処刑が行われたその日、ルークは一人車を走らせて、
ある場所に向かっていた。
そこは軍のアカデミー。
そこでルークはある人物と待ち合わせをしていた。
「やぁ、初めましてだね。ルーク・ロドクルーン隊長」
「初めまして、ギルバート・デュランダル殿」
「ラウから話は聞いてる。しばらく彼を頼むよ」
「はい」
デュランダルはそう言って隣に立つ少年の肩を押した。
少年の名前はレイ・ザ・バレル。クルーゼと同じ存在だ。
「初めましてだな。レイ。ルーク・ロドクルーンだ」
「レイ・ザ・バレルです」
「さて行くぞ」
「はい」
二人は車に乗り込む。
今回ルークはレイをある場所に送る事を頼まれていた。
場所は孤児院。いろいろな事情で親がいない子供たちが集う場だ。
なぜレイがそのような場所に向かうのかというと、
軍の課外授業の一環である。
ルークが運転をしてレイはただ外を眺めていた。
「恨むか?俺を」
「え?」
不意に問われたレイは驚いてルークを見る。
「別に恨んでくれても構わない。俺が手に入れた情報が元だからな。言い訳する気はないさ」
「そうなのかもしれません。でもラウはルークさんを恨んだりしてないと俺は思います。
ラウのしようとしたことは俺も知ってます。だから」
「そうか。ありがとう。でも君が君の意思で行動するならそれもいいだろうさ。
だが君は君だ。君はレイ・ザ・バレルだ。ラウ・ル・クルーゼじゃない。
たとえその姿が全く同じで有ろうとだ。だからただラウの意思を継ぐんじゃなくて
君自身の目で世界を見てほしい。その末でそれでもラウと同じ考えに至るなら
それは仕方がない事だと俺は思う」
「俺は俺の考えをですか?」
「ああ」
「そうですね」
レイは再び外を眺めていた。
ルークはある建物の前で車を止める。
そこは戦災孤児やとある都合で親に捨てられた子供たちが集う場所だった。
「ようこそ、おひさま園へ」
そう言ってルークはレイを連れて中に入る。
「あ、兄ちゃんだ」
「お兄ちゃん!」
「本当だ」
すると子供たちが駆け寄る。
「よしよし、元気にしてたか?」
「うん」
ルークは膝をついて子供たちの頭を撫でる。
「この人だれ?」
子供たちに接するルークを見ていたレイの近くに子供の一人が歩いてくる。
「このお兄ちゃんはな。今日からここで働くんだ」
「そうなの?」
「あ、ああ」
「悪いけどまた後でな。レイを紹介しないと」
「うん」
「それとこれ、お土産な。皆で分けな」
「「「「「はーい」」」」」
子供たちはお土産を受け取って奥に走って行った。
「驚いたか?」
「はい。もう少し暗いと思っていたので」
「あれでも最初はそうだったさ。ここにはいろんな子がいるからな。
ユニウスセブンの事件や戦争で親を失った子や、
遺伝子操作が思っていたほどじゃなかったとか理由は色々だがな。
それでも生きていかないといけない。
だから各々で折り合いをつけてる子がほとんどだ。
あとはここの園長がしっかり子供たちに愛情を注いだおかげだな。
紹介しよう。付いてくると良い」
「はい」
廊下を通り一番奥の部屋の扉を開けて中に入る。
ルークよりも少し年上くらいの見た目の女性がぺこりと頭を下げて挨拶をする。
「あら、戻ってきたんですね」
「ああ、園長、言ってたレイだ」
「レイ・ザ・バレルです。これから三か月間よろしくお願いします」
「はい。よろしくね私はルカ・バレンタインよ。
それでルークもしばらくいるんですか?」
「俺は夜には軍に戻る。明日の朝には出撃なんだ」
「詳しくは聞きませんし聞く気はありませんが生きて帰ってください」
「ああ、わかってる」
「あの、二人はどういう関係で?」
「ルークはこの孤児院出身で十年前まで一時期ですけど一緒に暮らしてたんですよ。
だから幼馴染のようなものです」
「俺の親は二人とも育ての親だからな」
「そうですか」
少し暗い雰囲気が漂う中、ルカはパンッと手を叩いて気持ちを切り替えるように声を上げる。
「さて、もうすぐ夜だし、急いで晩御飯の準備をしないと。ルーク、レイ手伝って」
「わかった」
「はい」
三人は計十人分の料理を作っていく。
「レイはこのプログラムの意味は分かってるのか?」
「はい。守るべき存在を知って、より訓練の励みにする為と」
「うん。合格だな。軍人は国土、人命、財産を守る義務がある。それを忘れるな」
「はい」
そうして全員を集めて夕食をいただく。
そして
「悪いが俺は行くよ。そろそろ戻らないと」
「そうね。さっきも言ったけど絶対生きて帰って来て」
「了解」
ルークは車を運転し軍本部に戻った。