誰かのためのプロローグ
とある宇宙の片隅、
ある悪霊の残骸が漂っていた。
その怨念、私達が焼き尽くします!!
銀河に消えろ…ーーーー・ーーーー!!
ーーーーーー・ーーーー、この一撃で冥界に行けぇ!!
アディオスーー、アディオス私の戦い
世界とは、幾度も使い降るされたビデオテープのようなものだと私は思っている。
だが幾度繰り返せど、その悪霊の集合体は世界の真理もしくは運命とも言えるものの使徒達に勝つことはなかった。
そも悪霊の集合体が相対したあれは世界の意思と言えるもの、
それに勝とうなど、同じ領域に至りそれを屈服させようなど元より無理だったのかもしれないが…
とはいえその悪霊の残骸は因果地平の彼方とも違う、何処か宇宙の片隅に漂っていた。
「アハハ、君もそうなのか!!」
どこからともなく声がした。
本来、宇宙空間は人の形をしたものがそのままの姿で存在できない。
だが笑い声を上げたその存在は人ではない、
いやそもそも命を持った存在と形容する事すらできない存在だ。
しかし、今語るべきはそんなことではない。
いつかどこか今ではない宇宙の果てであってはならない、出会いが果たされたのだから・・・
これは語られることが憚れる物語。
本来はあり得なかった物語。
そしてある意味では出会いの物語。
怪物と戦うものは怪物とならぬよう心せよ、
闇を覗くものも、また闇から覗かれているのだ。
「アハハ、君もこの人形劇に興味があるのかい?」
ーーーーー
一年戦争それは有史以来とても多くの人が亡くなった戦争であった。
ジオンのコロニー落としに対してこれが最終戦争か?と呟く人も居たぐらいらしい。
私はそのコロニー落としで戦災孤児となった『らしい』人間だ。
と言うのも私には記憶がない。
そうは言っても特段困ることではないが、ただそういうことだ。
その後、外宇宙から飛来した『ある物』によってその戦争は休戦と言う形で一応の終わりを見る。
その『ある物』から天才科学者ビアン・ゾルダーク博士は外宇宙からの脅威を示唆した事により連邦政府は様々なEOT機関(異星の技術及びその発展技術の研究機関)の設立を推奨し異星からの侵略に備えた。
しかし、異星からの侵略者に対して対策が講じられる中、地球人類の生活圏での内乱と言える戦いの火種も今だに燻っていた。
ーーーーー
ふう、と息を吐き心を落ち着かせようとする。
これが私のファーストミッション。
『カレン、あんま気負うなよ?そういう時ほど不足の事態がおこるもんなんだぞ?』
「わかってますよ~」
カレンは自身の機体に通信を送ってきたマイスターの一人、ロックオンの気遣いの一言へ返答をする。
付け加えられた、そう言ってる時が一番わかってない、との一言はカレンの耳には届いていない。
自分の機体、エクシアの操縦管を握り直す。
『エクシア、リニアカタパルトへ、タイミングをエクシアに譲渡』
相変わらず抑揚の無い声でオペレーターをするフェルトについて内心苦笑いをする。
そんなことを考えると、自分は何に焦っていたのだろうと?と少し冷静になれた気がした。
もう一度操縦管を握り直す。
「了解、カレン・ホウジョウ、エクシア行きます!」
エクシアは原作の設定でも最初は刹那がマイスターになる予定ではなかったようですね。
今作では途中まではカレン(コードネーム)がマイスターです。