アーランドの情報屋   作:ダメ人間失格

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お久しぶりです。
受験が終わり………いや、結果を待つのみとなったため勢いで書き上げました。

次話はいつになるかなー。


過去・《エビルフェイス》

 

 

 

黒いその存在は闇の中へと堕ちていた。

暗い暗い奈落へと、自らの存在の根源へと、生れ落ちたその場所へと。

底知れぬ闇の中へと沈んでいく。

 

それは強い闇の力だった。

それは負のモノだった。

それは悪そのものだった。

 

それは"悪魔"そう呼ばれ畏れられる存在だった……

 

 

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遥か昔のことである、一つの大陸を滅ぼしかけた悪魔が居た。

 

 

悪魔…… その名をエビルフェイスといった。

その姿は人に似ていた。

黒を基調に金の装飾がされた荘厳な正装。大きな目が描かれたシルクハットを目深に被り、黒い服装の中で目立つ白い手袋を両手にし、その右手でシルクハットを押えていた。

 

人と違う点、それは、その背に生えた闇の翼と顔の無い顔。

闇を固めたようなその翼は風も無いのにバタバタと大きく動く。

顔は黒く闇に覆われ、ただ鋭い歯を覗かせる大きく裂けた口のみがあった。

ただ、人にあるべきものは無くともその口は嘲笑い、愉しみ、悦びを表していた。

まさにその表情が悪魔の名の所以たるものだった。

 

悪魔はその嗤いと共に多くのものを滅ぼしていった。

人々も悪魔に対抗しようとし、武器を手に立ち向かった。

しかし、悪魔は倒れることなく、傷つく者は増え、死に逝く者も増えていった。

悪魔を倒すことの出来るものなど居なかった。

 

悪魔が杖を振るえば人々は呪いに倒れ。

悪魔が駆ければ人々は切り裂かれ。

悪魔が身を反らすと地から幾千の影の槍が飛び出す。

悪魔が闇を集めるとその闇から魔物が湧き出す。

 

悪魔の存在は"死"そのものだった。

 

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悪魔は生れ落ち、その身に血肉を求めた。

人を喰らい、滅ぼすもの、それが悪魔の存在だった。

 

その存在通り悪魔は多くの人を喰らった。

自らの気が赴くままに、大陸の国々を彷徨い、村々を襲った。

 

大陸の王達からも討伐隊が幾人か送られたが、それも喰らっていった。

 

悪魔はその身の力を増していった。

 

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悪魔が多くの村や街を壊していった時、大陸の王達は悪魔の危険性を認知した。

 

王達の中ではそれなりに強い魔物が暴れまわっているだけだろうと踏んでいただけだった。対処としても数人の騎士を送っただけだった。

 

しかし、彼らは一人として帰ってこなかった。皆、悪魔の贄となったのだ。

そうやって、悪魔は人を喰らい更に自分の力を増していってしまった。

 

更に多くの人々が犠牲になっていった。

 

その後ようやく王達も自分の国だけでは悪魔に対応できないことがわかってきた。

いくつかの国の主要都市が壊されていった時だった。

これをきっかけに大陸の王達が悪魔を倒すため手を結ぶこととなった。

 

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王達は太古から存在する封魔の塔に悪魔を封印することに決めた。

もともとあった封印に更に封印を加え、中に入ったものに制約をあたえるようにした。

 

次に戦士を募った。国々から多くの勇者、英雄、騎士、熟練の戦士、様々な者が集った。

その数は万に届かんばかりだった。

 

そして、決戦の場に悪魔をおびき寄せた。

 

大陸の命運をかけた戦いが始まったのであった……。

 

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それは、まさに死闘だった。

 

万の兵は次々と倒れ、折り重なり、血の海に沈んでいった。

 

先ほどまで剣を振るっていた戦友が散り逝き、自分がいつ死ぬかもしれないという恐怖とも戦うこととなる。それでも前に進むしか道は無かったのだ。

 

 

悪魔はその口元の嗤いをやめる事無く歴戦の勇士を食い散らす。

底知れぬ闇をその身に纏い、人を呪い、斬り、貫き、喰らう。

 

次第に兵は減っていき、万いた軍勢は千に、百になっていった。

 

勇士達は倒れていった戦友たちを踏み越え悪魔を封ぜんとする……。

 

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結果として悪魔は塔に封じられた。

 

しかし、人々が亡くした者も多かった。この戦いで生き残れたものは十人に満たなかった。生き残った者もその身に負った傷や呪いなどで死んでいった。

 

戦いの傷跡は大きく残った。

 

その死者の数のあまり、雪原が血の河になったほどだった。

もう、動くことの無い人々の山。

死者の魂が溢れる戦場。

 

王達は北の果ての地に勇士達を祀る石碑を建てた。この悪夢を忘れることのないように。

王達は争うことをやめた。知ってしまったその虚しさ故に。

王達はその戦場に町を作った。悪魔を見張るための地を。

 

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  永き時を経て―――

 

               ―――その地は生贄を納める土地となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

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悪魔は塔に封印された。

 

しかし、悪魔はそんな状況も愉しんでいた。

 

塔には古代から封印された竜や魔物、兵器などがいたのだ。戦う相手に困ることはない。

しかも、封印や制約をされているといってもその力をそのままに、押し込まれ、閉じ込められただけだ。魔物は塔の怪物たちとも渡り合える力を持っていた。

 

悪魔は塔の怪物と力を喰い合っていた。

 

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悪魔は不満だった、自身の力を使い塔の封印の力と制約を弱めた。

しかし、それでも封魔の塔の封印と制約を破りきれなかった。しかも、使った魔力は回復しない。

 

悪魔は塔の怪物たちと戦うことをやめ、静かに力を溜める―――

 

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魔物は愉快だった、封印を破り再びヒトを殺せることが。

 

魔物は時間をかけ、少しづつ力を戻していった。そう、弱くなった封印を破れるほどに。

封印を破るときにまた魔力を使うが、またヒトを喰い力に変えればいいと。

 

再び大陸を戦乱に戻す、虐殺を起こす、そのために力を解放する―――

 

 

 

一番近い町に向かい、力を振るう。

かつて大陸を滅ぼしたその力は減退していた。しかし、それでも人々にとってその力は天災のようなものだった。かつての勇士達の子孫はかつての彼らのような力は無かった。

悪魔によってその町は蹂躙されていく……。

 

ヒトを喰らい、自らの力にする。その久々の感覚に悪魔は快感を覚えた。

 

自分の力を元に戻す、そのために悪魔は次なる獲物を探す。

 

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悪魔は憤っていた、封印は破れたが、制約は封印とは別の方法で科されていたのだ。

 

悪魔は封魔の塔を基点に一定範囲しか移動をすることができないのだ。

ヒトを探そうにも町は先ほど潰した町以外に無い。

 

生息する魔物を喰らうものの、ヒトの魂と違い喰らっても満たされない。

 

自らの憤りをぶつけるように、悪魔は魔力の球体を何もいない雪景色に放った。

魔物は己を封じる忌々しい塔に戻る。ヒトなど忘れるモノどうせまた眠っている間に増え、あの町にもヒトが戻って来るだろうと……。

 

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悪魔は嗤った、再び時を経て町を襲ったときに。

 

魔力が満ち、再び封印を破る。

悪魔は数年前と同じように町に向う。

 

悪魔が待ちに着いたとき、町にいたヒトは狂乱状態だった。"悪魔がやってくる"と。

恐怖に身を震わし、涙を零し、命を請う。中にはへたり込み失神・失禁するモノもいる程。

それでも、数人を除きヒトは町から逃げることは無かった。

 

悪魔は悟る。コレは皆、己に捧げられた生贄なのだと。ヒトが全て女なのを見て確信する。

 

そして、虐殺が始まる―――

 

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そんな事を繰り返し、永い時を経て―――

 

         

                   ―――ある人間と邂逅する

 

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悪魔は興味を持った、その女に。

 

悪魔は幾度と無く破った封印を再び破り、生贄を喰らおうとした。

生贄は多くないが、それでもヒトを喰わなければ己は消滅する。

悪魔の存在は魔力では無く、喰らった魂で保たれている故に。

 

扉が開き―――

 

                 ―――ソイツが現れた

      

「あんたが村の人たち食べようって悪魔?」

「悪いんだけど、やめてくれないかなー。あたし一応恩があるんだよねー」

 

強烈な出会いだった。扉から入ってきたそのヒトの女はいきなり斬り付けてきたのだ。

―――痛い

久しく感じなかった痛みだった。

悪魔は魂をあまり喰えず、力はかつての何千分の一になってしまった。

それでも、ヒトが敵う己ではない。

 

「ほら、来なよ。このギゼラ様が相手してやるよ」

「今日は大暴れするって決めてんだ。やるなら、この辛気臭い塔も壊しちゃおうかねー」

「これなら壊したとしても五月蝿いのに小言言われずにすむし?」

 

悪魔はヒトを虐殺する時にだけ浮かべる笑みが自然にうかんだ。

愉しい、こいつは違う、今まで殺してきたヒトとは。己をこの塔に追いやったモノ達、それまでに喰らってきたモノ達、生贄のモノ達とは。

誰もが恐怖をその目に浮かべていた。

だが、こいつは違う、生き残る事しか考えていない。

悲観など一切無い希望をもった瞳。

―――美しい、そう思った

屈服させたい、その顔を恐怖に歪ませ、殺し、己の糧としたい。

 

悪魔はその時初めて"ヒト"ではなく、"人"として彼女を見た。

 

その魂は輝き、とても旨そうだった。

悪魔は裂けた口を更に大きく開き、女を喰らわんとす……。

 

 

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悪魔は無念だった、ただただ、無念だった。

 

戦いは熾烈を極めた。

斬り飛ばされ、再生し、相手を切り裂く。殴られ、呪い、影の槍を繰り出す。

突き刺され、喰らいつき、引き裂かれる。

 

己の力を振り絞りあの頃使った魔法(イントゥザヘル)までも使った。

 

傷を負い、血を流しながらも力強い一撃をはなってきた。

 

お互い相手の攻撃を避ける事が出来なくなる程にボロボロの様になった。

悪魔はその体を霞ませながら。女は膝をつきまともに動けない程に。

 

 

悪魔は初めてその裂けている口から言葉を発する。

『女、立ち去れ』

『己を滅ぼせたとしても、汝は死ぬだろう』

 

ギゼラは驚く、しかしその瞳は力をもったままだった。

「お断りだね、倒すって見栄切ったんだ。逃げ帰っちゃ格好つかないだろ?」

「それにあたしは生きるよ。なんたって最強の冒険者ギゼラ様だからね!」

 

傷を負っていても、致命に近い血の量を流しても、その瞳は真っ直ぐに、そして戦う前と変わらず輝きを持ったままだった。

 

―――やはり、美しい

―――このまま滅されてもよかったかもしれんな……しかし

 

その時悪魔が抱いていたのは羨望か、尊敬か、それとも他の何かか

悪魔は輝きを湛えたその瞳を見る

 

悪魔は口を開く

『そうか、自らの力を信じ己に挑むか』

『それが汝の輝きか』

『眩しいものだな』

 

『己は眠りにつく、今宵の目覚めはすばらしいものであった』

 

ギゼラは悪魔を睨む

「逃げるのかい!」

「あたしはねえ、あんたを倒すって言ったんだよ!」

「それにねえ、今あんたを逃がしたら、またいつ人を食いに出るかわかったもんじゃない」

「ほら、かかってきな!」

 

満身創痍のギゼラは剣を構える。

膝をつき、剣を構えるギゼラを身、悪魔は語りかける。

『今宵の贄はいらぬ』

『汝が輝きを知った故に。その輝き、決して曇らすな』

『己は輝きを知ることを欲する』

 

『再びこの塔の扉が開くとき、再び己に(まみ)えるのは汝か、それとも別の輝きを瞳に灯す者か……』

『汝の輝きを手に入れられなかったのは無念だ』

『ああ、無念だ……』

 

その言葉を最後に、悪魔は己の影に沈み消えていった。

 

 

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また数年の時を経て、悪魔は輝きを持つものに出会う。

奇しくもそれは最初に悪魔に輝きを見せた女の娘だった……。

 

 

 

 




あくまでもフィクションです。

色んなゲームのモンスターの中でエビルさんは好きです。
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