機動戦ガンダムSEED-風神と雷神-   作:秋月 了

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PHASE-12 帰還

「評議会からの出頭命令か」

 

「予想できていたことですがここまで追い詰めて」

 

『確かにな。だが今はヘリオポリスが崩壊して議会もてんやわんやといったところだろう

まあ、仕方ない。あれはガモフを残して追わせよう。イザークを帰投させろ。修理が終わり次第

ヴェサリウスは本国に帰投する』

 

 

 

「インテグラもだ。ヴェサリウスと合流し共に帰投する。

足付きの座標をガモフに送るのを忘れるなよ」

 

 

 

ほどなくして航行可能なまでに修理が完了したインテグラはヴェサリウスと共に

インテグラもプラント本国に向けて舵を切った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方アークエンジェルはというと。

 

「再度確認しました。周囲に敵影なし」

 

仕官がアークエンジェルブリッチに集まっている。

今は今後の話し合いの最中だ。

 

「艦長は撤退したと思いますか?」

 

「俺はそう考えてる」

 

「大尉がそう思われる根拠は?」

 

ナタルはムウに聞く。

ムウは確信があるように告げた。

 

「ロドクルーンはそう言う男だ、艦長。決して部下に無茶はさせない。

だがとれるチャンスは決して逃がさない。

まさにそう言うイメージだ。あいつは」

 

「ナスカ級に被害を与えた時点で撤退したと?」

 

「ああ、だからあの隊は少数精鋭の玄人が揃ってる。

死者ゼロ。被弾ゼロだからな。今回までは」

 

「ならこのまま」

 

「ああ、デブリベルトに」

 

一行は前に進む。

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後。インテグラとヴェサリウスはL5宙域にあるプラント本国に帰還した。

シャトルを使いアプリリウス市に向かう。

そのシャトルには国防委員長パトリック・ザラと最高議会議員エザリア・ジュールが乗っている。

まずシャトルはインテグラでルークとアスランを乗せる。

 

「ご同行させていただきます。ザラ国防委員長、ジュール議員」

 

「硬い挨拶はいい。我らはこの船には乗っていない。いいなアスラン」

 

「はい。父上、お久しぶりです」

 

ルークはパトリックの廊下をはさんだ一番近い席に座りアスランはその後ろに座る。

 

「君の報告書は読ませてもらった。私も君の意見には賛成だし

今回の件で君やクルーゼに過失があるとは思っていない。

力がなければ何も守れない。我々はそれ同胞の死という犠牲を持って知ったはずなのだがな。

それでも今だ武装を放棄して講和に持ち込もうとするクラインの考えの方が理解できん」

 

「おっしゃる通りかと」

 

パトリックの発言にルークは理解を示す。

だが彼は決してザラ派の人間ではない。

ここで今のプラントをうず巻く政治の状況を説明しておこう。

プラント最高評議会議長シーゲル・クラインを領袖とする派閥で

『地球連合との早期講和』と『ナチュラルとコーディネイターの融和』を目標に、

穏健路線を採るようになった通称クライン派と呼ばれる政治派閥だ。

その逆がパトリック・ザラがトップに立つザラ派だ。

所謂鷹派という言葉が似合う、急進派で

より過激なものはコーディネーターを新たな人類として、ナチュラルを根絶するという思想を

持つ政治派閥だ。そして最後が中立派と呼ばれるあくまでプラントの独立を望む者たちが

集う派閥である。彼の義父が生前にアイリーン・カナーバや

ルークとルークの友人の四人で創設した派閥で

現在政治派閥としては尤も大きい組織でもあり、

議員の3/1強が所属している。

ルークもこれに属しており、彼にしてみればパトリックに考えもシーゲルの考えも理解できない。

だがあくまでこの場ではパトリックに同意する。

そうこうしているとシャトルはヴェサリウスに到着して扉からクルーゼとイザークが入ってくる。

 

「イザーク!」

 

「母上」

 

今まで黙ってパトリックの話を聞いていたエザリアが立ち上がりかけよる。

息子が生きて戦場に戻ってきたのだ。

母親としては心配から一気に安心に変わったという事だろう。

シャトルが動き出しアプリリウス市に向かう。

翌日には査問委員会だ。

ルークはパトリックと別れを告げるとそのまま、車を走らせて

近くにある店に向かった。

 

「久しぶりだな。ルーク」

 

「そうだな。ルルーシュ」

 

店に入ると待っていたとばかりにテーブルに座っていた男が立ち上がる。

彼はルルーシュ・ランペルージ。

ルークの同期で現在、新設された月機動艦隊の総司令官でもある。

指揮官タイプでモビルスーツ操縦は出来るがその実力は並。

だが部下を得るとルークとも互角に戦える名指揮官でもある。

前述の中立派を創設にかかわったルークの友人とは彼の事である。

 

「聞いたぞ。ヘリオポリスの件」

 

「ああ、完全に取り逃がした。失敗だよ」

 

「そう落ち込むな。戦争の行く末を決めるのは戦術ではなく戦略だ。

それに四機手に入っている。問題はないさ。それよりも」

 

「ああ、これが例の件の証拠だ」

 

そう言うとルークはポケットからUSBを取り出し、ルルーシュに渡す。

 

「これで勝利へのピースがまた一つ埋まった」

 

ルルーシュはそう言って不敵に笑った。

 

「あとは任せる」

 

「ああ、ここからは俺の仕事だ。だが」

 

「ああ、協力はするさ」

 

ルルーシュはそう言って金を置いて店を立ち去った。

ルークは一人で頼んだコーヒーを飲む。

 

「うまいな」

 

誰もいない店の中でルークは一人呟いた。

 

 

 

 

 

一度自宅に戻り報告書を済ませた後家を出てとあるレストランに向かう。

そこで最高議長シーゲル・クラインやルイス、アスランの三人で会食の約束があるからだ。

 

「やぁ、ルーク」

 

「遅くなり申し訳ありません。議長」

 

「ここではそんな堅苦しい挨拶はやめてくれ。ルーク」

 

「はい。二人とも遅れてすまない」

 

「いえ」

 

「かまいませんわ」

 

ルークはアスランの隣でありシーゲルの向かいに座る。

 

「三人ともご苦労だったな」

 

「いえ、ヘリオポリスの件は申し分けありませんでした」

 

「それに関しては明日聞こう。とりあえず食事を楽しもうか」

 

出されたコースの一品目から順番に食べていく。

 

「ルーク、娘はちゃんとできているか?」

 

「お父様!」

 

「いや、父親としてはやはり気になってしまってな」

 

「はい。自分にはもったいない副官ですよ。彼女は」

 

「君がそう言っているならそうなのだろう。ほとんど家出同然に

軍に入ったからな。全然連絡をよこさないので父親としては心配にもなる」

 

「お気持ちはお察しします」

 

「後は君らやアスランとラクスの結婚だな。だが戦争が終わらん限りそれもかなわない。

早く終わらせたいものだな。こんな戦争は。軍人の君らにいう事ではないかもしれないが」

 

三人はうなずいた。

そうして会食は終わり自宅に戻る。

アスランは付き合いで飲まざるを得なかったルークを送るために車を走らせる。

 

「さっきの議長の話。どう思った?アスラン」

 

「は?」

 

「恐らくだが君は母親を失った恨みにとらわれていないか?ということだ」

 

「・・・・・・・・はい」

 

「それはいいさ。だが絶対に忘れるな。その手に銃を持ち引き金を引いた時から

お前自身もお前と同じ存在を作り出している側だという事を」

 

「はい」

 

「恨みを捨てろとは言わんさ。だがそれが主目的になるなよ。

俺達はあくまで軍人だ。その主目的はあくまでプラントの独立とそこに住む人たちを守る事だ。

そうしないとこの戦争は互いを滅ぼすだけの戦争になる。

それだけは止めないといけないんだ」

 

「わかりました」

 

ルークに自宅に着くとルークは車を降りた。

 

「ここまでありがとうな」

 

「いえ」

 

ルークは自室に戻りそのまま眠った。

 

 

 

 

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