迷宮城の冴えない男《ラビュリンス・イッパンジン》   作:入江末吉

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めっちゃ間空いてしまいましたねぇ。
エタっちまったな、と思ったそこのあなた半分正解です。

あとがきにアンケを置いておくので、ご協力お願い致します。


第六話:HERO見参!

 

 翌日、ボクは自宅のベッドの上ではなく、リビングのソファの上で目を覚ました。

 どうやら寝落ちしていたらしい、見ればタオルケットが掛けてあった。だけど今、この家で生活してるのはボクしかいない。父さんと母さんは二人揃って海外赴任中だからだ。

 

『おはようございます、ご主人たま』

「おはようアンナ、もしかしてタオルケットはアンナが?」

 

 尋ねると首肯が帰ってくる。もう六月とは言え、何も掛けずに寝ていたら風邪を引きかねない。彼女の優しさにじんわりと感動を覚える。

 

「いっけねー、デッキそのまんまだ」

 

 ソファの前のテーブルにはぐちゃぐちゃのデッキが広がっていた。

 というのも昨日帰ってきてから家族会議ならぬ姫立ち会いのもの臣下会議が行われ、デッキの大幅な改修が行われていたのだ。

 

「実際に動かしてみて、足りない部分とかが見えてきたよ」

『やっぱり授業に参加するのは大事なことなのです、ご主人たま』

「うぐっ、肝に銘じておきます……」

 

 よろしい、とばかりにアンナがすんと胸を張る。デッキを纏めているうち、意識がだんだん覚醒していく。

 そしてデッキの罠の内、新たに増やした罠を見た。これはうちのタンク兼切り込み隊長の彼の管轄だ。

 

魔神像(デーモン)、いる?」

 

 呼びかけると、すぐさま彼は現れる。彼、というのは少し違うかもしれない。

 魔神像は姫の城のスタチューで、侵入者に対して反応するタイプの言わば自立兵器だ。だけど、モノアイがくりくりっとしてて結構愛嬌がある。

 

 姫やアリアリコンビのように喋れるわけじゃないけど、結構表現力がある。

 

「攻撃反応型の罠、本当にこんな感じで大丈夫? 【ミラーフォース】とか【エアフォース】も必要なら言ってね」

 

 言って新たに追加しようと思ってた攻撃反応罠を見せると魔神像はコクコクと頷いて、親指を立ててきた。

 意思疎通はバッチリ、彼は物言わないけど彼の効果に関係する攻撃反応型通常罠の中でこれが良いというものを教えてくれた。

 

 昨日のデュエルで思い知った。精霊たちにも、好みのカードがあってボクは出来るだけそれを汲んだデッキを作りたいと。

 尤も全員の要望を全部聞いてたらデッキ枚数が六十枚になってとても回ったもんじゃないから、少しはボクの意思もちゃんと反映してる。

 

 まぁ【ラビュリンス】は通常罠全般をサポート出来る幅広さを持つから、みんなの意を汲んでも自然と綺麗な形に仕上がっていく。

 デッキを纏めケースに収め、朝ご飯を済ませると制服に着替える。

 

 と、そこで電子生徒手帳に連絡が入っていたことに気づく。差出人は昨日連絡先を交換した音喜多くんだった。

 メッセージを開いてみると、そこにはこう書かれていた。

 

 

「『明日の朝、学生会室に来てくれ。予鈴前だぞ』、って今日じゃん今じゃん!!」

 

 

 詳しい要件はわからないけど、わざわざ連絡を入れてくるくらいだから大事な用事かもしれない。

 せっかく出来た新しい友達だし、変なことで心象を悪くしたくはない。

 

 ボクはカバンを背負うと普段は使わない自転車に乗り込んでデュエルアカデミアまで急ぐことにした。

 

 

 

 

 

 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

「失礼しま~す」

 

 目と鼻の先にアカデミアがあることもあって、予鈴の三十分前には学生会室に辿り着いた。

 だけど入学したての一般生徒にはかなりハードルが高く、意を決してノックするまでに三分くらい迷ったのは内緒。

 

『チキンなのです』

 

 やかましいわい、こちとらノミの心臓なんです。

 学生会室の扉を開けると目に飛び込んでくるのは明るい赤毛の音喜多くん、とその他数名。

 

「おっ、来たな銀臣!」

「ごめん、メッセージにさっき気づいてさ。待ったかな」

「そう待ってないさ、気にすんなよ」

 

 歯を見せてニッと笑う音喜多くん。よかった、怒ってはいないみたいだ。

 

『……デートの待ち合わせ?』

『へぇ、デートかよ、なのです』

「やめてくれる!? ボク至ってノーマルだよ!」

 

 しまった、思わず叫んでしまった。とりあえずアリアリコンビは今夜のスイーツ抜き、異論は認めない。

 挙動不審のボクを放って、学生会室にいた他のメンツが立ち上がった。

 

「急に呼び出してすまないね、陽彩に頼んでキミを呼んだのは私だ」

 

 そう言うのは銀髪を肩口まで伸ばした女子生徒。胸元の刺繍を見ると青色、二年生だという事がわかる。

 彼を軽々しく名前で呼ぶ彼女のことをボクは知っている。

 

「確か、音喜多 氷雨(おときた ひさめ)、副学生会長……?」

「私のことを知っているのか、なら話は早いね」

「今年の学生会メンバーは新入生の間では伝説なので」

 

 伝説って、大げさかもしれないけど本当のことだ。

 なぜなら本校の学生会は明確に決まったメンバーは存在しない。敢えて言うなら『その時学生会メンバーだった人が学生会メンバー』なんだ。

 

「学生会メンバーを決闘で下せば、学生会入り出来るって話……そして学生会の役職は、そのままこの学校での強さの証明になる」

「その通り、副会長の私はそれなりに強いぞ小鳥遊クン?」

 

 ウィンクしながらボクを指差す音喜多副学生会長、長いので氷雨さんとする。

 っていうか、音喜多ってことはまさか……? 

 

「お察しの通り、陽彩は私の弟だ。そして弟の話を聞いて、キミを学生会にスカウトしてみたくなった」

「え、えぇ!? そんな無茶苦茶な!」

「そう無茶な話かな? キミは猿渡を決闘で下すほどのデュエリストだと聞く。そして陽彩が十分に一度決闘したいと宣う相手なんて久々だからね」

 

 音喜多くんのせいじゃん! そっちに視線を向けると苦笑いで「すまん」と謝罪が返ってきた、許す。

 と、見れば学生会メンバーの他隅っこの方に知った顔を見つけた、風舞さんだ。

 

「風舞さんは、なんでここに……?」

「氷雨が面白いものが見れるって言うから」

「もう名前呼び……」

「私は"星杯寮(じょしりょう)"の寮長も兼任しているからね、昨日彼女と話をさせてもらったんだよ」

 

 なるほど、ちなみに男子寮は"烙印寮"。尤もボクは自宅通いだから寮に関しては全く詳しくないんだ。

 

「昨日は一緒にお風呂にも入ったね」

「……」

「詳しく聞きたいかい?」

「も、ち……いえ、特には」

 

 後ろから六つの眼がボクを睨んでいるのが分かったので無視する。ボクだって年頃の男の子だぞ、同級生のお風呂事情に興味無いわけないじゃないか。

 

「そうか残念、私の身体のちょっと特別な場所にあるホクロの場所を教えてあげようと思ったのだが」

 

 すんごい興味あるけど後ろの三人が怖いので気合いで乗り越える。デュエリストとしてのボクの生存本能が活性化し、静かに燃え盛る理性が頭中の煩悩を焼き尽くしたのだ。

 どうやら氷雨さんはボクをからかって遊んでいるらしい。このまま彼女のペースに飲まれていては話が進まないと思って、弟の方に助けを求めた。

 

「まぁ俺がお前とデュエルしたいっていうのは本当。加えて、これだ!」

 

 音喜多くんが言って取り出したのは二つのアタッシュケース、それを見てボクは目を見開いた。

 

「これ、新しい決闘盤(デュエルディスク)!?」

「そうだよ、新しく学校側で支給されることになったこれの動作テストも兼ねて、陽彩とデュエルしてもらいたいんだ」

 

 なるほど、ボク以外の全ての利害が一致してるってことか。だけど新しい決闘盤、見れば見るほどワクワクする。

 ちょうど昨日の授業はデュエル直前で終わってしまったから、消化不良気味でボクとしても異論はない。

 

 何より調整した新しいラビュリンスを早く動かしてみたいという気持ちが強かった。

 

「やろう、音喜多くん」

「よしきた! そうこないと!」

 

 言うが早いか、ボクたちはそれを持って移動する。

 スタジアムまで行っていたら時間が無くなってしまいそうだったので、場所は昇降口前だ。

 

 登校中の生徒とか朝部活中の生徒に見られてしまうけど、今のボクはそんなに気にならない。

 デュエルディスクを腕に嵌め込む。しかしそれだけでは動かない。

 

「それじゃあ起動シークエンスの説明をするよ、二人共電子生徒手帳を出したまえ」

 

 氷雨さんの説明に従い、ボクたちはポケットから電子生徒手帳を取り出す。

 するとデュエルディスクの手前側に何かを嵌め込むようなドックがあることに気づく。

 

「気づいたようだね、そのドックに電子生徒手帳を嵌め込むことでデュエルディスクは起動するようになっている。そうすることで生徒手帳はデュエルをサポートするモニター、PDA(パーソナルデュエルアシスタント)になるわけだ」

 

 ガチリ、小気味好い音を立てて電子生徒手帳──PDAをドックに嵌め込むとカードプレートが起き上がり、フィールドゾーンが展開される。

 さらにPDAのモニターが点灯、お互いのモンスター、魔法罠ゾーンやフィールド魔法、さらには除外されてるカードの詳細なども分かりやすく表示されている。

 

「なるほど、チェーンの処理も分かりやすそうですね」

「あぁ、実際の発動処理はデュエル中に確かめてみてほしい。では始めてくれ」

 

 ボクはカードケースからデッキを取り出し、決闘盤にセット。自動でシャッフルされ、上から五枚が飛び出してくる。

 

「よーし、PDAセット! デュエルディスク、オープン!」

 

 音喜多くんが大げさなアクションでPDAをセットし、決闘盤のカードプレートを展開する。こういう外連味は必要だ、特にアクションデュエリストを進路に考えてる人とかは特にね。

 PDAで自動的にコイントスが行われ、先行後攻が自動的に割り振られる。

 

 

「「決闘(デュエル)!」」

 

 

 銀臣 LP:8000

 

 陽彩 LP:8000

 

 

「先行はボクだね」

 

 デッキトップの五枚をドローして確認する。まぁまぁな初手だ、音喜多くんのデッキが何かまだ分からない以上は慎重に動きたい。

 

「ボクは【強欲で金満な壺】を発動! EXデッキから6枚カードを除外して、2枚ドローするよ!」

 

 メインフェイズの開始時にしか発動できない、コストは非常に重いドロー加速カードだ。

 すると氷雨さんがなるほど、といった風に頷いた。

 

「【ラビュリンス】はメインデッキでほぼ完結するテーマ、EXデッキを遠慮なく除外出来るわけだね」

 

 その通りだ、といってもボクたちの【ラビュリンス】はある程度EXデッキにアクセス出来るように構築してあるから、【強金】のコストはなかなかに手痛い。

 手札誘発の類は無さそうだ、ボクはカードを2枚ドローして再度手札と向き合う。

 

「手札の【白銀の城の火吹炉】の効果を発動! このカードと手札1枚を捨ててデッキから【ウェルカム・ラビュリンス】をセット。さらに、手札から【天獄の王】の効果を発動! 音喜多くんのターン終了時までこのカードを公開し続ける。その間、セットされたカードは破壊されない」

 

「おお、PDAで銀臣の手札の一枚が公開されたぞ。これは分かりやすいな」

 

 なるほど、見れば音喜多くんのフィールドの奥に彼の手札五枚が裏側で表示されてる。タップしてもカードの詳細が出てこないのは当たり前か。

 

「カードを二枚伏せて、ターンエンド!」

 

 

 TRUN1→2 銀臣→陽彩

 

 銀臣 魔法・罠:伏せ3枚 手札2枚(【天獄の王】公開)

 

 

「俺のターンだな、ドロー!」

 

 音喜多くんがカードを一枚引く、すると彼の手札表記が6枚に変わる。

 さらには現在のフェイズ移行も表示される、そしてボクの場の伏せカードが一枚輝いた。タップすると横に発動するか、確認の表記が出る。

 

 なるほど、カードの発動タイミングはこうやって教えてくれるわけだ。でもボクはまだ動かないつもりだ、伏せカードは【天獄の王】のおかげで破壊はされないから様子を見たい。

 

「俺は魔法カード【融合派兵】を発動! EXデッキの【E・HERO プラズマヴァイスマン】を見せ、このカードに書かれた融合素材のモンスターを手札かデッキから特殊召喚出来る! 俺は【E・HERO エッジマン】を選択して特殊召喚!」

 

 

【E・HERO エッジマン】 ATK/2600 DEF/1800

 

 

 っ、音喜多くんは【HERO】デッキの使い手! しかしプラズマヴァイスマンにエッジマン、随分と古典なHEROを使うんだなぁ。

 しかし油断は出来ない、【HERO】デッキの恐ろしいところはその拡張性の高さにある。色んな型のHEROが跋扈している今、エッジマンが出てきた現状はまだ型の判別が出来ない、むしろ警戒すべきだ。

 

「さらに【E・HERO ソリッドマン】を召喚! その効果で、手札の【E・HERO エアーマン】を特殊召喚! さらにエアーマンの効果でデッキから【E・HERO ブレイズマン】を手札に加える! そして魔法カード【融合】を発動!」

 

 やっぱり【融合】を持ってたか、ブレイズマンを持ってきたのは次のターンの【融合】サーチ手段を確保するため、か? 

 

「俺が融合するのは場の【ソリッドマン】と手札の【ブレイズマン】! 現れろ、【E・HERO ノヴァマスター】!」

 

 

【E・HERO ノヴァマスター】 ATK/2600 DEF/2100

【E・HERO エアーマン】 ATK/1800 DEF/300

 

 

 場に現れるのは炎の融合HERO、今のところ有力なのは【属性HERO】だろうか。

 

「さらに【ソリッドマン】が魔法カードの効果で墓地へ送られた時、墓地のHEROを復活させる! 俺は今融合素材にした【ブレイズマン】を攻撃表示で蘇らせ、効果でデッキから二枚目の【融合】を手札に加える!」

 

 

【E・HERO ブレイズマン】 ATK/1200 DEF/1800

 

 

 音喜多くんの場が盤石になりつつある。【ノヴァマスター】が出てきた以上、フィールドにモンスターを並べるのは得策ではない、破壊されれば音喜多くんのドローを許してしまうからだ。

 

 総攻撃力は8200、このままではゲームエンドだ。しかも、もし音喜多くんが属性HEROなら残りの手札を使ってさらに展開してくる可能性もある。

 動くなら、ここかもしれない。

 

「ブレイズマンの効果に対しチェーン! 【ウェルカム・ラビュリンス】! デッキから【ラビュリンス】モンスターを特殊召喚する! ボクが選ぶのは【白銀の城の召使いアリアンナ】!」

 

 ボクの後ろに現れた城門から飛び出すのはアンナ、フィールドに守備表示で特殊召喚されたアンナがボクの方を見る。

 彼女の①の効果、デッキからラビュリンスカード一枚を手札に加える効果を使うかどうかの確認だ。だけどボクは敢えてそのサーチ効果を使わなかった。

 

「さらに手札の【天獄の王】の効果を発動! 伏せカードが発動した時、このモンスターを特殊召喚する! さらに手札で公開されている【天獄の王】が特殊召喚された時、デッキから魔法か罠カードを一枚セット出来る。ボクがセットするのは、【悪魔の技(デーモングリッチ)】!」

 

 

【天獄の王】 ATK/3000 DEF/3000

 

 

 セットするカードを相手に公開する必要があるが、天獄の王のこの効果はかなり強力だ。エンドフェイズ時に除外されてしまうから、永続魔法や永続罠などは一ターンしか持続できないけど通常罠なら使ってしまえば問題は無い。

 

「行くぜ、バトルフェイズ! 【ノヴァマスター】で【アリアンナ】を攻撃! 《ブラストヒート》!」

 

「なら、その攻撃に対して罠発動! 【モンスターレリーフ】! 相手の攻撃宣言時にボクのモンスターを一体手札に戻し、その後手札からレベル4のモンスターを特殊召喚する! ボクはアリアンナを手札に戻し、再び特殊召喚!」

 

「モンスターレリーフ!? っていうか、それになんの意味が……!?」

 

「この瞬間アリアンナの②の効果が発動するのさ! カードを一枚ドローし、その後手札から悪魔族モンスターか魔法罠を場に出せる! ボクは手札のレベル7悪魔族、【白銀の城の魔神像】を特殊召喚!」

 

 

【白銀の城の魔神像】 ATK/2000 DEF/2800

 

 

 場に出てきたアンナが門を解錠し、その中から魔神像が飛び出してくる。

 そしてノヴァマスターの前に魔神像が立ちはだかる。そして魔神像はデッキから一枚の罠カードを持ってくる。

 

「白銀の城の魔神像の効果でデッキから攻撃宣言時に発動できる罠を一枚セットする。ボクがセットするのは【分断の壁】! さらに、魔神像は墓地の罠カードの種類×400ポイント攻撃力をアップする!」

「今、銀臣の墓地に存在する罠は2枚……! 攻撃力2600のノヴァマスターじゃ突破出来ないか」

 

 加えて、魔神像は場の悪魔族を攻撃対象に選ばせない効果がある。よってノヴァマスターが攻撃対象に選べるのは魔神像と天獄の王のみ。

 このまま止まってくれるのが一番なんだけど、音喜多くんの手札はまだ4枚もある。

 

「ノヴァマスターでの攻撃は中断する、だけどバトルフェイズは続行!」

「なっ……!?」

 

 やっぱりまだ動く気だ、ボクの場の伏せカードも4枚。だけどそのうち二枚はこのターンにセットしたカードで、発動は出来ない。

 

「速攻魔法【瞬間融合】を発動! 【ノヴァマスター】と【エアーマン】で融合召喚を行うぜ! 吹き荒れろ、【E・HERO Great TORNADO】!」

 

 

【E・HERO Great TORNADO】 ATK/2800 DEF/2200

 

 

 融合の渦から現れたのはさらなる烈風の渦。竜巻を操る風のHEROが新たに音喜多くんの場に現れる。

 

「瞬間融合で呼び出したモンスターはこのターンの終わりに破壊される。そして【Great TORNADO】の効果発動、相手モンスターの攻守を半分にする! 《タウンバースト》!」

 

 

【白銀の城の召使いアリアンナ】 ATK1600→800 DEF→1050

【白銀の城の魔神像】      ATK2000→2800→1400 DEF→2800→1400

【天獄の王】          ATK3000→1500 DEF3000→1500

 

 

「くっ……!」

「いくぜ、【Great TORNADO】で【白銀の城の魔神像】を攻撃! 《スーパーセル》!」

 

 逆巻く烈風によって魔神像は装甲諸共に削り取られ、フィールドから消え去った。そして魔神像が消えたことで、アンナを守るものがいなくなった。

 しかも最悪なことに、音喜多くんの場にはエッジマンが居る……! 

 

 

 銀臣 LP:8000-1400=6600

 

 

「続けて、【エッジマン】で【アリアンナ】を攻撃! 《パワー・エッジ・アタック》! エッジマンは守備モンスターを攻撃した時、貫通ダメージを与えるぜ!」

『きゃああああああ……ッ!』

「アンナ……っ!」

 

 

 銀臣 LP:6600-1550=5050

 

 

 エッジマンの持つ前腕部のブレードがアンナの身体を切り裂き、アンナが消滅する。

 ソリッドビジョンとは言え、彼女の姿が見えるボクとしてはあまり良い気分ではない。

 

『無念、やられてしまったのです』

 

 だけどアンナ自体はそこまでショックってわけでもないらしい、やっぱりボクの考え過ぎだろうか。

 しかし運が良かった。音喜多くんがエッジマンの効果でダメージを優先したから、アンナを攻撃したことでダメージは増えたけど天獄の王が場に残った。

 

 ブレイズマンの攻撃力でも、今のアンナの守備力なら倒せた。ボクの場を全滅させるかダメージを取るかで、音喜多くんはダメージを優先した。

 

 

「──さらに速攻魔法、発動!」

 

 

 と、思っていた。彼が発動した速攻魔法を確認するまでは。

 

 

「【マスクチェンジ】! 俺の場のHEROモンスターと同じレベルで異なるカード名の【M・HERO】を特殊召喚する!」 

 

 属性HERO、それも【マスクチェンジ】型か! 

【Great TORNADO】を再び竜巻が包み込み、その色が灰色から燐光を帯びた旋風へと変化する。

 

 

「俺は【Great TORNADO】を【M・HERO カミカゼ】に変身させる!」

 

 

【M・HERO カミカゼ】 ATK/2700 DEF/1900

 

 

 黒いマントを羽織っていた【Great TORNADO】に対して、白いマントを風にたなびかせる正統派な出で立ちのカミカゼ。

 現れた瞬間、カミカゼは目にも留まらぬスピードで天獄の王へと突撃する。

 

 

「天獄の王を攻撃しろ! 《ハイパー・カミカゼアタック》!」

「うわぁっ!」

「カミカゼの効果! 戦闘で相手モンスターを破壊して墓地に送った時、カードを1枚ドローする!」

 

 銀臣 LP5050-1200=3850

 

 

「ブレイズマンで、プレイヤーにダイレクトアタック!」

「あっつ────くはない!」

『ご主人たま、立体幻像ボケしてる場合ではないのです』

 

 

 銀臣 LP3850-1200=2650

 

 

「危ないところだった……」

「いいや、このターンで終わらせるぜ! 速攻魔法【マスクチェンジ】2枚目を発動!」

「もう1枚!?」

 

【Great TORNADO】が【カミカゼ】になったように、ブレイズマンを炎が包み込んでいき、やがてそれは業火に姿を変えた。

 

 

「ブレイズマンを、【M・HERO 剛火】へと進化させる! さらに剛火は、墓地の【HERO】一枚につき、攻撃力が100ポイントアップする!」

「ッ、音喜多くんの墓地には融合素材になったHEROが潤沢……!」

 

 その数たった1ターンにして、実に5枚。つまり攻撃力は500アップ。元々の攻撃力と合わせると────

 

 

【M・HERO 剛火】 ATK2200→2700 DEF/1800

 

 

「バトル! 剛火で銀臣にダイレクトアタック! 【バーニング・グレネード】!」

「小鳥遊くんのLPは2650。この直撃を受けたら陽彩の1ターンキルが成立だ、全く実につまらん弟だ」

「おぉい姉ちゃん! つまらんは言いすぎだろ!」

 

 今にも迫ってくる、剛火の拳。

 ボクはPDAの画面を操作し、右端の罠カードを作動させる。

 

「リバースカード、オープン! 【ロスト】発動! このカードで、音喜多くんの墓地に存在する【エアーマン】をゲームから除外する!」

「っ、墓地からHEROが一体消えたことで剛火の攻撃力が100ポイント下がる」

 

 

【M・HERO 剛火】 ATK2700→2600

 

 

「ぐああああ……ッ!」

 

 

 銀臣 LP2650→50

 

 本当に辛うじてライフが残った。もうどんな戦闘ダメージだろうと受ければボクの負けだ。

 しかも【ロスト】を消費させられた。音喜多くんがHEROデッキであるとわかった以上、このカードは然るべきタイミングまで温存しておきたかったんだけど……

 

 でもどの道、ここまで墓地のHEROを増やされてしまってはロスト一枚ではどうしようもないし、そこまで気にする問題でもない。

 

「でもすげぇよ! ちゃんと凌ぐなんてな。俺はこれでターンエンド! さぁ見せてくれよ、お前のターン!」

 

 音喜多くんが期待の眼差しを送ってくる。

 それなら、ボクも応えなくちゃ。決闘盤に収められたデッキを見つめ、そのトップに指をかけた。

 

 





今回のデュエルを執筆してる間に色々ありすぎた。
ビッグウェルカムラビュリンスありがとう……新規の庭師っぽい子やその後ろにいた庭木のモンスターの実装も楽しみです。


今回のキャラ紹介


・音喜多陽彩

ジェネリック遊城十代。
デュエルバカでHEROを使う陽の者、マジで遊城十代。

本作が最初はGXの世界観でやっていこうとしたプロットの名残で生まれたのは内緒。


・音喜多氷雨

作者のヘキの女。
使用デッキは六花を主軸にした植物パーミッション(の予定)
でも本作は作者である私の気力が持てばOCGストラクチャーズみたいにいろんなデッキを使うお話を書きたいなってのもあって、そういうのが出来そうなデュエルつよつよキャラを作るか、となって生まれた。

制服を真面目に着る気がない、私服はかなりパンクで痴女い。



【挿絵表示】




・本作のデュエルディスク


【挿絵表示】


4~5話までの決闘盤は原作のを使用していたけど、本作におけるKC的ポジションの会社が開発した新型、という設定。
電子生徒手帳(PDA)を装填すると下図のように起動する。PDAを操作してモンスター効果や魔法罠の発動を行います。


【挿絵表示】


またパーツの色替えによって自分のイメージカラーの決闘盤にすることも可能。
下のは風舞アズミカラー、切り札がバレる。今更である。


【挿絵表示】



次回は早めに投稿したいと思います。
感想あるとめちゃめちゃ喜びます、次話の投稿も早くなるかもしれません。

カードの効果、その決闘で初めて使う際は

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