やばいという危機感が止まらない
最初のミサイル攻撃はアークエンジェルの近接防御火器システム、イーゲルシュテルンで
迎撃され外れたミサイルは地表を焼いた。
その頃マリューが艦長の席に座る。
「状況は?」
「第一波。ミサイル攻撃六発。イーゲルシュテルンにて迎撃」
「砂丘の影からの攻撃で、発射位置、特定できません!」
マリューはそこで思考を巡らせ自分たちの持つ手札が何かを即座に考えて、対応策を練る。
「総員、第一戦闘配備発令!機関始動!イーグル隊各員は、搭乗機にてスタンバイ!」
マリューは気を張り巡らせる。
「5時の方向に敵影6、ザフト戦闘ヘリと確認!」
砂丘から姿を現した攻撃ヘリをいち早く探知したアークエンジェルであるが、
向こうには地の利があり一度は捕捉してもNジャマーも助けて更に砂丘の陰へ直ぐに隠れてしまう。
敵機のせいで、識別信号の確認すらできない。
「ミサイル接近!」
「フレア弾散布!迎撃!敵は実弾攻撃で来るぞ!」
今まで通り装填していたアンチビーム爆雷を下げフレア弾を装填しなおし発射する。
ここでようやく作てて情報がナタルの下に届けられた。
ナタルはその情報を元に迎撃する。
「艦尾大型ミサイル発射管、1番から4番、ウォンバット装填。外すなよ。撃てーーー」
ナタルの指示のもと大気圏内用ミサイル「ウォンバット」が発射され
確認されていた戦闘ヘリの二機を撃墜した。
それを見ながらマリューは次の手を考える。
というより手は一つしかない。
「イーグル隊、出撃させて」
「了解。イーグル隊、出撃。敵戦闘ヘリを排除せよ」
ソーマSADE
その頃ハンガーでは急いで出撃準備が出来る。
「シュンはスピアヘッドででるの。三号機?飛べるかどうかわからない機体を
出せるわけないでしょ!少佐の分も確実じゃないのよ」
ルーンが叫びながら整備班に指示を出す。
「ルーン。アルカナは?」
「大気圏突入なんていう無茶してくれたおかげで翼が融解しててまだ交換が終わってないの。
そんな状態で戦場に出せる訳ないでしょう!」
「じゃあ、スカイグラスパーは出られないのか?」
「実際に飛ばさないと分からない部分が調整で来てないのよ」
「なら飛びながら調整する。出撃準備急いでくれ」
「無茶よ」
「無茶でもなんでもやるしかないんだ。キラやシュンだけに
やらせて俺だけ艦で待ってることは出来ない」
ルーンとソーマの言い合いにそれまで騒がしかったハンガーが静かになる。
誰もがその結果を見ていた。
「わかった。でもちょっとでもおかしいと感じたらすぐ戻って」
「わかった」
「二号機を出す。急いで準備して」
「「「「了解」」」」
整備班のメンバーは気合を入れなおすようにそれぞれの機体に戻っていった。
「悪いな」
「よく考えたら、あんたの無茶はこれが初めてじゃないし、
その無茶をひっくり返して不可能を可能にしてきたのが
あんた達イーグル隊だものね」
「恩に着る」
「少しでも恩を感じるなら無事に帰って来なさい」
「わかった」
しばらくして発進準備が整う。
「キラ。今は戦闘ヘリだけだがお前が出ればモビルスーツが出てくるはずだ
敵のヘリは俺がすぐに潰す。後は連携してつぶすぞ」
『了解です』
「シュン。お前はキラの援護だ」
『了解』
「ブリッチ。出撃不能のフラガ少佐に変わって指揮権を継承する」
『こちらブリッチ。了解です、ベリアルイン大尉。イーグル隊、発進願います』
「了解。イーグル隊発進だ」
キラのストライクが発進し続いてソーマのスカイグラスパー二号機、
シュンのスピアヘッドが発進していく。
それをバルトフェルドも見ていた。
「出てきました。あれがX105ストライクですね」
「他にも二機、出たようだ。恐らくあの新型が雷神だろう。
バクゥを出せ。反応を見たい」
数分もしないうちにバクゥが戦場に姿を現した。
そして砂との設置圧が会わず立つ事に苦労していたストライクを追い詰めていった。
ソーマは戦闘ヘリをつぶしつつ地球での飛行に苦戦していた。
「やっぱ、重力がうざい。でもなんとなくわかった」
転生特典の一つ操縦技能はある程度機体に慣れなければ
発動してくれないうえその人の器用さによって大きく関わってくる。
ソーマの器用な方なので発動が早いがそれでも3分はかかる。
「キラ。思った以上に時間かかっちまったがこれから援護する。
その間に接地圧合わせろ」
『了解』
機体を旋回させて地上ギリギリを飛びビーム放ちバクゥを1機破壊する。
〈くそっ。雷神が加わって来た。各機、気をつけろ〉
「遅い!」
もう一機に向けてビームを放つが足一本を破壊する事しか出来なかった。
「ちっ。外した」
〈あぶねぇ。くそっ、戦闘機でどんな機動させてんだ。戦闘ヘリじゃないんだぞ〉
「キラは?」
キラはストライクを後ろから攻撃しようとしてきたバクゥをアグニの銃床でそれを
突き倒し、倒れた所を足で踏みつけにしてアグニの銃口を押し付けビームを放ち破壊した。
この容赦の無さにソーマですら寒気を覚えた。
〈アークエンジェルはやらせないぞ〉
「キラ」
「一機やったぞ」
アークエンジェルのブリッチでもその姿は確認されていた。
キラやソーマの姿に歓声が上がる。その時チャンドラが鋭い声で報じた。
「南西より熱源接近!艦砲とミサイルです!」
一瞬で沸いていた艦内が静まり備える。
「離床!緊急回避!」
マリューの指示に従いノイマンが艦を浮かび上がらせる。
アークエンジェルを狙っていた弾は地面に着弾もしくはアークエンジェルの
イーゲルシュテルンで迎撃され爆発する。しかしうち一発が艦の横っ腹に当たる。
「どこからだ?」
ナタルが叫ぶ。
「南西二十キロの地点と確認」
「本艦の攻撃装備では対応できません」
サイとトノムラの報告にナタルは小さく舌打ちする。
『俺が行ってレーザーデジネーターを照射する。それを目標にミサイルを撃ち込め!』
「今から索敵しても間に合いません!」
『やらにゃならんでしょうが!それまで当たるなよ!』
ムウのスカイグラスパーが飛び出していった。
マリューは口を引き締めて白い機影を見送った。
イーグル隊を始めとしたアークエンジェル全クルーのおかげでほとんど初めての地球での戦闘も
今の所はうまく言っている。
マリューはその事実に感謝しつつ、
「第二波接近!」
再びのチャンドラの声に気持ちを引き締めて指示を出す。
「回避!総員衝撃に備えよ!」
「直撃コース!」
トノムラのうわずった声にブリッチクルーは来るであろう衝撃に備えた。
ソーマSADE
ソーマとキラとシュンの三人は頭上を通る砲弾を捉えた。
その中でキラの中で何かがはじける。
〈誰も死なせるもんか!皆は僕が守る!〉
キラはランチャーストライクのアグニを構え、
砲弾の軌道上の一点を狙う。
「シュン。援護だ!バクゥにキラの邪魔をさせるな!」
『了解!』
ソーマはスカイグラスパーのビームとミサイルをシュンはスピアヘッドのミサイルを放ち
群がるバクゥを散らす様に攻撃する。2人の援護に感謝をしつつ、
キラは狙いを定めてアグニで撃った。
その一撃はアークエンジュルを狙った艦砲とミサイルを破壊する。
それに、アークエンジェルのクルーや遠くで戦闘を見ていたバルトフェルドも
驚きながら言葉を失った。
ソーマやシュンのせいで一時離脱していたバクゥ三機が戻って来て攻撃を再開する。
キラはアグニで狙おうとするがコックピット内にアラートが鳴り響く。
キラはモニターに映し出されたエネルギーゲージを見る。
そこにはバッテリーゲージがあと少しのレッドラインに達していた。
〈アグニを使いすぎたか⁉くそ!〉
敵機は残りバクゥ三機。戦闘ヘリはジルが破壊したためいないが
残りのエネルギーではソーマ達がいたとしてもかなりきつい。
キラは不用意に動けなくなった。
その時バクゥの一機にロケット弾がぶつかりロケット弾だけが爆発した。
〈なんだ!〉
ロケット弾が飛んできた方向を見れば複数のバギーがこちらに近づいてきていた。
『レジスタンスでしょうか?』
「それしかないだろう」
近づいてきたバギーはストライクの足元を通り過ぎていく。
その内一機が止まり通信をつなげてくる。
『そこのモビルスーツ!死にたくなければこちらの指示に従え!』
少女の声と共にモニターにある地点に印をつけられた地図が映し出された。
『その地点にトラップが仕掛けられている。そこまでバクゥをおびき寄せるんだ』
女の子は言うだけ言って通信を切りバギーを走らせ去っていった。
「キラ。なんだかわからんがとりあえず従ってみよう。だが警戒は怠るなよ」
『了解』
キラはストライクを目標地点に向かう。
ソーマとシュンはそれに追随する。
バクゥはそれを追う。
絶妙な距離を保ちながら目標ポイントに向かう。
そして遂に目標ポイントに着き、キラは焦らすように背後に振り替える。
警告音が鳴り響きバクゥが襲い掛かってくる。
〈信じるしかない〉
キラは充分にバクゥを引き付けてからストライクを更に後ろに飛びあがりながら下がらせる。
三機のバクゥは先ほどまでストライクのいた場所に着地した。
遠くでその光景を見ていた少女が笑顔を浮かべた。
〈よし〉
その瞬間、地面が陥没する。
身動きが取れず地下に引きずり込まれたバクゥは次の瞬間、大爆発に巻き込まれて破壊された。
そこはかつての廃坑を利用した地雷原だったのだ。
爆発で粉々になった破片がストライクの周辺にふりそそいだ。
肩で息をしていたキラはそれを見ていた。
だが今のキラにはそれを見た所で何かを感じる事はなかった。