アンケートは今話の投稿をもって締め切ります。
アンケートは変わらず雅人に変身を望む人たちが多数。雅人君の明日はどっちだ……。
(よし……あとはここをこうして……)
俺は今、自室の机の上であるアイテムを組み立てていた。ここ最近数回ノイズに遭遇したこともあり、これから先何回もノイズに遭遇するかもしれないと危惧した俺は、事前にノイズを察知できるアイテムを作ろうと考えたのだ。
(この間ノイズを見かけた際にカイザショットで撮影してみたけど、改めて見るとノイズって独特な姿してるよな)
俺はつい最近カイザショットで撮影したノイズを解析して、解析したノイズのデータをメモリーカードに移した。今組み立てているアイテムにそのメモリーカードを入れれば、ノイズの場所の把握ができるようになる。そうすればシェルターに向かうまでの道のりでノイズに遭遇する確率を格段に下げられるだろう。
「出来た!」
その考えの基に完成したアイテム『スマートパッド』を、俺は手に取って眺める。見た目はスマートフォンに見えなくもないが、実際は一昔前に使用されていた『PDA』と呼ばれる情報端末に近い見た目をしている。
「さぁ……ちゃんと起動してくれよ……」
俺は恐る恐る、メモリーカードをスマートパッドに挿入してみる。するとおもむろに画面が光り、無事にスマートパッドが起動した。
「やった! これでノイズが来たとしても場所を把握できるから、だいぶ逃げやすくなるぞ!」
歓喜に包まれた俺は、早速起動したスマートパッドを操作してみる。すると画面上にいくつかの赤い点が表示された。それらの赤い点は俺の近くにもいくつか表示されている。
「よし、ちゃんとサーチできているな……って、あれ?」
そうしてスマートパッドの機能を確認しながら、俺はふと疑問に思った。このスマートパッドはノイズの居場所を把握するために作ったものだ。そして今、そのスマートパッドにノイズを示す赤い点が表示されている。それも俺の近くに。つまり……
「ノイズがいるってことじゃねーか!」
のんきにスマートパッドを弄っている場合じゃないと、俺は慌てて家を飛び出す。どうやら街の人は既に大半が避難を終えているようだ。
(くそっ! どうして今まで気が付かなかったんだ俺!? あともう少し気が付くのが遅かったら死んでいたぞ!?)
アイテム制作に夢中になりすぎていた自分を呪いながら、俺はシェルターまで急いだ。時々スマートパッドを確認しながら、シェルターまでの最短ルートを走っていく。
「翼! そっちにノイズが行ったぞ!」
「わかった!」
(ん?)
シェルターに避難する途中で、俺の耳に女性らしき声が聞こえてきた。もしかして俺以外にもまだ避難していない奴がいたのか。そう思った俺は、声の聞こえた方へ足を進める。
(そこの曲がり角を曲がった先から声が聞こえてきた。無事だといいけど……!)
しかし、声が聞こえたところへたどり着いた俺が見たものは、俺の予想の斜め上をいく光景だった。
(な……なんだあれ!? ノイズを倒してる!?)
なんと、鎧らしきものを纏った二人組の女性が得物を振るってノイズを倒していたのだ。片方は槍を構えてノイズに突撃し、もう片方は刀を構えて襲い来るノイズを片っ端から切り捨てていく。
「はぁぁぁぁ!」
「お、翼の奴気合入ってんな! 私も負けてられないぜ!」
(おいおいマジかよ……さっきからノイズに臆するどころか、ガンガン攻めていってる)
俺は目の前で繰り広げられている光景に見入っていたが、突然スマートパッドから流れてきた警告音でハッと我に返る。
(そうだ! 俺は避難している途中だった! こんなところで立ち止まってたらヤバい!)
俺はスマートパッドに目を向ける。よく見ると、今俺がいるところはノイズがかなり集まっている場所だった。
(とにかく、あの二人はノイズを倒せるんだし大丈夫だろ! 俺はさっさと逃げさせてもらう!)
俺はその場を離れ、再びシェルターに向かって走り出した。
「そういえばあの二人……どこかで見たことがあるような?」
逃げながら先ほどの二人組の女性について考えていた俺だったが、そんなことを気にしている暇はないと考え、頭の片隅に追いやった。
~~~~~~~
それから数日後、俺はいつも通り大学での授業を終えて家に帰っていた。
「あ、村上さん!」
声が聞こえた方に顔を向けると、そこにはこの間知り合った立花の姿があった。この間の制服とは違って、立花は可愛らしい私服姿をしていた。
「お、立花か。久しぶりだな」
「はい! また村上さんに会えて嬉しいです!」
「俺もだ。よかったら少し話していかないか?」
「もちろんです! 私も村上さんとお話ししたかったので!」
俺と立花は近くの自販機でジュースを買うと、近くの公園のベンチに腰を下ろした。
「村上さんは今大学終わったんですか?」
「あぁ。ちょうど今帰ってたところだ。立花も学校が終わったのか?」
「はい。今日の授業は午前中まででして。今から携帯ショップに行くところだったんですよ」
「携帯ショップ? そりゃまたどうして?」
俺が立花に質問すると、立花はみるみる落ち込んだ表情になっていく。
「実は……昨日スマホを落としちゃって。それで画面がバキバキになっちゃったんです。中学に入学した時からずっと使ってきた物だったのに……」
そう言って立花は、ポケットからスマホを取り出して俺に見せてきた。立花が言った通り、液晶画面はもはやスマホの機能を果たせないほどに全体的に割れてしまっている。かろうじて電源は入るようだが、修理でもしない限りは日常生活では到底使い物にならないだろう。
「うわぁ……これはキツイなぁ……」
「でしょう? まぁ落としちゃった私が悪いんですけど……。お母さんにも怒られちゃったし……」
「ちなみに修理とかって……」
「修理するよりも買い換えた方が早いって言われました。修理するにもお金がかなりかかる上に時間もそれなりに必要だって……」
そう言いながらますます落ち込んでいく立花だったが、しばらくすると立ち直ったかのように先ほどまでの明るい表情に戻った。
「でもいいんです。私もそろそろ機種変更しようと思ってたところなので」
「立ち直り早っ! それ思い入れがあったんじゃないのか?」
「そりゃありましたけど……壊れてしまったものはもう仕方ないですよ。あ、そうだ!」
立花は突然立ち上がると、俺の手を掴んできた。
「ど、どうした?」
「村上さんもスマホに替えませんか? 何かと便利ですよ、スマホ!」
「え? いや、俺は別にいい……」
「スマホならその場で色々調べ物も出来ますし、メールもスムーズにできますよ! なんならゲームだってできちゃいます!」
立花はまるでセールスマンの如くスマホについて語ってくる。俺は立花の勢いに圧倒されながら、ただ話を聞くことしかできなかった。
「そ、そうか。でも調べ物ならパソコンでできるし、あとゲームもパソコンでできるぞ。メールはそもそもあまりしない……」
「なら私とメールしましょう! というか私が村上さんとメールしたいんです!」
「えぇ? いやでもなぁ……」
「お願いしますよ村上さん! 絶対今より生活が楽になりますって! ね? スマホ使ってみましょうよ!」
それからもスマホについて怒涛の勢いで語る立花を見て、俺はついに根負けしてスマホを買うことにした。ま、まぁ俺自身もそろそろスマホにしようかと考えていましたし? 決して俺とメールしたいって言われて嬉しかったから買うわけじゃありませんし?
そんな言い訳じみたことを考えながら、俺は立花と携帯ショップに向かった。携帯ショップに入ると、様々なデザインのスマホが俺の目に入ってきた。
「へぇ……最近のスマホはいろんなデザインがあるんですね!」
「ここ数年でいろんなスマホが世に出てきたからな。スマホを使ってない俺でもよく広告とかで見るぞ」
「そんな村上さんがついにスマホデビューですか。なんだか感慨深いですね!」
何故立花がそこまで嬉しそうなのかはわからないが、とりあえず適当にスマホを見て回ることにした。しばらくして、俺は好みの色のスマホを見つけたのでそれを店員の下へと持っていく。その後は店員から契約云々に関する説明を小一時間ほど受けて、俺はスマホの購入を済ませた。
「あ、村上さん! もう購入を済ませたんですね!」
店を出ると、新しいスマホを手に取っている立花が俺を出迎えてきた。
「あぁ。これで俺もとうとうスマホデビューだ」
「村上さんはどんなスマホを買ったんですか?」
「これだ」
俺は袋からスマホを取り出して立花に見せる。立花はそれを食い入るように見た。
「わぁ、すごくかっこいいですね! なんだか雅人さんらしい色って感じがします!」
「そうか? でもそう言ってくれて嬉しいぜ。ガンメタルは結構好きな色だからな」
「ガンメタル……なんだかかっこいい名前ですね! 男の人はかなり好きそうです!」
「お、わかるのか? やっぱりガンメタルは渋いって感じでかっこいいよな!」
まさか立花がガンメタルの良さが分かる奴だとは思わなかった。立花とはいい酒が飲めそうだ……俺も立花もまだ未成年だから無理だけど。
「立花はどんなスマホにしたんだ?」
「私のスマホはこんな感じですね」
立花はそう言って、手に取ったスマホを俺に見せてくる。立花のスマホは全体的にオレンジ色が目立っており、明るい性格の立花にぴったりな感じがしてとても似合っていた。
「立花らしい色でとても似合ってるぞ」
「ありがとうございます! あ、村上さん、早速ですけど連絡先交換しませんか?」
「ああ、いいぞ」
俺と立花はスマホを操作してお互いの連絡先を交換した。俺のスマホの連絡先一覧には、立花の名前がしっかりと映っている。スマホデビューして最初に連絡先を交換したのが立花であることに、俺はどこか感慨深い気持ちになった。
「よし、スマホも無事に買い終えたことだし、なんか食って帰るか。立花もどうだ? 奢るぞ?」
「えぇ!? そんな申し訳ないですよ!」
「そうか……せっかくだから立花にスマホについて色々教えてもらおうと思ってたんだけどな」
「えっ? そうなんですか? 私でよければ是非!」
こうして俺と立花は近くのファミレスで夕食を済ませて帰ることになった。注文した料理がやってくるまでの間、俺は立花からスマホについて一通り教えてもらった。前世ではスマホはよく使っていたが転生してからずいぶん時間が経ったこともあって、俺は初めて使うかのような新鮮な気持ちでスマホを弄った。
そうして夕食を終えた俺と立花は揃ってファミレスを出る。辺りはすっかり暗くなっていた。
「もうおなかいっぱいです……。村上さん、ごちそうさまでした!」
「おう。しっかしあれだけの量をよく食えたな……。見ていて息が詰まりそうだったぞ」
「そうですか? でも村上さんもすごい食べっぷりでしたよ? 村上さんが美味しそうに食べてるのを見ていたら、こっちまでおなかが空いてきましたよ~」
「だからって追加でオムライスセットを頼む奴があるか? しかもハンバーグセット食べたあとで」
「い、いいじゃないですか! 村上さんこそハンバーグセットに加えて大盛りパスタ頼んでたじゃないですか!」
そんなくだらない言い争いをしていると、俺がいつも利用している駅前に着いた。思いの外、立花と話していたためかあっという間に着いたような気がする。
「あ、駅前に着いたな。じゃあ立花、気を付けて帰れよ」
「……」
「ん? どうした立花?」
「あの、村上さん」
立花がおもむろにスマホを取り出したのを見て俺が不思議に思っていると、
「写真撮りませんか?」
と言ってきた。なんだ。急に黙り込んだから何事かと思ったぞ。
「写真? いいぞ」
「ありがとうございます!」
そう言うと立花は、俺の腕を掴んで自分の方に寄せてきた。立花との距離がものすごく近い。一歩間違えたらキスしてしまいそうなぐらいに。
「ちょっと寄せすぎじゃないか?」
「き、気にしないでください! さぁ、撮りますよ!」
そう言いながら、立花はスマホのシャッターボタンを押す。撮った写真を見てみると、ピースサインをした俺と立花がはっきりと写っている。
「村上さん、改めて今日はありがとうございました! すごく楽しかったです!」
「こっちこそありがとうな立花。俺も楽しかったぞ」
最初こそちょっと立花と話をするだけのつもりだったけど、気が付けば立花の熱弁につられてスマホを買いに行ったり、そのあとファミレスで駄弁ったりと充実した時間を過ごせた。
俺はそんな時間を過ごさせてくれた立花に感謝を伝えると、駅の改札に入る。駅のホームに向かう直前、俺は立花の方へ振り返って、
「──またな、響!」
そう言って手を振った。それを見た立花は満面の笑みを浮かべながら、
「──はい! 雅人さん!」
同じように手を振り返してきた。俺は駅のホームに入った後も、しばらく響の笑顔が忘れられなかった。また時間があるときに響に会えるといいな。今度は小日向も一緒に。
ちなみに先日見たあの二人組の鎧の女性について調べてみたが一切の情報が見つからず、結局謎のまま俺の意識から消えていった。俺が見たあの光景は一体何だったんだろうか。ひとつわかることは、あの二人のおかげで救われている命があるということだ。
(俺も変身出来たらなぁ……)
なんて考えてみたが、そんなことをすれば灰化待ったなしであることはわかりきっているので、結局逃げるしかないことに納得するしかない俺であった。
途中からただのデートのようになってしまいました。次回も響メインです。二課のみんなの姿はどこ……?
次回は最後の方で響が撮った写真を見たあの方が荒ぶります(嘘)
カイザについて
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男なら命かけて戦え!(変身する)
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やっぱ命あってこそだよな(変身しない)