機動戦ガンダムSEED-風神と雷神-   作:秋月 了

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PHASE-36 選択

「ハァ…もう少し急ぎませんか?」

 

バクゥの先頭でジープを運転するダコスタは、隣でくつろぐバルトフェルドへ進言するが、

彼にその気はなさそうだった。

 

「早く帰りたいのかね?」

 

「追撃されますよー…これじゃぁ…」

 

タッシルからでも、彼らの装備ならこちらを捉えることはできる距離だ。装備が貧弱とは言え、

街を焼かれた恨みから彼らが追ってくる可能性も考えられる。

 

「運命の分かれ道だな」

 

「はぁ?」

 

呟くようなバルトフェルドの言葉に、ダコスタは思わず首を傾げた。

 

「自走砲とバクゥじゃぁ喧嘩にもならん。死んだ方がマシというセリフは、

けっこう良く聞くが、本当にそうなのかねぇ?」

 

バルトフェルドのいう事の意味が分からず聞き返そうとしたダコスタの言葉を、

バクゥに乗るパイロットからの通信が遮った。

 

『隊長!後方から接近する車両があります!6…いや8!レジスタンスの戦闘車両と戦闘機が1機!』

 

それを聞いて、バルトフェルドはわずかに顔をしかめる。

 

「できるなら、これで懲りて欲しかったが、やはり死んだ方がマシなのかねぇ」

 

軽口をたたくバルトフェルドだがロケットランチャーがジープを襲う。

それをダコスタはうまくかわす。

 

「仕方ない!応戦する!」

 

 

 

ソーマSADE

 

 

 

 

 

 

「止まれ。止めれと言っているんだ」

 

タッシルから飛び立ち、すぐに追いついたソーマは外部マイクを使い呼びかけるが

 

《奴らを倒すんだ!》

 

《虎を倒せ》

 

頭に血が上り現実が見えていない彼らにはソーマの声は聞こえていなかった。

そう言っている間にジープはバクゥの一団に追いついた。

 

「くらえ!」

 

先頭の車両から先頭のジープに向けてロケットランチャーが放たれる。

それをジープはかわす。

 

《仕方ない!応戦する!》

 

バルトフェルドの指示でバクゥが転身しこちらにやって来た。

再度ロケットランチャーを放ちバクゥに当たる。

 

《やった!当たったぞ!》

 

「馬鹿野郎が!」

 

「どうしますか?大尉」

 

「仕方ない。モビルスーツ戦闘用意だ」

 

「はい」

 

トールは急いでコンピューターで現場の情報を解析する。

 

「敵味方情報、送ります」

 

「サンキュウな。このままの調子で頼む」

 

「はい」

 

《ええい、ちょこまかと!鬱陶しい蟻が!》

 

ザフトのパイロットの声が響いた瞬間、開幕一発目を命中させたジープが宙を舞っていた。

人がまるで糸の切れた人形のように空を舞って、バクゥによって蹴り上げられ、

ひしゃげたジープと共に砂漠に叩きつけられる。

 

「ジャアフル!アヒド!」

 

「さがれ。サイーブ!もはや喧嘩にすらなっていないのが分からないのか!」

 

遅れてやってきて仲間がやられて叫ぶサイーブをソーマは止める。

サイーブは運転手に指示を出し戦闘に参加することなく離脱し、見える位置で止まる。

既に7台は居たはずのジープがもう3台に減っており、あたりにはぐちゃぐちゃになった

ジープが転がっていて、更にその先に事切れたレジスタンスのメンバーも地面に倒れていた。

生きている者はいないことは見ればわかる。

 

 

 

〝まさか俺達に、虎の飼い犬になれって言うんじゃないだろうな!〟

 

 

「くそっ」

 

タッシルを出る前に言われた言葉を思い出し

悔しい気持ちでいっぱいのサイーブだが彼にはジープに拳を叩きつける事しか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

既に三台しか残っていないレジスタンスだったが未だ戦っていた。

当然戦いになっていないやられたメンバーは誰一人としてミサイルを使って

やられた者はいない。全員バクゥに蹴り飛ばされたかキャタピラに引かれたかの二択だった。

そして、バクゥが次に目をつけたのは、アフメドのジープだ。

 

《くっそー!》

 

《雑魚が》

 

バクゥの右前足がカガリたち三人が乗るジープを襲う。

 

《飛び降りろ!》

 

キサカはカガリを抱きかかえ飛び降りる。

 

《え?》

 

しかしアフメドは反応が遅れてしまった。

 

「馬鹿やろう!!」

 

ソーマはビームを放つ。

そのビームは正確にバクゥの足を貫いた。

 

《何!くそ、雷神か!》

 

バクゥのパイロットは驚くがすぐに意識をソーマに向ける。

アフメドはそのままジープを走らせて離脱しようとしたが

破壊されたバクゥの右前足の破片が車両後部にぶつかり横転して体が砂漠に放り出される。

アフメドは砂漠に体を打ち付けられて気絶してしまった。

 

「アフメド!」

 

カガリは急いでアフメドに近づく。

 

「落ち着け、カガリ、気絶しているだけだ」

 

キサカの一言を聞いてカガリは少し安心していた。

 

 

 

 

 

 

《くそ、ちょこまかと》

 

「そう簡単にやられるわけにはいかんのよ」

 

ソーマは飛び回りバクゥのミサイル攻撃を躱す。

 

「大尉、接近する機影1。ストライク。キラです」

 

「わかった。キラに観測データを送るんだ」

 

「了解」

 

ソーマは援軍の到着に少し余裕を見せる。

 

 

 

 

 

 

 

 

キラSADE

 

 

 

 

 

 

 

「大尉とトールは?」

 

戦場にたどり着いたキラはレーダーを使い敵を索敵を開始する。

 

『キラ、今から敵味方の索敵データと地形データと気象データを送る』

 

「わかった。ありがとう、トール」

 

『砂漠の熱対流でビームの射線がずれるから気負付けろよ』

 

「了解です。大尉」

 

友人と上官の声に無事であることを確信し安心しつつ送られてきたデータを元に

ビームの射線を修正しつつビームを放った。

放たれたビームは正確にバクゥのミサイルポッドを打ち抜き破壊した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほぉ、救援に来たのか?地球軍が?先日とは装備が違うな。

それにビームの照準、即座に熱対流をパラメータに入れたか…いよいよもってそうなるかねぇ」

 

救援に来てから少しの間対空していたことから戦闘機のデータを元に

パラメータを修正したのだと確信したバルトフェルドは通信機を手に取る。

 

「カーグット!バクゥを私と替われ!」

 

ストライクから一番離れた場所にいる部下に通信を入れ、替わるように言う。

 

『は?』

 

「隊長!」

 

突然のことにダコスタもパイロットも驚きうろたえる。

 

「撃ち合ってみないと分からないこともあるんでねぇ」

 

少しやり合う程度さ、とだけダコスタに言うと、降りてきた部下に代わってバルトフェルドは

バクゥへ乗り込んでいく。

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