魔法少女リリカルなのはFH   作:ワンダバ

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お久しぶりです。生きてました。

前回間隔が空くとは申しましたが、まさかここまで空いてしまうとは私も思っていなかったです。申し訳ございませんでした。

今回からまた頑張って投稿していきたいと思っていますが、再び止まってしまうこともあるかもしれないので、その辺りはご容赦ください。


019 再会と引っ越しと?

 12月2日、午後8時45分。時空管理局の本局。シグナム達との戦いの後、ダメージを受けた雪道達はここへと搬送、治療を受けていた。

 ひとまず一通りの検査が済み、エイミィはその結果をリンディと春美に伝えるために読み上げる。

 

「検査の結果、みんな怪我は大したことはないそうです。ただ、雪道君は魔導師の魔力の源、リンカーコアが異様なほど小さくなってるんです」

「そう。なら一連の事件と同じ流れね」

「はい、間違いないみたいです……休暇は延期ですかね。流れ的にうちの担当になっちゃいそうですし」

「仕方ないわ。そういうお仕事だもの」

 

 リンディとエイミィは互いに笑いあう。急な仕事が入るのは管理局ではよくある話、泣き言は言ってられない。

 しかし、それでは少し困る事案が一つある。

 

「やれやれねぇ……でもリンディ、あの件もちょっとずれこむんじゃない?」

「そうね……どうしましょうか……」

「特に案がないなら、一ついい考えがあるんだけど?」

 

 困り顔のリンディに対して、春美はにやりと笑って見せた。

 

 

 019 再会と引っ越しと?

 

「………あれ?」

 

 目を開けるとそこは一面真っ白の見たことのない場所。左右を見渡してみても誰もいないし、何もない。

 寂しい場所だと、なんとなくそんな感想を雪道は抱いた。

 

「おれ、どうなったんだっけ?」

 

 自分の状況がいまいちはっきりとしないので、ひとまず雪道はこれまでの事を思い出してみることにした。

 確かユーノからなのはが襲撃を受けていると連絡を受け、慌てて家を飛び出しなのはとフェイトの救援に向かった。そこでシグナム達と出会い、戦って―――

 

「負けて気を失ったのか……」

 

 苦い記憶を思い出し、雪道は顔をしかめる。大丈夫だと大見得を切っておいてあの体たらくだ。

 まぁそれは置いておくとして、こうなるとここはどこだという話になる。気を失って、そしてこの場所。ここから導き出される答えは一つ。

 

「夢の中……?」

 

 まさかとは思うが、それ以外に選択肢が思いつかない。でもなんでこんな場所に……?

 雪道がいろいろと考えをめぐらせ始めたときだった。ふと正面に気配を感じて見てみると、そこにいつの間にか誰かが立っている。驚いて目をしばたかせてみるが、確かにいる。先ほどまでは誰もいなかったはずなのに。

 しかしその姿は霧に隠れているかのように霞んでいて、全体の像がはっきりとしない。ぎりぎり女性であるということが判別できる程度。

 

「―――あなたが次に力を使うとき」

「え?」

「あなたが次に力を使うとき、きっとあなたは逃れられない……過酷な運命に囚われることになります」

「運命……」

「それでもあなたは、先へと進むことを望みますか?」

 

 いきなり現れて何を……と思ったが、不思議と雪道はこの質問に答えなければならない気がした。一体君は誰なのか、運命とはなんなのかなど、問い質したいことはたくさんあるにも関わらずだ。

 そして彼女の言う力。雪道はそれがこれまで2回ほど自分を助けてくれた、あの力のことを言っているのだと理屈抜きで理解した。

 これも夢の中だからそう思えたのか。理由はともかく、雪道は思うままに彼女に自分の言葉を伝える。

 

「その運命ってのがなんなのかは分からない。でも使わないといけない時がきたなら、おれは躊躇いなく使うよ」

「なぜ? その先に辛い未来しかないかもしれないのに、どうして先へ進むのです?」

「本当に辛い未来があるとしても、今を守れなきゃ……きっとその未来もないから。守りたいものがあるから、きっとおれは力を使うと思う」

「………そうですか」

 

 悲しむように、でもどこか嬉しそうに彼女はそう呟く。すると彼女の体がだんだんと透けて消えていく。

 それと同時に雪道の意識も徐々に薄れていくのを感じた。もう時間がない。雪道は慌てて彼女へと駆けだそうとするが、驚くほど体が重くて思うように動かない。

 

「待ってくれ! あんたにはまだ聞きたいことが!」

「あなたの未来に、幸あらんことを」

 

 彼女のその言葉を最後に、雪道の意識は途絶えた。

 

 

 

 

「―――待ってくれ!っていってて!」

 

 がばりと体を起こし右手を前に出すが、その手は虚しく空を切る。それどころか体のあちこちに痛みが走った。

 痛む体をさすりながら辺りを見回してみると、そこはもうあの白い空間ではなく、どこかの部屋。雪道はベッドの上に座っている状態になっていた。

 

「あ……やっぱ、夢?」

 

 この状況ではそう思うのが正しいのだろうが、夢にしてはかなり鮮明に思い出せる。彼女は結局一体誰で、運命とはなんなのか。何一つとして分からなかった。

 ひとまずどうしようかと考えていると、部屋の扉が開いてそこから一人の男性が入ってくる。白衣を見るに、おそらく医者なのだろう。

 

「おお、目が覚めたのかい?」

「あ、はい。その……ここは?」

「ここは時空管理局の本局、その医務室さ。リンディ艦長の船から運ばれてきたんだよ」

「本局……」

「ひとまず、体を検査させもらっていいかな?」

「はい、分かりました」

 

 男性は雪道の体を調べいき、最後に機械を取り出して胸のあたりにかざす。男性が言うにはひとまず異常があるところはないそうだった。

 

「さすがに若いね。もうリンカーコアの回復が始まっている。でもしばらくは魔法は使えないだろうから気を付けてね」

「はい、ありがとうございます」

「失礼します」

 

 ちょうど検査が終わった辺りで再び扉が開いて、そこからクロノとなのは、フェイトが顔を覗かせる。男性はクロノの姿を見ると話しかけ、そのまま部屋を出て行ってしまう。

 結果として雪道となのはとフェイトが部屋に残されるのだが、なんだか空気が重たい。

 

「えっと……悪いな。折角の再会なのに、こんな形で」

「ううん。雪くんは大丈夫?」

「まあなんとかな。フェイトも怪我は大丈夫なのか?」

「こんなのは、全然」

「そっか」

 

 重たい空気を振り払うように笑ってみせるが、フェイトは包帯を巻いている腕を体の後ろに隠しながら顔を伏せてしまう。

 

「フェイトちゃん?」

「ごめん……私がもっと……」

「―――ああもう! 辛気臭いのは無しだって! 折角こうして再会できたんだぜ? おれだってこの通り……うあっ!?」

「雪!」

 

 どうにかして雰囲気を変えようと立ちあがってみるが、思ったよりも体がふらつき、フェイトとなのはに支えられる形になってしまう。

 なんとも情けない限りで、雪道はちょっと泣きたくなってくる。

 

「あはは……サンキュ」

「無理はダメだよ、雪くん」

「悪い。でもさ、さっきも言ったけど辛気臭いのは無しにしよう。やっとまた会えたんだから」

「そう……だね」

 

 その言葉を受けてようやく微笑むフェイト。重い空気も消えて、雪道は一安心する。

 

「えっと、フェイトちゃん。さっきは助けてくれてありがとう。それからまた会えてすごく嬉しい」

「ああ、おれもだ」

「うん、私も二人に……なのはと雪に会えて、嬉しい」

 

 3人は笑い合いながら、ようやく再会を喜ぶことができたのだった。しばらくして医師との話し合いを終えたクロノが再び部屋を訪れ、来てほしい場所があるというので3人は一緒にクロノについていく。

 とある部屋の前に到着して、その扉を潜り抜けるとそこにはユーノとアルフ、それから春美がいた。部屋の中央の台の上には傷ついた雪道達のデバイスが置いてあり、修理をしているのかその台は光っている。

 

「フェイト! なのは! 雪道!」

「ユーノ君! アルフさん! 春美さんも!」

「久しぶり、2人とも」

「ああ、本当に」

 

 言葉を交わし合う雪道達とは別に、フェイトは台の上に置かれているデバイスの方へと歩いていく。

 

「ごめんね、バルディッシュ。私の力不足で……」

「破損状況はどうなんです?」

「んー、正直言ってあんまりよくないわね」

 

 春美の話では、自動修復で基礎構造を回復させ後に再起動。部品も交換していかないといけないらしい。専門的な知識はないが、雪道自身ある程度自分でメンテナンスもしていた。なのでそれがどれほど厳しい状態なのかはそれとなく察することができた。

 雪道となのはは、フェイトと同じく自分の相棒の方へと歩いていく。近くで見るとその破損状況がよりはっきりと見える。待機状態で宝石の形に戻ってはいるが、その表面はひび割れ、ところどころ欠けてしまっている。

 

「レイジングハート……」

「悪い、エリス」

「ねぇそういえばさ、あの連中の使ってる魔法ってなんか変じゃなかった?」

「あれは多分、ベルカ式だ」

「ベルカ式?」

 

 ベルカ式とは昔、ミッド式―――つまり今一般に普及している魔法と勢力を二分した魔法体系で、遠距離や広範囲攻撃といったものをある程度度外視して対人戦闘に特化させた魔法だ。

 そのベルカ式の魔法を使ったすぐれた術者は騎士と呼ばれる。

 

「そういえば……あの人は自分の事をベルカの騎士って言ってたっけか」

「最大の特徴は、デバイスに組み込まれているカートリッジシステムと呼ばれる武装だね」

 

 カートリッジシステムは、儀式で圧縮した魔力を込めた弾丸をデバイスに組み込み、瞬間的に爆発的な攻撃力を得るというかなり危険なもの。

 下手に使えば暴発、自分自身を破滅に追い込む危険すらあるらしい。

 

「なるほどねぇ」

「さて、フェイト。そろそろ面接の時間だ」

「うん」

「なのは、雪道。君たちもちょっといいか」

「あ、ああ」

 

 なんなのかはよく分からないが、なのはと顔を見合わせながらも雪道達は再びクロノについて歩いていく。今度は一体どこへ連れて行かれるのか。

 しばらく歩き、少し大きめの扉の前で足を止める。そのドアがスライドして開き、クロノを先頭に部屋の中へ入る。中には一人の男性―――時空管理局顧問官、ギム・グレアムがいた。フェイトの面接相手はこの人ということになる。

 

「失礼します」

「クロノ、久しぶりだな」

「ご無沙汰しています」

「ひとまずそこの椅子に掛けたまえ」

 

 部屋にある応接用のソファに雪道、フェイト、なのはの順で腰かけ、その正面にグレアムが座る。クロノはテーブルの横で立ち、待機する。

 

「リンディ提督から先の事件や君の人柄については聞いているよ。とても優しい子だと」

「あ、ありがとうございます」

 

 フェイトは少し恥ずかしそうに頬を染めて俯く。雪道の印象としては、とても穏やかで優しいそうな人だと思った。

 そのままフェイトといくつか言葉を交わし、手元の資料を見ながら今度は雪道となのはへと話題が移る。

 

「なのは君と雪道君は日本人なんだな。懐かしいなぁ、日本の風景は」

「え?」

「自分たちの世界のこと、知っているんですか?」

「私も君たちと同じ世界の出身だよ。イギリス人だ」

「ええ!? そうなんですか?」

「驚きました……」

 

 ユーノから雪道達の世界の人間はほとんど魔力を持って生まれないと聞いていた。そもそも地球では魔法は空想上の力で、実際には存在しないものだという話になっている。

 だから基本的には地球出身の魔導師はかなり稀で、そう会うこともないだろうと2人は思っていたのだが、思わぬところで出会うものだ。

 

「稀にいるんだよ。なのは君や雪道君、私の様に高い魔力資質を持って生まれるものが。魔法との出合い方も私とそっくりだ。私の場合は傷ついた管理局員を助けたのだがね」

「そうだったんですか……いやまあ、おれはなのはみたいに魔力資質は高くないですけど」

「そんなことないさ。君の変換資質と希少能力。これは管理局でもそうそう見ないものだよ。誇っていい」

「それは……ありがとうございます」

 

 管理局で確かな地位についているグレアムにそう褒められ、どうにも居心地が悪くなる雪道。先ほどのフェイトの気持ちが少し分かった気がした。

 

「フェイト君、君は2人の友達なんだね?」

「はい」

「約束してほしいことは一つだけだ。友達や、自分を信頼してくれている人のことは決して裏切ってはいけない。それができるなら、私は君の行動について何も制限しないことを約束するよ。できるかね?」

 

 そう言ってフェイトの目を真っ直ぐ射抜くグレアム。その瞳はいかなる嘘も許さないという、力強さがあった。

 フェイトはその視線をしっかりと見据え、負けないくらいの力強い言葉で返す。

 

「はい、必ず」

「うむ、いい返事だ」

 

 これでフェイトの面接は終了と言うことで、雪道達は連れだって部屋を出て、振り返ってお辞儀をする。クロノは部屋を出る直前、グレアムの方を振り返る。

 

「もうお聞き及びかもしれませんが、先ほど自分たちがロストロギア―――闇の書の捜索捜査担当に決定しました」

「そうか、君がか……言えた義理ではないかもしれないが、無理はするなよ」

「大丈夫です。急事にこそ、冷静さが最大の友。提督の教え通りです」

「うむ、そうだったな」

「では」

 

 そう言ってクロノも一礼し、今度こそ部屋を後にした。

 

 

 フェイトとは一旦別れて、雪道となのははエイミィの先導で本局の案内をしてもらっている。

 ちなみに雪道達は今回の事件を受けて、PT事件の時と同様にアースラ所属ということになっていた。しばらくするとアースラ組員全員召集され、そこで今回の事件についてのミーティングがある。

 それまでの時間は今後も関わる上で必要だろうと、案内役をエイミィが買って出たのだった。

 

「え? 親子って……リンディさんとフェイトちゃんが?」

「そう、まだ本決まりじゃないんだけどね。養子縁組の話をしてるんだって」

 

 案内の移動のエレベーターの中で、エイミィからそんな話を聞く。プレシアの事件でフェイトは天涯孤独になってしまったため、リンディがそれならばうちに来ればいいと言いだしたそうだ。

 まだ本決まりじゃないのは、フェイトもプレシアの事でまだまだいろいろある。ということで今は気持ちの整理がつくの待っている状態だという。

 

「そうですか……」

「なのはちゃん的にはどう?」

「んっと……なんだか、すごくいいと思います! 雪くんは?」

「おれ? おれもいいと思うぞ。一人は寂しいしな」

「そうだね」

 

 エレベーターが目的の階に到着し、降りる。集合の時間までもうあまり時間がないため、このまま集合場所へと向かう。

 

「でもそうなると、クロノはフェイトの兄ってことになりますね」

「そうそう。でも結構気が合うみたいだし、案外いい感じの兄妹かも!」

「どっちもカタブツですしねぇ」

「あはは!」

 

 そんな話をしながら歩いていると、目的の集合場所へと到着する。すでにクロノやフェイト、リンディ達アースラスタッフも集合しているためこのままブリーフィングを始めるようだ。

 リンディが皆の前に立ち、緊張が張りつめる。

 

「さて……私達アースラスタッフは今回、ロストロギア『闇の書』の捜索、および魔導師襲撃事件の捜査を担当することになりました。ただ肝心のアースラがしばらく使えない都合上、事件発生地の近隣に臨時作戦本部を置くことになります」

 

 そこから細かい担当の分割が言い渡されていく。そして―――

 

「司令部は私とクロノ執務官、エイミィ執務官補佐、フェイトさん、春美さんとします。ちなみに司令部はなのはさんと雪道君の保護兼ねて……なのはさんの家の近所でもある、雪道君の家になりまーす♪」

「「わぁ!」」

「……………………」

 

 茶目っ気たっぷりな感じで言うリンディ。なのはとフェイトは顔を輝かせるが、雪道は絶句したまま動かない。

 さすがに心配になったクロノは雪道の肩を揺さぶり声をかけるが……返事がない。

 

「おーい、雪道ー? 大丈夫かー?」

「な……な……」

「「な?」」

「なんじゃそりゃああああああああああああああああ!!!!」

 

 

 

 

 翌日、さっそく雪道の家の前に引っ越し業者のトラックが止まり、次々と荷物を運んでいく。

 なのはとフェイトはリビングでアルフが小さい子犬モードになってたり、ユーノがフェレットモードになってたりと大騒ぎ。雪道はと言うと、春美に今回の事について問いただしている真っ最中だった。

 

「あのな母さん! こういうことは今現在住んでるおれに相談するとかなんとかあるだろ!? こんな急に!!」

「まあまあ落ち着きなさいな。確かに言わなかったのは悪かったけど……」

「片付けだってあるし家の食糧だって買わないといけないし部屋は空いてるけどそもそもほこりとか荷物とかねぇ!!」

 

 ここぞとばかりに一気に捲し立てる雪道。さすがに春美もここまで雪道が怒るとは思ってなかったので、若干涙目になっている。

 さすがにこれ以上はと、見かねたリンディが仲裁に入る。

 

「ごめんなさいね、雪道君。本当はマンションあたりに住む予定だったんだけど、なかなか思うように予定が進まなくて」

「はぁ……もういいです。とりあえず片付けは手伝っていただけるとありがたいんですが」

「それはもちろん。厄介になる以上は、ここでは雪道君に従うわ」

 

 いつまでも怒っていては喜んでいるなのは達にも悪い。そう思った雪道はひとまず怒りを収めることにする。

 急激に増えた人数でどうやって行くかを考えている最中、クロノが先ほど連絡を入れておいたアリサ達が来たと呼びに来たので、なのは達と連れだって玄関へ赴く。

 

「こんにちは」

「来たよー」

「アリサちゃん! すずかちゃん」

「おう……いらっしゃい」

「雪道、あんたなんかやつれた?」

「はは……まあな」

 

 予期せぬ出来事で多少疲れたのは確かだが、折角の日にこんな顔をしているのもよくない。雪道はそう思い、気合を入れ直す。

 

「とりあえず、こっちがフェイトだ。紹介はいらないかもしれないが」

「うん、初めましてっていうのも変かな」

「ビデオメールでは、何度も会ってるもんね」

「でも実際に会えて嬉しいよ。アリサ、すずか」

「うん!」

「私も!」

 

 フェイト達が和気あいあいと言った感じで話している最中、部屋の奥からリンディと春美が顔を覗かせる。

 アリサ達に挨拶をしながら、近くまで歩いてくる。

 

「アリサさんにすずかさんだったわね?」

「え?」

「私たちの事を?」

「ビデオメール見させてもらったの」

「そうだったんですか」

「折角だし、皆でお茶でもしてきたらどうかしら」

「あ、じゃあ私のお店で」

「お、いいわね。リンディ、ここはご一緒させてもらって挨拶に伺わない?」

「そうね、じゃあちょっと待っててもらえる?」

 

 リンディと春美は部屋の奥へと行き、しばらくしてリンディだけが戻ってくる。少し待ってみるものの、春美は一向に姿を見せない。

 

「あれ、リンディさん。母さんは?」

「んー、何してるのかしらねぇ」

「雪ちゃん! ちょっといい?」

 

 部屋の奥から春美の呼ぶ声が聞こえる。雪道の直感がこれは少し時間が掛かりそうだという判断を下したので、なのは達には先に行くように言って家へと入って行く。

 春美はフェイトとエイミィが使う予定の部屋で、段ボールを開けながら何かを探していた。

 

「うーん、おかしいわねぇ。確かこの辺りに入れたはずなんだけど……」

「何を探してるんだ?」

「白い長方形の薄い箱なんだけど、雪ちゃん一緒に探してもらえない?」

「それはいいけど、挨拶にはいかないの?」

「折角だからサプライズが欲しいじゃない。フェイトちゃんへだけどね」

「ふーん?」

 

 なんだかよく分からないが、探してほしいというならと一緒に探し始める雪道。数分ほどして、おそらく目的の物だろう箱を雪道は見つけ出した。

 雪道がもつには少しばかり大き目のそれは、中に何かが入っている割には軽い。

 

「母さん、これか?」

「ああ! それそれ! それじゃ、行きましょうか」

 

 片づけをしているクロノ達に声をかけ、雪道達もなのはの両親がやっている店、翠屋へと向かう。

 箱を持ってきたのはいいが、特にこれがなんなのかは聞いていない。雪道はさすがに持っている箱の中身が気になったので、道すがら春美に聞いてみることにした。

 

「これ、何が入ってるんだ?」

「それはお楽しみってやつよ。翠屋に着いたらフェイトちゃんに渡してあげて。その場で開けてもいいからって」

「分かった」

 

 ほどなくして翠屋へ到着。春美は店の中へと入って行き、雪道は店の外のテーブルでお茶をしているなのは達の元へと向かう。

 アリサとすずかはユーノとアルフと戯れていて、なのはとフェイトはそれを笑いながら見ている。こんな日々がこれから送れるのだと思うと、雪道自身もなんとなく嬉しくなって来る。

 

「よう、おまたせ」

「あ、雪くん……あれ? その箱は?」

「なんだか分からんけど、フェイトにらしい」

「私に?」

「ああ、ここで開けてもいいってさ」

 

 言いながらフェイトへと箱を渡す。不思議そうな顔をしながらもフェイトは箱をテーブルの上に置き、紙を破いて箱の蓋を取る。

 そこに入っていたのは真っ白な服と赤いリボン。なのは達には非常に馴染みの深いもの。

 

「これって……私たちの学校の制服?」

「みたいね。あ、これってもしかして!」

 

 何かに気付いたように顔を輝かせるアリサ。フェイトへと贈られたもので、聖祥小学校の制服。もしかしなくても、おそらくそういうことなのだろう。

 フェイトは箱を持って店に入って行き、雪道達もその後を追う。リンディと春美は、ちょうどカウンターでなのはの両親である士郎と桃子に挨拶をしている最中だった。

 

「リンディ提……リンディさん!」

「はい、なあに?」

「あの……これ!」

 

 聖祥小学校の制服が入った箱を持ちながらどういうことなのかと問いただす。リンディは微笑み、春美はしてやったりと言った顔でこちらを見ていた。

 

「転校手続きしておいたから、週明けからなのはさん達のクラスメイトね」

「あら、素敵!」

「聖祥小学校ですか。あそこはいい学校ですよ」

 

 なのはやアリサ達に囲まれて、恥ずかしそうに箱で顔を隠しながらお礼を言うフェイト。確かにこれならば春美の目論見は上手くいったのだろう。雪道は微笑みながらその様子を見ていた。

 リンディと春美は先に帰り、雪道達はそのまま店で雑談を続け、ほどなくして全員が帰宅する時間になる。

 アリサとすずか、それになのはとも別れを告げて、雪道はフェイトと連れだって帰路へとつく。

 

「よかったな、フェイト。まさかおれ達と同じ学校に通うことになって」

「うん、本当に」

「分からないことがあったら聞いてくれ。これからしばらくは一緒の家に住むことになるわけだからな」

「ありがとう、雪。そうさせてもらうね」

 

 のんびりと夕暮れで赤く染まった道を歩きながら、そんな他愛のない言葉を交わす。家に帰ってしばらくは片付けなんかに追われそうだと考えを巡らせている途中、とあることを雪道は思い出した。

 

「しまった、食材が全然足りないから買いに行かないと。えっと今から商店街は遅いな……近くのスーパーにしとくか」

「ふふっ」

「ん? 何?」

「ううん。本当に主夫してるんだなぁって思って」

「ああ、まあね。これでも一人暮らし長いから」

「荷物運ぶの手伝うよ」

「サンキュ。夕飯何にするかな……フェイトは何かリクエストとかあるか?」

「うーん……」

 

 あれやこれやと話しながら、2人は進路を少し変えてスーパーへと急ぐのだった。

 

 

 

 

 その日の夜。春美とエイミィが家の中で通信などの設備を設置を行っている途中、用意していた臨時のモニターに通信が入ってくる。

 エイミィがそれに出ると、モニターに管理局メンテナンス部のマリーからだった。

 

「どうかしたの?」

「先輩から預かっているインテリジェントデバイス3機なんですけど、なんか変なんです」

「変?」

「部品交換と修理は終わったんですけど、エラーコードが消えなくって」

「エラー? 何系の?」

「それが……」

 

 マリーの話では必要な部品が足りないというエラーらしい。何か発注ミスでもしただろうか? エイミィはひとまずデータを送ってもらい見てみることにする。

 そこには確かにエラーコードが表示されてはいる。だけどこれは……?

 

「これが?」

「ええ、これって何かの間違いですよね?」

「春美さん! ちょっといいですか?」

「はいはいー、どうかした?」

「このエラーコード、レイジングハート達が出してるものなんですけど」

「へぇ……」

「3機ともこのメッセージのままコマンドを全然受け付けないんです。それで困っちゃって……」

 

 表示されているエラーコードはE203。意味としてはパーツが足りていないことを表す。そしてレイジングハート達が要求するパーツは〝CVK-792〟を含むシステム。

 このパーツは本来、レイジングハート達には必要のないものだ。つまりエイミィの発注ミスではない。そしてこのコードが表す部品、それは―――

 

「レイジングハート……バルディッシュにエリシュオンも……本気なの……?」

「CVK-792……ベルカ式カートリッジシステムね……」

 

 

 

 




ここまで読んでいただきありがとうございます!
よろしければまた次回!

・・・なるべく早く投稿できるように頑張ります!
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