撃してしまう。

 

「そんな!?」

「ラケーテン―――ハンマァアアアアアアア!!!」

「きゃああああ!!」

 

 そのまま強引にヴィータはグラーフアイゼンを振りぬく。なのは後ろに吹き飛ばされ、ビルの窓を破って転がる。なんとか自分は無傷で済んだが、レイジングハートはひび割れひどく損傷してしまっていた。

 ヴィータは再びロケットを吹かし、そのままなのはへ追撃を仕掛ける。なんとか立ち上がってレイジングハートを構え、今度は物理衝撃に強いプロテクションを展開して受け止める。だが―――

 

「ぶち抜けぇええええええええええええ!」

「Jawohl」

 

 ヴィータの気合に応えるようにグラーフアイゼンのロケットが勢いを増し、さらにプロテクションを押し込んでくる。そしてついにはプロテクションを破り、なのはにダメージを与えんと迫る。

 レイジングハートがとっさにバリアジャケットをリアクターパージさせてダメージを軽減させるが、すべての威力を殺しきることはできない。

 ハンマーで吹き飛ばされたなのはは壁に衝突。地面に座り込み立てなくなってしまう。

 

「ぅぅ…」

「はぁ……はぁ……」

 

 グラーフアイゼンを左から右へと振るうと、アイゼンから煙と薬莢が排出される。それを確認すると、ヴィータはゆっくりと歩き、動けなくなったなのはへと近づいていく。そして、アイゼンを頭上へ掲げる。

 なのはは震える手でレイジングハートをヴィータへと向けるが、とてもじゃないが何かできる状態じゃない。視界も明滅して意識が飛びそうだ。

 

(こんなので、終わり……? 嫌だよ………ユーノ君、クロノ君……フェイトちゃん! 雪くん!!)

 

 グラーフアイゼンが振るわれ、とっさに目を閉じたその瞬間………ガキン!と言う音と共にその攻撃は何かに阻まれて止まる。

 一体何が起こったのか?―――顔を上げると、そこには黒いマントに金色の髪。そしてなのはの右肩に誰かの手が置かれる。

 

「ごめん、なのは。遅くなった」

「ユーノ君……?」

「ちっ……仲間か!」

 

 攻撃を中断されたヴィータは、舌打ちをしつつ一度バックステップで距離を少しとる。

 そして攻撃を中断させた彼女―――フェイトはバルディッシュを前へと突き出しなのはを守るように立ち、言い放つ。

 

「Scythe form」

「友達だ」

 

 

 

 

 時間は少し戻り、なのはがヴィータと戦闘を始めた直後。雪道は庭に出て辺りを見渡していた。

 宿題をやっている間も感じる違和感。それがどうしても拭えないでいた。

 

「くそ……なんなんだ……」

 

 苛立たしくその言葉を呟いた時、雪道の頭に声が響く。

 

《雪道! 聞こえてる?》

《この声……ユーノか!? お前、フェイトの裁判に付き合っていたはずじゃ……》

《詳しい話は後! なのはがピンチなんだ!》

《なんだって!?》

 

 その言葉に驚く雪道。それと同時に理解する。先ほどから感じていたこの違和感の正体……それはなのはが戦闘をしていたことに他ならない。

 だがどうしてこんな曖昧な感じでしか分からない? なのはとはこの半年間、ずっと一緒に訓練をしてきたので分からないはずはないのだが………いや、今は考えていても仕方がない。雪道は思考を切り替えユーノに場所を聞く。

 

《ユーノ! 場所はどこだ?》

《今からエリスにポイントを送る! そこに着いたら自動で結界内にジャンプできるようにしておく!》

《結界か……分かった! すぐ行く! エリス、ナビは頼むぞ!》

《はい!》

 

 エリシュオンが情報を受け取ったのを確認し、雪道はそのまま外へと飛び出し走り出す。空を飛べれば速いが、結界を雪道は張ることができないので移動は徒歩しかない。

 地図を見る限りではさほど遠くはないのだが、何故かいつも以上にその道のりが長く感じてしまう。焦るなと言い聞かせても、それを心が良しとしない。

 

「頼む……間に合ってくれ!!」

 

 心で何度も間に合えと祈りながら……冬の夜の街を、雪道は全力で駆けていく。

 

 

 

 

 平和だった日常が―――今、終わる。

 

 

 




まさかの主人公の出番ほぼ無し。
登場させる隙間がなかったもので・・・戦闘もキチンと描写できてるか不安です・・・
雪くんは次回からはちゃんと活躍させますよ!

では、ここまで読んでいただきありがとうございました!
ご意見ご感想などもお待ちしております!<(_ _)>
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