呪いのベルトでやれるわけねぇだろ!   作:かかむりょう

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唐突に思いついたネタです。

暇つぶしにどうぞ!


特典が最悪な件について

 突然だがみんなに言いたいことがある。実は俺……転生者なんだ。

 

 何言ってんだこいつって思うかもしれないが、まぁとりあえず俺の話を聞いてくれ。

 

 俺は前世では大学に通ってて、その日はちょうど大学から帰る途中だったんだ。それで信号機が青になったと同時に横断歩道を渡っていたら……

 

「危ない! 避けろぉぉぉ!」

「…………え?」

 

 突然そんな叫びが聞こえてきたと同時に、俺は猛スピードで突撃してくるトラックにおもいっきり跳ねられた。俺は痛みを感じる暇もなく、宙を舞いながら薄れゆく意識の中で、

 

(今日の晩飯…………何にしよう)

 

 そんなことを考えながら、俺は命を落とした。そして気が付けば真っ白な空間で目覚めて、そこにいた神様と名乗る男にこう告げられた。

 

『お主はトラックにはねられて死んだのじゃ。本来ならお主は天に召されるのじゃが、せっかくなのでお主を転生させることにした。転生先と特典は適当に決めるから、転生先の世界でも頑張るのじゃぞ』

 

 その言葉と同時に俺はどこかの世界へと転生させられた。そもそもなぜ俺はあの白い空間にいたのか、なぜ俺は転生させられるのか、そしてなぜ転生先と特典を勝手に決めるのか、言いたいことは色々あるがひとまず俺は無事に転生することができた。

 

 こうして俺──村上雅人(むらかみまさと)の新たな人生が始まったのだ! …………と言いたいところだったが、ここで問題が二つできてしまった。

 

 一つ目は転生先の世界が、『ノイズ』という認定特異災害と呼ばれるものが存在している世界だということだ。俺が調べた限りだけど、この『ノイズ』と呼ばれるものは、何もない空間からいきなり現れて人間だけを襲い、触れた者を自身も含めて炭素の塊に変えてしまうという恐ろしい怪物だ。また、通常兵器はほとんど効かず、遭遇した場合は避難用シェルターに避難してノイズが自然消滅するのを待つしかないというのも、その恐ろしさに拍車をかけている。

 

 と言っても、ノイズに遭遇する確率は人生で通り魔に合う確率より低いとされているうえに、放っておけばそのうち自壊するので、正直そこまで気にする必要もないかなと思っていた。

 

 問題は二つ目の、特典についてだ。一般的には転生する際の特典は自分の好きなものを選べるのだが、俺の場合は神様が勝手に決めてしまったので、どんな特典を得たのかが分からなかったのだ。俺は転生した直後に、特典らしき一つのジュラルミンケースを見つけたのでそれを確認した。きっとこの世界で生きていくうえで役に立つものだろうと信じて。そしてケースに入っていたのは…………『カイザギア』と呼ばれるアイテム一式だった。

 

 

 

 そう…………あの『呪いのベルト』と呼ばれたカイザドライバーを中核としたアイテム一式である。

 

 

 

 一応このベルトが何なのかを説明すると、カイザドライバーは仮面ライダーカイザに変身するためのベルトだ。仮面ライダーカイザは仮面ライダーファイズよりも高出力のフォトンブラッドを生成でき、ファイズよりもパワーに優れた性能をしている。ツールに関してもカイザ独自のものが存在し、双眼鏡としても使用可能な『カイザポインター』や、ブレードモードとガンモードの二つの形態をもつ遠近両用武器『カイザブレイガン』など、充実したものが装備されている。さらに、ファイズはフォトンブラッドを制御できる存在…………すなわち『オルフェノク』と呼ばれる存在しか変身できないのに対し、カイザはフォトンブラッドを制御できない者でも変身できる。つまり極端な話、だれでも変身できるということだ。

 

 しかし、このベルトにはある致命的な欠点がある。先ほどフォトンブラッドを制御できない者でも変身できると言ったが、このベルトで変身した者がカイザドライバーに適合できなかった場合…………

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()。そう、文字通り変身者は骨すら残らず灰になってしまうのだ。

 

 

 

 

 それを回避するには、オルフェノクになるかオルフェノクの記号を埋め込むしかないわけだが、どうやら俺はオルフェノクとしてではなく、ただの人間として転生したらしい。なので、俺は変身したが最後、カイザギアによって灰化消滅させられてしまうのだ。

 

 そしてそのカイザギアが俺の特典であると理解すると同時に、俺は神様に対して思いっきり叫んだ。

 

「なんつーもん選んでんだあのクソジジイぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」

 

 あの時無理やりにでも自分で決めさせてくださいと言っていれば、まだマシなものが手に入っていたのかもしれない。これがデルタギアとかならまだしも、まさか変身したら死ぬベルトを特典にされるとは思わないじゃん? こんなデメリットがヤバすぎる物が特典じゃあ、もはや特典なんてあってないようなもんだわ! 

 

 とまぁこんな感じで、転生直後は途方に暮れていたが、嘆いていても仕方ないと気持ちを切り替えることにした。あと、生活面に関しては神様が気を利かせてくれたっぽくて、カイザギアの近くにあった通帳には1000万が振り込まれていた。ちなみに転生した後の俺は中学卒業した直後であり、俺は通帳に振り込まれた金を使って高校卒業まで過ごした。その間、特にノイズに遭遇するわけでもなく、転生前と変わり映えのない生活を送っていた。

 

 カイザギアに関しては、ご丁寧にケースに同封されていた取扱説明書を読んで、一通りの使い方はマスターした。といっても、カイザフォンは日常生活で携帯として愛用しており、たまにカイザショットで写真を撮ったりと、もっぱら普通の電子製品として利用しているけど。こうして普通に使っている分には問題ないしかっこいいしね。ちなみにサイドバッシャーはサイドカーを分離して単車として愛用している。

 

(なんだ。ここがどういう世界か知らないけど、ノイズってのが出る気配もないし、カイザギアも普通にかっこいいだけの電化製品だし、ちょっと拍子抜けだな。ま、本当は何もないのが一番だけど)

 

 こうして俺は、特に変わり映えのない平凡な生活を続けていくのでした…………とは、残念ながらならなかった。

 

 

 

 ~~~~~~~

 

 

 

 ある日のこと、俺が大学に進学してから始めたバイトが終わり、そのまま帰路についていると、突然サイレンが鳴り響いた。

 

「ん? なんだこのサイレン?」

 

 俺は何が何だかわからずその場に立ち尽くしていたが、サイレンに続いて流れた放送に文字通り震えあがった。

 

『ノイズ出現。市民の皆さんは急いで避難用シェルターに避難してください』

 

 そういった感じの放送が流れると同時に、俺の目の前の空間から何かが出てきた。それは、液晶ディスプレイのような部位を持ち、生物的な外見をしていた。大きさは人間位のもので、一体、また一体と徐々に増えていった。

 

「…………おいおい。まさかこれって、ノイズってやつ?」

 

 俺は初めて見るノイズに少し、いやかなり恐怖心を抱いていたが、このまま立ち尽くしているのはまずいと思い、ノイズに背を向けて一目散に逃げだした。するとノイズも俺の後を追ってくる。

 

「くそ! こうして直接見るのは初めてだけど、どう見たって普通じゃないのは確かだな! 明らかにヤバいってわかるし!」

 

 そんなことをつぶやきながら、俺は時々背後を確認しながらシェルターへと急ぐ。幸いにも避難用シェルターまではそう遠くなく、このまま走り続ければ無事にシェルターまでたどり着けると思われた。

 

 しかしそんな俺をあざ笑うかの如く、突如俺の目の前の空間から複数のノイズが出現し、俺の行く手を阻んだ。

 

「ちょ、なんで目の前に現れるんだよ!? しかも地味に多いし!」

 

 俺は必死に思考を巡らせてこの状況を打破できないか考える。もたもたしていると、後ろのノイズに追いつかれて俺の人生は終了だ。嫌だ! 俺はまだ死にたくない! せめて童貞ぐらい卒業させてくれ! 

 

 そんなことを考えていると、ふと、俺はある物をポケットから取り出す。それは俺が日常的に愛用しているカイザフォンだ。それを見た瞬間、俺はある一つの考えにたどり着く。

 

(これ、確か銃としても使用できるんだったよな? もしかしたらこいつらを倒せるかもしれない!)

 

 それでノイズを倒せるか確証はなかったが、助かるにはもうやるしかない。俺はカイザフォンをフォンブラスターに変形させ、銃口を目の前のノイズに向けた。

 

(え~と、確か説明書に乗ってあったコードは…………)

 

 俺は説明書の内容を思い出しながら、カイザフォンのテンキーで『103』と入力してエンターキーを押すと、

 

『Single mode』

 

 という低い音声が流れた。俺は無我夢中でフォンブラスターのトリガーを引くと、凝縮されたフォトンブラッドの弾『フォトンバレット』がノイズを打ち抜き、瞬く間にノイズを炭化させた。

 

「よ、よし! これならいける!」

 

 俺は続いてテンキーで『106』と入力し、カイザフォンのエンターキーを押した。

 

『Burst mode』

 

 再び低くくぐもった音声が聞こえたのを確認して、俺は再度ノイズの群れに対してフォンブラスターのトリガーを引く。すると先ほどの凝縮されたフォトンバレットとは打って変わって、連続で三連発のフォトンバレットが放たれ、それらはノイズを打ち抜いて炭素の塊へと変えていった。

 

 しかし12発ほど撃ち終えた辺りで、突然弾が出なくなった。

 

「へっ!? 嘘だろもう終わり!?」

 

 思いのほか一瞬で弾切れになったのに驚く俺だったが、落ち着いてテンキーの『279』を入力する。

 

『Charge』

 

 するとフォンブラスターに弾が装填されたので、俺は再びフォンブラスターを放つ。

 

(武器として使うのは今回が初めてだけど、これは練習が必要だな)

 

 その後もフォンブラスターでノイズの群れを撃ち抜いていき、一通り全滅させたところで避難用シェルターに向けて走り出した。そして避難用シェルターに入ると、そこにはたくさんの避難民であふれかえっていた。

 

(よかったぁ……俺、生きてんだよな?)

 

 俺は無事に避難用シェルターにたどり着けたことに安堵したのか、その場にへたり込んで大きく息を吐いた。そこからは特に何もすることがなかったので、警戒が解除されるまで眠った。

 

 それからしばらくして、ノイズがすべていなくなったとのことで警戒が解除され、俺を含んだ避難民たちはそれぞれの家へと帰っていった。

 

 家への帰路につきながら、俺は頭の中で先ほどの戦闘を思い出していた。

 

(にしても恐ろしかったなノイズは。少しでも触れちまったらアウトだし)

 

 けど対処できないわけではない。フォンブラスターでノイズは問題なく倒せたし、おそらくカイザブレイガンでも同じように倒せるだろう。必殺技は使えないが、ツール自体は変身しなくても問題なく使用できる。そこまで考えて、俺はある結論にたどり着いた。

 

(もしかして、変身しなくてもやっていけるのでは?)

 

 そう思った俺だったが、すぐにその考えを頭から追いやった。

 

「いやいや、だとしてもそう何度も奴らに出くわしたくはないな」

 

 今回はたまたまうまくいっただけで、次も同じようにいくとは限らない。もしかしたら、今日であった奴らよりも強いノイズに遭遇するかもしれない。そんな相手に生身で立ち向かおうもんなら、返り討ちにあって炭素に変えられるのがオチだ。

 

「けどだからと言って変身するわけにもいかないしなぁ……」

 

 そもそもノイズに遭遇するのはこれで最後かもしれない。なんせノイズに遭遇する確率は一生に一度会うか会わないかの確率なのだから。

 

「ま、何とかなるか! 何はともあれ、こうして生き残れたんだし!」

 

 そう言いながら、俺は軽い足取りで自分の住んでいるアパートに入っていった。明日も忙しいのだから、早く晩飯食って寝ないと! 

 

 

 

 

 しかし、そんな俺の楽観的な考えは、すぐに裏切られることになる。

 そしてそれが、後に多くの悲劇をもたらすことを、この時の俺は知る由もなかった。




思い付きのネタなので、多分そんな続きません。

実際一回だけ変身できて、変身解除したら死ぬベルトを渡されたら、読者の皆さんはどうしますか?

カイザについて

  • 男なら命かけて戦え!(変身する)
  • やっぱ命あってこそだよな(変身しない)
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