Cityの外よりも隠された場所   作:イエローケーキ兵器設計局

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 二人だけれど、一人で踊るワルツ。
 君と二人でどこへ行こうか?


孤影のワルツ

『通商破壊をしようとしていた連中をとっ捕まえて、本国に送り返した……?』

「うん。」

『逞しくなったなぁ……』

「うぎゃー♪髪型が変わるー♪」

 ここでの生活にも慣れた。甲板で食べる魚は潮風と合わさってとても旨い。もっとも……シガテラ毒持ちは避けないといけないが……。

「……少佐、聞こえてます?少佐。」

『んー…………えーと……誰だっけ……シンファクシじゃなくて……リムファクシじゃなくて……。』

「アリコーンです。そこまで知っていて何でアリコーンが出てこないんですか。」

『いやー……申し訳ない。』

「こちらトーレス。少佐、俺の娘がどうしたって?」

『いえ、何でもありません。サー。』

「名前は間違えないでやってくれ。」

『イエッサー。』

「……哨戒機より入電。レーダーに反応あり。画像が。」

『……投影できる?』

「指揮管制室へ……。」

 

 壁掛けのスクリーンに投影された海図と、航空写真からして……私たちは試されているらしい。

『ふむ……駆逐艦が6×5……軽巡洋艦と重巡洋艦が8、戦艦が2、空母が1、揚陸艦が2に……双発雷撃機が80、大型輸送機が20か。警告は?』

「済ませました。空母の甲板上にはF6Fらしき戦闘機が30機ほど並んでいるようです。」

『こちら側の戦力は?』

「私、ノヴァヤゼムリャ級重航空戦艦と、改シンファクシ級潜水航空巡洋艦……合計二隻だけです。もっとも……アリコーンは今現在、大破しており修理中ですが……。」

「航空戦力はTu-128(フィドラー)が3とSu-15(フラゴン)の9、H-6(バジャー)が3、そして……。」

『私、か。』

「数に数えます?ARMSは今、修理中ですけど……。」

『……まじ?』

「大マジです。墜落したの忘れたんですか?」

『何のことだか……。』

「お父さんのことですから、どうせ気がついたら立っていたとか言いそうですが、本当は……フラフラの機体で不時着水したんですよ?その様子からしてお忘れでしょうけれど。」

 うーん……思い出せない。気がついたら滑走路に立っていたことよりも前にはまだ戻れない……まあ確かにこの島に来てからARMSの残骸一つ見ていないが……。

『……作る?』

「今から急ピッチで取りかかれば……インベーダー(A-26B)くらいなら。」

『……魚雷って作れそう?』

「魚雷?」

『そう。航空魚雷。空母の横っ腹にデカい穴を開けてこようかと。』

「了解。2本?」

『2本で。』

 

「こちらバジャー1、本当にこの作戦で行くんですか!?」

『こちらバラクーダ、作戦に変更は現時点ではない。バジャー、君たちが要だ。』

「ソノブイを投下!」

「投下!」

「バジャー3、空中で待機。」

 あくまで私たちは海域調査を行う。見せかけだけでも。

「あーあー……聞こえますか?こちらはウェーク島を管理している……オセアノート研究所。今すぐに、研究区域からの立ち退きをお願いします。繰り返します。こちらはウェーク島を管理していいます、オセアノート研究所です。今すぐに……!」

「発砲を辞めてください!」

「撃たないで!」

 

『無線傍受を開始。』

≪作戦とは異なる発砲指示なんて、正気ですか!司令官!≫

≪邪魔な蝿は追い払わなくては、な。≫

≪くそっ……。≫

≪副長、こいつをつまみ出せ。≫

『……バラクーダ、交戦開始(エンゲージ)。』

『バジャー1,2,3、海域封鎖を。』

「バジャー3、3機とも既に開始しています。」

『素晴らしい。』

 2機の航空機から投下する機雷で艦隊の両側を塞ぎ、残りの1機で背後を塞ぐ。多少の間隔はあるから脱出は可能だろうけれど……そんなことをしなさそうではある。

 

 

 静かに高速で敵艦隊の中央やや後方よりを目指す。まずは空母。

≪なにか高速の物体が接近してきます!高度はおよそ10m!≫

≪低空を飛んでレーダーから逃げたか!戦闘機隊の発艦を急げ!≫

『バラクーダ、魚雷を投下。』

『もう間に合わないね。』

≪左舷より魚雷が接近!≫

≪回避急げ!≫

≪間に合いません!≫

≪衝撃に備えろ!≫

≪ダメージコントロール!≫

≪燃料をやられました!≫

≪注水、間に合いません!≫

≪機関室との連絡が途絶えました!≫

≪なんと……。≫

「敵さんも大変だ……。」

≪スナーク隊の発艦を急げ!≫

 流石に救命艇に手は出さないよ。

『流石にこの程度では諦めないよね。』

『フィドラー隊、ランスを放て。』

「フィドラー隊、了解。ランス投擲。」

「ランス?」

『……SLAAM。炸薬は秘密。』

≪なにか向かってくるぞ!≫

≪対空ロケットか!?回避!回避!≫

≪落ち着け!コンバットボックスを崩すn≫

 空に6つの青白い火球。たまや〜。

≪生き残りは……何処にいる!?≫

≪こちらポーター!トレーダー、まだ生きてるか!?まだ生きていたら返答してくれ!≫

≪こちらトレーダー2、どうやら本機が唯一の生き残りのようだ。≫

「フィドラー隊、帰投する。」

「フラゴン隊、突入。」

『フラゴン隊、ポーターを排除してくれ。私は揚陸艦を潰す。』

「フラゴン1、了解。行きますよ〜。」

『さて……と。どう調理しようか。』

 37mmや12.7mm如きで沈むような軟な船ではないはずだろうし、かといってうーむ……

『ノヴァヤゼムリャ、駆逐艦は健在?』

「半数以上が機関停止。1個艦隊は爆沈を確認。」

『流石だな。その調子で頼む。』

 さて……揚陸艦は独力で排除…………白兵戦でもする?

≪奴をこちらに近づけさせるな!≫

 揚陸艦の対空砲がようやく仕事を始めたらしい。……となると今まで何をしていた?

『白兵戦よーい。』

≪対ショック姿勢!≫

 一隻の艦橋に狙いをつける。衝突速度はおよそ83m/s〜110m/s、白刃戦用のブレードを展開。あと5秒。突入。

 ブレードを艦橋の根本に突き刺し、衝突時の運動エネルギーの半分以上を鉄板に吸わせる。刺さったブレードは回転させながら引き抜けば……。

『ふぅ……元通り。』

≪う、うわーー!≫

『誰から相手しようか?』

 ARMSはパージしない。もう一隻もどうにかしないといけないから。

≪ジャクソン!お前、装甲兵だろ!行け!≫

≪クッ、クソっ!≫

 おやおや……重装甲な兵士が居たとは。上陸される前に襲撃できてよかったよ。でも……装甲を捨てて逃げたほうが賢いかもしれないね。

『死にゆく者へ敬礼を……といったところかな?』

≪ここはコロッセオじゃないんだぞ!≫

『ははは、そうだったね。すまない……。』

 一閃。

≪……!≫

≪ジャクソンが……真っ二つに……!?≫

『悪いね。次。』

 船上は広い甲板になっているから彼の言った通り、闘技場のようになっているわけだが……うーむ……血で滑りやすくなってしまった。

≪よくも……!≫

『遅い。』

≪マーティン!≫

 

 

≪スナーク隊発艦します!≫

≪整備員!命をありがとう!早く脱出してくれ!≫

≪……ハッハッハッ!あいつら、ブースターを全部使って飛んでいきやがった!よーし!殺せ!殺せ!≫

「こちらノヴァヤゼムリャ!全機、注意!新たなアンノウンが敵空母より発艦!2機!」

「速い……!こちらバジャー3!被弾により戦闘不能!帰投許可を!」

『バジャー隊!可能な限り急いで帰投せよ!この際、エンジンが壊れても構わん!』

「了解!」

「くっ……!バジャー3!飛行不能!脱出する!」

 通信途絶。無事を祈るしかない。

「バジャー2!食いつかれた!……揚陸艦が見える!さようなら!」

 バジャー2の脱出を確認。無人になった機体が損傷していなかった方の揚陸艦に吸い込まれ……爆発した。

『グッドキル。』

「私はお役に立てましたか……?」

『ああ、ありがとう。』

『さて……と。アンノウンの相手はようやく私かな?』

≪次は……お前だ!≫

『残念だなぁ。君は……攻撃機を侮った。』

 身体が軽い。ARMSが、武装が異様に軽い。出力が明確に上がる。エンジンのハローは蒼から赤に変わる。ベルタ姉さん……力を貸してくれるのかい?

≪何なんだあの人型兵器!≫

≪速くなったぞ!≫

≪格闘性能ならこちらの方が上だろう!≫

≪おい!ファントム!無理をするな!≫

≪この程度、俺でもできる!うぉぉぉぉ!≫ 

 単純な横旋回。確かに小さく回る。そう、小さく回る。

『残念だなぁ……。ばいばい。』

≪……!≫

 ワザと前に飛び出し、撃たれる前にループに引きずり込む。縦旋回。縦旋回。緩いループ……失速。

≪……!どこへ!≫

『横だよ。じゃあ……死ね。』

 37mmと12.7mmで胴体をズタズタにしておく。

『パイロットは……一応出てきたな。』

 私にはこういうやってしまったとき、顎をかく癖がある。直さないといけないとわかってはいるのだけれど。

≪返事をしてくれ!ファントム!ファントム!!≫

『さて……と。次の相手は君かな?』

 フラフラと翼を振って煽りながら飛ぶ。怒ったかしらね?

≪よくもファントムを……!許さない許さない許さない許さない許さない!≫

『あらあら……。』

 さっきの無謀なやつとは違って綺麗に回るだけではない。私が距離を取ろうとすると警戒しながらも距離を詰めてきて、逆に寄ると逃げていく。賢い。でも、もう終わり。

『残念。タイムオーバー。』

 37mmで左翼のエンジンを破壊。右翼のエンジンも破壊。

『おーい、聞こえるか〜?』

≪……。≫

『聞こえてるなら返事をしろー。』

 横並びになって説得を続ける。最悪墜落させるしかないが……。

≪聞こえます……聞こえてますよ。≫

『お、良かったぁ……。こちらはオセアノート研究所防衛隊所属、第2大隊隊長のニューマコーニオシス。お主は?』

≪……亡命オーストラリア海軍、第3飛行隊第5飛行小隊所属2番機、"パラドクス"。≫

『パラドクス……ふむ。パラドクス、降伏してもらえないだろうか。』

≪……私のような捕虜が保護されるとは思えない。≫

『身の安全は保証しよう。』

≪……断る。≫

『交渉決裂か……。』

 海面に突っ込まれる前に機体にしがみつき、コックピットグラスを破壊、中身を引き摺り出して掴んだまま離脱。

≪……何故殺してくれないのですか。≫

『半分は情報を手に入れたいから。もう半分は……お前さんに対する殺意がない。』

≪離せ……!≫

≪私も死んであの人の後を追うの!≫

『なら全て喋ってもらってからでいいだろうか?それに脱出したぞ?』

≪……。≫

『決まりだな。いらっしゃい、オセアノート研究所にようこそ。』

 女性パイロットをノヴァヤゼムリャに降ろしてまた飛ぶ。

 

『ノヴァヤゼムリャ、残りは?』

「残敵無し、と判断します。」

『了解。帰投する。捕虜の状態は?』

「2人とも軽傷です。」

『了解した。』

 




記録者:ベルタ
 ピースメーカーが貴方の右手を握っている。貴方の帰りを待っている。
 私も待っている。貴方の左手を握って。貴方のためなら私財すべて投げ捨てても良い。帰ってきて。

 ……行きましょう、ピースメーカー。交代の時間よ。
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