数時間前
「ZAFTに動きがあるだと!」
「はい。メネラオスよりすぐに戻ってほしいと」
「わかった」
キラとストライクの前で話していたハルバートンに部下の一人が報告に来る。
「わかった。すぐ向かう。やれやれ、君や君の友人と話す時間もないわ」
「提督」
急かす部下を手で制して再びキラに声をかける。
「アークエンジェルとストライクを守ってもらって感謝している。
そしてこの艦に残るというのなら、私は止めはしない。
だが、君が居れば勝てるということでもない。戦争はな。決してうぬぼれるな!」
提督の言葉に、キラは言葉を模索した。
自分一人だけで、ストライクに乗って戦っていたなら、提督が言うように心のどこかで
増長していたかもしれない。けど、キラの心にある覚悟はそうじゃないと叫んだ。
「あの!」
「ん?」
「大切な人を守るため。大切な仲間を守るため。生きて、生かして
出来るだけの力があるなら、出来ることをして、使命を果たして明日を迎える。
僕はイーグル隊で、大尉や中尉からそれを教わりました」
そのキラの答えに、提督は満足そうに笑みを浮かべた。
「それもそれに値する意志があるならだ。それがあるならば君は立派な戦士になれる。忘れるな。
良い時代が来るまで、死ぬなよ!」
彼はそう言って敬礼をすると、自分の役目を果たすためにランチへと向かっていくのだった。
ルークSAID
ルークが駆るブレリュードを先頭に宇宙を進む。
「そろそろ敵の索敵圏内だ。各機。聞こえるか?
目標は第8、及び第7艦隊奥に大事にかくまわれている足付き。
雑魚はジンがつぶせ。イージス、ブリッツ、バスター、デュエルは俺と共に来い。
クロエとアキトはジン部隊の指揮を任せる。恐らくだが敵は足付きを地球に降ろす気だ。
その前に何としてもここでかたを付ける。いいな!しくじるなよ」
『『『『『『『『はっ』』』』』』』』
(とは言ってもここで堕ちられると相当面倒なんだがな)
ルークは離れていく部下二人を見送りながらアークエンジェルを目指した。
緊急発進したメビウス部隊が迎撃の為にジン部隊に向かって行く。
部隊ごとでジン一機に向かって行くがジン部隊はクロエとアキトの指揮の元、
確実に敵を減らしていった。
その間にもルークを先頭に6機はアークエンジェルを目標に進んで行く。
それを止める為に各艦がビームを撃ち、ミサイルをばら撒く。
しかしそれらはモビルスーツの機動力の前にはほとんど意味を成してないかった。
「G五機、第七艦隊先陣隊列を突破!」
「くっ、イージスにバスター、ブリッツ、デュエル。それにブレリュードか」
「確かにいいモビルスーツですな。だが敵では厄介なだけだ!」
隣に座るホフマンの皮肉に返答することなくハルバートンは次の手を考える。
「アークエンジェルにアルカナを出撃させるように伝えろ!」
「はっ」
『ベリアルイン中尉!メネラオスより発進命令です。敵モビルスーツを押さえろと』
「了解」
『頼むぞ。ソーマ』
「隊長の分も敵は倒しますよ」
ムウからの通信に軽く返答して発進準備を整える。
「ソーマ・ベリアルイン。アルカナ、出る!」
アルカナは外に向かい、一直線に第8艦隊を抜いて前線に躍り出た。
『中尉!』
「ロックか!」
『お久しぶりです』
ロック・ソウベル少尉。開戦の頃からメビウスを駆ってここまで生き残ってきたパイロットだ。
現在は小隊を率いている第7艦隊所属の兵士であり、
そして彼はコーディネーターでもある。
彼はZAFTが行った「血のバレンタイン」事件への報復作戦からのエネルギー危機、
通称エイプリル・フール・クライシスで両親と友人を失ったコーディネーターの一人だ。
地球連合に所属するコーディネーターは意外にも多い。
開戦より前から地球には未だコーディネーターがプラントへ移住せず住んでいた。
だが前述のエイプリール・フール・クライシスで約10億人のの被害者を出した。
当然その中にはコーディネーターもおり、プラントのいう大義を信用できない者、
ZAFTを両親の仇として認識しているコーディネーター達が地球軍に所属している。
上層部に都合の良い駒として使い捨てられる可能性を理解していながら。
そんな訳アリの兵士を全てに引き受けているのが現在の第7艦隊だった。
ロックを中心としたコーディネーター達が戦線を維持している。
そこにアルカナが加わった。
クロエ達は一旦ジンを下げた。
「ちっ、ソーマか。アスラン!」
ルークはそれを確認して舌打ちを一つして次の指示を出す。
『はっ』
「悪いが俺は雷神の相手をする。お前は今いるメンバーを指揮して足付きを討て!」
『了解』
ルークは機体をアルカナに向ける。
アスランはそれを見送ってからアークエンジェルへイージスを向けた。
MA形態でアルカナがいる場所に向かい、ビームサブマシンがを撃ちまくる。
《ルーク!》
「ソーマ!」
互いにビームサーベルを取り出して切りかかる。
ブレリュードが薙ぎ払い、それにアルカナが対応する。
鍔迫り合いの後、ルークはあえて押し負けて距離を取り、
ビームライフルを素早く持ち替えて今度はメビウス数機を撃った。
ビームはメビウスを正確に打ち抜いて爆散させる。
《ジャック!アラド!》
やられた仲間の名前を叫ぶソーマ。
だがそちらに気を取られてばかりはいられない。
「クロエ!」
『了解。空いた穴を広げる。ついて来い!』
『了解』
メビウス部隊が形成していた防衛線。そこに開いた穴にクロエ達が攻め込み突破にかかる。
メビウス部隊も必死に抵抗するが機体性能差が出てしまい、
死者こそ出ていないが撤退に追い込まれる者たちが続出していた。
クロエを先頭としてジン部隊が第七艦隊を突破し始める。
艦船から砲撃は軽々躱されて逆に撃沈に追い込まれていた。
「雑魚に時間をかけるな。狙いはあくまで足付きだ」
ルークの通信でジン部隊も第7艦隊を突破した。
そうして第8艦隊に迫るMSに第7、第8のMAが迫る。
だが第8艦隊のMA隊は数こそ多いがそのほとんどが
太刀打ちできないまま足止めすら出来ずに命を散らしていく。
ルークたちはそんな事一切気にする事無く進んで行く。
それを追いかけていくソーマ達。
第8艦隊前衛が砲撃を開始。
だがそれも全く足止めにもなっていなかった。
ジン部隊とブレリュードは護衛艦を破壊しながら前に進む。
次々と墜ちて行く護衛艦や戦艦とMA。ひっきりなしに来る報告の嵐に、
地球軍旗艦である【メネラウス】の艦橋では副官のホフマン大佐が驚愕で顔を染める。
「戦闘開始たった七分で、六隻もか!?」
「ブレリュード。三隻目を轟沈。アーガマに接近」
「ベリアルイン中尉にアーガマへ援護に向かわせろ!」
ハルバートンの指示を受けてソーマはアーガマに向かう。
そのアーガマでもブレリュード接近の報告が上がり、
クラウスは冷静に迎撃を指示する。
アーガマオペレーターたちはクラウスの指示を忠実に実行し、
見事にブレリュードを足止めして見せた。
「ちっ、この的確な砲撃。ソーマが乗ってたドレイク級の艦長と乗組員か。面倒だな」
ルークはブレリュードをアーガマを堕とす事を諦めて他に向かう。
《ルークーーーーーーー!》
「ソーマか。意外と早かったな」
《これ以上好き勝手させるかよ!》
再び二機による戦いが始まる。
アルカナが2連装グレネード・ランチャーを撃ち、
ブレリュードは機首部側面に2基搭載されたバルカン砲でそれらを破壊した。
爆発を起こし、視界を遮り、レーダーを頼りにアルカナはビームサーベルを持ち突撃する。
予想外の行動に一瞬戸惑うルーク。
だがルークはそれを辛うじてよけて見せた。
《くそっ》
「惜しかったな。ソーマ」
二人の戦いは続く。