てかアンケート見てたら、8割以上の方が雅人君の変身を望んでる状況に笑いが止まらないです(笑)こりゃもう逃げられないな?
立花たちと知り合ってから二週間ほどが過ぎた。相変わらずノイズが出てくる気配はないので、俺は今日も今日とて訓練に励んでいる。
「ふっ! はっ!」
俺はブレードモード状態のカイザブレイガンを振るう。この二週間の訓練で、カイザブレイガンの扱いにもだいぶ慣れてきた。特にブレードモードの扱いはこの二週間だけでもとても上達したと言える。これもきっと前世でフェンシングや柔道とかを頑張ってきた賜物だろう。転生してからも日々特訓は続けてきたからそこら辺のチンピラ程度なら普通に倒せると思う……多分。
「よし、今日はここまでにしよう」
俺はカイザブレイガンからミッションメモリーを抜いて元の状態に戻すと、持ってきたジュラルミンケースの中にしまう。俺はジュラルミンケースを手に取って自宅への帰路に就く。気が付けばもう夕方になっていた。
『ここで、次のニュースです。先日、某ドームで行われたツヴァイウィングのライブですが、当日の会場は大盛況の様子を見せました。天羽奏さんと風鳴翼さん、二人の歌姫の人気はとどまるところを知りません。二人の今後の活躍がより一層注目されます!』
俺は家に帰る途中で通りがかった家電量販店のテレビの画面に目を向ける。どうやらちょうどニュースをやっていたようで、画面にはニュースキャスターが何かの紹介をしているのが見えた。
(……ていうかあれって、もしかしてこの間電車で噂されてた……確か、ツヴァイウィングだったか)
俺はこの間の噂話の内容を思い出しながらテレビを見る。よく見ると、ニュースキャスターが紹介しているのはそのツヴァイウィングについてだった。紹介映像では赤髪の少女と青髪の少女の二人組が大勢の人達の前で笑顔で歌っている。
「……すげぇな」
少し紹介映像を見ただけの俺でもわかる。自分たちだけが輝くのではなく、観客全員と一緒に輝こうとするその姿はすごいとしか言いようがなかった。もし実際にライブ会場で彼女たちの歌を聞いたらどうなるんだろうか。
(……なんて考えすぎか。彼女たちの歌に限らず、自分の好きな歌手の歌を実際のライブで聞いたら感動するもんだし。彼女たちだけが特別なわけじゃない)
そう思いながら再び家路に就こうとしたとき、突然俺の耳に聞き覚えのあるサイレンの音が聞こえた。
「このサイレンの音って……まさか!」
俺がそうつぶやいた次の瞬間、
「ノイズだぁぁぁぁぁぁ!」
街の人の悲鳴が辺り一面に響き渡った。それと同時にノイズが街中に現れ、人々を襲い始めた。
「きゃあああああ!」
「逃げろぉぉぉぉぉ!」
さっきまで静かだった夕方の街は、たちまち逃げ惑う人々の悲鳴で覆いつくされる。
(くそ! なんでまたあいつらが!?)
かく言う俺自身も内心ではパニックを引き起こしていた。最後にあいつらと出くわしてまだ一か月も立ってないというのに、まさかこんなに早く再会することになるとは思わなかった。しかも間が悪いことに──
「前よりも数が多くなってる……!」
前とは違ってノイズの数が多かった。俺の前方だけでなく、後ろの方にもそれなりの数のノイズが蔓延っている。このままではいずれ囲まれて袋叩きに合うだろう。以前は今より数が少なかったからなんとか逃げ切れたが、今回はとてもじゃないが逃げ切れそうにない。
「……でもある意味運が良かったかもな」
だが以前と違うのはノイズたちだけではない。偶然にも俺の手元には、訓練のために家から持ち出したカイザブレイガンがある。だからと言ってこの状況がヤバいことには変わりないが、カイザフォンだけで戦うよりかは遥かにましだろう。
「今こそ訓練の成果を見せるとき……ってな!」
そう言うと俺はジュラルミンケースを開いてカイザブレイガンを取り出した。俺はカイザブレイガンの銃口を近くのノイズに向けて引き金を引く。カイザブレイガンの銃口から放たれたフォトンバレットは、ノイズに当たると同時に奴らを消滅させていく。
「そらそら! どんどんいくぞ!」
ノイズを倒していくうちに調子づいてきた俺は、その勢いのままに周りのノイズを殲滅しようとする。しかし12発ほど撃ち終えたあたりで突然弾が出なくなった。
(……忘れてた。そういえばこいつも12発撃ったらリロード挟まないといけないんだった)
俺はカイザブレイガンのコッキングレバーを引いてリロードを行う。少し落ち着いた俺は、近くに残っているノイズを一体ずつ倒していく。やがて一通りノイズを殲滅したことを確認すると、カイザブレイガンをケースに戻してシェルターに向かって走り始める。
「いけないいけない。俺自身は生身だから触れたら終わりだってのに、つい調子に乗っちまう」
もしあのまま戦い続けていれば、俺は調子に乗ってブレードモードで切りかかろうとしていたかもしれない。そうなったら俺は、間違いなくノイズの数の暴力でやられていただろう。
(間違えるな俺。今使ってるツールは、あくまで奴らから逃げ切るために使う物。調子に乗れば命取りになる)
心の中で改めて自分を戒め、俺はシェルターへと向かう。
「うわぁぁぁぁん! お母さん、どこぉぉぉ!?」
「……っ!?」
シェルターに向かって走っていると、突然俺の耳に子供の泣き声が聞こえてきた。声のした方へ走ると、泣きながら母親を探す女の子がいた。俺は急いで女の子の下に向かう。
「おい、大丈夫か!? お母さんはどうした!?」
「ひぐっ……お母さんと一緒に買い物にきて……飲み物買ってくるから待っててねって言われて……でもいつまでたっても戻ってこなくてぇ……」
女の子は悲痛な表情をしながら俺にそう話す。俺は頭の中で最悪の展開を思い浮かんだが、そんなことを考えるよりも先にこの子を避難させるのが先だと考え、俺は努めて勇気づけるように女の子に話しかける。
「大丈夫だ! お兄ちゃんが必ずお母さんに会わせてやる! そのためにも、絶対に生きて帰ろう!」
「お兄ちゃん……」
「なぁに、お兄ちゃんが君をシェルターまで速攻で連れてってやるから! ……いけるか?」
俺は真剣な眼差しで女の子に向かって問いかける。すると女の子は笑顔で応えた。
「うん! 私、頑張る!」
「いい返事だ! さぁ、シェルターまで走るぞ!」
俺は女の子を連れてシェルターまで急ぐ。急ぐ途中で何回かノイズに遭遇したが、
「邪魔だどけ!」
その度にフォンブラスターで蹴散らしつつ、順調にシェルターに近づいていった。そしてあと少しでシェルターにたどり着くといったところで、
「おいおい……マジかよ!」
目の前にノイズが複数出現した。しかもいつの間にか後ろにも出現しており、俺たちは知らぬ間に囲まれてしまっていた。
(なんでまたシェルターまであと少しってところで出てくるんだよ! お前らさては作戦でも立ててるんじゃねえのか!?)
「お、お兄ちゃん……」
女の子はノイズの群れを見て泣きそうな声をあげながら俺の方を見る。俺はそれに対して、心配させないように笑顔で応えた。
「大丈夫。俺がすぐにやっつけて無事にシェルターまで連れて行くから。お兄ちゃんに任せとけ」
俺はケースからカイザブレイガンを取り出し、さらにポケットからカイザフォンを取り出してフォンブラスターに変形させ、それぞれ片手に装備する。そうして俺は、敵意を持ってノイズの群れを睨みつける。
「……さて、俺たちはお前らではなくシェルターに用があるんだ。邪魔するってんなら……容赦はしないぞ!」
俺はカイザブレイガンとフォンブラスターの銃口をノイズの群れに向け、同時に引き金を引いた。それと同時にノイズたちも一斉に襲いかかってくる。
「君! 絶対に俺から離れるなよ!」
「うん!」
俺は女の子にそう伝え、ノイズの殲滅に集中する。数はそれなりに多いが、倒せない数じゃない。さっさと倒してシェルターに行かねば。
「そこ!」
俺はカイザブレイガンとフォンブラスターから放つフォトンバレットを、一発たりとも外さずに的確にノイズに当てていく。弾が切れる度にリロードを挟むが、訓練で慣れていたおかげか片手でリロードを行えるようになっていた。
(結果的にとはいえ、訓練を積んでおいてよかったな。……正直役に立つ時は来てほしくなかったけど)
心の中でそう思いながら、俺はノイズを殲滅していく。そうしてノイズを捌き続けていると段々とノイズの数が減っていき、ついに最後の一体にまで減らした。
「これで……終わりだ!」
俺は最後の一体にフォトンバレットを放つ。ノイズが消滅したのを確認して、俺は女の子に駆け寄った。
「君! 怪我はないか?」
「うん! 大丈夫だよ!」
「そうか。怖くなかったか?」
「平気だったよ。だってお兄ちゃんなら大丈夫だって、信じてたから!」
それを聞いた俺は、この子の強さに思わず笑みがこぼれてしまった。
「はははっ! 君は強いな!」
「えっへん!」
そうして俺たちは笑いあった後、そのままシェルターに直行した。その後しばらくシェルター内を探し回っていると、
「菜々子!」
どこかから女の子らしき名前を呼びながら、こちらへ向かってくる女性がいた。おそらくこの子の母親だろう。
「お母さん!」
菜々子は泣きながら母親の下へ駆け寄る。母親は泣きながら菜々子を抱きしめた。それを見た俺は親子が無事に再会できたことに心の底から安堵すると共に、菜々子に呼びかける。
「よかったな、お母さんに会えて!」
「うん! ありがとうお兄ちゃん!」
「娘を助けていただきありがとうございました! このご恩は絶対に忘れません!」
母親はそういって頭を下げてきた。俺は慌てて母親に頭をあげさせる。
「いえいえ、気にしないでください! それよりも、娘さんもあなたも無事に再会できて本当によかったです」
俺がそう言うと、母親はまたも俺に頭を下げてきた。
「本当にありがとうございました。あの、お名前は?」
名前を聞かれた俺は、親子の目を見ながら自分の名前を伝える。
「村上雅人。それが俺の名前です」
それを聞いた菜々子は、俺の前までやってくるととびっきりの笑顔で感謝の言葉を伝えてきた。
「ありがとう! 雅人お兄ちゃん! すっごくかっこよかったよ!」
その言葉を聞いた俺は、途端に恥ずかしい気持ちを覚えると共に親子に頭を下げてその場を立ち去ろうとする。
「雅人お兄ちゃん! また……会える?」
背中越しに菜々子は俺に問いかけてきた。それに対して、俺は菜々子の方へ振り向いて笑顔で応える。
「あぁ……きっとまた会える」
そして今度こそ、俺は親子の下から去った。
(……こんな厄ネタつかまされた俺でも、誰かを救えたんだな)
俺はこの世界に転生してからというもの、神様から一方的にこの特典を押し付けられたことをとんでもない呪いだと思ってきた。でも今回は、その特典のおかげで誰かを……菜々子を救うことができた。
(俺はヒーローなんてガラじゃないしなることもできないけど、今だけは……)
今だけは誰かの命を救えたことを素直に誇ろう。そう思いながら、俺は人ごみの中へ歩いて行った。
~~~~~~~
とある場所にて──
「なぁ旦那、その話本当なのかよ?」
赤髪の少女──天羽奏は信じられないといった表情で男を見る。
「あぁ、本当だ。お前たちが他のノイズと戦っている間に、お前たちと戦っていたのとは別のノイズの群れが、何者かによって倒された」
旦那と呼ばれたガタイの良い赤毛の男──風鳴弦十郎は、険しい表情をしながら奏にそう説明する。
「しかし叔父様。私には信じられません。私たち以外で、ノイズに対抗できる者がいるなどと」
青髪の少女──風鳴翼は信じられないと言った表情で弦十郎に言う。
「俺もにわかには信じがたいさ……もしこれがお前たちと同じシンフォギアを纏う者であればまだわかるが、ノイズが倒された時の状況を調べてみてもシンフォギアはおろか聖遺物が発するアウフヴァッヘン波形も確認されていない」
「つまり……私たちが身にまとっているシンフォギアとは全く別の力が使われていると?」
「そうなるな……」
「マジかよ……いったい何者なんだ、そいつは?」
弦十郎たちは頭の中で様々な考察を立てていくが、やはりどれだけ考えても自分たちの知らない力によるものとしか考えられなかった。
「とにかく、この件についてはこれから詳しく調査していく。二人とも今日はもう休め」
「わかったよ」
「失礼します」
奏と翼は弦十郎に挨拶を済ませると、司令室を出る。自室へと戻る際中、二人は例の人物について話していた。
「なぁ翼。その変な力を使う奴の正体って、なんかわからねぇのかよ?」
「どうだろう……。私と奏が戦ってるときに、そいつも戦っていたらしいけど、監視カメラとかには一切映ってなかったみたい」
「あるいは、たまたまカメラの死角に入ってて映らなかっただけか……どっちにしても気になるな」
二人は先ほどと同じように考察の海に入っていくが、途中で折れたのか、奏は頭をかきむしる。
「あぁ~! もうっ! わけわかんねぇ! とりあえずなんか食べるか?」
「え……? あ、うん……」
そうして二人は食堂の方へ足を進ませる。だが二人の頭からは例の人物のことが離れず、食堂に向かっている途中でも例の人物について考えていた。
(どんな奴かは知らないけど、もし仲間になってくれるってんなら心強いな……)
(どんな奴なのか知らないが、私たちの知らない力を放置しておくわけにはいかない。場合によっては……)
お互い考えていることは例の人物についてだったが、考えている内容については全く真逆の二人であった。
たまたまカメラに映らなかったおかげで正体がバレずに済んだ雅人君。
いよいよ二課が本格的に登場し始めますが、果たして雅人君とどう関わってくるのか。
ちなみにアンケートはもう少しだけ続けます。このままでは雅人君が灰化消滅待ったなしなので、どうか雅人君を助けてあげてください(笑)
カイザについて
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男なら命かけて戦え!(変身する)
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やっぱ命あってこそだよな(変身しない)