今回は説明パートみたいなものですがしっかりデュエルがあります。頑張りました。
お気に入り登録していただける方が増えてきていてありがたい限りです。よければ感想もください。
※注意
この話以降、
・アニメなど遊戯王公式作品を強く意識した内容
・独自世界観に伴ったにじさんじライバーに関する独自設定
・現在活動を行っていない元にじさんじ所属ライバーに関する内容
以上の要素がより深く含まれます。
あとにじさんじ遊戯王マスターデュエル祭2022とかいう告知がされてるんですけどその要素を入れる予定はあんまりないです。
(12/1編集
今後の展開に関しての変更。詳しくは活動報告をご覧ください。)
八月二日。世怜音女学院に朝が来る。
昨日の夜どこかに行っていたヒスイも戻ってきていて、チグサなどが軽く話を聞いている。
「おはよ! どこ行ってたの?」
「あー、ちょっと
「おいおい学校抜け出してお酒かよー!」
「いいじゃん、ちゃ〜んと年齢変えたし〜?」
「……ふーん、ヒスイちゃんも考えてるんだね」
「コハックどしたん?」
「んーん、なんでもー」
それぞれの事情はともかくとして。今日はより実践的なトレーニングを積む予定が建てられているため、この時点で気合も十分。
朝食と、演劇部らしく朝のトレーニングを済ませて午前九時。目も冴えてきた五人は配信の準備のため手早くログイン。そして――
「今日は、朝から自主練して夕方から
「そやな! 五対五で受けてくれるっていうからありがたく声掛けさせてもらったわ!」
「流石に“ゲーマーズ”の先輩たちは強いって聞いてるけどねー、どうなることやら」
「よくぞいらっしゃいました、若き決闘者たちよ」
「……お?」
覇気の籠った声で迎えられた。
眼前には長身の男。スーツをぴっちりと着こなす姿はライバーとして何度も見て、そして『虹闘の間』に参加するとなった時に深く印象付けられた人物。
「加賀美社長? おはよーございます」
「おはようございます。にじさんじ所属バーチャルライバー、兼加賀美インダストリアル代表取締役社長、そして『虹闘の間』開発チーム代表・加賀美ハヤトでございます」
加賀美ハヤト。二十代にして国内有数のトップシェアホビー企業“加賀美インダストリアル”を経営。人々の少年心に訴えるような手腕は企業の名を国内外に轟かせている。
日本国内における遊戯王の普及活動にも一役買っており、『虹闘の間』プロジェクトもその一環として発足。“ANY COLORS”と提携して全世界のあらゆる企業・国家機関・果ては未だ不明瞭な点も多い“異世界”との協力を取り付け莫大な資金のもとに開発を主導した。また時折“にじさんじ杯”というライバーの腕自慢大会を開催、自身も出場し数多くの名勝負を披露してきた凄腕の決闘者。
一大ムーブメントの中心に座する、まさに時の人。
そんな男が今なぜここにいるのだろうか。特に連絡など取っておらず、トレーニング企画のゲストとしても予定されてはいなかった故に疑問は多い。様子を見かねたハヤトから語りかけられる。
「貴方達はこれから、己の決闘者としての腕を磨くために特訓を行うつもりだったのでしょう。話は伺っております」
「まあ、そうですね……?」
「みんなで対戦しながら、色々話してプレイングとか見れたらいいなって思ってました!」
「その試練、この私から出題させていただきます。貴方達の腕前であればきっとこなしてくれることだと信じてのお願いです」
「……“お願い”なんですね」
「察しが良いですね北小路さん。その通り、私から皆様に依頼させていただくものとなります」
「へー……? どうするどうする?」
「いいんじゃない? 社長からのお願いだよ?」
「ま、変なことにはならないやろ!」
急展開ではあるものの、加賀美の目的が自分たちへの頼み事であるというなら応えたいと五人は判断した。
すぐに決まった結論から、五人を代表してチグサが趣旨を問いかける。
「それで、お願いってなんなんですかー!」
「そうですね……詳しい話は私に
「おぉ、なんか“決闘者”っぽい……!」
「めちゃくちゃいい笑顔するじゃないですかー」
「どなたかお一人、私と決闘していただきたい。手短にLP4000で行きましょう」
「社長って、確か“にじさんじ杯”常連でめちゃくちゃ強いんだよね……どうする?」
「んー私はいったんパスー! 誰かやる?」
純朴な少年、あるいは歴戦の強者か。ハヤトが醸し出す雰囲気はまさに覇道征く上位者の姿。
そんな彼に食いついたのは、やはりというべきか彼女だった。青い髪が揺れる。
「じゃあ! あたしが行くしかないでしょう! なんたってあたし、この中だと決闘者としてはだいぶ先輩ですからぁ!」
「ちぐちゃん! 頑張れー!」
「あなたが来ますか……よろしい、【海晶乙女】使いの噂はかねがね聞いております。全力でかかってきなさい」
「はいっ! ここでかっこいいとこ見せて社長のことビックリプンプンさせてやりますよ!」
向かい合うハヤトとチグサ。切れ長の瞳に映る青い少女はやってやるぞと言わんばかりに腕を回し、デュエルスペースの立体映像を輝く青海へと塗り替えていく。世怜音の中ではヒスイと同じレベルで決闘に向き合ってきた彼女だ、これまでに得てきたものは非常に大きい。
……
それぞれの色がぶつかるフィールドで、簡素ながらも激しい激突が……
HAYATO LP:4000
CHIGUSA LP:4000
――デュエル!!
……始まった。
早速、手札を一瞥。お互いに考えることはあれどまずは先行プレイヤーの動きが始まる。華麗な手さばきで繰り出すカードは、上下二色に分かれた
「私の先行! 見せて差し上げましょう、我が【DD】の力の一端を! 現れよ《DD魔導賢者ケプラー》! 効果により永続魔法《地獄門の契約書》を手札に加え、発動! その契約により私は一ターンに一度デッキのDDを手中に収めることができる、よって《DDグリフォン》を手札に!」
「あたしからの妨害はありません! 存分に展開してください!」
「では遠慮せずに参りましょう。手札より《DDスワラル・スライム》の効果を発動し《DDネクロ・スライム》と融合! 異界を統べる魔の魂、
「融合モンスター…………Dが増えた……!」
「DDD、すなわち
手札を消耗してはいるが、しかしこれは見事なまでの連続展開。サーチから特殊召喚、融合召喚へ繋がりさらに損失を取り戻す動き。これが“まだ始まったばかり”であることに、見る者は驚きを隠せない。
「ね、ねぇ……なんかすごいよ……」
「ほぇ~……これが加賀美先輩のデュエル……」
盤上に並んだ悪魔たちが、さらなる展開へ献身する。【契約書】を交わし決闘者に力を与える【DD】たちは、強力な見返りを用意しているのだ。
「魔導賢者ケプラーとネクロスライム、二体のDDをリンクマーカーにセット!
「今度はリンク召喚! なーにしようっていうんですか!」
「こう、いたします。リンク召喚されたビルガメスは、デッキよりDD
HAYATO LP4000-1000=3000
「……おっといけない、今回はLP4000で決闘してもらっているんでした」
「はは~ん先輩、もしかしてヒントくれちゃいました~?」
「さてどうでしょうね? ニュートンの効果によってEXデッキよりケプラーを手札に加えます」
さらに繋がる。
「手札より自身の効果によって《DDグリフォン》を特殊召喚! そしてレベル4のグリフォンと魔導賢者コペルニクスにて
「今度はエクシーズですか!」
「登場して早々ですが、彼の役割はここではありません。コペルニクスの効果によって墓地に送られた《DDラミア》は、手札・フィールドの【DD】カードか【契約書】を墓地に送ることで自身を特殊召喚できます。よって《怒涛王シーザー》を墓地に送り、現れなさい!」
「シーザーを墓地に……あ、墓地効果ですね!」
「その通り。フィールドより墓地に送られたシーザーはデッキより契約書を手札に加えます。来なさい、《魔神王の契約書》」
「わざわざエクシーズ召喚したモンスターでサーチっていうのがプロっぽい!」
「ここらへんが社長の強さなんだろね」
「まだまだ行きましょう。レベル6の烈火王テムジンに、レベル1のラミアを
「シンクロまでするんですか! そいつは何をしてくるんですか!」
「こう見えて可愛いものですよ。それを発揮するために……墓地より《DDネクロ・スライム》の効果発動! 墓地のモンスターを自身と融合させる! 私はネクロスライムと烈火王テムジンを融合! 異界を統べる炎の剣、魔の魂と一つとなりて、更なる力で再誕せよ! 《DDD烈火大王エグゼクティブ・テムジン》!」
「墓地融合……!」
「これで私がDDの召喚に成功しました。よってアレクサンダーにより、墓地のDDを特殊召喚します。エクシーズ素材となって墓地に送られていたグリフォンを特殊召喚。彼が墓地からの特殊召喚に成功した場合の効果によって《DDナイト・ハウリング》をサーチ。さらに《エグゼクティブ・テムジン》もまた墓地のDDを特殊召喚できるためシーザーを特殊召喚。さらにシーザーを
融合、シンクロ、エクシーズ、リンク。ペンデュラムを合わせ、繋がる力はあまりにも多様。
墓地からの特殊召喚を繰り返し、さらに展開を継続させるテクニカルなデッキ。着地するモンスターも決して低打点ではないのが恐ろしいところだが、そこにまだ“エース”はいない。
ハヤトの目が輝き、魔天に立ち込める雲が割れる。新たな王の生誕を告げる上位者の通達。
「では、西園さんに乗り越えてもらうべき壁をご用意いたします。《魔神王の契約書》を発動! DDDを融合する権利を獲得する! フィールドより狙撃王テル、並びに疾風王アレクサンダーの二体を融合! 異界を統べる魔の魂、二つの玉座を潰し束ね、強靭・凶暴・脅威を齎せ! 《DDD
「3200打点の融合モンスター……!」
「墓地に送られたテルはデッキより《DDリビルド》を墓地へ送る。……しかし! 私にはまだ召喚できるモンスターがいる! 私は深淵王ビルガメス一体で……オーバーレイ!!」
「リンクモンスターで!?」
「このカードは、DDD一体でエクシーズ召喚を可能とする!!
異界を統べる魔の魂、重なり告げよ終末の兆し! これぞ私のエースモンスター!! 《DDD赦俿王デス・マキナ》!!!」
《DDD
RANK10 闇属性・悪魔族 ATK3000/DEF3000
PENDULUM SCALE10
このカード名のP効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:もう片方の自分のPゾーンにカードが存在する場合、自分のフィールド・墓地のPモンスター1体を対象として発動できる。
もう片方の自分のPゾーンのカードを特殊召喚し、対象のPモンスターを自分のPゾーンに置く。
悪魔族レベル10モンスター×2
このカードは自分フィールドの「DDD」モンスターの上に重ねてX召喚する事もできる。
①:「DDD赦俿王デス・マキナ」は自分のモンスターゾーンに1体しか表側表示で存在できない。
②:相手フィールドのモンスターカードが効果を発動した時に発動できる(同一チェーン上では1度まで)。
このカードのX素材を2つ取り除くか自分フィールドの「契約書」カード1枚を破壊し、その相手のカードをこのカードのX素材とする。
③:自分スタンバイフェイズに発動できる。このカードを自分のPゾーンに置く。
玉座に足組む悪魔の王。戦局を見定め己の軍を勝利させる圧政の支配者。歯向かう者には、過酷な処分が下される。
「私のエース、デスマキナはあなたのモンスターを支配する。フィールドで効果を発動したモンスターはデスマキナの
「オーバーレイ・ユニット……ああエクシーズ素材ですね! でもそれはかなり嫌じゃな~!」
「では最後に、カード一枚をセット。墓地のDDリビルドの効果によって除外されているラミア・ネクロスライム・テムジンをデッキに戻します。これでターンエンド。……さあ、攻めてきなさい」
「あい! アタシのターン!」
「セットカードは《DDDの人事権》。墓地よりシーザー・テル・コペルニクスをデッキに戻し《DDオルトロス》《DDケルベロス》の二体をサーチ。彼らに妨害効果はありません」
HAYATO LP3000
HAND:4
(ケプラー・ナイトハウリング・オルトロス・ケルベロス)
FIELD
《DDD赦俿王デス・マキナ》ATK3000
(《DDD深淵王ビルガメス》)
《DDD烈火大王エグゼクティブ・テムジン》ATK2800
《DDD怒濤壊薙王カエサル・ラグナロク》ATK3200
《DDグリフォン》DEF1200
{GO-DDD神零王ゼロゴッド・レイジ}SCALE0
《地獄門の契約書》
《魔神王の契約書》
{DD魔導賢者ニュートン}SCALE6
CEMETERY
《DDD疾風王アレクサンダー》《DDDの人事権》
BANISHED
《DDスワラル・スライム》《DDリビルド》
これが頂点の決闘者の一人、加賀美ハヤトの作る盤面か。
赦俿王の支配はフィールドに二枚の契約書、自身が持つエクシーズ素材一つを合わせ累計四回を保証。モンスターを用意してもそれをかたっぱしから奪われてしまうのは、攻め手の損失という圧倒的なディスアドバンテージ。
「……そういえば、あの怖い融合モンスターって何をするんだろう」
「あー、カエサルラグナロク……」
「ご覧になっている皆様にも教えて差し上げましょう。彼は相手モンスターと戦闘するとき、自分場のカード一枚をバウンスすることで別の相手モンスターを吸収装備いたします。この効果は対象を取りません」
「え、戦闘にも強いんですか!?」
「あなたがデスマキナを乗り越えてモンスターを並べようと、それすらカエサルラグナロクが叩き潰す……あえて言いましょう。“これ、すごくないですか”」
「“すごい”っていうか……“エグイ”?」
ははは、と笑うハヤトは自身の強さを理解しきっているのだろう。デスマキナだけでも十分にいやらしいのに、カエサルラグナロクはそれを詰める。次のターンまで残ればその攻撃力を存分に振るい敵対者を屠るだろう。
だがチグサの目は怯えてなどいなかった。彼女もまた、自分の強さを知っているから。
「でも! あたし見つけましたよ! しゃっちょ先輩のエースの弱点!」
「ほう。……やってみなさい! あなたのターンだ!」
「《サイバネット・マイニング》を発動! 手札一枚を捨ててデッキから《
「デスマキナ! 地獄門を破棄し、そのモンスターを支配しなさい!」
泡の中から現れたのは、海を思わせるひらひらとした服の少女か。その姿もすぐに紫雲の中に消えていってしまった。……だが。
「やっぱり、そいつは効果までは無効にできないみたいですね! 手札から《海晶乙女ブルータン》を特殊召喚! さらに効果発動!」
「そちらも吸収させていただきましょう! 魔神王を破棄!」
「デッキから《海晶乙女シーホース》を墓地へ! 続いて《テラ・フォーミング》で《
「……これがあなたのフィールドということですね」
デスマキナが支配の手を広げようと、泡はその場に残る。マリンセス達が残した痕跡が次なるマリンセスへ受け継がれ。
広がる景色は、光を浴びた水面の映る闘いの舞台。アカネの《ペルレイノ》とも、ヒスイの《イニオン・クレイドル》とも異なる海のステージ。
これぞ西園チグサの誇る【
「闘海を対象に《海晶乙女スリーピーメイデン》の効果を発動! この子がおる限り、闘海は相手に破壊されなくなります!」
「とうとう盤面にカードを残すことに成功しましたね。しかしそこから繋げられるかはまた別の問題です」
「いやいや、あたしもまだまだ動けるんですよ! 《
二体のモンスターを取り込まれながら、なお場に二体。
フィールドの情報を確認したチグサはうんうんと頷き、舞台に
「ここでリンク召喚! スプリンガール一体で《海晶乙女ブルースラッグ》! この時ブルースラッグと、チェーンしてリンク素材になったスプリンガールの効果を発動します!」
「ほう……!」
モンスター効果の発動。ハヤトが声を上げる。
フィールドのブルースラッグを取り込まれようものなら、今度こそ手数が枯渇する。あわや絶体絶命。しかしチグサに動揺は見られない。
「あの子も取り込まれちゃうのかな……ん?」
「社長さん、動かないね?」
「……あーわかった、これはチグちゃんがうまいわ」
そのままチェーンは終わる。
恐怖の支配者が咎めることなく、光の海は賑わいを見せていく。
「……通しましょう!」
「やっぱりですね! じゃあスプリンガールの効果から解決して、デッキの上から場のマリンセスの数だけ墓地に送ってその中のマリンセスカードの分ダメージを与えます! 落ちたのは《海晶乙女雪花》《海晶乙女波動》! よって400ダメージです!」
「ダメージは《ゼロゴッド・レイジ》のP効果によって無効にさせていただきます」
「次にブルースラッグの効果! 墓地のシーホースを手札に加えて、この子の効果でリンク先に特殊召喚!」
三体のモンスター展開。十分に回復した。
観戦していたサンゴはまだこの処理を理解しきれていないようであって、くいくいと隣の袖を引っ張る。
「えーっと……どうして社長さんが吸収しなかったの?」
「デスマキナの効果が思ったよりも限定的だから、かな~?」
「んん……?」
「コハク、もうちょっと説明してあげなさい……あーこはわかった?」
「あ、たぶんだけど、あのモンスターが効果を発動できるのって“フィールドのモンスター効果に
「わかった! “タイミングを逃す”ってやつ! チグちゃんが墓地で効果を使ったから発動できなかったんだね!」
せいか~い、とヒスイが手で丸を作る。
《DDD赦俿王デス・マキナ》の効果テキストは、“②:相手フィールドのモンスターカードが効果を発動した時に発動できる (中略) その相手のカードをこのカードのX素材とする”というもの。
このテキストは“時、できる”とタイミングが限定されていて、ちょうどその瞬間に発動できない場合“タイミングを逃す”。
同じプレイヤーの公開領域で同時に発動できる効果があった場合、プレイヤーはそれぞれの発動順を決定し、全て選んだあと相手プレイヤーへ効果発動優先権が移動する。これがわかりやすいのが、今回のチグサの展開。
フィールドの《海晶乙女ブルースラッグ》のリンク召喚成功時の効果にチェーンして墓地の《海晶乙女スプリンガール》のリンク素材になった場合の効果が発動されたことで、“相手フィールドのモンスターカードが効果を発動した時”が来る前に別の効果が使われたため《DDD赦俿王デス・マキナ》は《海晶乙女ブルースラッグ》に直接チェーンするタイミングを失い効果を発動できなかった。
凶悪に見えるデスマキナにも弱点は存在する。それを確実に見つけ、突破口を開いたチグサもまた強者ということだ。
「こうなったら後はあたしの番ですよ! ブルースラッグとシーホースでリンク召喚! あたしたちの魂は砕けない! 《海晶乙女クリスタルハート》!
さらにクリスタルハートとスリーピーで《海晶乙女コーラルアネモネ》をリンク召喚!」
「打点ゼロのリンク2モンスター……しかも経由しただけ? 何をしようというんですか?」
ハヤトは理解しているのだろう。クリスタルハートの召喚に意味があることを、チグサがそれを考えていることを。
しかし。
「社長先輩、見せてあげますよ! あたしのデッキの進化!」
「何?」
「あたしは墓地の《氷結界》の効果発動! デッキからレベルが高い水属性を墓地に送って、そのまま手札に加える!」
「いつの間に……っ、最初の《サイバネット・マイニング》か!」
「あれは、すぴちゃんがめっちゃ使ってる……」
「どんなマリンセスちゃんなのかな……なんか寒くなった?」
「これはもしかすると……マリンセスじゃないのかもね」
アカネが感じた寒さは気のせいではないのだろう。『虹闘の間』は特定のカードに風の温度を調節する演出が備わる。それが《氷結界》のものでないことは、このカードを愛用するヒスイにはわかっていた。
だとするとこれは何なのか。すぐにその姿が見えることになる。闘海の一角がみるみる凍り付いていき、やがて。
「さあ見せてあげましょう! あたしの墓地には《スプリンガール》《ブルースラッグ》《シーホース》《クリスタルハート》《スリーピーメイデン》! 合わせて
「な、まさかあのモンスターを……!?」
「五角の星が結ばれるとき、世界は極寒に包まれる!
《氷霊神ムーラングレイス》!!」
それは神。白銀の体は氷柱を引き下げ、その場に居るだけでも地表には霜が降る。
それは水属性最高峰のモンスター。墓地に水属性五体のみが存在する場合に特殊召喚される兵器。攻撃力も2800と十分ながら、その効果こそが最強の証。
【霊神】の一柱、氷の権化。今ここに青天の霹靂を下す。悪魔たちを上から猛吹雪が殴りつけ、寒波はモンスターたちを超え後ろの決闘者へ。
「特殊召喚成功時、ムーラングレイスの効果発動! 社長先輩の手札をランダムに二枚捨てる!」
「ぐ、やってくれますね……! ですがあなたにも消えていただこう! デスマキナ、素材二つを取り除き奴を吸収しろ!」
「ですけど! ムーラングレイスの効果は止まりませんよ! 西園のにーっ!」
「私の《ナイトハウリング》と《ケルベロス》が……! く、次のターンに活かせる二体だったというのに!」
ハヤトはここに一手を使うしかなかった。ムーラングレイスは放置すれば2800打点としてこちらに進軍、エグゼクティブテムジンとの相打ちを取ることも可能。単純に水属性モンスターの一体としてリンク召喚に利用される危険性も考えられる。さらにムーラングレイスを取り込むことでエクシーズ素材は残り二つ、あと一回の妨害を残す。この一手を削げば、相手を詰められるとの判断を下した。
「お待たせしました! 《コーラルアネモネ》の効果発動! 墓地から攻撃力1500以下の水属性を特殊召喚します! 対象はクリスタルハート!」
「最後の一手だ! デスマキナ、そのモンスターを無力化しろ!!」
残ったリンクモンスターの効果は蘇生。波の音に合わせて踊り始める。
当然、魔の手が伸びる。赦俿王の前で、王魔の前で、そのような狼藉は許さぬと。
……だが。
「わ! 綺麗……!」
「これは……!」
その手が珊瑚礁の乙女に届くことはなく。
透き通った水晶が阻み、優雅に踊り続ける。
「デスマキナの効果が、防がれた!?」
「闘海の効果! 《海晶乙女クリスタルハート》を素材にしたリンクモンスターは、相手の効果を一切受けない!」
「なるほど、クリスタルハートのリンク召喚はそれが狙いだったのか……!」
「これでモンスターが揃った! あたしはリンク2のコーラルアネモネと、同じくリンク2のクリスタルハートでリンク召喚! あたしのエース!」
「波は激しく、瞳は優しく、全てを洗い流す! 踊って、歌って、最強の海のアイドル!」
「《海晶乙女グレート・バブル・リーフ》!!」
舞台に躍り出るは、竜宮城の乙姫を思わせる風貌の乙女。手には薙刀、波を従える様はそれがエースだと知らしめている。
「この時、闘海とフィールドから墓地に送られたアネモネの効果を発動! アネモネで墓地から《海晶乙女波動》を手札に加えて、闘海はリンク召喚されたマリンセスに墓地のマリンセスリンクモンスターを三体装備できる! 《ブルースラッグ》《コーラルアネモネ》《クリスタルハート》を装備! さらに闘海の効果で、マリンセスの攻撃力が装備カードの分アップするんで、合わせて2000上がって攻撃力4600!」
攻撃力も補い、さらに闘海のクリスタルハートによる付与効果も健在。
「お見事です。……さあ、かかってきなさい!」
「バトル! グレートバブルリーフで、烈火大王を攻撃!」
「ぐぅっ……!! ですがこのダメージに合わせて手札の《DDオルトロス》を特殊召喚させていただきます……!」
HAYATO LP3000-1800=1200
選ばれた攻撃対象は、打点が最も低く今後の展開効果も持っていたエグゼクティブテムジン。炎の剣が激流に揉まれ鎮火される。
一転攻勢、今アドバンテージを取っているのは間違いなくチグサの方だった。
「あたしはこれでターンエンドです! さあ社長先輩、今度はこっちの番ですよ! 絶対勝ってやりますからね!」
「よろしい! 私のターン、ドロー!」
「スタンバイフェイズ、グレートバブルリーフの効果で墓地からシーホースを除外して一枚、ドロー! さらにモンスターが除外されたことでグレートバブルリーフの攻撃力は600アップする!」
盤上に攻撃力5200にまでなった《海晶乙女グレートバブルリーフ》を残し、構えは万全。
しかし見ている側からは当然気になることもある。アカネからその疑問が出るのも当然の話だった。
「でも、あの子が倒されたりしたら危なくない? 今セットしてるトラップとかないでしょ?」
「まあ、そう思うよねぇ。おちぐちゃんのデッキと戦ってないうちは」
「おー? なんかあるの?」
「見てればわかるよ、たぶん」
ターン変わってハヤトのドロー。手札は今のドローカードと、手札に《DD魔導賢者ケプラー》。フィールドには赦俿王デスマキナ、怒涛壊薙王カエサルラグナロク、グリフォン、オルトロス。
「最後まで気を抜かないことをお勧めいたします。私のペンデュラムスケールは0と6、レベル1から5のモンスターを同時に召喚できる!
「その子はサーチができるはずやった! ここで止めさせてもらいますよ! 手札から《
「ケプラーが……! ずいぶんと、やってくれるじゃないですか!」
チグサの手札から罠カードが放たれる。音に乗り、歌踊に合わせ、闘いの流れを操る。波の中に生きる彼女たちの戦法。
「相手ターンに手札から罠カード! だから伏せなかったんだね!」
「これがあの子の妨害、って感じ。何回もあれにやられてるからなー」
攻撃力、防御力、展開力、妨害力、全てを兼ね備えたバランスのいい高水準なデッキ。チグサの【海晶乙女】。
それを超えたいと思うのが、あるいは決闘者の性なのかもしれない。ハヤトの手が天高く掲げられる。
「ですが!! これであなたの手札は残り一枚!! これが私からあなたに送る最後の試練です!!」
「いやまだなんかあるんですか!?」
「レベル1・魔導賢者ケプラー! レベル3・オルトロス! レベル4・グリフォン! これらにレベル2チューナー・ゴーストをチューニング!!」
「モンスター四体!?」
「異界を統べる魔の魂、雷の剣と共振し、さらなる力で再誕せよ! レベル10!!
《DDD疾風大王エグゼクティブ・アレクサンダー》!!!」
闇を切り裂くかのごとき勢いで推参したそれは、墓地に眠る疾風王のさらなる姿か。
その剣に稲妻が迸り、攻撃力が上がっていく。
「このカードは、自身を含めたDDDが場に三体存在する場合、攻撃力が3000アップし6000となる!!」
「っ……!」
「赦俿王よ、怒涛壊薙王よ、疾風大王に力を!!」
『――!』
『――!』
『――!!!』
グレートバブルリーフを凌ぐ凄まじい力。水面に電光が走り、肌がひりつく。
「あなたは十分、私に力を見せてくださいました。合格は差し上げます――しかし!! 勝負は私がもらったぁ!! バトルフェイズ!! 疾風大王エグゼクティブアレクサンダーで、グレートバブルリーフを攻撃!!」
「――いいや、あたしも譲れないですよ社長先輩!! 手札から発動、罠カード《
「なんだとォ!?」
絶体絶命、故に起死回生。荒れた海は大きな飛沫を上げて新たな波を巻き起こす。
「グレートバブルリーフをEXデッキに戻して同じリンク数のマリンセスに変身させる! 現れろリンク4!」
「魂を貫く激戦の音が、波に乗り海を越えて世界中に届く! 海に輝く希望のハート!」
「《海晶乙女ワンダーハート》!!」
新たなマリンセス。その武器はより攻撃的な刃へ転じたものの、攻撃力はむしろ先ほどよりも下がっている。しかしチグサはこれを選んだ、つまり意味があるのだ。勝つための意味が。
「何をしようと、エグゼクティブアレクサンダーの攻撃は防げていない!! 装備カードすらも失ったマリンセスで……ッ!?」
「気が付いたみたいですね! 変身させたことで装備してたマリンセスは墓地に送られます! よって、《海晶乙女コーラルアネモネ》の効果を発動できる! さらにこれはリンク召喚扱いなので《闘海》も発動!」
「これは、まさか……!」
「三枚を再装備し、アネモネで墓地の海晶乙女カードを手札に加える! 帰ってこい《海晶乙女波動》!! そしてこれはもう一度発動できる!! エグゼクティブアレクサンダーの効果を、無効にする!!」
驚異の展開。名称ターン一のない無効札を墓地から回収することによる、
「あのカード、一ターンに何回でも効果使えちゃうんだね……」
「あそこまでするのは珍しいよねー、ヒスイちゃんもなかなかやられないんじゃない?」
「ま、そうね。チグちゃんが本気で勝ちたいって思ったからこそ、だよ」
「……く、くく、ははは! 良いものを見せていただきました! やはり勝ちたいと思う決闘者の熱き魂は素晴らしいものです!」
「めっちゃにこにこじゃないですか! ありがとうございます!」
「いいでしょう、今回はあなたが上手だった! 巻き戻しは行いません! 疾風大王エグゼクティブアレクサンダー、攻撃を続行なさい!」
「ワンダーハート、迎え撃つぞー!」
HAYATO LP1200-1400=0
- DUEL END -
そして、波は静まる。
「よっしゃー!! 社長先輩に勝ったぞー!!」
「ということで、社長さんからのお願いって何ですかー!」
「この腕前があるならば、お任せできることでしょう。
私からの極秘任務……この世界の“決闘精霊”の調査について」
その前置きから始まる話は、あまりにも大きなスケールだった。
加賀美インダストリアルが代替わりしてしばらく、社長としてもライバーとしても安定したハヤトが目を付けた新規事業が遊戯王の促進。それに伴い、世界各地の決闘歴史に残る史跡を調査することで知見を深める計画が打ち出された。実質海外旅行ということで社内でも盛り上がり、ハヤトもまた自ら現場で指揮を執るためにチームの一つに同行。その先は決闘発祥伝説の地――エジプト。
調査の途中、ピラミッド周辺に立ち寄った一行はそこで謎の男に呼び止められる。肌を白い布で隠し、わずかに伺える風貌から現地の老人だと思われた
――あなたは……
――知りたいですかな、本物の“決闘”を。この世界に足りぬ力を
――……? それはどういう……
――何、簡単なこと。“決闘”には宿るのですよ、本当の魔力が
――なっ……
物語、あるいは法螺話としか思えないのにも関わらず、老人の語りから耳が離せない。それは自身が『にじさんじ』で魔力の類いを持つ存在を見ていたからか、信じたいと思ったからか。
曰くこの世界の決闘は、元々“精霊の力”を有していた。カードに宿る精霊を操り、現実世界にまで影響を及ぼす強き力があった。それらは時代と共に失われ、決闘は単なるボードゲームに成り下がった。しかし“精霊の力”を正しく操れば人も精霊もその感覚を共にし、古来の正しき形の決闘を取り戻すことができる。
それができる存在を探していた、そして見つけた。老人はハヤトの手に古めかしい箱を乗せる。
――これを使いなされ。御主らに間違いなく喜んでもらえるものですぞ
ずっしりと重たい金の箱。《封印の黄金櫃》にも似たそれは当初は一切不明瞭なだけのもの。ハヤトらが持ち帰り解析を進めた結果、恐ろしい事実が判明した。この箱の中には、幾千万にも及ぶ“魂”とそれぞれに伴う“時空”が広がっていたのだ。
彼は見た、この世界で起こらなかった数々の対戦を。輝かしき決闘者たちを。
『ブラック・マジシャンで攻撃!
『ヒーローにはヒーローの、戦う舞台ってのがあるんだぜ! スカイスクレイパー発動!』
『レベル2のスピードウォリアーに、レベル3のジャンクシンクロンをチューニング! シンクロ召喚!』
『かっとビングだ俺! レベル4のモンスター二体で、オーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚!』
『お楽しみはこれからだ! 揺れろ魂のペンデュラム、天空に描け光のアーク! ペンデュラム召喚!』
『アローヘッド確認! モンスターをリンクマーカーにセット! サーキットコンバイン!』
紡がれた歴史はカードに精霊を宿した。それらは純粋で、ただただ決闘が好きな存在だった。
それをただ放っておくわけにもいかず、ハヤトたちは力を尽くした。曲がりなりにもVR空間に出力できたのは加賀美インダストリアルの技術と努力の結晶だろう。しかし風向きは芳しくなく、いつエラーを起こすかもわからぬ危険なものだった。
転機があったのはそれから少し。連絡を受けたハヤトの元を訪れたのは、にじさんじの“元一期生”であり“女神”、モイラであった。
彼女は“箱”の持つ力を察知し、間近で確認することで把握を試みた。結果は……
「なるほど、今も拡張し続けているのだわ。少々まずいかも」
「それは……」
「これを放置すれば箱から溢れて氾濫する。この世界などあっという間に塗り潰される。その前に対策を打たなければならないのだわ……人間のあなたを関わらせるのも怖いのだけど、いける?」
「……はい、もちろんです。私たちの力でこれをあるべき形に導きましょう」
そしてにじさんじを挙げての大規模計画が始動する。
虹のように色とりどりで、決闘を愛するものが集う世界。そんな場所を作りたいという願いから名付けられた『虹闘の間』プロジェクト。
にじさんじ本社ビルの一部屋、照明を落とされたその部屋には、スクリーンにいくつもの空間が映る。一つ一つをよく見れば、それはモンスターたちが動いている姿だった。その近くに決闘者はいないのにも関わらず。
それを眺める影が二つ。一人はスクリーンを凝視するハヤト。もう一人は、椅子に座るサイバネティクスな格好の男。白いサイバースーツに青い光のラインが走り、頭にかぶったヘッドギアからは青い目が覗く。目線が向いている先は不明瞭だが、あごに手を当て思案する様子からはインテリジェンスを感じ取れる。
「やっぱりわからないことだらけだね。俺もこれがプログラムの範疇に収まってるのが信じられない」
「あなたでも難しいとは……やはり“これ”はとんでもない代物だったわけですね」
「その挙動の一切に再現性が確認できない、中にAI……あるいはそれ以上のものがなんか仕込まれてるんじゃないかってくらい不規則で、自由意志を持ってる。まさにブラックボックスだよ」
「危険でしょう。ですが、私はこれを完成させたい。この世に生きる決闘者がすべからく楽しめるように。そのために、私はにじさんじの皆さんを頼らせていただいているんです」
「ハヤトさんが楽しそうでよかったよ。さて、俺はもう少し他のあてを探してみる。科学力でわからないことでも、にじさんじならそれを超えられる。そうでしょ?」
「ええ全く。では私も私なりに調べさせていただきます。お体にはお気をつけて」
「ああうん。それじゃ、お疲れ様。またね」
男はハヤトを部屋に残し、ヘッドギアを外して立ち去っていった。
その青いインナーが入った髪を見送って、ハヤトは画面を注視する。広がる世界のあちこちに、闘い戯れ生きるそれらの姿があった。
「何としても、これを完成させなければならない」
彼の決意が固まったのはその時だったのだろう。どこまでも決闘を愛するハヤトだからこそ、誰よりもひたむきになれた。その様に多くが惹かれた。
やがて力は集まる。
多額の資金を提供しスポンサーとなった名だたる家々。
不可視のエネルギーを宿し操る数々の魔法の世界。
神と人とが繋がれる妖術の皇国。
最先端の技術力を有する科学の楽園。
全世界でも類を見ないレベルで“異世界”と連携し、にじさんじと加賀美インダストリアルの完璧なオペレーションによって統率された計画は順調に進み、『虹闘の間』を完成させることに成功した。
「……このように、我々は『虹闘の間』開発を続けてきました。システムとして完成した今でも、これは拡張を続けている」
「なんか壮大な話ですね……」
開発者インタビューなどでも触れられなかった“世界の裏側”。自分たちが踏み込んでいるのが正真正銘未知の世界であることに、感じるのは不安と高揚。そうなると気になるのは、何が起きてどうなっているか。
「それで、精霊を調査するって……そもそも何が起こってるんですか?」
「あなたたちも少なからず経験したことがあると思います。時に、先程の私たち二人の決闘を思い出していただければ」
「んー……なんかスムーズに進んでましたね」
「ちょっと
「まさしく、
確かに言われてみればその通りだ。
ハヤトの初手には一枚から初動になる《ケプラー》《コペルニクス》と、手札で融合する《スワラル》・墓地で融合する《ネクロ》のスライム二体。展開力のある【DD】とはいえかなり上振れていただろう。
対してチグサは《デス・マキナ》の妨害をかわしながら氷霊神を確実に降臨させ、墓地に《波動》を送りながら回収し、最終的にはエース召喚までこぎつけた。しかも次のターンの《グレート・バブル・リーフ》の一枚ドローは状況を確実に変えた《環流》。あまりにもうまくいきすぎていた。
「……すぴちゃん、もしかして」
そう言われたサンゴの脳裏に過ぎるのは、昨日のヒスイとの一戦。勝ちたい一心でドローし続け、《超自然警戒区域》や《エクシーズ・インポート》など盤面をひっくり返す手段を一つ一つ持ってきた。その次のターンのヒスイの《七皇の剣》もまた、うまくいっていた一例だろう。
もしかするとヒスイはこれを知っていたのか、そう思って目線を動かし……
……突然の爆発音のようなものに遮られる。バーチャルの世界でおおよそ感じることのない衝撃に、理解しきれない異常事態を感じ取れてしまう。
「思ったより動きが早いですね……詳しい説明は後ほどさせていただきます! 今はとりあえずあちらへ!」
「行くぞー!」
「ちょ、コハクー!?」
「バトルジャンキーだ……」
一目散に駆け出していったコハクを追う形で、一堂は爆発音の震源地へ向かう。
その最中、逃げていく動物系のモンスターとすれ違ったのは……気のせいではなかっただろう。
「……ふむ、【海晶乙女】。私も構築してみましょうかね」
西園チグサの口調再現とDDの展開がムズすぎる。ハゲた。この世界の加賀美ハヤトはマジで雲の上の存在みたいなところがあるので使用デッキは頭使う【DD】です。“社長”だし。Daemonは誤字じゃないですが他でなんか間違えてたらなんか便利な機能があるらしいのでそこで教えてください。
というか今まで「チューニング」「オーバーレイ」とかのアニメワードを使ってなかったの気付いた人とかいるんですかね。説明不十分なので次回以降でしっかりします。まあ次回はコハクのデッキお披露目回なんですけどね。