魔法少女リリカルなのはFH   作:ワンダバ

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話のストックがじりじり減ってきてるのでひぃひぃ言ってます。

なるべく更新速度は保っていきたいですが・・・

ともかくどうぞ。


004 改める心、新たな決意

 グッドイブニング! 咲良雪道だ。

 今おれは、なのはとユーノと共に夜の小学校のグラウンドに来てる。

 目的はもちろん肝試し……ではなくジュエルシードの回収だ。肝試しって言い方もあながち間違ってないんだがな。

 今回のジュエルシードは破壊的なことはしてないんだが、ひゅんひゅん飛び回ってうざいったらない。ちなみに必死に追いかけているのはおれだ。

 

「おのれ! ちょこまかと!」

「落ち着いてくださいマスター。熱くなってはいつまでたっても追いつけません」

「おれは至極冷静だ!! エリス、若干左寄りに空圧弾!」

「了解!」

 

 突き出したライオットトリガーから空圧弾が形成され、撃ちだされる。奴は当然それを右に回避するが……それこそがおれの求めていた行動。

 左寄りに撃ち、右に回避することを見越して空圧弾を撃つと同時に移動し、先回りしていたのだ。

 

「ピィ!?」

「もらったぜ! せいや!」

 

 ちょうどいい感じの位置に来た思念体を思いっきり打ち下ろしてぶっ叩く。今回は動物を取り込んでいないとユーノから聞いているので遠慮なしだ。

 すごい勢いで地面に衝突したそいつは動きを止める。おれの仕事はこれでOK。

 

「なのは、やってくれ!」

「うん!」

 

 なのはがレイジングハートを向けると、シーリングモードが展開する。

 シーリングモード。

 ジュエルシードを封印するための特別モードで、桜色の羽が展開する。この封印作業にはかなりの魔力を消費するようで、そのためにこのような形状になるらしい。

 

「Stand by ready」

「リリカルマジカル、ジュエルシードシリアル20。封印!!」

「Sealing」

 

 桜色の輝きとともにジュエルシードが封印され、レイジングハートが放熱のために煙を吹く。

 さすがにだいぶ慣れてはきたな。ジュエルシード本体はそのままレイジングハートに収納される。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…」

「なのは、お疲れ様!」

「お疲れっと」

「うん……お疲れ様」

 

 

 

 2人と1匹で帰り道を歩くが、なのはの足取りがおぼつかない。その上かなり肩で息をしていて辛そうだ。

 レイジングハートも収納せずに引きずるように歩いてるし……ここの所ほぼ毎晩ジュエルシード探しに出かけているので、さすがに疲労が溜まっているのだろうか?

 心なしか、トレードマークのツインテも萎れて見える。

 

「なのは……大丈夫?」

「あまり無理はなさらない方がいいですよ?」

「うん、大丈夫…なんだけど……ちょっと疲れたぁ」

 

 そういいながら前のめりに倒れるっておいおいおい!!!

 

「ちょっ!!」

「わあああ!?」

 

 慌ててなのはの前に出て支える。初めてなのはを受け止めたときは支えきれなかったが、今度は大丈夫だ。

 

「だ、大丈夫ではないよな? 歩けるか?」

「きつかもぉ」

「そか……はぁ、しゃーないな。ほれちょっと座れ」

「?」

 

 一度なのはを座らせ、その前でくるりとおれは反転して背を向けしゃがむ。

 おんぶだ。なのはの家まで少々距離があるが魔法を使えば腕の力などは問題ない。便利だね。

 

「えと……」

「なにやってんだ、早くしろって」

「う、うん」

 

 おずおずと背中にくっつき首に手を回してくる。よし、それじゃ

 

「エリス、よろしく」

「………はーい」

「そう不機嫌そうにすんなよ、明日は日曜だしメンテしてやるからさ」

「っ!!! し、仕方ないですねマスターは! もっと頼ってもいいんですよ?!」

「はいはい頼むぜ」

 

 なんとも御しやすいやつだ。身体強化がかかったので立ち上がり、 何も問題ないことを確認して歩き出す。

 辺りは夜なので静かなものだ。おれの足音だけが聞こえてくる。いや嘘だ、振り向けばすぐそこにあるだろうなのはの息遣いとか聞こえてきてます。

 おんぶしている以上なのはの太ももとかに触っているわけで……やましい気持なんかない。

 煩悩滅却煩悩退散心頭滅却……別にやましい気持ちはないが、保険だ保険。

 

「ごめんね? 雪道君も疲れてるのに……」

「いいさ。魔法で軽々運べるし」

「あ、ありがとう……」

 

 なんだこの空気やばい。何がと言われれば答えれないが何かかやばい。顔もなんか熱い。

 おれはこの微妙な空気を振り切るように歩くスピードを上げた。

 少ししたあとで思い出したが、ユーノを置き去りにしてしまった……すまん……

 

 

 004 改める心、新たな決意

 

 家にたどり着いたが、さすがにこんなヘロヘロのなのはを家族の人達に見せるわけにはいかない。無断で外に出てるならなおさらだ。

 なので身体強化を持続させたまま、風の力も借りて塀をジャンプで乗り越え庭に入る。かなり広い庭だなおい。

 中にいるであろう皆さんに気付かれないよう家に近づき、なのはの部屋がある2階へ跳び、風の力で音を立てないように屋根に着地する。

 ユーノは塀を越える前におれの頭の上に乗っけてるので安心してほしい。

 しかし事情がなければ完全に不法侵入の変態だ。

 

「ありがとうなの。結局最後までおぶってもらっちゃって」

「雪道がいてくれて本当に助かるよ」

「気にすんなって。今日明日はゆっくり休めよ」

「うん、そうするの」

「そんじゃ帰るよ。おやすみ」

「おやすみなさいませ、なのはさん、ユーノさん」

「おやすみなさい」

「うん、おやすみ」

 

 挨拶を交わして跳躍、そして着地。

 振り返るとなのはが手を振っている。少し振りかえして、自分の家へと歩き出した。

 

 

 

 

「今日はこんなもんか」

「そうですね」

 

 翌日の日曜日、いつもの朝の日課である魔力制御の練習を終えて洗濯などに取り掛かる。

 ユーノと出会ってから1週間が経過した。

 ジュエルシードを集める日々が続き、現在手持ちのジュエルシードは5つとなった。つまり、あの神社の戦いから2つほど増えたことになる。1つは昨日のものだ。

 残りのジュエルシードは16個、まだまだ先は長い。

 ちなみにもう1つはおれとエリスで封印した。できないと思っていたが、ユーノにやり方を教わり練習したらなんとかなったのだ。

 少しその時の話をかいつまんでしよう。

 そいつも暴走していたのだが、これまた原生生物を取り込んでいた。

 なのはを呼ぼうと思ったが、塾だったことを思い出してユーノと二人で出撃。

 相手の攻撃は避け逸らし、必死に攻撃を与えようやっと動きを止める。

 そこから自己流シーリングモード―――といってもレイジングハートの様に見た目は変わらないが―――を起動し、封印を施した。

 リリカルだのマジカルだのは言わない。………なんだその目は。男にそんなセリフを期待されても困る。

 それはいいとして、封印したのはいいのだが、想像を絶する魔力消費におれはその場でへばってしまい、結局なのはが駆けつけてくるまで動けないでいた。

 なのはを見てそこまでじゃないと思っていたのだがてんで見込みが甘かった。まさかおれの魔力の大部分を持って行かれるなんて誰が思えただろう。

 それでいてケロッとしているなのはには戦慄する。どんだけ魔力を持ってるか想像もつかない。

 母さんが言うには、おれの魔力保有量は決して低くない……どころか一般より高いそうなのだがね………

 封印したジュエルシードはすべてなのはに持ってもらっている。ユーノはなのはの家だし、1つの場所にまとめた方がいいだろうと思ったからだ。

 そんなこんなでジュエルシード探しは続いているのだが、昨日のなのはは少しおかしかった。

 連日夜遅くまで起きて街を探し回っているし、その疲労のつけが回ってきたのかもしれない。

 ユーノと出会うまでは普通の小学生として暮らしてきたのだから、こんな急な生活リズムの変化にすぐに対応できないだろう。

 おれ? おれはまあそれなりに鍛えてはいるし、魔法関係の事にもいくらか精通していたので大丈夫だ。

 おれのこれからの課題としては、保有量の関係で先にへばらないようにするってことになるな。

 

「なのはとおれじゃかなり魔力保有量に差があることが分かったし、これからは省エネで行く訓練するべきかな」

「ですねぇ、才能の塊に追いついていくのはなかなかしんどいですね」

「いやまったく」

「そういえば、今日はなのはさん達と約束をしているのでは?」

「おう、ささっと用事済まさないとな。あとお前のメンテ」

「はい///」

「言っとくがつっこまないぞ」

 

 朝食のトーストをかじりながらエリスと相談しつつ、今日の予定を確認する。魔法に関しては置いて行かれないように頑張らねば。

 皿を片付け、エリスのメンテナンスを行う。

 メンテナンスと言っても母さんが残して行ってくれたマニュアルにしたがいチェックしたりし、問題があればちょっといじる。その程度のものだ。

 

「うむ、問題なし。好調だな」

「はい、そのようですね」

「おっし、準備していくか」

 

 手早く着替え持ち物確認。あ、そろそろ買い出ししないと食材とかいろいろ切れそうだった。

 買うものを軽くエリスにメモを取ってもらい、家を出るっとそだそだ、肝心なもの忘れてたな。

 

「えーと確か冷蔵庫に……お、あったあった」

「それは?」

「士郎さんが監督してるサッカーチームの応援、翠屋JFCだったかな? それに行くんだ。差し入れはいるでしょう」

「マメと言うかなんというか……マネージャーでもしたらどうです?」

「勘弁してくれ」

 

 ともかくいざ行かんってな。

 

 

 

 

 川沿いの土手を歩きつつ、それらしい場所を探す。グラウンドになっている場所があるということなので、それなりに広いとこのはずだ。

 聞いた話では確かこの辺りだったはず。お、ユニホームを着た複数人の男子が走っている。あそこだな。

 階段を下りて、青色のジャージを着こんで監督モードなっている士郎さんに声をかける。

 

「どうも、士郎さん」

「お、雪道君か。来てくれたんだね」

「なのはからお誘いを受けましてって聞いてますよね。ともかく、今日はゆっくり観戦させてもらいます」

「あぁ、ゆっくり見て行ってくれ」

 

 士郎さんから離れ、少し遠い場所に座っているなのは(とユーノ)、アリサ、すずかのもとへ行く。

 

「おっす」

「あ、雪道君。おはようなの」

「おはよ」

「おはよう」

 

 少し場所を開けてもらいベンチに座る。ちなみに座っている順番は正面から見てすずか、なのは、アリサ、おれとなってる。

 

「なんか随分な荷物持ってるわね」

「確かに。何が入ってるの?」

「ふふふ、そいつは後のお楽しみだ」

 

 そう言いつつ、なのはとユーノに確認しておくことがあるため念話を飛ばす。

 

《今日はジュエルシード探しは無しってことでいいよな?》

《うん。朝になのはともそう話してたんだ》

《ごめんね、私が不甲斐無いばっかりに……》

《そんなことないよ! そうだよね、雪道》

《当たり前だ。むしろよく1週間ノンストップで行けたと感心するよ》

《あはは、ありがと》

 

 昨日だいぶ疲れ切ってたし、今日はそれでいいだろう。むしろやる気だったら止めていたとこだ。

 選手の方のベンチで士郎さんと、おそらく相手チームの監督だろう人が2、3言葉を交わす。

 それぞれ練習していた選手が整列し、挨拶をする。どうやら試合が始まるようだ。

 ホイッスルが鳴りキックオフ。サッカーのルールは詳しいとこまでは知らないが、いい感じに白熱している。

 すずかとアリサは声を張って応援している。

 

《これって、こっちの世界のスポーツなんだよね?》

 

 ふとユーノが念話で声をかけてくる。そうか、ユーノはこの世界のやつじゃないから知らないのか。

 

《うん、そうだよ。サッカーって言うの》

《互いにあのボールを蹴りあって、相手ゴールにシュートするんだ。たくさん点を入れたほうが勝ちになる》

《基本は足だけだけど、ゴール前のキーパーだけは手を使っていいんだよ》

《へぇ~面白そうだね》

 

 話しているうちに試合が動き、翠屋JFCがボールを持つ。

 綺麗なパスからボレーシュート、見事に相手ゴールのネットを揺らす。

 わっと湧くこちらの陣営。見ているだけでもなかなか楽しいな。

 続いて相手がボールを所持、猛攻で一気に相手のディフェンスを抜けシュートする。これは!?

 ―――決まったかと思いきや、キーパーが横に飛びしっかりボールをキャッチし止めて見せた。

 ナイスガッツ、格好いいな!

 

「おぉー! キーパーすごーい!」

「本当!」

 

 アリサとすずかの黄色い声が飛ぶ。よく見たらキーパーの彼はなかなかにイケメンだな。

 イケメンのスーパーキーパー……将来はモテモテだろうか?

 う、羨ましくないかない。

 ちょっと落ち込みそうな気持ちを振り切るべく、念話でユーノに話しかけることにする。

 

《そういやさ、ユーノの世界にはこういうスポーツはあるのか?》

《あ、確かに気なるかも。どうなの?》

《あるよ。僕は研究と発掘ばっかりで、あんまりやってなかったけど》

《にゃはは、私と一緒だ。私もスポーツはちょっと苦手》

《………》

 

 突っ込むのを必死に我慢する。あれだけ魔法がすごいとどうにもなぁ。

 前半戦が終わりハーフタイム、そして後半戦。

 再び翠屋JFCが得点を入れ2対0となる。こいつはこちらの勝ちか?

 相手チームも頑張って攻撃しているが、かなり焦りが見える。これではなんとかなるものもならまいて。

 終了間際、おそらく最後になるであろう相手チームの攻撃。随分と気が逸ってるな、怪我とかしないといいが………

 ボールを保持している選手に激しいディフェンスが襲い掛かる。

 取られそうになる瞬間、苦し紛れでパスを出すが勢いが強すぎる。どれぐらい強いかと言うと横のラインを越えこちらに来てるくらい。なのは直撃コース―――いや待て待て待て!

 おれは慌てて立ち上がり構える。

 

「危ない!」

 

 誰かが叫ぶが、なのは達は動けずにいる。

 おれはボールの来る位置を大体予想し、なのはの前に飛び出てボールを受け止める。

 バシィッ!と言う音とともにおれの腕の中にボールが収まる。

 そ、阻止できたか。大きく息を吐きながらボールを地面に転がす。素手なので正直手が痛い。

 

「大丈夫か!?」

「「「あ、はい……」」」

 

 慌てて駆け寄ってくる選手とコーチの方々。なのは達は何が起こったか分からないといった感じだ。

 母さんの訓練とかで反応が鍛えられていて助かった。

 

「すみませんでした!」

「う、ううん。怪我はしてないし大丈夫なの」

「そうか、よかった……雪道君もありがとう」

「あはは、いえいえ」

「す、すごい反応だったわね」

「うん。びっくり」

「あ、ありがとう。雪道君」

「た、たまたまだ。ボールだけにな」

「「「……………」」」

「正直すまんかった。だからそんな目で見ないでくれ……」

「最後のがなければ結構格好良かったのに」

「あ、あはは……」

 

 あんまり褒められるのはこそばゆいのでジョークで誤魔化そうとしたら盛大に滑ってしまった。目的は達成できたかもしれないが心にダメージが……

 試合の方は何もないことを確認し、再開。ほどなくしてホイッスルが鳴り響き終了する。

 結果は2対0で翠屋JFCの勝利に終わった。途中アクシデントはあったが終わりよければってやつだな。

 マネージャーらしい女の子がサムズアップし、先ほどのキーパーのイケメンがサムズアップし返す。

 なるほど、モテモテどころか既に彼女持ちだったか。持ってるやつは違うなくそっ!!

 

《マスター、本音洩れてますよ》

《うっ》

 

 エリスに指摘されちょっと落ち込んでいる間にミーティングに入る彼ら。

 お、そうだ。折角のものを渡し損ねるとこだった。

 

「士郎さん、よかったらこれ」

「ん? この水筒は?」

「スポーツドリンクってやつです。あ、紙コップもあるんでどぞ」

「すまないな。本当にいいのか?」

「折角持って来たのに飲まれないのは少し寂しいですね」

「それもそうだな。ありがたくいただくよ」

「ええ。よかったら士郎さんもどうぞ」

 

 紙コップに注ぎ、飲んでいく選手の面々と士郎さん。

 うんうん、運動後の水分摂取は大事だからな。

 

「雪道君。これ随分と美味しいな! どこで売ってたんだい?」

「どこにも売ってないですよ。おれの自作ですし」

「自作!? これ君が作ったのか!?」

「え、ええ」

 

 めちゃくちゃ驚いてる、選手の人達も同様だ。

 そんなに驚くことだろうか?

 

《そりゃびっくりするでしょう。なのはさん達とお昼食べたときの反応忘れたんですか?》

《あ、ああ。まあそうか?》

 

 そう、あれはアリサ達と友達になったその日。皆でお昼を食べようと集まり食べたのだが……

 おれの弁当は自作、飲み物の紅茶も茶葉から入れさらに一人暮らしで3食自分で作ってると言うと随分と驚いていたな。

 おれにとっては完全にこれが普通になっているので大した風には思わないが、他の人から見ればそうじゃないらしい。

 感覚が皆とずれているとはっきりと感じた瞬間だ。かなりショッキングな出来事だったな。ちょっと涙出てきた。

 

「さっきなのはを守ってくれた時の反応といいこのドリンクといい……雪道君、君サッカーに興味あるか?」

「ス、スカウトしてくれるのは嬉しいんですけど、お断りしておきます」

「そうか。まあ気が変わったら言ってくれ。いつでも歓迎しよう」

「ははは……」

 

 渡すものは渡したのでなのは達のところへ戻ると、アリサがじと目でこちらを見ていた。

 

「ほんとアンタって何者なの?」

「へ?」

「ドリンクは自作、家事もこなせるなんてすごいよねぇ」

「かなりハイスペックなの」

「そっか? そうでもないだろ」

「やっぱずれてるわね」

「傷つくからそれは言わないでくれ………」

 

 適当に雑談している間にどうやらミーティングが終わったらしい。

 翠屋で祝勝会だそうだ。前々からあそこの料理は気になっていたので同行させてもらうとしますか。

 

 

 

 

 ところ変わって翠屋。店内は完全にチームの皆で埋まってしまっているため、おれたちは外のテーブルでケーキをいただいている。

 前お邪魔しているときに少しいただいたのだが、やはり美味い! どうすればこんないい味が出せるんだろう。

 ケーキを食べている間に話題はテーブルの真ん中にちょこんと座っているユーノに移る。まあ対した話題では―――

 

「それにしても、改めて見るとなんかこの子フェレットとちょっと違わない?」

「そういえばそうかなぁ。動物病院の医院長先生も変わった子だねって言ってたし」

「ふぇ!?」

「むぐっ!? ぐぅ!?!?」

「あわわ!! 雪道君大丈夫!?」

 

 すずかがおれの飲み物を手渡してくれるたので、一気に飲みほす。死ぬかと思った……

 

「まったく落ち着いて食べなさいよ。食い意地張ってるわね」

「す、すまん」

「あはは。まあまあ」

 

 とんだ不意打ちだ。あんなこと言われて普通にしていられるか。

 しかし、どう誤魔化したもんか。ユーノはフェレットじゃない、というよりもこの世界のやつですらないのだが。

 手早くなのはとアイコンタクト(念話付き)し、話題を逸らすことで乗り切ることにする。

 

「えーとまあなんだ、めずらしいフェレットなんだよ。野良だしな」

「そ、そうそう! あ、芸とかもできるだよ? ユーノ君、お手」

「キュ!」

「おおー!!」

「可愛い!」

 

 ナイス話の逸らし方だなのは。二人がユーノに気を取られてる間に見えないようにサムズアップする。

 なのはも頷き笑う。はぁ……ばれないようにするのも案外楽じゃないな。

 いつの間にかアリサとすずかに撫でまくられているユーノ。あぁ、哀れ……

 

《ごめんねユーノ君》

《だ、大丈夫……》

《ばれなかっただけマシだと思って耐えてくれ。ぷっ》

《ゆ、雪道君》

《ひどいよ雪道》

《すまん、つい》

 

 念話で吹き出すという器用なことをしつつも、楽しい時間は過ぎていく。

 

 

 

 扉が開き、翠屋JFCの選手が出てくる。

 どうやら祝勝会は終わったようだ。士郎さんが締めの言葉を言い解散していく。

 ユーノはアリサにくすぐられてキュッキュ鳴いている。完全におもちゃだな。

 

「っ!?」

 

 急になのはが選手の見る。その視線の先には……確かキーパーの?

 何かあったのだろうか。そういえば今何かちらっと見えた気がするが。

 

「どうかしたか?」

「う、ううん、なんでも」

「そうか?」

 

 なのはがそういうなら多分そうなんだろう。キーパーの選手はマネージャーの女の子と一緒に帰っていく。

 少し前はちょっと黒い感情があったが、今はそうでもない。うまくいくといいな。

 

《何いきなり悟ってるんですか》

《良いだろ別に。嫉妬はみっともないって言うし》

《もう少し感情を前に押し出してもいいと思いますがね》

 

 ユーノの方はと言うと、満足したのかアリサはなのはに手渡していた。あーあー目を回しちゃってるよ。

 

「アリサさ、相手は動物なんだしもうちょっと手加減してやってくれ。目を回してる」

「うぐっ……悪かったわよ」

「私も止めなかったし……ごめんね?」

「まあ、今度からは気を付けてくれ」

「うん。さて、じゃああたし達も解散?」

「うん、そうだね」

「そっかぁ、二人は午後から用があるんだよね」

「なんだ、そうなのか?」

「お姉ちゃんとお出かけ」

「パパとお買いもの!」

「そっか」

「いいね。月曜日にお話し聞かせてね?」

「お、みんなも解散か?」

「あ、お父さん!」

 

 言いながらこちらへ歩いてくる士郎さん。ジャージも似合っていたがエプロンも様になってるなぁ。

 

「今日はお誘いいただいてありがとうございました!」

「試合カッコよかったです」

「すずかちゃんもアリサちゃんも応援してくれてありがとなぁ。帰るんなら、送って行こうか?」

「いえ、迎えに来てもらいますので」

「同じくです!」

「そっか。なのはと雪道君はどうするんだ?」

「んー、お家に帰ってのんびりする! 雪道君は?」

「おれ? そうだなぁ、特にこれと言って予定はないな」

 

 買い物も予定と言えば予定だが、今から行く必要もない。

 

「枯れてるわねぇ」

「アリサうっさい」

「ははは! 何も予定がないなら家に来るか?」

「へ? いいんですか?」

「うん! 私は全然構わないよ?」

「なのはもこう言ってるし、どうだい?」

「じゃあ、お言葉に甘えて」

「うん、僕も家に一旦帰ってひとっ風呂浴びたらお仕事再開だ。二人も一緒に帰るかい?」

「うん!」

「そうさせてもらいます」

 

 なんかさくっと予定が決まってしまった。ま、たまにはこういうのもいいだろう。

 アリサとすずかと別れ、なのはの家へ向かう。

 

 

 

 

 なのはの部屋まで案内され適当な場所に座る。

 なのははそのままベッドダイブしてしまった。やはり疲労は抜けきってないか……

 

「大丈夫か?」

「なのは、寝るなら着替えてからでなきゃ」

「んー」

 

 おもむろに立ち上がって服を脱ぎ始めるなのは。そうそう、私服で寝たらいけないよな―――ん?

 

「っ!?」

「ばっ!! ちょっ!?」

 

 慌てふためく1人と1匹。なぜ!? 何故脱ぎ始めた!? おれとユーノの存在は!!?

 いや考えてる場合じゃない! まだシャツの間に外に出ないと!!!

 

「何やってんだお前もだよ!!」

「わっ!」

 

 片手でユーノを鷲掴み、転がるように外へ出る。

 危なかった……図らずして覗きをするところだった。ばれたら士郎さんと恭也さんにあの世へ送られるな。

 しかし無防備すぎるだろあれ………うん、ちょっと待て。ユーノはここで暮らしてるんだよな?

 となるとだ。これはこれはおいおいふふふ!

 

「おいユーノ」

「何かな? それにしても驚いたね」

「ああ驚いた。それよりもだ。お前まさか……毎日見たりしてるのか?」

「え!?」

「なのはが面倒見てるんだよな? 机の上にクッションあったし、あそこがお前の寝床だろ?」

「そ、そうだけど……ままま待ってよ雪道! 君は勘違いしてる!」

「ほー、何をどう勘違いしてるのかねぇ?」

「落ち着いて! ほら! 騒ぐとなのはに聞こえちゃうし!! ね!?」

「ちっ」

「あからさまに舌打ちしないでよ……言っておくけど、僕はなのはが着替える時はきちんと外に出てるんだからね?」

「信じておいてやるよ」

「はぁ………」

 

 ユーノの覗き疑惑はさておき、少し時間を置いてなのはの部屋に戻ってみる。もちろんそぉっと開けて中の様子を確認してだ。

 

「なんか覗いてるみたいだね」

「うっさい、常習犯」

「だから違うって!」

「しっ! 静かに。なのはのやつ寝てる」

「誰のせいで……」

 

 しぶしぶ黙るユーノ。なのははベッドでうつ伏せになって寝ている。おそらく寝間着なのだろう、初めて見たな。

 

「マスター」

「なんだ?」

「よからぬこ「握りつぶすぞ」スイマセン」

 

 ほんとこいつは……おらユーノ、お前も疑いの眼差しを向けるんじゃない。

 再び腰を下ろして寝ているなのはに視線を向ける。時折苦しそうな声を出している。

 

「やっぱり、慣れない魔法を使うのは相当の疲労なんだろうね……」

「そりゃそうだろ。おれだって使い始めのころはすぐにぶっ倒れてたし」

「僕がもっとしっかりしてれば……」

「そういうのはよせ。おれもなのはもやりたくてやってるんだ」

「それはそうだけど」

「まあ、なのはには少し荷が重いかもしれないか」

 

 好きでやってると言ってもやはり限度はあるだろうな。なにかいい方法があれば……いや、一応考えがないわけではない。

 しかしこれをするとなのはに怒られそうだしなぁ。

 

「そうだ。いい機会だし聞いておきたいんだけど、雪道はどういう経緯で魔法を?」

「ん? あぁ、そういえば話したことなかったっけ。そうだな、母さんが魔法ってものを知っていて、おれにもその素質があるって言われて、覚えるかどうするか聞かれて頷いてって感じかな」

「へぇ、じゃあ君のお母さんはこの世界の人じゃ?」

「無いのかもな。詳しいことは教えてもらえなかったし、今は出張か何かでいないし聞くわけにもいかない」

「そうか。でもそれなら君が魔法に慣れているのも納得いくよ」

「そうかい。こういう話をしたのはユーノが初めてだな。なぁ、おれも聞いておきたいことがあるんだけどいいか?」

「うん。なに?」

「間違っていたら悪いんだけど、元の姿には戻らないのか?」

「気付いていたの?」

「そらお前、しゃべるフェレットなんかいて堪るかよ」

「それもそうだね。まあこの姿の方が魔力の消費が少なくて済むし、何より今は都合がいい」

「そうか、確かに住むのにはその姿のままの方が便利か。覗けるしな」

「それはもういいでしょ!」

「悪い、冗談だ」

 

 よくよく考えてみればこうしてユーノと二人で話すのは珍しいな。

 いつもなのはがいるから、かなり新鮮に感じる。初めて会ったあの時以来だろうか。

 

「もう、冗談きついよ」

「すまん。えーと、一応男……だよな?」

「そうだけど? 一応はいらないから」

「ああ。こうしてさ、男の友達と話すのって初めてでさ。ついな」

「雪道……友達いないんだね」

「憐れむような目で見るのはやめてくれ」

「さっきのお返し」

「分かった、もう言わないよ」

「あははっ」

「はははっ」

 

 どちらともなく笑いあう。いいな、こういうのも……

 

 その時、膨大な魔力があふれ出るのを感じる。

 

 んだよ! 折角友情を育んでいるときに!

 魔力に気付いたのか、なのはも目をさまし起き上がる。

 

「なのは! 雪道!」

「2人とも、気付いた?」

「ああ、こいつは随分とでかいな」

 

 かなり大きい。おそらくいままで最大級だ。おれとなのは、ユーノは部屋を飛び出し廊下へ出る。

 

「なんだなのは。一緒に入るかー?」

「ごめんお父さんまた今度! ちょっとお出かけしてきまーす!」

「すいません! お邪魔しました!」

 

 風呂場から聞こえて来たであろう士郎さんの声に返事をして外へ飛び出す。

 

 

 

 

「雪道君! あれ!」

「冗談だろ……!」

 

 なのはともに家と出てしばらく走ると、大きな木のようなものができていた。

 魔力はあそこから出ているし、今回の暴走はあれってことでいいのだろうがいくらなんでもでかすぎる。その辺のビルよりもはるかにでかい。その上かなり広範囲に広がっているようだ。

 

「くっ!! ともかく全部見渡せそうな―――あのビルに行くぞ!」

「うん! でも上るのに時間が……」

「任せろ! エリス、スタートアップ!」

「Start up」

 

 周辺に人がいないことをそれとなく確認し、紅のバリアジャケットを身に纏う。

 なのはの腰に手を回し、しっかりとホールドする。

 

「ふぇ!?」

「しっかりつかまってろ!」

「う、うん!」

 

 足を集中的に強化してジャンプ、同時に追い風を吹かせる。普通ではありえないくらいの飛距離を出すが、もちろんそれだけでは足りない。

 続いて風を足の裏から噴射、そのままビルの屋上まで一気に飛び、風のクッションを使い着地する。

 

「レイジングハート! お願い!」

「Stand by ready. Set up」

 

 なのはもレイジングハートを起動し準備完了。改めて辺りを見渡すが―――

 

「あぁ……!?」

「こいつは……」

 

 考えていたよりも遥かに広く木が広がっていた。その様子はまるでジャングルだ。

 

「多分、人間が発動させちゃったんだ。強い願いを持った者が願いを込めて発動させたとき、ジュエルシードは一番強い力を発揮するから」

「それでこれか」

 

 確かに、これまでの犬や猫が発動させたときとは比較にならない規模だ。

 どこからどう対処していいやら……ん? なのはの様子がおかしい。

 

「なのは、どうした?」

「実は……多分これを発動させちゃった子、私知ってる」

「どういうことだ?」

「今日、お父さんのサッカーチームでキーパーやってた子がいたでしょ? その子がお店から帰るときに、何かをポケットに入れてたんだけど」

「まさか……いやそうか。確かに何か見えた気がしてたけど、あれか……!!」

 

 ミスった。気のせいだと思っても、あの時とりあえず聞いてみればよかった。

 完全に失態だ。くそっ!

 

「私、気付いてたはずなのに……こんなことになる前に、止められてたかもしれないのに!」

「落ち着けなのは! それを言うならおれも同じだ。でも今はそんなことを言ってる場合じゃない。これをどうするか考える方が先だ」

「そうだよなのは……ん?」

「ユーノ?」

 

 ユーノが何かに気付いたようで、おれもそちらに目を向けてみる。

 レイジングハートが光ってる? どうして……

 

「なのは?」

「ユーノ君。こういう時はどうしたらいいの?」

「え?」

「ユーノ君!!」

 

 いつものなのはらしからぬ言動。ユーノも目を丸くしている。

 

「封印するには近づかないとダメだ。まずは元となっている部分を見つけないと。でもこれだけ広い範囲に広がっちゃうと、どうやって探していいか……」

「やみくもに探すわけにもいかないな」

「元を見つければいいんだね」

「「えっ?」」

 

 そう言いながらレイジングハートを構えるなのは。ど、どうするつもりだ?

 こんな広範囲で小さなジュエルシードを見つけるなんてとてもじゃないが無理だと思うのだが。

 

「Area search」

「リリカル、マジカル……探して、災厄の根源を!」

 

 なのはの足元に魔方陣が広がり、光がはじける。次の瞬間、小さな桜色の球体が辺り一帯に散らばる。

 探してるのか? 今のでこの範囲を!?

 

「見つけた!!」

「ほんとっ!?」

「よく分かんないが、でかした!」

 

 なのはの見ている方向からして、翠屋があった場所から少し離れた場所だな。

 よし、今からそこに移動して―――

 

「すぐに封印するから!」

 

 ………は?

 

「ここからじゃ無理だよ!」

「ユーノの言葉聞いてなかったのか!? 近づかないといけないんだぞ! おれが行ってくるからなのははここで」

「できるよ! 大丈夫!!!」

「その自信はいったいどこから……」

「そうだよね? レイジングハート」

「Shooting Mode. Set up」

 

 その声と共にレイジングハートの形状が変化する。

 柄の部分が伸び、丸い感じの先の部分はまるで槍のような形状に変形。桜色の翼が展開する。

 シューティングモードとか言ってたけど本気か!? ここからかなり距離があるぞ!?

 

「行って! 捕まえて!」

 

 変形したレイジングハートの先に魔力が集まり、まるでビームの様に放たれる。

 

「Stand by ready」

「リリカルマジカル! ジュエルシードシリアル10、封印!!」

 

 ここからではよく見えないが、どうやら言葉通りに捉えたらしい。

 そしてなのはの言葉の後に再びビームが発射される。なんかすごい勢いなんですけど、大丈夫ですかねこれ?

 

「Sealing」

 

 桜色の光があふれ、広範囲に展開していた木が最初からなかったかのように消える。

 どこから飛んできたのか、ジュエルシードは吸い込まれるかのようにレイジングハートに収まる。

 

「Receipt numberⅩ. Mode release」

 

 放熱のため煙を吹き出し、元の形態に戻るレイジングハート。

 

「ありがとう、レイジングハート」

「Good bye」

 

 バリアジャケットが解除され、杖も収容されるのをおれはぼーっと眺めていた。

 ユーノも呆然と言った感じになのはを見ている。

 すごかった。確かにすごかった。おれではあんな芸当はまずできないだろう。

 だが今回はなのは1人ですべて完結してしまった。おれはビルに上っただけ。

 別にそれはいいんだ。活躍したしないなんて些細な問題。しかしおれはムカついている。

 理由なんて、簡単だ。

 

「いろんな人に、迷惑かけちゃったね」

「え? 何言ってんだ! なのははちゃんとやってくれてるよ!」

「でも私はあの子が持ってるのを気付いてたのに、気のせいだと思っちゃった」

 

 そのまましゃがみこむ。我慢の限界だった。

 

「いい加減にしろよ」

「え?」

「いい加減にしろって言ってんだよ!」

「ゆ、雪道!?」

「なんなんだよ! 1人でうずくまって!全部私が悪いですみたいな顔して!」

「待ってよ雪道! 元々は僕が原因で、2人はそれを手伝ってくれているだけで!」

「少し黙ってろユーノ!!」

「っ!?」

 

 くそっ! こんなはずじゃなかったのに……! しかし溢れ出す感情は止まらない、止められない。

 

「あの場にはおれだっていた! 何か見えたような気がして、でもそれを気に留めなかった! 同罪なんだよ!」

「でも……」

「でももクソもあるか! おれもいるのに、自分だけ悪いってしょい込んで全部1人で解決して!!おれはなにか? 必要ないっていうのかよ!!!」

「そんなこと!」

「だったらなんであんな真似をした!? 言ってみろ、おれを納得させられる理由があるならな!」

「……………」

 

 黙りこくってしまうなのは。ああもう!

 

《マスター、落ちついて》

《―――分かってる》

 

 エリスに諭されて幾分か落ち着きを取り戻す。こんなにマジ切れしたのはいつ以来だ?

 ともかくおれの怒ってる理由、話さないと。

 

「今回は失敗だったよ、ああ失敗だ。見逃してしまったんだからな。それってさ、おれは背負っちゃいけないのか? おれって、そんなに信用なかったのか?」

「ううん! わ、私は雪道君のこと信用して……!」

「だったら! どうして全部自分のせいにするんだよ……おれもジュエルシード集めを手伝ってる仲間なんだよな? だったらおれにも今回のこと、背負わせてくれよ」

「雪、道…くん……」

「甘かったんだ。あんな小さいもの、誰かが見つけて拾うはずがないって心のどこかで決めつけてさ。もっと注意深くなるべきだった」

「うん」

「ユーノの手伝いってことでさ、気楽に考えすぎてた」

「うん…」

「だからもう、その意識はやめよう。おれ達は単なる手伝いじゃない、本気で・・・自分の意思で! ジュエルシード集めをしよう」

「う…ん……!」

「だから今は、そんな我慢してないで泣いてくれ。心入れ替えて行くために……な?」

「うぅ、うわああああああああ!」

 

 おれの言葉で堰を切ったように泣き出し、おれにしがみついてくる。

 

 今はこれでいい。

 次からはもうこんな思いをしないように。

 誰もに悲しい思いをさせないように。

 なのはをこんな風に泣かせないように、守るために。

 今は、これで………

 

 

 

 

 なのはが泣き終わるのを待ち、ビルからなのはを抱えて飛び降りる。

 いくら風の魔法で安全に着地できるからと言って、少々スリルがありすぎた。ちょっと涙目。

 帰りの道の途中、まだ言ってないことがあったのを思い出した。

 

「そうそう、本気でって言ったけどさ。なのはは幾分か力抜いてくれよ?」

「え? どうして?」

「どうしてって、今日疲れ切って寝てたじゃないか。倒れられても困る。しんどくならない程度にな? もっと先輩を頼ってくれって話」

「あ、うん、そうだね。そうする」

 

 よしよし。むむ、まだあった。

 

「それとユーノ」

「な、なに?」

「これから先自分のせいでって言うの禁止な」

「あ、確かに。それはそうなの」

「え? え?」

「もうおれ達は単なるお手伝いじゃない。おれ達自身の意思でジュエルシード集めをするんだ」

「だから、これから先つらいことがあっても、それはユーノ君だけのせいじゃない。私たち3人のことってことで」

「で、でも」

「「分かった(か)?」」

「はい……」

 

 しょんぼりするユーノを見て、思わず笑ってしまうおれとなのは。

 釣られてユーノも笑う。こんな調子で行けばいい。楽しいこともつらいことも3人で共有できればいい。

 そう思いながら……決意を新たにしながら……

 おれ達は帰り道をゆっくり歩いた。

 

 

「あ、買い物……」

「締まりませんね」

「うっさい!!」

 

 




ご意見、ご感想のほどお待ちしております。

今回はなのはさん大活躍。

雪道君の活躍が移動のみというあんまりなものだったのでこのような展開にしてみたのですが、ちゃんと描写で来てるか不安・・・
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