セレじょのデュエルトレーニング!   作:春色帝ナッシュ

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一般セレじょリスナーです。『セレじょのTRPG』の二次創作TRPGシナリオ書こうとしたんですけど明らか2周年に間に合わなかったので即興でこっち書いたら間に合いました。どういうこと?

ちなみに詳しいことはあらすじ読んでください。読まなくてもいいです。
今のところオリカとかオリキャラとか特殊スキルとかは出ない予定です。

さらに言うとこの話はしっかりしたデュエル描写ないです。ちょっとはあります。

※8/30改稿 行頭に空白を追加。他にも微細な変更。


#1 世怜音の決闘者

 古より受け継がれしカードゲーム、『遊戯王』。

 モンスターを召喚し、魔法や罠を巧みに操り、決闘者(デュエリスト)が魂をかけてぶつかり合う。

 歴史を遡ればその起源は古代エジプトの儀式とも言われ、様々な伝承が伝えられている。

 歴史的観点だけでなく、現代のゲームとしても『遊戯王』は重要なものになっている。いまや一万を超えるカードが登場し、その多くは今でも使用可能。"どんなカードにも使い様はある"というのはある程度デュエルを楽しむ者であればよくわかっていることであり、今もどこかで個性豊かなデッキが作られているだろう。

 プレイングや効果処理、時に美麗で時に荘厳なイラスト、それらに込められたドラマチックな世界観……いずれの観点からも奥が深く、多くの人々に楽しまれている。

 

 そんな遊戯王が世界中の人々の日常に"そちら"以上に溶け込んだ、"そちら"とは少しだけ違うとある世界。

 バーチャル配信者グループ『にじさんじ』を運営する大手企業『ANY COLORS(エニィ・カラーズ)』が主導し、いくつもの企業や国家の協力を得ることで完成させたプロジェクトがあった。

 その名を虹闘の間(バーチャル・デュエル・スペース)

 スマートフォンやPCから接続でき、動画投稿サービスによるリアルタイム配信も可。莫大な手間と資金をかけて作られたデータベースを電脳空間とリンクさせることで、ゲームの挙動を完全再現しつつ状況に応じてCGアニメーションを投影。今までバーチャル空間で活動してきた配信者などが誰でも手軽に、まるでアニメを見ているかのような臨場感あふれるデュエルをプレイできるのだ。拡張機器を用意すれば風や光の演出がさらに豪華になり、すでに一般向けの流通が開始している。

 『にじさんじ』の配信者:ライバーは次々とこの企画に参入。最初期こそ既プレイヤーのたわむれ以上にはならなかったものの、次第にその人数は増加。完全初心者であっても同僚らによる手厚いサポートが受けられるということで今までにない大ブームを引き起こし、配信者も視聴者も巻き込んで数々のドラマを生んだ。

 強者ぞろいの本気のトーナメントが開かれることもあれば、かっこよさかわいさを押し出す交流もある。言語を越え、今までありえなかった意外なコラボを生み出し、名勝負が日夜繰り広げられる。

 

 今から始まるのは、そんな世界での物語――。

 


 

 ここは『世怜音(せれいね)女学院』。創立百年を超え、部活動と遊戯王に力を注ぐ中高一貫の名門女子校。

 うだるほどの熱気と騒がしい蝉時雨の中、一人の女子生徒が桃色のロングヘアを揺らし、怒られない程度に駆け足で廊下を行く。八月一日、夏休み真っ最中の静かな校舎。

 部室棟の奥、五色の折り紙でデコレーションされた『演劇同好会』の扉を開く。その看板には"にじさんじも所属!"の文字が見え、どういう人物の集まりかを容易に察することができるだろう。

 

「みんな~! おまたせ~!」

 

 桃色髪の少女、幼く快活な印象を与えさせるのは中等部一年:周央(すおう)サンゴ。元気な声を室内に届ける。

 受け取るのは四人の先輩。うち二人、青い髪の朗らかそうな少女と独特な雰囲気を纏う緑髪の少女は腕にスマホと一体になった機械を取り付け、宙に女性や龍を従えながら相対していた。

 教室を、()()()()()が吹き抜けていく。

 

「《海晶乙女(マリンセス)ワンダーハート》で、《飢鰐竜(きがくりゅう)アーケティス》を攻撃!」

「破壊される! でも《氷水(ヒスイ)のティノーラ》の効果で《氷水帝(ヒスイテイ)コスモクロア》を復活!」

「それもわかっとるわ! 《海晶乙女環流(マリンセス・サーキュレーション)》発動! 変身じゃ、《海晶乙女グレート・バブル・リーフ》!」

「さあ来たければ来るといいよ? 《氷水呪縛》でダメージは受けてもらうけど」

「おうおう望むところじゃい! 《闘海(バトルオーシャン)》で《ブルースラッグ》《シーエンジェル》《コーラルアネモネ》をもう一回装備して、攻撃力4600で攻撃!」

 

 二人はデュエルしていた。戦況は互角、やや青髪の少女が攻勢に出ているといったところ。海のモチーフが至る所に見られる女性たちの猛攻を、黒く透き通る氷のような姿の女性が受け止めている。

 それを見守るのは黄色い髪の大人びた少女と、おしゃれな雰囲気の赤髪の少女。やってきたサンゴに気が付いた観戦二人は手招きし、サンゴもまた観戦の位置――高身長の黄色髪の膝上に座る。

 

「こはたん、あーちゃん、今どんな感じ?」

「おチグちゃんが強気だけど、たぶんヒスイちゃん有利だね。」

「あたしは……うーん、チグちゃんの手札からドーンするやつによるんじゃないかな? あのめちゃ強いやつとか」

「《波動(ウェーブ)》があれば《グレート・バブル・リーフ》で押し切れそうだけど……《アネモネ》で戻したの、さっきの《環流》みたいだから」

「チグちゃんの引き次第、って感じかな」

 

 "こはたん"と呼ばれた黄色髪:高等部三年、東堂(とうどう)コハクが最年長らしく冷静に状況を観察する。一方で赤髪:高等部一年の"あーちゃん"こと朝日南(あさひな)アカネの観点も間違ってはおらず、残った手札の可能性を捨てきれない。青髪の少女が使用する【海晶乙女】デッキは、簡素な展開で高打点モンスターを召喚し手札からの奇襲と合わせて相手をコントロールするプレイングが重要なデッキ。それぞれ何度も対戦してお互いの強さを知っているからこそ、まだどうなるかはわからないといったところだ。

 

 やがてターンは進む。青髪は手札1枚を残し、場には【海晶乙女】モンスターをパワーアップさせるフィールド《海晶乙女の闘海》と、それと自身の効果を合わせて攻撃力が5200にまでなった《海晶乙女グレート・バブル・リーフ》を残す。遊戯王というゲームにおいて攻撃力3000の壁は大きく、普通のやり方では突破することは難しいだろう。

 一方緑髪は……。

 

「っしゃ来た! 《サルベージ》発動! 墓地から《深海のディーヴァ》と《氷水のトレモラ》を手札に戻す! 《ディーヴァ》召喚、効果……」

「そんなん通していいわけないやろ! 手札から《海晶乙女波動》! 《ディーヴァ》の効果を無効にしてこのターン《グレート・バブル・リーフ》を守る!」

「ならこっち! 《トレモラ》で手札の《深海のアーチザン》を特殊召喚! その効果で墓地の《黄紡鮄(きほうぼう)デュオニギス》を特殊召喚!」

「なんじゃ、何が狙いで……」

「手札の《サイレンス・シーネットル》は自分場に水属性がいると特殊召喚できる! 《デュオニギス》の効果、《シーネットル》のレベルを4から倍の8にする!」

 

 怒涛の展開。手札回復カードで増やしたリソースで、一度は止められても完全に沈黙することはなく。そしてこの動きがデュエルの決着に行きつくのだと観戦席が察する。

 

「ヒスイちゃん、"アレ"出すつもりだね……」

「……あ! 珍しいおじさん!」

 

 波にもまれて封じられていた《深海のディーヴァ》が起き上がり、増殖した《サイレンス・シーネットル》にその歌声を響かせる。

 たゆたう海月の体が震え、共振(シンクロ)――レベル合計、10。

 

-- SYNCHRO SUMMON --

 

「氷水より託されし霊峰の守護者、巨大な剣で邪念を断ち斬れ! 相剣大公(そうけんたいこう)承影(しょうえい)!!」

「えぇー!? そいつは、やばいぃ!?」

「墓地の《シーネットル》を()()して、墓地の《ディーヴァ》《海皇子ネプトアビス》《氷水のエジル》をデッキに戻す!」

 

 海月は十分に仕事を成し遂げた。功労者たちをデッキに戻すとその体が泡となっていき……その瞬間、《承影》の目が輝いた。

 大剣を一振りし、衝撃波が青髪の少女に襲い掛かる。彼女が立っていた海上の舞台が、消えていく。

 

「カードが除外された時《承影》の効果発動! 相手のフィールド・墓地から1枚ずつ選んで除外する! フィールドの《闘海》と墓地の《クラウンテイル》を除外!」

「やっば、攻撃力が……つか《クラウンテイル》もバレとったか……!」

 

 《闘海》の効果で上昇していた2000もの攻撃力を失った《グレート・バブル・リーフ》。対して除外されていったカードの数だけ強くなる《承影》が優位に立つこととなった。

 ……その後は、緑髪が《承影》のパワーで押し切る形での勝利となったのだった。

 

・ ・ ・ ・ ・

 

「かぁーっ! 負けたわぁ!」

「ギリギリだったねー……ナイファイっ」

「チグちゃん、すぴちゃん、おつかれー!」

「ンゴ〜! お疲れ〜!」

「乙ー、この後配信なのに頑張りすぎたかもしれん」

 

 デュエルを終えた二人もサンゴの姿に気が付き、暖かさの戻った教室に五人の生徒が揃った。

 青髪の元気そうな少女、高等部二年:西園(にしぞの)チグサが先のデュエルの振り返りを始める。「《海晶乙女波動》のような無効札は切り札級モンスターまで溜めるべきか、それとも初動になるカードに当てるべきか」といった具合に、その内容はカードの発動タイミングなど些細な点に向けられており、少し聞くだけでも彼女の実力が高いことがわかるはずだ。

 

「一番キツかったのはアレやな、《氷水呪縛》! ロックされるわダメージ入るわ、マジで大変じゃった!」

「《コスモクロア》どかされた時は焦ったー。やっぱチグちゃんってデュエル上手いわ」

「え、ホント〜〜〜? 嬉しくなっちゃった、ふふん」

 

 勝った緑髪の少女、中等部二年:北小路(きたこうじ)ヒスイの操る【深海氷水】デッキ。己の名に近しい【氷水】カードの耐久性の高さと、《深海のディーヴァ》を起点に繰り出されるシンクロ召喚の攻撃性を合わせたハイクオリティなデッキで、部内での勝率は比較的高い。

 チグサもヒスイも"にじさんじ"内で見てもそれなりの実力者。そんな二人の鮮やかなデュエルにサンゴはすっかり見惚れていたのだが、ふと我に返り懐から取り出した一枚のカードを見つめる。自信に満ち溢れた笑みを浮かべる少女が描かれた黒い枠のカード。

 

「ンゴも、この子のデッキ早く完成させたいなー」

「結構いいところまでは来てるんでしょ? いけるいける」

「この子たちを使う、までは行けるんだけど……このままだと足りないなぁって」

「やっぱ"おじいちゃん"が出てないと厳しいのが気になるよねぇ。もうちょっとンゴみたいに圧を増やせたら……」

「すぴちゃんなんか言った?」

「いや何も~?」

 

 どうやらサンゴはデッキ構築に難航している様子。無理もない、彼女が使おうとしているモンスターは盤面を固めるサポーターで、戦うパワーは他のモンスターに頼らざるをえない。

 悩んでいるのは、アタッカー不足。"おじいちゃん"と呼ばれたカードの高いポテンシャルは大型モンスターに繋げるパワーがあるのだが、その導線は非常に細いもの。どうにもサブプランがないとデッキパワーが不安定になってしまう。

うーんうーんとうなるサンゴの頭を軽くなで、背もたれになっているコハクと隣に座るアカネが声をかける。

 

「ゆっくりでいいんだよ、私も完成したのは最近だから。相談あるなら任せてね」

「こはたんにそう言われちゃあ、お世話になっちゃおっかなぁ~?」

「さすが最年長……! あーこもお願いします!」

「アカネちゃんも難しいカード使いたいんだよね。"あの子たち"は難易度高そうだよ」

「強いっていうのはわかったんだけどね……まだオレが手綱を握れないばっかりにごめんな……!」

「誰のモノマネ……?」

「まあそこをどうにかするんが今日からの目的じゃからな!」

 

 何を隠そうデッキが完成していないのはアカネも同様。その理由は違ってはいるが、デュエルをしたくともデッキがなければ話を始められないのは確か。

 今日五人が集まったのは、そんな問題を解消するためでもあった。そうでもなければわざわざ部室にデュエル用拡張機器を用意するはずもなく。壁に張り出された大きなポスターは、数か月後に催される世怜音女学院文化祭の告知、そしてその一プログラムとして"部対抗デュエル大会"の存在を周知していた。同好会メンバー五人、目立つ成果を挙げて人数を増やし"同好会"から"部"にランクアップを狙うべく、演劇ステージと並行してデュエルの特訓に乗り出すこととなったのだ。

 

「準備できもいた!」

「あーい! みんなトイレとか大丈夫? 告知した?」

「大丈夫です!」

 

 意気込みばっちり。ライバー用スマートフォン、動画配信サービス並びに『虹闘の間』へ接続――完了。

 『セレじょのデュエルトレーニング! #1』、ライブ配信開始。

 

「は~いみなさまこんにちは~! 画面左から自己紹介! にじさんじのにー! 笑顔のにー! 西園のにーっ! 西園チグサでーす!」

「おはぴ~。中学生お姉さんの北小路ヒスイでーす」

「こんにちはこんにちはこんにちはー♪ 世怜音女学院高校一年生朝日南アカネです!」

「お待ち堂です~最年長の東堂コハクで~す!」

「みなさま~! 世怜音女学院中等部一年演劇同好会所属にじさんじも所属の周央サンゴです~どうも~!」

 

――きちゃ!

――セレじょコラボうおおおおお!!!!!

――こんにちは! みんなデュエル漬けってほんと!?

 

 夏休み期間とはいえ平日夕方だというのに千人以上が見守る中、彼女らは企画趣旨を流暢に語っていく。電波の先の大勢の視線なども意に介さず。そこにいるのは、"配信者(ライバー)"であり"決闘者(デュエリスト)"。

 

「……ということであたしたちのデッキを完成させて、全員パワーアップしようってことになりました!」

「それまで三日間、学校とえにからにご協力いただき、泊まり込みで毎日デュエルの特訓をしていきます! たまに気分転換で歌ったりもします!」

「人によっては夜更かししてるかも~? してないかも~? しれないで~す!」

「そしてなんと! みなさんご存じ『虹闘の間』を使うので! ゲリラコラボがあるかもしれません! やったー!」

「にじさんじのみんなが乗り気になってくれてよかったよねぇ、本当に助かる」

 

――みんなのデッキ見れるのか! 待ってた!

――すごい規模になりそう! しかも実質ずっと配信!?

――頑張れ~!

 

「というわけでー! "セレじょのデュエルトレーニング"、いっくぞー!」

「おー!」

 

-- ENTRY --

-- VIRTUAL DUEL SPACE --

 

 そして次の瞬間、教室は広大な電脳空間へと変貌した。あちらこちらから聞こえる音、吹き荒れる風、巻き上がる砂塵、その全てが今なお行われている激戦の象徴として彼女らの体を震えさせる。画面越しのリスナーすら視覚聴覚の情報だけで高揚させられるのだ。拡張機器でそれをより現実的に感じている本人たちにとってそれはいかほどの刺激になるのか。

 左手の機械――人それを"決闘盤(デュエルディスク)"と呼ぶ――が、確かな重みをもって決意させる。ここでするデュエルは間違いなく自分を強くしてくれる。新しい発見がある。そう信じさせられるのであった。

 

「この後は、各視点配信へどうぞ! あたしとひすぴはばちぼこに強い先輩方をお呼びしてひたすら特訓です!」

「緊張するー! 頑張りまーす!」

「ンゴとアカネちゃんは、それぞれリスナーさんとかいらっしゃったライバーさんたちとお話しながらデッキを完成させます! 私東堂コハクもいま~す!」

「あたしはこのかわいこちゃんたちを頑張って使っていけるようにしたいと思います! うおお待ってろーシェイちゃん!」

「んでンゴはというと、まあ前から話してる通り《コロン》ちゃんのデッキを完成させよっかな!」

 

 少女はそれぞれの道へ歩き出す。この先、それぞれが約束した相手が待つそれぞれの戦場。次に会うときは必ず強くなってこようと約束し、前を見つめた。




今回見えたのはチグちゃんの【海晶乙女】とひすぴの【深海氷水】ですが、残り三人もデッキは決まってます。
何ならその気になればにじさんじライバーほぼ全員分考えられそうな気がします。海外出身メンバーはだいぶ悩むんですけど。

にじさんじ二次創作ユーザー、もっと増えてほしい。
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