すべての僕たちに愛と勇気と記憶を贈ろう   作:airlinks

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第1話

———やっぱあの日に全部変わったのかな?

どうだろうな。結局俺はなんも覚えてなかったけど。全部———君にわかんないんだったら俺にわかるわけないだろ

君だって全部———だろう?実質。

えぇ・・・実質って・・・まぁ確かに———けど。そういえばそうだけど。

そうでしょ?まぁ実質だけどね。細かいこと気にしてちゃモテないぞ~~~

余計なお世話だってのまったく。ロクなことしてこなかったぁ俺。いや、君もか。ははっ。

まぁそれはしょうがないよ。なんたってやばだったんだからね。僕も僕なりに頑張った方だよ。

それは・・・まあそうか。じゃあやっぱ変わったのはあの日か。

そうでしょ。なんてったって僕が———

 

 

———なんてったって世界の破滅を感じることになるとは思わなかったからね。

 

 

 

 

 なんてったって世界の危機だってよ。ばかばかしいと思うじゃん?俺もそう思う。え?いや、だって昨日まで普通に学校通って友達と話してたんだぜ。どうしてそれがこんなことに。

あーそういうドッキリ?なるほどすべて理解した。拙者御宅故。世界の危機とか異世界転生とかそういうのにめっぽう強いでござるよ。まずはレベル上げからか?

「皆さん静粛に。世界の危機と言いますが、まだ我々には希望があります。我々はそう。いうなれば〝世界〟から協力者を得ました。彼、彼女?え?生物学に当てはめてはいけない?でも一応女設定がいい?そ、そうか。なら彼女が我々の世界を守るべく降臨なされた御方だ!」

【・・・そんな大相な説明しなくても。キミ、さてはモテないな?】

ん?今どっから声した?スピーカー?なんか遠いようなクッソ近いようななんだこれ?

【今、皆さんの心に直接語り掛けています。こんにちはごきげんよう。わたくしはすごい人です。えっへん。すごいんですよ。どれくらいすごいかって?それはもうめちゃくちゃ。あなた方なんて屁でもないくらいすごいです。】

あんだぁ・・・?てめぇ・・・。女神かぁ?・・・いやにしてもくっそ声可愛いな。どっかで聞いたことある声だけど多分水〇いのると雨〇空を足して2で割ったような感じの声だな。気品しか感じない。

【まぁ君たちにも思うところあると思う。高校を卒業したらこわいこわいおぢさん達からこんなところに来いって急に言われて世界の危機とか言われちゃってるんだもんむしろよく黙って話聞いてるよね。何君たち。クール過ぎない?これが今どきの子ってワケ?世知辛いのねぇ~。】

それは・・・まぁたしかに。よくあるパニックというのは今ここにいる100人弱の同世代っぽい奴らには起きていない。現代っ子スゲ~~~。

【まぁとりあえずパニックになる前に言っとくと、君たちには今から、すんげー能力を贈ろうと思う。文字通りすんげー能力だよ。ここにいる君たちはそのすんげー能力に適正がある、そう。いうなれば選ばれしコたち。どう?流石にテンション上がってきたんじゃない?】

・・・ほぅ、すんげー能力ですか。いや別に?まったく?日ごろからゲームやらアニメやら漫画やらでSFを堪能している我々現代っ子に対してすんげー能力とな。いや、別に興味があるわけじゃないけど内容を詳しく教えてもらってもいいですか?

【内容的には人によるけど火が自在に操れたり、めちゃつよフィジカルだったり、いうなれば魔法みたいなことができるよ。】

マァァァァァァーーーーーー??????

ㇵッ、いけない。取り乱してしまった。いいいいややいや、べべべべべつに魔法に興味があったわけじゃないですが本当に魔法が使えるんですか?いいんですか?本当に?いやもう僕の体でそんなことができるなら実験でも何でもしてくだs

【じゃあごめん急だけど一回意識トバすね。大丈夫一応変な夢見るかもだけど体におかしなことはないか—————————あっこれもう皆イッてるわ。】

いってぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!マジでアイツらマジで無理だわ!!!強すぎる!!!これ俺強化してるよね!?痛すぎ!!!泣きそうてか泣いてる!!ふざけやがってまじでアイツだって頑張ってんだ!俺だって!!!

「うおおおオオォォォッッ!!!」

拳法なんて知らず漫画の見様見真似で異形のクリーチャーを屠る。潰して、削いで、殴って蹴る。これで戦えているのかもわからず。ひたすら。闇雲に。そのうちうごかなくなった。ここはどこ。アイツは。彼女は。

 その時、彼の後ろから轟音が鳴り響いた。それと同時に彼の視界が急に吹っ飛び、低くなった。

あっこれ死ッ・・・

 

「~~~~ッッッブッハぁ!!!???」

死んだ!!死んだわ俺!!首吹っ飛んだ!!夢!?夢か!!ゲームの世界かよ!!あー夢で良かった!!!

「ふぃ~~・・・」

とため息をついた。深呼吸もすんべ。すぅー、はぁー、すぅー、h

【おきたかぁーーーーい!!!!】

うるせぇぇぇぇぇ呼吸がまだ整ってないでしょうがァァ!!!

「そんな怒鳴らくてもいいじゃない。」

「あっ、すみません・・・」

「じゃぁ一緒に(深呼吸)する?」

「あっ、します。」

「いくよ?」

「あっはい。」

スゥーーーー、ハァーーー、スゥーーーー、ハァーーー。

リラックスを感じる。深呼吸マジ大事。これ、全人類やった方がいい。これはマジ。

ハァッ!?そういえば目の前にいるのはあの時の女神!!!声しか聴いてないけど拙者ガチ声優オタクなのでわかります。おそろしく美しい声。拙者じゃなきゃ気づかないね。そして声のイメージのまんまの女神!!金髪碧眼、白いシャツに青いロングスカート。オタクの脳内のダンスフロアが大喝采。陰キャもおだてりゃよく踊るとはまさにこのこと。こんな人と一緒に深呼吸ができるなんて俺の人生の運を使い果たしたなと理解した。

「大丈夫そ?キミが一番うなされていたからね。他のコ達はまだぐっすりだよ。」

 あたりを見渡すと先ほど一緒に説明を受けていた人たちがベッドに寝かされていた。すかさず彼は満を持したかのように、思い出したかのように、

「知らない天井だ・・・」

「ソレ、多分ここにいるコの1割は絶対言うと思うよ。」

しょうがないじゃない!オタクは知らない天井があったら知らない天井って言わないと気が済まない人種なのだからと、いえるはずもなく

「えっ、す、すみません」

「なんで謝るのよ。」

「す、すみません」

「ふふっ。まぁとりあえず、よかったわ。」

なんだこの会話。まるで陰キャと陽キャじゃないか。まぁ実際そうだが。

「・・・ここは?」

「ここは軍の施設よ。って言ってもただの病院だけど。いまはアナタ達の貸し切りね。ほぼ。」

なるほど。まぁそうだろうとは思ったけど。よくあるやつね。と、ふと窓の外を見ると緑が広がって———

 

———え?

———みどり、が———

 

———彼の眼前に広がっていたのは18世紀ロンドンのスチームパンクを彷彿とさせる茶色く白濁とした知らない世界。煙があちこちであがっている。

絶句した。知っていたはずの世界が荒廃しゲームの世界になっている。なんだこれはどんだけリアルなエンジン積んでんだ?どんだけ性能いいグラボ積んでんだ?理解が追い付かない。オタクだからどんな急展開にも耐えうる自信があったがこれは聞いていない。寝て起きたら世界が終わっているなんて。どういうことだ誰だこの脚本を書いたのは。ふざけるのも大概にセイよ。意味が分からない。何をしたらこんなことになるのか。軍はどうなっているのか。家族は。いや世界は。知り合いは。あの文明は。学校は。圧倒的に情報量が足りない。わからない。心拍数が上昇し手が振れる。情報を飲み込もうとしているがキャパシティーが足りていない。先ほどリラックスしたのがウソだったかのようだ。

 「これ、は・・・?なんか、こう、異世界にでも転生しましたか?俺。」

 カタコトの言葉で目の前の人に尋ねた。

 「・・・貴方たちが眠りについてから一週間。彼らは来たわ。人類を、世界を終わらせるために。世界の・・・そうね。終焉が形になって顕現したの。そして、いま貴方達が眠りについて・・・一カ月よ。」

 「一カ月。」

 なにいってんだ?一カ月でここまで?あの世界がここまで?信じられないとかそういうレベルじゃない。もはや自分の精神の異常だと思いたい。いやこれはさすがに転生した。じゃなきゃこんなに世界が変わるはずない。いや、終わるはずない。

「説明するわ。全部。」

 彼女の説明を聞けるような精神状況ではないが、聞かねばならないという使命感で耳を傾けた。

彼女は天使のような声で悪魔のようなことをつらつらと話していった。

まず彼女は何者なのか。彼女は自分のことを霊長の管理者と名乗った。生命が生まれてから長い間見守ってきた枠外の存在だと。人類を作ったとも。だから人類のルールにないこともたやすくできると。

人類の生存状況に関しては意外と悪くないようだ。彼らは最前線に立っており、内部?に行けば人類の八割は生存しているらしい。もちろん家族も無事だという。食料や生活基盤も新たに作り、詳しいことは現地に行って確かめているといいとのことだ。

そして敵について。彼女は〝世界のエンドコンテンツ的存在〟と言った。彼らはどうやら文明が今後発展していく際に発生する到達点である。何をもって到達点とするかはよくわからないが彼らは世界を理解しており霊長の管理者も手に負えないような存在になっている、とのことだ。彼女は「管理者の名折れね」。と自虐と乾いた笑みを見せた。

その敵と戦うため俺たちはあの日集められたらしい。でもひどくね?戦えなんて言われてなくね?ってまぁ世界の危機が迫ってて軍に能力を与えられてさせられることなんてまぁ戦うことだろうと見当はついていたけども。そうこう話しているうちに先ほどは思考も感情も体調もぐちゃぐちゃになっていたが徐々に落ち着いてきた。

「そういえば君、うなされていたけど嫌な夢でも見てた?」

「え。あぁそういえば、そんなような・・・」

夢とはやはり忘れてしまうものでどんな夢だったかさっぱり忘れてしまった。

「大丈夫そう?大変だったわね。」

何やら大変だった記憶はあるがもう忘れてしまった。

「まだ少し休んでいなさい。状況を飲み込んだだけでも貴方はすごいわ。流石ね。」

そういって彼女は振り返った。正直なところ一人になると思考が加速してメンタルがまた崩壊しかねないので誰か話し相手が欲しいがここにそんな人いるわけなく彼女も忙しいのだろうし。水があったので飲む。手に取って命の水を口にそs

「わっ」

「ワァァァァーーーーッッ!!!!???ゲホッゲホッゴホッ!!!」

彼女である。去っていったはずの彼女がなぜかすぐ隣にいた。死にかけた。いや、この美女の「わっ」で死ねるなら本望か。にしても妙に馴れ馴れしいとは思う。

「驚いた?管理者権限ねこれ。すごいでしょ。えっへん」

クッソかわEやん・・・やっぱ一回死んどくか・・・とせき込みながらも思考する。

「一人じゃ寂しいだろうと思って戻ってきちゃった。迷惑だった?」

「いや全然むしろありがたいっす。」

「そ。じゃあも少しお話ししましょうか。あれは五百万年くらいかしら。」

そういうと彼女は今までの人類の遍歴をしゃべり始めた。霊長の管理者というだけあってスケールが鬼デカい。オタク特有のクソデカ数字表現ではなくマジもんの百万年前である。人類の生まれが何たら、文明の起こりが何たら。人類史の授業ではないがタメになる話を一時間くらいした。話を聞いていると一貫してこの人は人類を優しく母のように見守ってきたのが伝わってきた。

ふと、

「人類の管理者が、あなたみたいな人で良かった」

あ。まっずい言葉に出た。精神的疲労と一カ月寝ていた反動かまだクラクラしていた。

「そーかしら。あなたが言ってくれるなら私もうれしいわ。」

笑み~~~~~~は~~~~~これがリアル女神のほほえみ~~~~~~~元気出た~~~~~~~

「もう少し寝ていなさいね。明日からあなたの能力を確かめるわ。」

そういうとまた睡魔がきて、沈むように意識を手放した。

 

翌日、せわしなく戦いの準備が始まった。朝起きてすぐ身体検査が始まり、その後家族と連絡を取ることができた。どうやらそれなりに無事らしい。わが家族ながらたくましい。

「俺もこっちで頑張るから。」

と決意にこもった声で伝える。

「頑張んなさいよ」

と母上の声を聴き再び決意に燃える。

その後の昼食でアイツと再会した。アイツとは幼いころからの旧友でゲーム仲間でありオタク仲間であり、本当に気が合う友人である。もちろんあの軍に召集された時も一緒にいた。オタクなので涙の再会ではないが

「生きてたか」「おう」「よかったでござる」「おぬしも無事で何より」

何時代かわかんないが会話をし、まだ見ぬ午後へ向けて期待を募らせる。

大本命である能力の検査である。午前中ずっとソワソワしていた。いやもうだって全オタクの夢だろ能力。火ぃだしちゃおうかな~~召喚獣召喚しようかな~~どうしよっかな~~おっといけない最近の流行は一見クソ雑魚な能力でPT追放からの実はクソ強能力で追放されたPT見返すやつね。一見クソ雑魚でも大歓迎だぜ。本当に使いどころがなかったらどうしよう。泣いちゃうかも。ドギマギしながら体育館のようなところに連れていかれて、これを噛めとマウスピースをかまされた。同時にチョーカーももらい付けて、何をされるんだと思うと彼女がでてきた。

「ちゃんと噛んでてね?」

「え?ふぁい。」

「えいっ」

バチコーン!!!!!

「くぁwせdrftgyふじこlp!?」

なにされた!?雷に打たれた!?いやもうこれ雷に打たれたろ。絶対そう髪が雷でアフロになるやつ絶対そうすんごい10万ボルト食らったもん絶対スーパーマ〇ル人もびっくりだよ。

「なるほどね。今回の能力はこれか。」

「え?」

おもむろに手を見るとしっかり光っていた。まさか!?

「雷・・・ですか?」

「っぽいわね」

うおおおうおおうおうおうおwowowマジかぁああああああ!!!!!!!!こーれ勝ちです。まーず10万ボルトした後にヴァ―リーします。そのあとにレールガンパなして超次元サッカーします。FUUUUUUUUU~~~~~~最高に気持ちえぇ~~

「これ、どうやったら使えます?」

冷静を装い聞いてみる。

「イメージ通りにできるはずよ。基本的にあなたたちの思う通りにできるようにしてあるから。」

とな。ほう。じゃぁほな・・・

バチコーン!!!!!!!!!!!!

でたぁ!!!雷!!!ほとばしる電流!!!劈く轟音!!!かっけぇええええええええ

「ワ・・・すっごい・・・」

女神様もびっくりの威力である。これがなろう主人公の気持ち・・・おれまたなんかやっちゃいましたぁ~~~~???

興奮も冷めないままとりあえず女神様から注意事項の確認

 

※貴方みたいな広範囲に影響を及ぼす能力は仲間にも危険。使い方はしっかり確認して。

※使い方は基本的にあなたのイメージに依存している。

※エネルギー切れとかもある。しっかり見極めて。

※あなたは人を殺せる力を手に入れてしまった。力に溺れることがあったら首のチョーカーで死にます。

 

さらっとすごいこと書いてあったぞ。まぁでも妥当かこれ。そりゃそうだよな。カ〇ㇾ君みたいに吹っ飛ぶんかな。

「しかしこの能力なら明日にでも前線に・・・!」

「そうだな。今は一人でも何人でも前線にほしいところだ。」

「いやしかしまだ一日ですよ??」

等々大人の事情が聞こえてくるがまぁ従うしかないだろう。そして女神さまはというとまぁ予想通りうんざりしている。そりゃそうだろう。自分で言うのもなんだが俺まだ18だし。戦場なんて行ったことないし。いざ戦うってなったらなにするかわかんないし。正直な話?そりゃもちろんいやだね。現代社会では特殊な能力って夢見られてるけどこんな世界じゃ能力なんてもってない方が長生きできるだろうし。雑魚狩りだけしていたい。命なんて張りたくない。が、まぁ従うよ。ちょっとウキウキ?ははっ。そりゃするやろ。まぁでもそれなりに気合を入れて覚悟を決めて、ね。いきたいとは思ってる。

波乱の能力検査の後はすぐに能力の試し打ちや使い方のアイデアを考えさせられた。とりあえずアニメのやつは全部やってみんべ。と思って全部やったら急に倦怠感が来た。これが限界か。思ったより何もできなくなった。歩くことで精いっぱいになった。すぐに医務室に運ばれてまた身体検査。異常なしとされ解散となった。

連れてこられた新しい寮の部屋に行くとアイツが待っていた。

「聞いたよ。お前雷の能力だったらしいじゃんか!」

「ふふふふ拙者、雷の使い手でござる。勇者になるか暗殺者になるかゴールデンライダーになるかになるか悩んでる。」

「ゴールデンだなぁそれは。」

ゴールデンな会話である。そして少しためらったがまぁこの様子なら大丈夫だろうと、

「お前はどうだったん?」

と尋ねる。

「俺か?・・・実は・・・」

ゴクリ・・・と。しかし奴はおもむろに手を出して、バチン!!!と手を光らせて見せた。

「おまっ!!もしやぁぁ!!!!!!!」

「実は俺も雷だったんだよなぁぁぁぁ!!!!!!!」

「ま!じ!か!」

うおぉおおおおおおおおおおおお!!!!これに関してはシンプルにうれしい。うれしすぎ。

「これが・・・運命・・・ッてコトォ!?」

「いやキモ」

「アッ・・・スミマセン・・・」

いつものノリやんけ。でも・・・・最高だった。

 

何でもできそうな気がした。自分にこんな素晴らしい能力が発現し、親友もなんと奇跡的に同じ能力に目覚めたのである。そりゃ誰だってテンションアガるだろ。オタクならなおさら。そのまま夜まで能力の話やオタク話を繰り返し大いに笑った。

 

その翌日、結局戦場入りを告げられ、アイツとは離れることになった。初めてのヒリヒリした〝戦場の空気〟に身を焦がしながらの初陣に彼は——————

 

 

——————彼が帰ってくる事はなかった。

 

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