Cityの外よりも隠された場所   作:イエローケーキ兵器設計局

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 今回もAce combat04とSIREN及びブルーアーカイブ、そして地球防衛軍6とBattlefield4を参考とさせて頂きました。


第?話 ソラノカケラ†††††††(コラボ回)

 

 捕虜を追いかけるのもこれで7回目。いい加減にしてほしいがこれもルーチンであるから許容しなくてはならない。

「居たぞ!」

 看守達が捕虜を探し当てたので自分も走る。発砲音がしたからおそらく鎮圧弾を使ったのだろう。

 看守にファング、ファゴット、私の4人で捕虜を押さえつけるのも一緒。耐弾試験に連れて行くのも前回と一緒。

 看守が2人にお礼を言っている。私は腕を振るだけで済ました。これに関しては変えると良くない。

 

 

 時刻は23時42分。7回連続同じ時刻。ファングは喧嘩して独房入りを果たした。懲りないね、ほんと。

11「失敗したなぁ……。」

11「お腹すいたなぁ……。」

 鉄格子を軽く叩いて合図を送る。

11「どちら様……ファゴット?」

 残念、私はファゴットではありません。

 とりあえず笑顔だ……笑顔が大事。あと、もっとこっち寄って。

私『隊長が帰る。』

私『ワレに続け、我に続け。』

 あー……伝わってないな。よし、鉄格子を蹴破ろう。離れて。

 ……そうびっくりしないでよ。

私『ウバザメが帰ってきた。迎えに行こう。』

私『さあ、お父さんに挨拶をしに行こう。』

 伝わらないなりにジェスチャーで頑張った結果、なんとなく察してもらえたようだ。

11「貴女、名前は?」

私『ナロードナヤ。重航空戦艦で、貴女の妹。』

 血縁関係は無いけれど私はお父さんとお母さんの娘です。

 

 げっ……憲兵か。見回りに来たな?どうしたものか……。

憲兵「……む?貴様、鉄格子はどうした?」

私『私に任せて。』

 奥の手。禁じ手ではない。

私『よしよし、ゆっくりお休み。』

 脱力を確認。死んでないな?よし。

私『風邪に気をつけて。』

私『さあ、行きましょう。』

 おいおいおい……そんな化け物を見るような顔でこっちを見ないでくれよ。5回目のファングなんてすんなり理解してたくれたじゃないか。7回目で今度は理解できないパターンなのか?

 

 ウバザメとはニューマコーニオシス少佐……つまりお父さんの乗機、FAC-46の異名であり、コールサインでもある。耐久性と運搬力が売りの機体で、幾度となく大破しては再生されてきた伝説……と勝手に思ってる機体である。まあ、ここまでべらべら喋るのもループの要素として必要なのでそこはご容赦願いたい。

私『お父さんが帰ってきた。』

 

 見るからにもう墜ちてしまいそうな機体を危なげもなく狭い甲板に降着させるのが父親である。もし敵対勢力が居らず、常に戦闘がなければ旅客機の操縦でもしていただろうか。いや、我々は駆逐されているだろうな。

私『おかえりなさい。』

私『お父さん。』

11「おかえりなさいませ、隊長。」

父「ただいま戻りました、ファング。」

 敬礼と返礼。上司と部下の挨拶が済むまでは私は出番がない。

父「ああ、そんなに固くならなくても。」

 タイミング的にはこの辺りだろうか。毎回悩んでしまう。

父「ナロードナヤ、ただいま。」

 ……!頭を撫でてもらえた……!7周目にして初めて……撫でてもらえた……!

父「そんな怪訝そうな顔で見ないでくれ。ファゴットとは容姿が似ているだけだ。」

 怪訝そうな顔で見ている……羨ましいか?……流石にそれはないか。まあ、親友と同じ顔の人が上官に抱き着いていたらそうもなるか。

父「ファング、君は口が硬いかい?」

 本音を言えば中略したいくらいだが、それができたら苦労しないのが現実。

11「硬いとは……言い切れません。」

父「結構。この娘はナロードナヤ。ナロードナヤ級重航空戦艦1番艦……まあ、ネームドシップといったところか。本当は……2番艦が建造される予定だったのだがご覧のとおり、だ。」

11「隊長、2つ疑問が。なぜ少女に船の名前がついているのですか?そして……」

父「なぜMiG-15、ファゴットに酷似しているか、だろう?」

父「まあ、まず……彼女は人間でもDOLLSでもない。この間、鹵獲した連中と同じような種族……艦娘と呼ばれる存在だ。DNA検査をしたらナロードナヤだけ、私の血が混じっていて驚いたね。」

11「艦娘……。」

父「人間サイズの躯体にミニチュアサイズで、しかし実物とほぼ同じ性能を持つ"艤装"を装備させたもの、それが艦娘。ナロードナヤ、"艤装展開"。」

私『了解。』

父「彼女に関してはCityにおいて最高機密(つまり知ったが最期)……とも言える。というのも……彼女がどこから現れたのか私達は知らないんだ。」

 私は少しだけ知っている。私はここではない場所で産まれた。流れ着いた先はAperture Science laboratoryだった。そこから私達は分げつし、海の上に残る個体とCityで目が覚めた個体に別れた。まあ、私達と言ってもたった2人なのだけれど。

父「まあ、私の娘たちの一人だと思ってくれ。」

11「はぁ……。」

 

 場所は変わって、32番会議室。

「依頼者は赤色十月の指揮官……"オペレーター"。我々は闇夜に紛れて低空を高速で侵入、正規軍と協力して地方過激派武装組織の無力化を図る。」

 

Po-2『私用で遅くなった。済まない。』

 母さんは今回の周回でも顔が赤い。本人の士気の向上のため致し方ないが、できれば娘の中で盛るのは辞めてほしい。ちゃんと換気した?ズボラな母さんはいっつも換気してないイメージしか無いのだけど。換気する側の身にもなって下さります?

父『二人にはどのARMSを使うか選んでもらう。Po-2教官、どうぞこちらへ。』

 父さんが母さんにげんこつを2連続で落としたのは確か……これで5回目。3周目以降は毎回、下着を盗んでは怒られるのを見ている。

 

15「どうする?ファング。」

11「どうしましょうかね。」

11「隊長、質問が。」

父「なんだろうか。」

11「IS-2はどのように輸送するのですか?」

父「ああ、輸送機とガンシップを用意する。乗り心地はあまり良くないかもしれないがな。」

 ガンシップとは言うけれど重武装すぎるガンシップなんだわ……12.8cm高射砲に7.5cm対戦車砲、そして2cm航空機関砲の総重量不明なガンシップ…………ん?ちょっと待って?

私『輸送機とガンシップ……ですか?』

 ファングが「あれっ!?いつからそこに!?」とでも言いたそうな表情をしている。面白い。

父「ああ。火力支援は2機体制、だ。Po-2教官にはガンシップに乗ってもらう。2人は……来たな。入ってくれ。」

 ノックの音が響く。コンコンコン。

??「失礼します。」

36「第3爆撃小隊到着しました。」

26「ご命令を、少佐。」

 父さんの娘、B-36H"ピースメーカー"とその母……母さんとは別の母のA-26B"インベーダー"が会議室に入ってくる。人間関係というのは、こうも複雑になるとややこしくなるものだけれど……少佐には3人の妻と娘が居て、Po-2母さんは4人目の妻の座を目指しているらしい。なるほど……よくわからん。

 

父「A-26B及びB-36H……君たちには今回の作戦において、火力支援任務と戦車の空中投下任務についてもらう。」

26「了解。」

父「B-36H、君には戦車型DOLLSを運んでもらおうと思う。できるかい?」

36「何tでしょうか?」

父「ざっと計算して……45tくらいか。」

36「了解、やってみせましょう。」

父「基地で輸送機が待機している。頼んだぞ。」

26「制空支援は必要か?」

父「可能ならで構わない。あくまで対地攻撃支援が任務だからな。5cmガンポッドではなく3.7cmガンポッドを使ってくれ。弾薬費が最近高くなってな。」

26「うぐっ……了解。」

 

 今回、ファゴットはファングと協議した結果……戦車ではなく戦闘攻撃機型(Il-10M)を使うことにしたらしい。

 

 

 飛行甲板から飛び立っていくIl-10M(コードはビースト1,2)。父さんたちは飛行甲板から発艦できない機体を飛ばすために基地へ移動していった。ん?私?私はほら、ログを残さないとだし?

父「お前も行くんだぞ、ナロードナヤ。」

 首根っこを掴まれてドナドナされていきました……。

 

 

 赤色十月革命同盟学連、上空10km。時刻22:30、予定時刻。

父「地上での戦闘は終結。友軍になるはずだった戦力はほぼ全て予定より早い出撃により無に帰した。残念だ。」

B1「作戦は続行されますか?」

父「ああ。私たちだけで行う。」

B2「前方よりアンノウン、急速接近!」

父「敵か?」

B1「アンノウンが発砲!」

父「アンノウンを敵と識別し、命令を発令。交戦開始(エンゲージ)!」

G1「こちらガンシップ1、対空砲火を確認。ガンシップ狙いとは頭が回るらしい。」

 ガンシップ1……これが母さんのコールサイン。

A1「アタッカー1、当該対空砲を確認。火力支援を行う。」

G1「アタッカー1、感謝する。」

A1「気にするな。」

 アタッカー1、これはA-26B母さんのコールサイン。

G1「ワオ、対空砲の破壊を確認。あれじゃオペレーターは蜂の巣で済まなさそうね。」

 明らかに被弾音が減った。まあ、まだまだ聞こえるけれど……。

T1「こちらタンカー1、放射線測定器が反応。放射線漏れか?」

 タンカー1はB-36H操縦の輸送機。そろそろか。

父「タンカー1、投下コースを維持せよ。」

 父さんがタンカー1の背後についた。奴等がいる。

 放射線測定器の音を頼りに目視不可能な奴らを探す父さん。

父「アンノウンを発見。」

??「何故だ!どうしてバレた!」

 混信。6周目でようやく気がついた存在。核を搭載した爆撃機が姿を消して飛行していた。

??「積荷を起動させろ!」

 そしてこれはその指揮官。クズだなぁ。いやまあ、指揮官としては有能か?やっぱり無能かも。

??「私たちはどうなるんです!」

??「英雄になれるぞ!」

??「この仕事、辞める!」

??「生きて帰れたら私も!」

父「……。」

??「……追いかけてくる!離れない!助け……」

 火を吹きながら高度を落とす護衛機。1発、左翼に被弾してからは見えるようになった。ARMSを捨て、パラシュートを開くことができるあたりそれなりにエリート部隊だったのだろう。

??「怖い!ぴったり食いついて……」

 爆発。金髪の少女を抱えた父さんはパラシュートを括り付けるとパラコードを引いて手を離した。

父「じゃあな、お嬢ちゃん達。」

??「くそっ!俺の真っ白なシーツを土足で踏み荒らしやがった!」

 指揮官らしき人物の叫びが聞こえる。もしかしたらこいつが先に部隊を出撃させて壊滅させたのかも。こじつけに過ぎないと思いたい……。

 

 薄味な戦場。濃厚な戦場はもっと嫌だが……。

T1「タンカー1、レイズ!」

 空挺戦車隊がパラシュートを開いて輸送機の格納庫から降りていく。その数、3台。

 無人戦車で構成された空挺戦車隊は主に歩兵を蹴散らすために用いられる。なので強固な壁はガンシップの火砲で打ち破……

G1「ガンシップ1、スプラッシュ!」

父「隔壁の破壊を確認。グッドキル。」

 る。このように。火力バンザイ。

父「突入部隊を編成。ビースト1,2、そして……ナロードナヤ、3人で制圧。」

B1「ビースト1、了解。」

B2「ビースト2、了解。」

私『え?』

 

 数秒後には落下傘をつけて飛び降りる羽目になっていた。高高度降下低高度開傘、理論には聞いていたし、一回だけ訓練もしたけれどまさか本当にやることになるとは……。高度9000……7000……5000……ようそろ……ようそろ……そろそろ……600よしっ……!

 開傘、降着。待機していた空挺戦車にタンクデサントさせてもらい、隔壁の穴まで接近。

私『ビースト隊も通過できなくはないか……』

私『さて……と。LaGG-3とLa-7を助け出さないと。』

 ループを脱するにはこの二人を生かす必要がある。二人を二人に殺させる訳にはいかないし、四人で出てもらわなくては困る。

 どうせ鹵獲されて尋問されているところだろう。洗脳も進んでいるだろうな。参ったな。

 

 4kg梱包爆薬がコンクリート造りの防壁を粉々に砕く。まあ砕くというのはちょっと違うかもしれないけれど、ある意味合ってるとは思う。電子励起爆薬の威力は革命的、シミュレータ万歳。

 

 内部は広い。所々に戦死者の残骸が転がっている。……亡骸と呼ぶには状態が酷すぎる……内部で反乱でも起きたのか?ドリルで滅多刺しにされたかのようなKV-1を調べていたときだった。聞き慣れてしまった高周波。ドリル用のエンジン音。呻き声。そして……

??「スェーミィー……スェェェェミィィィ……どこぉ……」

私『LaGG-3……』

 誤解の無きように書いておくが、量産型のLaGG-3を探しに来たわけではない。あくまでLa-7の姉である"LaGG-3"を探しに来たのである。まあ、変わり果てているのが毎周のオチなのだけれどさ……

 とりあえず逃げるか。私の攻撃(連装レールガン)では跡形もなく消えるのがオチ。戦わずして勝たないと。

 

 相変わらずがら空きの看守休憩室。凄惨な死臭も床に漏れたオイルの滑りも今更、気にするまでもない。

「ひぐっ……」

私『参ったなぁ……』

 La-7が洗脳される前に到達できたパターンは今回が初めてだろう。トラウマぐらいにはなっているようでもあるが……

B1「突入!」

 連続する銃声。23mmあたりか。ならあの二人が来たんだな。…………La-7を二人に任してLaGG-3とお話、しないといけないか。

私『ヘイ!ストップ!』

B2「ナロードナヤ!?」

私『生存者の護送を頼む!名前はLa-7、先に全滅した攻撃隊の生き残りだ!』

B2「……。」

B1「了解。ビースト1、フルトン回収システムは持ってきてる?」

B2「ああ、あるぞ。」

B1「フルトンで回収後、再突入する。健闘を。」

私『ええ。』

 さて、と。次はLaGG-3。LaGG-3…………

B2「敵襲!」

 遅かったか!

 連続した銃声、呻き声。叫び声が反響する。

B2「くっ……!」

B1「止血帯!」

B2「生存者が優先だ!早く!」「彼女を連れて走れ!」

B1「ファゴット!」

B2「お前の相手は……私ダ!」

 急げ急げ!次の角を左に曲がって……居た!

ラグ「すぇーみぃー……帰r」

 顔面に走り込みパンチ。MiG-17、大丈夫。DOLLSの身体は艦娘のパンチくらいで壊れたりしない。

 大きく吹っ飛んだLaGG-3から目を離さずに左腕の手当てを行うこと10秒。華奢な腕だねぇ……もっとしっかり食べなさい。

私『ほら、追いかける!』

B2「りょ、了解!」

 あー……悪い癖が出たなぁ……どうして1対1に自分を追い込んでしまったのか。

?1「やぁやぁ、お嬢さん猫の手はいらないかい?」

?2「どうも、ナロードナヤさん。」

私『あなた方は何者?』

?1「ウフフ……さぁ?ただの運命の針かも知れないし線路のレバーでもあるかしら……。」

?2「それより、彼女を何とかした方がいいっすよ。」

私『何とかするって……どうすれば……。』

?1「私たちが、盾を割るからその間に助けなさい……後はお好きにね。」

私『……了解。盾は任せます。』

 

 二人組の息はとても合っていて、実は一人が分裂しているのかとさえも思うほどだった。

 

 盾にヒビが入って、LaGG-3は盾を投げ捨てた。

ラグ「アワ~セロォ……」

私『正気に帰ってから、ね。』

 制御機器の類があるのかないのか…………あった!

私『正気に……』

 頭部、それも左側頭部に制御機器。照準よし!

私『帰れ!』

 彼女が咄嗟に取った防御姿勢もこの腕には無力。出力が高くてよかった。

 制御機器を破壊して、頭部には必要最低限のダメージだけを与える。

ラグ「……。」バタッ

 正気に帰ったかはわからない。でもとりあえず気絶させることはできた。

 ふと振り返るとあの二人組は居なくなっていた。お礼を言いたかったのだけれど……こればっかりはしょうがない。居ないんだもの。

私『ありがとう。二人共。』

 

 あら……メモ用紙が。

「少佐殿へ、うちの元カレがお世話になりました。またいずれ会えたらなぶり殺しにしてあげますBy元403大隊大尉の元カノ」

 おぉぅ……。逆に殺されても知らないよ……。

 

 さてと……とりあえず連れて帰ろう……爆発!?

男「おっと……ただで帰ろうってか?問屋が卸さないぞ?」

 しつこい男だこと。

私『貴方の殺害は命令されていない。私が望むのは彼女の奪取。』

男「ははは!……人の所要物を奪ってとんずらとは整備会も地に落ちたな?」

私『人の所要物?はあ?』

男『知らんのか?彼女は……。』

私『興味ない。』

 頭を掴んでぐっと力を込める。

男「その程度か……!?」

 無線機をスピーカーモードにする。

私『フラッグ、こちらナロードナヤ。目標を確認。殺害許可を。』

父「フラッグ、了解。目標の殺害を許可する。」

 スピーカーモードを解除しておこう。

私『ですってよ。』

 ミシミシと音が出そうなくらいの力を込めている。人間の体は脆い。

私『今のうちに知っていることを吐いておいた方がいい。自白剤は苦くて私も嫌いだから。』

男「お嬢ちゃんに……何がわかる!」

『さよなら。』

 

『スカートが汚れちゃった……。』

 私の感性はその男を殺すことを是としなかった。気絶させて縛った上で引き摺りながら施設を後にする。多少の汚れは許容する他ない。隕石の落下はこの組織が誘発している。

 隕石自体はどうやら宇宙空間にいる間に破壊されていて、その破片が降り注いでいる……らしい。でもって、その破片が私に直撃するよう誘導していたのがこいつら、という訳、で。一旦戻ろう。

 

『さて……と。誘導装置はどこ……?』

「お嬢ちゃん、残念だったな。もう既に装置は稼働した。みーんな、終わりだ。お前もあの純情馬鹿娘も。」

『なんだって?』

「今頃血を吐いてるだろうな。ハハハ!満足だ!」

『うるさい!』

 

 

 お父さん、私は……遂に……私はもう終わりです。

「ナロードナヤ!保護したDOLLSが吐血!」

『今すぐ行く!』

『さようなら……。』

 

 それからというものの、あまり記憶がない。父さんに説明して、泣いて急いで基地にまで帰って……。

 

 

 

 

 記録者:ナロードナヤ  記録開始時刻:11:25

 

 宇宙を睨む80cm列車砲、第3号砲"ベルタ"。半電磁投擲砲化キットが取り付けられても尚、雄大さを隠すことはできなかった……みたい。現場に居ないからこの感想はほぼ資料と想像によるもの。

「セットアップ急げ!」

「バンディット(敵襲)!またDOLLSだ!」

「教会は邪魔しかしないな……こんな忙しいときに限って!」

「上がれ上がれ上がれ!」

 隕石迎撃作戦(作戦名:ドラゴンブレス)計画。灰燼教会の過激派はそれを攻勢の為の偽情報だと見做した。隕石など存在せず、社会を混沌の渦に巻き込んで灰燼教会の面目を潰す計画があるのではないか、そういった人間不信故の攻撃計画の一環。勿論、整備会は灰燼教会への攻撃は企図していない……紙媒体でやり取りをしていれば話は別。紙媒体の傍受はできない。

 

 それはそうと……こうなった、ことの発端は数時間前。U-2とSR-71に天体観測を父さんが依頼しに行ったあとの出来事。彼女たち偵察機は地を見下ろすのは得意でも宇宙を見上げるのは不得意。だから父さんが背面飛行を無理やりさせたらしい。基地に降り立った彼女達が愚痴をこぼして不満げだった。

 ……それからというものの、なんとなく修羅場になりそうな予感がしてさっさと迎撃用レールガン(艦砲)の整備に行ったけれど鈍い音が後ろで聞こえたから、お母さん達によるお父さんのお仕置きが始まっているかもしれない。な~む~。

 

 整備会に掛け合って列車砲を借りようとしたとき、一筋縄では運び出せなかったらしく、半ば銃撃戦になりかけたという。まあ、死者負傷者共に出なかったから良かったけれど……。

 

 通信を傍受することでしか私は戦場を把握できないが、聞いている分にはやや押されているらしい。ミサイルが飛び交い、火に飛び入った夏の虫のように敵味方が落ちていく音が聞こえる。

「こちらオメガ9!対空砲火を確認!」

「爆弾を投下!」

「速すぎる!……っ!爆弾!?退避ーー!」

 対空砲型DOLLSの連続した砲撃音。発射音からして57mm自走連装対空機関砲(ZSU-57-2)だろうか。

「こちらオメガ9!敵対空砲沈黙!青色中隊を急いでくれ!」

「こちらイーグルアイ(教会側管制機)。敵の第二波を確認。比較的高速だ。奴らもようやく本気を出してきたらしい。」

「こちらスポッター(整備会側管制機)。クライン飛行中隊、君たちが頼りだ。頼んだぞ。」

 

「うわ!危ねぇな!もう!グスタフに被害が出たらどうするんだ!」

「すまん!急いで落としたら当たりかけた!」 

 

「レーダーに反応多数!水上18、高度500に3機3編成、高度1000に9機3編成!」

 レーダー手が喚いている。うーん?グスタフは陽動で、本命はこっち?……迎撃準備!

「サイクロプス隊、甲板にて準備完了。指示を待つ。」

『サイクロプス隊、発艦されたし。』

「了解。発艦する。」

 サイクロプス母さんと、部下2人が飛行甲板からもの凄い速度(推定200〜300km/h)で飛び立っていく。それぞれの翼にはガンポッドと誘導ロケットがぶら下がっていた。

「こちらサイクロプス隊、敵の増援を確認……ナロードナヤ!挟み撃ちにされるぞ!最大戦速で前進!湖まで逃げろ!急げ!」

『ナロードナヤ、了解!最大戦速!前進!』

 艦内ブザーを鳴らし、原子炉の出力を上げ……タービンを回して……うん、問題無し。

 運河の幅は約32m。そして私の喫水線における幅は30m。繊細な操作をしないと……

「潰されるぞ!逃げろー!」

「死にたくない!死にた……」

(豆腐を手で握り潰したような、なんとも言えない感触が操縦システム越しに伝わる)

「くそっ!ハンスが……!ハンスが……!」

「エーリッヒ!お前も死にてえのか!さっさと逃げろ!」

 運悪く、私の粗雑な動きについていけなかった上陸用舟艇が運河の壁と船体に挟まれて潰れた。後でお墓を造らないと。

 狭い運河の終わり、湖の入口まであと35秒。

「ソナーに感あり!水中です!」

 すでに伏兵が……仕込みは完璧、だったかぁ……。

 回避機動は湖に出たおかげで取れるようになったけれど、かわりに遠慮なく攻撃し合えるようになってしまった。

「こちらサイクロプス3、戦艦を発見!」

 戦艦……!?

「艦船への攻撃能力は持っていない!ベルタ隊、まだか!?」

「こちらベルタ1、なんとか戦車隊を追い払うだけで精一杯だ!っ……!前に出るな新兵!」

 ベルタ母さんの無線からはノイズしか聞こえなくなった。

「ベルタ2よりナロードナヤ、ベルタ1が被弾。飛行は可能、しかし治療が必要。着艦許可を。」

『ナロードナヤ、了解。回避機動を取りながらで失礼する。』

「80秒で到着予定。」

 複数の機影が見える。戦場は意外と近かったのか。

「報告!捕虜が脱走しました!」

『捕虜が脱走……!?』

「帰ル場所ガ無クナルノハ困ル、我々モ戦ワセテクレ。交換条件ハ要求シナイ。頼厶。」

『あー…………わかった!捕虜部隊!一時的に退艦と交戦を許可する!』

「感謝スル、ナロードナヤ。コールサインハ?」

『コールサインは……ゴードン。ゴードン艦隊、頼みます。』

「イエスマム!ゴードン1、エンゲージ!」 

「ゴ、ゴードン2、エンゲージ!」 

「ゴードン3、エンゲージ!」 

「ゴードン4、エンゲージ!」 

「Gordon5、Engage!」 

「加賀……ゴードン2ハ制空権確保。ゴードン3、戦艦ノ艦橋ヲ破壊デキル?」

「ゴードン2、震電隊、発艦開始。」

「目標、前方1.9km、戦艦艦長、砲撃開始。」

「こちらベルタ2、負傷者の着艦許可を……うん?アレ、この前鹵獲した奴らじゃ……」

「緊急時だったってことか。済まないな、ベルタ2。」

『こちらナロードナヤ、着艦を許可。回避機動を一時的に中止する。』

「回避機動の中止は不要。こちらはベルタ1。」

「隊長、着艦できますか……?」

「やってみせよう。」

「進路調整……次の回避機動を予想……ここか。」

 揺れる甲板に吸い付くように機体がくっついて滑る。そう表現するしかない着艦だった。

「ベルタ2、後を頼む。」

「言われなくても。」

「制空権を確保!」

 鹵獲戦隊と通常戦隊の識別が難しいので識別システムを少し調整。

『ゴードン4、魚雷を頂戴。』

『ん。』

『派手に吹っ飛ばすわよ!』

 黒い服で長身の……艦娘じゃなくて深海棲艦。タ級戦艦って自称してたかな?が今の指揮官らしい。魚雷を渡したのがパーカーの尻尾付きで、収容時の他の捕虜の発言からしてレ級。ゴードン3がネ級だったかな。

 整備会も灰燼教会もDOLLS、人間、どちらの戦力においても熟練揃いだと聞いている。聞いているが……ああも紐の切れた操り人形のように落ちていくのは少々、物悲しいと思う。おっと!危ないなぁ!もう!

『すまない!あいつら、撃ち落とされてもなお危害を加えようとしてくるんだ!』

 爆弾を抱えたまま火だるまになっても目的を果たそうとするB7A、流星。その命はもっと別のところに使うべきだったね。辿り着けずに墜落。水飛沫となって消えてしまった。あーあ。

『ゴードン1、下見ろ下。』

『いつの間に!』

『落ち着け。』

 海面に向けての砲撃。潜水艦だったのだろう。重油やら何やらが浮かんできている。

『助かったわ……。ありがとう、ゴードン4。』

『気にするな。編隊を組み直すぞ!』

 ……どっちが指揮官なんだろう?

 

 

「観測データが到着!」

「……計算完了。仰角、方位調整開始。」

『データを受信。左舷、傾斜角30度まで注水を開始する。警報鳴らせ。』

 ライカ指揮官から送られたデータは過去6周回分の隕石の落下データから予想される予想進路の雛形だった。父さんはこれを元に誤差を修正、City郊外で迎撃することを選んだ……らしい。らしいというのも変だけれど、らしいとしか言いようが無いのである。

「発射まで5分。みんな、すまない。もう少しだけ耐えてくれ。」

「報告!電源車に損害が発生!」

「何?」

「撃墜した敵戦闘機型DOLLSが電源車を直撃。一台を損失し、修理は間に合いません!」

「……歴史の修正作用か。わかった、私が電源を供給する。」

「電源を供給するって……。」

「……サイクロプス、ベルタ、マーサ。部隊を頼む。」

『父さん?』

「ナロードナヤ、お前は後悔するなよ。私は大人の義務を果たす。」

 父さんの体内には超小型の高速増殖炉があって、これが動力源となっているらしい。超小型と言っても私の原子炉1基と釣り合うぐらいには高出力で、とても短寿命。短い命を燃やす。燃えると消える……?

「隊長との通信が途絶、射撃態勢に入った模様。」

 通信の裏で響くサイレンの音。火球が窓の外に見えた。

「あれが……隕石……。」

「なっ……整備会!聞こえるか!スポッター!言い残すことがある!俺たちが悪かった!」

「イーグルアイ!今更か?……まあ、私達も悪かったと思うところはある。手を貸せ!今からでも間に合う、邪魔者を片付けるぞ!」

 隕石は破壊的な衝撃をもたらし得る。観測できる範囲では。

「発射まで5……4……3……2……1……。」

「発射!」

 ある程度離れているにも関わらず聞こえる爆音。人類の槌は大きな隕石の破片に向かって第一宇宙速度で飛翔、貫通……そして爆発。私の主砲で砕けるサイズにまで小さくなった。

「艦長!残りを!」

『……。』

 何も言えない。身体が動かない。

「艦長!」

「迎撃限界まで残り10秒。」

『……。』

「5秒……。」

『撃て……撃て!』

 

 すべて終わった。飛行甲板下の連装レールガンが90%以上の破片を更に破壊し、大気との摩擦及び断熱圧縮による蒸発を免れた破片は全てCityよりもずっと遠くに落ちた。まあ……この湖にも少しだけ破片が届いていて、危うく私も沈むところだった。

『各部門、ダメージチェック。』

「弾薬庫、異常なし!」

「医務室、異常なし!患者は無事です!」

「食料庫、荷崩れの他に異常なし!」

「植物工場……」

 

「ナロードナヤ、君は生きているか?」

『父さん……!?』

「あー……私は……一応無事だ。もう動けないけどな……ゴフッ……」

「しっかりしろ!ニューマ!」

 この声はマーサ母さんか……

「こちらスポッター。イーグルアイ、まだ生きてるか?」

「………………応答無し、か。」

「IFF(敵味方識別装置)に敵性反応なし。」

「……帰投しよう。全部隊、RTB(帰還せよ)。」

 

 

 

 

 その後?父さんは昏睡状態で入院中。母さん達が交代で看病してる。あー……あの二人?スポッターとイーグルアイか……。確か盗聴データが……あったあった。

 滑走路に降着したと思われる管制機。エンジンが少し故障していたのか異音がしているが、着陸はできた模様。

「ようスポッター、まだ生きているか?」

「……イーグルアイ?」

「ああ。隕石の爆発で起きた衝撃波で無線機が壊れちまってな。それで管制塔の無線機を借りてるってわけだ。」

「貴方、整備会所属じゃないわよね……?」

「ああ、さっきまではな。」

「灰燼教会に破門にされちまってな。逃げてきたんだ。お前にも話してやりたいぜ。ミサイルを避けてみせたパイロットの腕の話とかさ。」

 その後、二人がどうなったのかは知らない。ただ、「お前、女だったのか!?」というイーグルアイの発言記録が残ってるのは事実。お幸せに。

 

 

 さて……と。もうそろそろ身体を返さないといけないので単刀直入に。

 汚れ仕事は任せておけ。君は優しすぎる。本当は殺したくなかった、殺さずに罰を受けさせる道を模索したかった、そうだろう?どうか優しい君で居てくれ。

 

  ─ナロードナヤより─

 





 基地の医務室に安置された父さん。安置されたというのは不適当で、まだ息がある。意識が無い……それだけ。

 これからは副官4名が交代で看病に当たる、そう発表があった。勿論、個人の業務は継続されなくてはならないからこれがなかなかに難しい。
私『その週の担当者は子供と見舞いに訪れ、身の回りのケアなどを行うこと……』
 声に出せば出すだけ空しさが募る。もし要塞内で聞き出せていたら。電源車の代わりに給電できていたら。まとまらない施行が重なっていく。






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今回も「陸自はドールズフロントライン、海自は艦これとアズールレーン、空自はアッシュアームズ三つの世界でバラバラになりながらも生きる」という素人小説書き様の作品とコラボさせていただきました。
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