Cityの外よりも隠された場所 作:イエローケーキ兵器設計局
そしてほぼ同時刻、空の上では激しい航空戦が繰り広げられるのであった。
副官『伏せて!』
私「うわっ!85mm!」
T-34-85の稼働する個体を初めて見た。資料で見た戦車ではない。冷酷なDOLLSだった。
私「対戦車火器はありませんか!」
副官『無い!あったらもう使ってる!』
副官『ファーゴさん、何持ってる!?』
私「
副官『37mm……ファーゴさん……徹甲弾を装填して、私が手を挙げたらあの機銃孔を撃って。』
私「了解。」
T-34-85の前に飛び出し、全力疾走するサイクロプス。あまりの速さに砲塔旋回が間に合わず足元ごと回している。昼飯の角度を取っていた車体が……正面を向いた。
彼女が手を挙げる。今か。
ドンッ!ドンッ!ドンッ!と轟きながら放たれる徹甲弾は機銃とその後ろの弾薬をズタズタにし、弾薬庫の爆発を引き起こす。
T-34-85は何が起きたのかわからず、そして何も言えず炎に包まれてARMSごと燃え尽きた。なるほど……人間とは違ってDOLLSの死は切ないものだ。
副官『お見事!』
私「どうもです。あー……問題は増援が……」
副官『倉庫に探しに行きましょう!ほら!走る!』
私「ええ。」
倉庫には人間が操作していた頃の戦車や航空機、対戦車砲等が残されていた。少数ながらDOLLS用のARMSもあるけれど私達に適合するタイプではない。
副官『えーと……』
副官『あった、これだこれ。』
私「重戦車……」
副官『IS-4M。運転はよろしく。車長、砲手、装填手は担当するわ。』
私「私にできますかね。」
副官『やるしかない、そうでしょう?』
倉庫の外は上空の戦闘機たちが奏でる爆音協奏曲と、IS-2やT-34-85、KV-85等の戦車型DOLLSという破壊者が占領していた。
このIS-4Mはこの基地に常駐する数少ない人間が使うために用意された特別機のようで、とても操作しやすい。
副官『
私「了解。」
さっきの燃え上がったT-34-85は偵察に来ていた個体なのだろうか。
副官『車体は
私「了解。」
エンジンを少し唸らせて車体を少し振る。装甲の切り欠きが多少気になるが、正面を見せるよりは安心な気がする。
副官『
左右から来るか……
副官『運転手、静かに停止。』
副官『0-6-9、IS-2に対し徹甲榴弾を射撃開始。』
分厚いハッチ越しでもわかる122mm砲の爆音。
IS-2のARMSが爆ぜる。炎に包まれながらも人影は立っていた。
副官『しぶといな。1-1-4、T-34に対し徹甲榴弾を射撃開始。』
……確か記録では発射間隔は早くてもおよそ17秒と書いてあったはずだが……?まだ15秒も経ってない……
T-34-85が爆発四散。
副官『まずいな……0-4-5、1700m、KV-85……6体。どこに隠れていたんだ……』
私「もしかしたらトンネルがあるのかも……」
副官『トンネルか……ファーゴさん、手を貸してください。トンネルの出口を塞ぎます。』
私「了解……どうやって?」
副官『チェコの針鼠をご存知で?』
私「知ってますけれど……鋼材は……?」
副官『そこに転がっているじゃない。』
私「まさか……」
副官『均質圧延装甲でも、鋳造の装甲でも、鍛造の装甲でも……強度はともかく原理上は作れる。溶接バーナーは運のいいことに持ってるし。』
倫理観についてはどうかと思うが、死ぬのは嫌だ。まだ死ねない。となると……やるしかないか。
恐ろしい速度で射撃と再装填を繰り返し、KV-85をKV-85だった金属塊と炭素の塊にしていくサイクロプス。隊長といい、副官といい……狂ってる。狂ってるけれど、自分もその異常性に呑まれつつある気がする。
残骸を拾い集めつつ、ひたすらKV-85を潰していく。
トンネル前についたら、今度は今まで拾ってきたKV-85やT-34-85、IS-2等の装甲材を組み合わせて三本の金属柱を溶接したチェコの針鼠を量産していく。この作業はサイクロプスが車外で行い、私はキューポラの中でペリスコープの狭い視界を頼りに周囲を見ていた。
副官『ファーゴさん、まだ生きてます?』
私「まだ生きてますよ。サイクロプスさん。」
副官『それは良かった。』
車体によじ登り、砲塔に登ろうとするサイクロプスに言い返す。
私「あっ……見てください!トンネルが!」
副官『え。全速後退!急いで!』
封鎖したトンネル。チェコの針鼠を置いて塞いだはずだったが、他のDOLLSの死体や文字通り己の身体を使って押し退けようとしている。IS-2が手前に居たまだ生きているT-34の身体をバリケードの突起に押し付けながら乗り越えようとし、圧迫されたT-34が吐瀉物、血液その他諸々を漏らしながら潰れ、刺し貫かれた。
副官『くそっ……残弾に余裕がないというのに!』
副官『…………は?IS-4M!戦車だ!正面を向けたまま後退!』
トンネルから様々なものを押し退けて現れるIS-4M、総勢3両。DOLLSではない。戦車だ。T-34を圧死させたIS-2を絨毯に戦場の女王が集結してしまった。
ほぼ同時刻。
少佐『ファング、絶対にアメトリンから離れるな!』
私『了解!』
少佐『アメトリン!命に代えてでもファングを守れ!最悪の場合、パラメディックの使用も許可する!』
青色の光の明滅パターンで答える黄昏石。速度計はすでに振り切れているが、きっと音速の3倍近くの速度は出ているだろう。
前方には双発の見たことのない機体。主翼の大きさ、エンジン配置からして戦闘機に相当するものだろうが、このような飛行物体の研究を行っている学連、会社は聞いたことがないし……もしあったとしても存在を消されているのではないかと思う。
私『……!』
追いついたと思った瞬間、機体がバレルロールを打つ。押し出された。うーん……参ったな。
黄昏『……。』
触手に取り付けられた箱型の装置から光るいくつかの物体……おそらく熱源であろうものを放出する黄昏石。よく見るとキラキラと光る細かいものも含まれていた。これが白薔薇で研究されているチャフと呼ばれる仕掛けなのだろうか?
黄昏『下方に比較的低速の未確認飛行物体を確認。』
黄昏石が初めて喋った!
黄昏『ご指示を。ファング。』
私『え、私?』
黄昏『ええ。』
私『その目標に向かいます!』
黄昏『了解。』
光学迷彩を展開して私を隠すように姿を消す黄昏石。少佐、あの超音速機は任せます。
私『こちらマドンナリリー、友軍航空隊に対する攻撃を確認。交戦開始します。』
下方に敵性飛行物体を確認。
『エンジンを破壊すれば降りてくれるかな……』
急旋回で避ける敵機。
『まあまあ、落ち着いてよ〜』
『私は君が理解したいんだ。』
敵機の後ろにつけ、一応キャノピーに狙いを合わせておく。
ひたすら回避を試みる敵機。まだ撃たない。当たる距離を探す。
『ここか。』
第六感というものの存在を私は信じていないが、これは正しく第六感と表現しうるものだろう。
『躱したか。』
急降下で逃げる敵機。当たらないだろうが一応狙っておこう。
『ふーむ……手慣れだね。クルビットか。してやられたなぁ……』
オーバーシュートしてしまったので愚直に加速して逃げる。
『……アンチエアーか。』
フレアとチャフを同時展開。ついで、熱源である排気管を翼で隠す。どうせ当たらないので確認せず、ブレイク。
『誘導兵器に頼る君に豆鉄砲が当てられるかい?』
どうせ聞こえてないだろうから挑発しておく。聞こえるようなやつなら戦闘開始してないだろうし。
動きが変わった。どうやら推力の向きを変えられるらしい。まあ、この45mmでも反動で真似できるけれど……
(豆鉄砲の連続した音)
『ついておいで~』
Go229に空戦機動を教えていた時を思い出す。あのときはまだひよっこだったな。あ、今も補助輪がないと飛べないか……フライ・バイ・ワイヤを早いところ用意しないとな……
少し加速した上で急激なピッチアップ、スポイラーを開いて気流を剥がしつつ、無理やり失速状態を作り出す。
『コブラ……君はついてこれるかい?』
オーバーシュートした敵機に別れを告げましょう。
『駄目だったのね。さようなら。』
『ありゃ?やけに大爆発したなと思ったら増槽でガードしたか。見くびったな。』
スナップロールで押し出してくる敵機。うーん……急降下で逃げようかな。
『……攻撃する意図なし?弾切れ?システムの故障?』
敵を目前にして撃てなくなるのはとても怖いことだよねと思いながら少し様子を見る。
これは酷い損傷具合だ。横に並んで観察。
『おーい!そこの若いの。キャノピーを壊されたくなかったら返事しろー。』
駄目っぽいね。
手信号か……苦手なんだよな……
『どれどれ……ワレ、ツウシンフノウ、テキタイスルイシナシ……』
『要するに……何らかの理由で故障により、無線通信が不可能になったということかな?』
『うーん……悪いことしたなー……証拠隠滅しないとね……』
黄昏石と、怪鳥を追い詰める。低空飛行で逃げ続ける怪鳥。
『……。』
少し甘めに37mmを乱射する。左右に機体を揺らす敵機。動きが甘くなるのを待ってまた乱射。2発命中すれども未だ健在。どういう機体強度をしているのだろうか?
『……!?』
追い詰められた状態で、急減速からの宙返り。キャノピーに37mmを撃ち込まれる恐怖は考えなかったのだろうか?後ろを取られたが、まだチャンスはある。
黄昏『後方より誘導ロケットの接近を確認。』
私『カウンターメジャーを展開。』
六発のフレアが展開され、白い銀糸も散布される。
大きく旋回。速度を失った機体はそう鋭くは回れまい。
黄昏『目標、未だ追跡中。』
私『しぶといなぁ……』
黄昏『ちょっと叱ってきます。』
黄昏石が敵機に近づいていき、横に並ぶ。体当たりか。
私『あまり無茶はなさらないで?』
黄昏『了解。』
しかし、願いというものはそう届くものではない。
急上昇からのストールターンによって黄昏石に向かっていく敵機。
触手で庇いつつ、状況をどうにかしようとする黄昏石。
黄昏『手出し無用。』
自己修復しているのか白い煙に包まれている。再生されていく触手。再生の邪魔はさせない。
私『いい加減に、壊れろ!』
37mmを今度は冷静に単射で打ち込み続ける。低空へ加速で逃げられる。
黄昏『深追いは危険!』
私『大丈夫です!多分。』
地上数mを追跡飛行。
私『前方!対空砲陣地!退避!』
激しい対空砲火に晒される2機。黄昏石は射程外。
機体をゆっくりと減速して横並びになろうとする双発機。迫力に少し圧倒されてしまった。
私『手信号……ほとんどわからないけれど、とりあえず上に……逆に危なくないですか?それ。』
素早く登っていく不明機。追いつかねば。
対空砲火の届かない高高度までやってきた。ノックしてみよう。あー……少し強気に出てみようかな。
私『お前たちは反乱軍ではないのか?』
返答は反乱軍にしては装備がおかしいだろうと、自分たちは反乱軍でも正規軍でもないというものだった。詳しくは下の連中を倒してから、らしい。
私『わかった。』
地上に向かっていく不審機を尻目に黄昏石と合流。
黄昏『被弾は?』
私『無いです。』
黄昏『少佐から連絡がありました。どうやら攻撃しなくていい人を攻撃してしまったようですね。』
今回は「陸自はドールズフロントライン、海自は艦これとアズールレーン、空自はアッシュアームズ三つの世界でバラバラになりながらも生きる」という素人小説書き様の作品とコラボさせていただきました。次回もコラボが続く予定です。よろしくおねがいします。
コラボ先の作品リンク
https://syosetu.org/novel/259629/61