今は亡き我が主   作:東方尉

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謎の敵

その日の紫は家でいつものように家で茶をすすっていた。何もない平穏な日々それが一番いいのだ。そんな事を考えながら呑気に茶をすする。

―--あんなものが近ずいてきているとは知らずに―--

 

 

 

 

 

「ん?何だあれ」

 

赤の服を基調とした服を着た小さな猫妖、橙はいつも遊び場にしている森の中になれない気配を感じる。

 

「私の縄張りに入るなんて許せない!絶対退治してやるんだから!」

 

そう意気込んで奇妙な気配に近ずいていく。

 

「!?」

 

そこには生き物なのかどうかすらも分からない大きなスライム状のものが森の木や獣、妖怪すらも巻き込みながら移動していた。

 

「きゃ!」

 

スライムのような物は自分の体を触手上にして橙に伸ばしてくる。

 

「近ずかないで!」

 

触手上のスライムを自らの爪で切ろうとする。しかし、切っても液体状のせいかまた伸びてくる。

 

「ひぃ!」

 

これは戦っても勝てるものではないと察して逃げる体制になる。だが、触手に腕をつかまれてしまう。

 

「あ!?嫌!離して!」

 

必死に振りほどこうとするが、いくら力を込めても離れない。

 

「あ…。」

 

遂に触手を伸ばしていたスライム本体に引きずり込まれてしまう。

 

(藍様…。助けて…。)

 

そう思い、最後のあがきをする。自らの主であり、家族でもある八雲藍から渡されていた一枚の札を使う。

それが橙が覚えている最後の行動だった。

 

 

 

「…!?」

 

藍は橙に渡した一枚の札を橙が使用されたのを感じる。そのことを自らの主である八雲紫に報告を急いでしに行く。

 

「紫様!橙から緊急事態警報用の札が使用されたのを察知いたしました!」

「え?えーと?緊急事態用の札?あれ橙お腹空いただけとかで使うじゃない。大丈夫よきっと。」

「ですが橙に何か本当にあったら…。」

「あーもうわかったわよ!一緒に行けばいいんでしょ!」

「ありがとうございます!」

 

藍の強い押しに負けてしまい、同行することにする。

 

「んで?橙が使った場所はどこなの?」

「いつも橙が遊んでいる森ですね。」

「ふーん。まあおやつ色々持て言ってあげましょ。準備するからちょっと待って。」

「何言ってるんですか紫様!そんなもの後でスキマで出せばいいでしょう!」

「わかったわようるさいわね。」

 

あまりにも藍が必死過ぎて紫はめんどくさくなり、橙がいつも遊んでいる森に直接スキマを開く。

 

「さあいきましょ。あっちょっと!」

 

すごい勢いで藍はスキマに入っていった。渋々それについて行く形でスキマに入る。

 

「…なっ!?」

 

スキマを橙を探しやすいために空に出したのだが、そのせいで見たくない物を見てしまった。

そこには、その森を覆いつくす大きさのスライムのようなものがいる。

 

「…。」

 

藍は顔を青くして、ある場所に指をさす。

 

「紫様…。」

 

その指の先には、そのスライムの中に沈んでいる橙がいた。それ以外を見てみたら橙以外だけではなく他の生き物や植物、妖怪が沈んでいる。

 

「緊急事態よ。あなたは隠岐奈にこの事を伝えてきなさい!私は霊夢達に伝えてくるわ!」

「でも、橙が…、橙が…。」

「橙を助けるにはあの化け物を倒す以外恐らくないわ!周りの物を巻き込んでいるから、あそこに突っ込んでも橙と同じになるだけよ!」

「っく!」

 

下唇を噛み、悔しそうに橙を見る。だが、紫の言っていることが最も橙を助けるのに最も有力な方法である事は間違いないのだ。悔しいが、ここは紫の指示に従うしかない。

 

「わかりました…。」

 

そういい、紫が開いた隠岐奈が居る後ろ扉の世界に繋がるスキマに入る。

紫も、藍が行ったのを確認した後、自分も霊夢の居る場所にスキマを開き、入っていく。

自ら達では勝てない相手に挑むという事を知らずに。

 

 

 

「っく!何よこいつ!全然攻撃が通らない!」

「どうなってるんだこいつ!」

 

魔理沙と霊夢はスライムのような物に弾幕を当てながら愚痴をこぼす。

 

「いや、むしろ我々の弾幕を吸収して大きくなっているぞ。舞!里乃!いちど撃つのを辞めろ!」

「「わかりました!」」

 

自らの従者であり、自らの力を引き出すための踊り子でもある爾子田里乃と丁礼田舞に待機命令を出す。

 

「なんなのだこいつは?」

「私に聞かれても困るわよ!私だってこいつが何なのか分からないんだから!」

「ッチ、ヒントなしか。」

 

訳が分からずイライラし、思わず舌打ちをしてしまう。

 

「こいつを倒す方法を知っている奴を知らないのか?」

「私がそんなの知ってるわけ…。いや、ちょっと待って。一人、できるかもしれない人が居るわ。」

「ならそいつを連れてこい!らちが明かんぞ!」

「そんな事言われたって、今思いついたんだから仕方ないでしょ!」

 

そう無駄な言い合いをしながらも紫は藍に声を掛ける。

 

「藍!ある人を呼んで来て欲しいの。」

「でも!このまま橙を私に見捨てろって言うんですか!?」

「誰もそんな事言ってないわよ!逆にあいつを倒すために読んできてほしいのよ!」

 

藍は自らが溺愛する橙の一大事という事でかなり混乱しているようだ。

 

「…。その人は紫様より強いのですか?」

 

疑いの目で藍は紫を見る。普段なら絶対に見せないであろう目を紫に向けたのだ。それほど橙を助け出したいのだろう。

 

「分からい。彼が戦っているところを見たことが無いし、戦おうともしていなかったから。だけど、あれを倒せるかもしれない希望はある。」

 

まっすぐに藍の目を見る。その目は、飼い犬に話を聞かせる主人のような目で。

 

「…。分かりました。その人は一体どこに?」

「霧の湖に小さな新築の木造の一軒家があるわ。彼はそこに住んでる。スキマを家の中に開くから、呼んできて。」

 

紫にこの目をされてしまっては藍は紫を信じるしかない。何せこの目は紫が冗談などではなく、本気で言っているときにしか見せない目だからだ。

 

「ですが、何故紫様がいかないのですが?」

「私はあの化け物を霊夢と隠岐奈、それと隠岐奈の二童子であれを結界に一時的に閉じ込めておくわ。」

「わかりました。」

「私は!?私は何かやることがあるか?」

 

今まで黙っていた魔理沙が唐突に口を開く。

 

「そうね、あなたは…。幽々子を呼んできて頂戴。」

「なっ…、私はそんな事しかさせてもらえないのかよ!私は足手まといなのか?」

 

魔理沙が涙目になっている。きっとこの戦闘に霊夢や隠岐奈のように直接大きな役割を果たせないと思っているのだろう。それを察して紫は魔理沙をあやすように口を開く。

 

「いい?幽々子の能力は『死を操る程度の能力』なのもしかしたらあの化け物を死なせることができるかもしれない。」

「でも…、それはじゃなくてもできるじゃないか…。」

「魔理沙…。」

 

霊夢は魔理沙の今の心中を吐き出すのを見て、どうすればいいのか分からなくなる。自分の一番の友人がこんな気持ちだったなんて今まで気ずかなかった上にこの状態の魔理沙をどう言葉を掛ければいいか分からなくなってしまったのだ。

 

「…わかったよ。幽々子を呼んでくる。」

「あ…。」

 

魔理沙が冥界の扉がある方に飛んで行ってしまった。紫のスキマか隠岐奈の後ろ扉を使っていけばいいのにも関わらずだ。

それを霊夢は言葉も掛けられず後悔する。

 

「今はこのことを気にしてる場合は無いわ。今はあの化け物を止めるのよ。」

「分かったわ。」

 

悔しそうな顔をしていた霊夢だったが、今は自分ができることを全力ですると決めた。魔理沙の心も拾ってやらねばならないのだ。

 

「隠岐奈、霊夢、二童子、始めるわよ。」

「「「了解!」

「では紫様、私は紫様の言う人物の所に行ってきます。」

「頼んだわよ。」

 

そう言って藍は紫が用意したスキマに入る。

それと同時に6人は結界を張り始める。しかし、結界を張れる時間はそう長くはなかった…。

 

 

 

藍は紫が用意したスキマを出たら、電気も付いていないリビングのような部屋についた。ちょうど今が昼の時間なので電気がなくても部屋の中がよく見える。

少し見回すと、一つの椅子にたった一人の少年が、瞑想を組むような体制で座っていた。目を閉じており、一見すると寝ているのかどうかが分からない状態だ。

 

「誰だ?」

 

少年が目を閉じたままこちらに声を掛けてくる。

そうしてこの少年が紫の言っていた人物がこの少年なのだと理解する。そして、唐突に家に無断で上がったことに対して謝罪をする。

 

「唐突に無断であなた様の家に上がってしまい申し訳ございません。私は紫様の式神である八雲藍と申します。あなた様には森に現れたスライム状の化け物の討伐を依頼したいと思い、ここに参上いたしました。」

「…。」

 

少年は無言を貫いている。何か説明不足があっただろうかと思い、一瞬考えるが、そんな思考を目の前の少年が遮る。

 

「お前が来た理由は紫に行けと言われたからじゃないだろ?何か他にもお前には理由があるんだろう?」

「!?」

 

彼の目が少し開き、藍を射抜くような視線を向ける。何故分かったんだろうと混乱するものの、彼にそれを訪ねる理由を聞いてみる。

 

「何故、それが気になるのですか?」

「ただ気になっているだけだ。それに、俺は行く気はない。」

「!!何故です!?」

 

思わず声を荒げてしまう。自分の思考を読まれた驚きよりも、行かないという彼の言葉に驚きを隠せない。

 

「むしろ何故ついて行くと思う?俺には行くメリットがない。なんだ?お前は俺に死にに行けと言うのか?」

「そんなことは言ってません!ただ付いてきていただいて、あの化け物を討伐する方法を考えていただくだけでもいいのです!」

「だが、結局戦場に行けという事は結局死ぬリスクはあるという事だろ?」

「逃げていただいてもかまわないです!」

「そもそも何故お前はそんなに俺を過信している?俺とお前は初対面だお前は俺の実力は知らないだろう?」

 

その核心を突かれた言葉に、声が出なくなる。何と言えば彼は納得してくれるだろう。それに頭を回す。

 

「ですが、このままでは幻想郷が…。」

「俺にとっちゃ幻想郷が滅びようが何でもいいんだよ。俺は俺の目的があってきたが、あまり期待していないからな。だから俺はここが滅んだら滅んだで別にそんなにデメリットは無いんだよ。」

「…!」

 

藍は彼の言葉に歯を食いしばる。その身勝手な理由で依頼を断る態度にではない。今もあの化け物の中で苦しいんでいるかもしれない橙の事を考えると、そのことで焦ってしまう。

そして、紫に呼んで来いと言われた少年に頼らざるえない自分の力に苛立ちを感じてしまう。

 

「ほら、何か言ったらどうだ?結局お前はお前の身内にの事しか考えて無いんだからいい俺への説得なんて思いつくわけはないがな。」

「何故、それが…。」

「お前の思考を見ただけだ。俺にはそれができる。紫から何も聞いて無いのか?」

「紫様からは何も…。」

「あ、そうもういいわ。いいから帰れ鬱陶しい。」

 

少年に帰れと言われてしまう。だが、藍には橙を一刻も早く助けてやりたいのだ。ここで下がるわけにはいくまいと、言葉を喉から出す。

 

「では、依頼を変えます。これは紫様から頼まれたからではなく、私自身の依頼です。」

「そうか。」

 

少年は興味がないと言わんばかりの生返事をする。だが、それでも藍は言葉を紡ぐ。

 

「私の式を、私の家族を、橙を、どうか助けてください。」

 

そう言いながら、土下座の体制になる。その藍の目には、涙が浮かんでいた。

 

だが、そんな藍のせい一杯の願いすらも、少年は冷たい目で藍を見るだけ。

 

「お願いします。お願いします。」

 

土下座の体制のままずっと同じ事を繰り返し言う。だが、少年の目は相変わらず変わらない。

 

「お前は、いいよなぁそんなに必死になって助けたい、守りたい人が居てよぉ!!」

 

唐突に少年の声が怒りに変わる。それに驚き、藍はの顔を見る。そうして顔を一瞬上げた瞬間に少年は藍の胸倉をつかむ。

 

「…っぐ。」

「うるせえんだよ同じ事ずっと繰り返したやがって!俺はやらないと言っているんだ!戦いたくないんだ!何かと戦うと、何か思い出したくない事を思い出しそうなんだ。守りたかった人との思い出したくない…いや、思い出しちゃいけない事を…。」

「…。」

 

そう言いながら少年はつかんでいた胸倉を放し、膝から崩れ落ちる。それは普通の人の反応ではなかった。目は先ほどまでの怒りとは打って変わり、何も見ていないような、死んだような目になり、顔は無表情だ。

 

「もう…、嫌なんだ。これ以上辛い思いをしたくない。あんな感覚をもう思い出したくないんだ。やめてくれ、俺に戦えと言わないでくれ。」

「あなたは一体なにがあったのですか?」

 

そんなことを聞いている時間は無いと分かりながらも、あまりにも異常な反応だったため聞いてしまう。しかし、彼は首を横に振りながら、口を開く。

 

「分からないんだ、覚えて無いんだ。昔お前みたいに誰かに仕えてた事は分かる。でも、誰に仕えていたのか、何でその人が居なくなってしまったのか、自分が誰かすら分からないんだ。でも、何かとても怖い事があったのは覚えているんだ、それだけなんだ。」

「じゃあ、あなたはその恐怖に逃げていい理由になるんですか?」

「は?」

 

唐突に藍は強い口調になる。そして、少年の顔をまっすぐ見つめ、さらに言葉を繋ぐ。

 

「あなたの過去に何があったかは分かりません。ですが、あなたはその過去から逃げていいんですか?」

「でも、怖いんだ。思い出しちゃいけない気がして、たまに悪夢を見る。内容は覚えておまいけれど、とても怖いのは覚えてる。でもなんでかその記憶を探してしまうんだ。そのためにここに来た。でも、寸前で逃げてしまう…。」

「では、あなたは思い出したいんでしょう?なら、なら、こうしましょう。私の今回の依頼をあなたが遂行してくれたら、私はあなたが記憶を取り戻すまでその記憶探しを手伝いましょう。」

「…。本当か?」

 

彼の目に少し光が宿る。それを藍は見逃さずに、畳みかける。

 

「えぇ、本当です。八雲の名において約束は違えません。」

「分かった、やってみる。」

 

少年の目に光が宿る。自らの過去が分かるかもしれないという事と、自が未来に進む意思を持ち。

 

 

 

「っく…。」

「大丈夫?霊夢?」

「ええ、何とかね、だけど、少し辛くなってきたわ。」

「だろうな、こいつ結界の魔力すら吸って自らのエネルギーにしているぞ。」

「おーい、幽々子を連れて来たぜー!」

 

遠くから幽々子を呼びに行った魔理沙が後ろに幽々子とその従者である妖夢を連れて来た。

 

「まさかあの子より幽々子の方がさきに着くとはね…。」

「藍はまだ来ないのか?」

「分からないわ、なにか向こうでトラブルがあるのかもしれない。」

「紫、何なのあれ?」

「あれが唐突に表れた化け物よ。幽々子あれをあなたの能力で殺せない?」

「やってみるわ。」

 

そういうと幽々子は目を閉じ、化け物の方に意識を集中させる。が、それは生きているというよりただ動いているだけの物だった。そこに生命や魂は存在せず、ただ動いているだけのそんざいだった。

 

「だめね、あれは生きて無いわ。私の能力じゃ殺せない。」

「…まさか生きてすらいないとわ、もうどうしようもないわね。隠岐奈!霊夢!藍が戻るまで耐えるわよ。」

「そんな事言われてもこいつ力が強くて今にも破られそうじゃない」

 

化け物は結界を破ろうとただただ力を加え、そして同時に結界の力を吸い尽くしていく。

 

「もう持たんぞ!紫!」

「…っく、仕方ない、破られたらすぐにここにいる全員臨戦態勢に入って!時間だけでも稼ぐのよ!」

 

―--バン!!---

 

唐突に何かが破裂したような音が鳴る。そこにいる全員が結界が破られたのかと思ったが、それが違うという事がすぐにわかる。そこにはあの化け物にったた一本の刀が刺さっている。その刀は持ち主の方へ戻っていく。そこには空中にたたずんでいる少年がいる。2本の刀をその手に持って。




えへへ資格試験のせいで投稿おくれちった。ゆるしてくださいお願いします何でもしますから。(何でもするとは言っていない)
がちで忙しかったんや…。
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