▼作者の趣味と欲望によるポケットモンスタークロスオーバー
▼六花世界にポケモンがいたら? こうなってたら作者が楽しい
▼とくせい「シンクロ」の拡大解釈を含みます
▼考えるな、感じろ
「はじめましてイーブイ、ぼくはあさひ! 今日からよろしくね!」
おひさまみたいなこだ。
そうおもったのを、よくおぼえている。
あさひのおとうさんにだっこされて、ぼくははじめてあさひにあった。あさひはまだちいさくて、ちいさかったぼくをすこしおもそうにうけとめてくれた。
いつもきらきらわらう、とてもやさしいあさひのことはすぐにだいすきになった。
なでてくれるてはあたたかくて、まなざしはやわらかくて、ぼくのことをよぶこえはここちよかった。
「あさひはね、朝のおひさまの光のことだよ。ほら、あれがぼくのなまえ」
こっそりよあけのじかんにおきて、おひさまがかおをだしたときにあさひはおしえてくれた。ぼくはあさひにぴったりのなまえだとおもった。あさひは、あたたかくて、やわらかくて、ここちいい。
あさは、あさひのじかんだ。
そんなあさひが、なんにちかかえってこなかったひがある。
おとうさんはいっしょうけんめいさがして、ぼくもいっしょうけんめいさがして、それでもみつからなくて、こわかった。すごくすごくこわかった。
かえってきてくれたときにはほんとうにあんしんしたんだ。でも、あさひはすごくおびえたようすで、ぼくをぎゅっとして、ひとばんじゅうないた。おとうさんもずっとぼくごとあさひをぎゅっとしていたけど、それでもあさひはずっとふるえてた。こわかったんだね、つらかったんだね、いっしょにいてあげられなくてごめんね。
そのひからずっと、あさひはよるにうなされる。ふるえて、ひどいあせをかいて、いやだ、こっちをみるなってねむりながらなくんだ。そのたびにおこしたり、そのたびによりそったり、ぼくにはそんなことしかできないけれど。
ぼくはあさひをまもれるようにつよくなろうとおもった。
あさひはバトルがあまりすきじゃないみたいだった。
「イーブイがいたいのはいやだなぁ」
ぼくがバトルをねだると、そういってちょっとこまったようにわらうんだ。だけど、ぼくはつよくならなくちゃいけないから、バトルのれんしゅうがしたい。いたいのなんてへいきだよ、だってあさひをまもりたいんだ。
「……うん、わかった。じゃあぼくもバトルの勉強をするよ」
ぼくのおねがいごとをきいてくれたあさひは、それからいっしょうけんめいべんきょうしてた。ほんをよんだり、ほかのひとのバトルをみたり、おとうさんのはなしをきいたり。あさひはとってもあたまがいいから、どんどんくれるしじがよくなっていったとおもう。だってぼく、ぜんぜんまけないしぜんぜんいたくない。
あさひはほんとうにすごいんだ。
どんどんあさひのしんちょうがのびて、おとなにちかづいていって。
それでもやっぱりあさひはあさひのまま、ぼくのことをだいじにしてくれるのがうれしかった。
おおきくなってもまだおんなのひとのことはこわそうだけど、でもなんとかこくふくしようとがんばってる。すこしずつだけどだいじょうぶになってる。こわくてもにげたくても、それでもまえにすすもうとするあさひは、つよいこだよ。ずっといっしょにいるぼくがいうんだから、まちがいない。
けいさつかんになるんだって、いっしょうけんめいがんばるあさひは、かっこいい。
だいぶあさひがうなされるのもへったころ、こんどはおとうさんがいなくなった。
あさひのときとちがったのは、もうかえってこないっていうこと。まっくろなふくをきたあさひは、たくさんのひとにあたまをさげて、たくさんのひとにあたまをさげられていた。
とってもやさしい、とってもかっこいいおとうさんだった。もうあえないってきいて、なみだがでた。あさひもつらかったはずなのに、あさひはなかなくて、やさしくぼくのなみだをぬぐってくれた。
「……イーブイ、俺は」
おとうさんがねむっているおはかのまえで、あさひはかみしめるようにいった。
「俺は、警察官になるよ。さいごまで父さんのことは説得できなかったけど」
もっとがんばらないとなってなきそうにわらったあさひのかおをみて、ぼくはじぶんのなみだをふりはらって、ひとこえないた。あさひがもっとがんばるなら、ぼくももっとがんばる。いっしょに、がんばる。
それから、かんがえた。ぼくはあさひのためになにをしてあげられるだろう。
つよくなれたと、おもう。バトルでまけることはぜんぜんない。だけど、もっと、あさひのちからになりたい。
なかなかおもいつかなくてこまっていたけれど、またひさしぶりにうなされているあさひにきづいて、おもいついた。
あさひがないてしまう、よる。あさひのじかんがくるまえの、このくらやみ。
ぼくが、まもってあげる。
つきのひかりにつつまれる。ぞわりと、からだのなかのすべてがしんどうして、かわっていく。
つよくなりたい。まもってあげたい。やさしくてつよいあさひの、ちからになりたい。
ちゃいろだったけなみがくろくなる。てあしがのびて、からだがおおきくなる。つきのひかりがここちいい。よやみのなかでもあさひのかおがはっきりとみえるようになった。
あさひのまくらもとにのると、いつもよりおおきなおとでベッドがきしんだ。
いまのぼくには、ぼくのきもちをきみにつたえるちからがある。
ぼくのきもちと、きみのきもちをいっしょにするちからがある。
どうか、まけないで。だいじょうぶ、あさひはつよいこだ。じぶんのつよさをおもいだせれば、あくむなんてこわくないよ。ほら、まけないで。
あさひのひたいにはなさきをよせて、ぼくのきもちをのせる。
「い、……ぶい……?」
あさひのくちからそうこえがもれて、あさひのふるえがとまった。こきゅうがおだやかになって、しずかにふかいねむりにおちていく。ああ、うまくいった。おもいだしてくれたんだね、あさひがとてもつよいこだってこと。
でもぼく、もうイーブイじゃないよ。まちがえないでね。
これでよるはぼくのじかんになったから、これからよるはぼくがまもってあげる。
あさひのじかんがやってくるまで、ぼくがなんどだって「あさひはつよいんだよ」っておしえてあげる。
きみのためにできることがふえて、うれしい。
ぼくのすがたをみておどろくきみのかおがみたいな。
はやく、あさひのじかんがくればいい。
そうおもいながら、ぼくもあさひのまくらもとでまるくなった。
おもったとおり、めをさましたあさひはとってもおどろいていた。そしてすごくくやしがっていた。
「進化の瞬間を見逃すなんて!! なんで起こしてくれなかったんだよイーブイ、ちがったブラッキー!!」
おまえってやつは、といいながらあたらしいぼくのけなみをわっしゃわっしゃとなでるあさひ。
あくむをみたつぎのひにはかならずあったくまが、きょうはない。
ぼくはけなみをぐしゃぐしゃにされながら、ただわらった。あとでちゃんとブラッシングしてね。
それからあさひは、けいさつかんになった。
にんげんのともだちもできて、たのしそうで、まいにちがんばっておしごとしてる。
ぼくもずっと、そのそばにいた。
たまにバトルをしたりもするけれど、あいかわらずあさひのさいはいにくるいはない。
「お前のブラッキー強すぎじゃねえ……?」
「かくとうタイプ相手でも余裕ってどういうこと……?」
「こうかばつぐんのこうげきも、あたらなければ問題ない。そういうトレーニングしてきたもんな? ブラッキー」
じまんげにいうあさひに、ぼくもはなたかだかでひとこえなく。
あさひのじまんがぼくで、ぼくのじまんがあさひなのが、なによりうれしい。
「さてじゃあもう一戦、いけるか? ブラッキー」
おひさまみたいにわらうじまんのともだちのことばに、ぼくはたからかにへんじをした。
あさと、よるのおはなし。
あさひのじかんと、ぼくのじかん。