呪いのベルトでやれるわけねぇだろ!   作:かかむりょう

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思いのほか筆が進みました。

今回は原作主人公と雅人の初邂逅です。


今どきガラケーって珍しいのか?

 あれから俺は、またいつも通りの平穏な生活に戻った。一応またノイズに遭遇した時のために、人目に付かないところで射撃の訓練はしているが、あれ以来ノイズが出現することもなく、完全に宝の持ち腐れになっていた。

 

「ふぅ……今日はこのぐらいにしとくか」

 

 俺は今日も人目の付かない空き地で射撃訓練を終えると、帰りにスーパーで今夜の晩飯の材料を買って帰宅した。

 

「あ…………そろそろ充電が切れそう」

 

 俺はリビングに置かれているカイザドライバーにカイザフォンをセットした。カイザドライバーにはカイザフォンの充電器としての機能も備わっている。コンセントいらずでセットするだけで充電できるので、出かける際にカイザドライバーを腰につけておけば外でも充電できるのだ。もっとも、カイザフォンは普通に使っていても240時間もつというとんでもないバッテリー量を誇っているので、そうそう充電切れを起こすことはない。それに充電するためだけにベルトつけて出かけるのもどうかと思う。

 

「さてと、フォンブラスターはだいぶ使いこなせるようになったと思うし、そろそろカイザブレイガンを使った訓練もしておくか」

 

 俺はそう言ってジュラルミンケースに入ったカイザブレイガンと説明書を取り出し、カイザブレイガンを片手に説明書を読む。

 

「え~と、『通常時は『ガンモード』で、一度に放てる弾は12発。リロードはコッキングレバーを引いて行う。ミッションメモリーを挿入すれば『ブレードモード』が起動してフォトンブレードが生成される。ヒーティング・イニシャライザでフォトンブラッドの放射量をロー、ミドル、ハイ、アルティメットの4段階で調整できる。また、ブレードモード時でもセーフティスイッチを解除すればガンモードと同じように射撃可能』…………なるほど、だいたいわかったかも」

 

 後はひたすら練習すれば使いこなせるようになるだろ。習うより慣れろっていうし。

 

「…………ってそうじゃねぇだろ!」

 

 今頃になって思ったが、何故俺は訓練なんてことをしているのか。この間ノイズに襲われたから身を守るために訓練していると言えば聞こえはいいが、よくよく考えたらなぜ現れもしないノイズに備えているのか。通り魔に合うことすらそうそうない(と思いたい)のに、それ以上に遭遇する確率が低いノイズに備える必要があるのか。

 

「…………何やってんだろうな、俺」

 

 そう考えたら俺は、自分が来るべき時に備えて力をつけているという、身もふたもない言い方をすればただの中二病患者のように思えてきた。なんならこの前遭遇したノイズは夢だったんじゃないかとさえ思えてくる。

 

「…………考えても仕方ねぇ」

 

 何はともあれ、訓練しておいて損はないだろう。そう思うことにした俺は、今日の帰りに買っておいた材料で唐揚げを作り、それを食べて眠りについた。

 

 

 

 ~~~~~~~

 

 

 

 翌日、俺は大学の授業が終わって駅へと向かっていると、通りかかったゲームセンターで一人の少女がうなだれていた。

 

「うぅ……このUFOキャッチャー絶対壊れてるよぉ……。絶対今のは取れてたってぇ……」

「まぁまぁ……また今度頑張ればいいでしょ? 今日はたまたま運がなかったんだよ……多分」

 

 よく見ると二人組の片方であるボブカットの少女がUFOキャッチャーで目当ての商品が取れずにうなだれており、それを黒髪の少女が慰めている様子だ。

 

「嫌! これ取るまであきらめない! もう一回! もう一回だけ!」

「そう言ってからもう何回目なの! 言っとくけど、これで響のご飯代なくなっても知らないから」

「うっ、だ、大丈夫だよ! 次こそ絶対取れるから!」

 

 そういって響と呼ばれたボブカットの少女は、財布から100円玉を取り出して投入口に入れた。そしてボタンを操作して景品の丁度真上にアームが来るように動かした。

 

「よし! これはいける!」

 

 そう息巻いていた彼女だったが、無情にもアームは景品を少し動かしただけで獲得には至らなかった。

 

「あぁ~!? そんなぁ……」

「はぁ……だからまた今度にしようって言ったのに……」

「うぅ~! まだまだぁ! 今度こそ! 今度こそ!」

 

 ボブカットの少女はそう言って財布の中身を見る。しかし、財布の中にはもう小銭はこれっぽっちも残ってなかった。

 

「あ…………」

「…………」

「え、えっと……未来?」

 

 ボブカットの少女は恐る恐る未来と呼ばれた黒髪の少女の顔を見る。黒髪の少女の顔は、彼氏に自分が稼いできた金を全額パチンコに溶かされた時の彼女のような顔をしていた。

 

「…………はぁ」

 

 そんな呆れた表情でボブカットの少女を見つめる黒髪の少女を見て、俺は苦労してそうだなと思いつつ再び駅へ向かおうとしていた。

 

(正直、あと少しで取れそうな気はするんだけどなぁ……)

 

 そんなことを考えながら歩こうとした俺だったが、そこに俺を呼び止める声が聞こえてきた。

 

「あ、あのすいません!」

「?」

 

 俺が声のした方に振り向くと、そこには先ほどUFOキャッチャーで玉砕したボブカットの少女がいた。

 

「なんか用か?」

「その、えっとですね……」

 

 俺は一体何を言われるのかと少し身構えたが、そんな俺に彼女はこう言ってきた。

 

「お金、貸してくれませんか!」

 

 この日、俺は生まれて初めてカツアゲにあった。

 

 

 

 ~~~~~~~

 

 

 

 あのあと、ボブカットの少女から事情を聞いた俺はゲームセンターに行ってUFOキャッチャーに挑戦し、運よく一発で景品をゲットすることができたので、それを彼女に渡した。

 

 そこで一件落着になればよかったんだけど、それを良しとしなかったのが黒髪の少女だ。彼女はボブカットの少女と一緒に頭を下げてきて、感謝の言葉と同時に謝罪してきた。

 

 俺は別に気にしてないと彼女たちに言ったのだが、せめてお礼をさせてほしいと譲らなかったので、俺はジュース一つで手打ちにしようと提案し、彼女たちはそれを受け入れた。

 

 ボブカットの少女は先ほど全財産を使い果たしてしまったので、黒髪の少女がジュースを買いに行ってる間、近くにあった公園のベンチで待つことになった。

 

「お待たせしました!」

 

 しばらくすると、3人分のジュースを買ってきた黒髪の少女が戻ってきたので、俺は彼女からジュースを受け取る。

 

「いやいや、わざわざありがとう」

「気にしないでください。元々悪いのは私たちなんですから」

 

 俺たちはベンチでジュースを飲みながらしばらく話していると、ボブカットの少女が俺に頭を下げてきた。

 

「あの、先ほどは本当にすいませんでした!」

「いや、もういいって……にしてもそんなにそのクマのぬいぐるみが欲しかったのか?」

「はい……。一目見た瞬間これ欲しいってなって……それで無我夢中で挑戦したら財布の中身が空っぽになっちゃって……それでもどうしても諦められなくて……それで、つい……」

「俺を見つけてカツアゲをしちゃったと」

「わぁ~! それは言わないでください~! ちゃんと反省してますからぁ!」

 

 彼女は慌てた様子で俺に訴えた。すこし可愛らしいと思いつつも、俺は彼女に言葉を返す。

 

「本当に気にしてないって。確かにいきなりお金貸してと言われた時は驚いたけど、こうして謝ってくれてるんだから。それに、そのクマのぬいぐるみを渡したときにもありがとうって言ってるから、俺はそれで十分だよ」

「本当にありがとうございます……。あ、そういえば自己紹介がまだでしたね! 私は立花響と言います!」

「私は小日向未来って言います」

 

 ボブカットの少女に続いて黒髪の少女も自己紹介してきたので、俺も彼女たちに自己紹介する。

 

「俺は村上雅人。今年大学生になったばかりだ。よろしく頼む」

 

 その後、俺たちはしばらく世間話をした。つい最近出たノイズの件や、学校生活などの話をしていると、立花が何か気になる様子で俺の方を見てきた。

 

「あの、村上さん。あなたが持ってるそれって……」

「ん? ああ、これか?」

 

 俺は手に持っていたカイザフォンを立花に見せた。すると立花とその隣の小日向は興味津々と言った様子でカイザフォンを見た。

 

「見たことないデザインですけど、それって携帯電話何ですか?」

「あぁ、もう使い続けて何年か経つけど、結構気に入ってるんだ」

「わぁ~! かっこいいですねそれ! ……でもそれ結構使いにくそうですね」

「それは言わないでくれ。俺も少し気にしてるんだから」

 

 俺は立花の指摘を受けて改めてカイザフォンを見た。正直カイザフォンは武器としてはともかく携帯電話としてはすこし……いやかなり使いにくいと思う。ぶっちゃけ普通にスマホとかの方が便利だし使いやすい…………なんてカイザギアに向かって言ったら間違いなく灰化させられるな。

 

「村上さんはスマホは使わないんですか?」

「ん~、それ大学の友達にも言われたんだけど、なんか今更って感じがするし、もう慣れたってのもあるしな。ていうか今どきガラケー使ってる人っていないのか?」

「私や響のクラスは全員スマホですね。私の知る限りだと、ガラケーを使っている人はほとんどいないと思います」

「そうなのか…………」

「でも他のクラスにごく少数ですけどガラケーを使ってる人がいるって話は聞きますね。今でこそ私たちにとっての携帯はスマホってイメージですけど、だからこそガラケーは珍しいものになってるみたいで、一部の人達には人気だって聞いたことがあります」

「なるほど……」

 

 俺は小日向の話を聞きながら携帯について考えていたが、よくよく考えたらなんで俺携帯なんかでジェネレーションギャップ感じてるんだろう。俺はまだ大学生になったばかりのガキんちょだぞ? …………おい誰だ『お前精神年齢おっさんだろ』って言ったやつ。カイザギア使って灰化させるぞ。

 

「っていうかもう夕方じゃねぇか。少し話過ぎたな。そろそろ帰らねぇと」

「うえっ!? もうそんな時間なんですか!?」

「響、そろそろ帰ろう?」

「えぇ~未来ぅ……もっと村上さんとお話したいよ~……ちょっとぐらい遅くなっても……」

「「だめに決まってるだろ(でしょ)」」

「はい…………」

 

 立花は露骨に落ち込んだ様子を見せたが、やがて帰り支度を整えると、俺たちはそれぞれの帰路に就く。

 

「それじゃあな立花、小日向。くれぐれも寄り道とかはするなよ。特に立花」

「しませんよ!? そんな不良じゃないんですから!」

「カツアゲ」

「本当にすいませんでしたまっすぐ家に帰ります」

「響…………」

 

 小日向は呆れた様子で立花を見るが、先ほどとは違ってどこか微笑ましいものを見るかのような顔だった。

 

「あの、村上さん」

「ん?」

「また会えますか?」

「知らね」

「そこはきっと会えるとか言うべきでは!?」

 

 立花のツッコミを受けながら、俺は駅に向かって帰っていった。振り返ると、立花と小日向は仲良く手を繋いで俺とは反対方向に帰っている。あの二人は相当仲がいいみたいだ。

 

「……結構面白い奴らだったな」

 

 そう思いながら俺は駅について電車に乗る。電車の中は運の悪いことに帰宅ラッシュで人が混雑していた。

 

(ついてねぇ…………)

 

 前世でも帰宅ラッシュはきつかったが、転生した後も帰宅ラッシュはきつかった。しばらく電車に揺られていると、近くの男たちの話声が聞こえてきた。

 

「なぁお前、最近なんの音楽にハマってんだ?」

「何って、そりゃお前ツヴァイウィングの曲に決まってんだろ! 『天羽奏』と『風鳴翼』の二人組のアイドルだよ! 知らねぇのか?」

「あぁ、なんでも最近話題になってるらしいな」

「話題なんてもんじゃねぇ! 今のご時世ツヴァイウィングを知らない奴なんていないぞ! 二人の歌姫が織りなすライブは言葉では表せないぐらいヤバいって話だ!」

「そ、そうなのか……」

 

(ツヴァイウィング?)

 

 俺は聞きなれない言葉を聞きながら、男が言ったアイドルの名前について考えていた。

 

(そんなに人気なんだな。もしかしたら立花たちも知ってるのかな?)

 

 そんなことを考えながら、俺は家に帰っていった。今度立花たちに会ったら聞いてみるか。




今回は特に戦闘描写はありませんでしたが、次回はまたノイズとの戦闘描写が出る予定です。といっても生身でノイズと戦うのは危険なのであくまで逃げながら戦うことになりますが。

ぶっちゃけカイザフォンって携帯としては使いにくそうですよね。地下でも通話が途切れないのとバッテリー量がとんでもないところはいいかもですけど。

カイザについて

  • 男なら命かけて戦え!(変身する)
  • やっぱ命あってこそだよな(変身しない)
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