一方その頃、2機のバクゥはストライクの機敏な動きに翻弄されっぱなしだった。
エールとは言え、ずっと滞空できるわけではないため、バクゥのパイロットたちもキラが
着地する瞬間を狙うのだが、的確なタイミングでソーマのスカイグラスパーが邪魔をしてくる。
《くそ。戦闘機が邪魔だ》
かといってソーマにミサイルよ向けようとすればストライクのビームが襲う。
どちらか片方ずつを相手にしようにもソーマ相手に一機でどうにかできるわけもなく、
バクゥは翻弄されていた。
「大尉!止まったもう一機が来ます」
「了解。キラ、注意しろよ」
『了解』
《フォーメーションデルタだ!ポジションをとれ!》
《隊長!》
《行くぞ》
バルトフェルドが操るバクゥが乱入することにより、旗色が一気に変わっていく。
ストライクの周りを旋回するバクゥの動きを捉えるのは並大抵のことではない。
「面倒だな!」
近づいてきたバクゥへライフルを構えた瞬間、死角を突いた背後からの攻撃でストライクは
大きく揺さぶられて前屈みに倒れる。
『うわぁぁぁぁ!』
「キラ!くそっ」
《通常弾頭でも、76発でフェイズシフトはその効力を失う。その時同時にライフルの
パワーも尽きる。さぁこれをどうするかね?奇妙なパイロット君!》
「この場にいるのはキラだけじゃねぇぞ!」
急降下で上からバクゥを捉えたソーマはミサイルとビームを撃つ。
ビームはバクゥ1機を完ぺきにとらえ破壊し
ミサイルに辛うじて気づいたバルトフェルドはとっさにかわすが足に当たり体制を崩す。
《忘れていたわけじゃないのだがね。仕方ない。後退する!急げ!ダコスタ!》
《はっ》
バルトフェルドは即座に体制を立て直し部下に指示を出して
バクゥ二機はそのままの勢いで逃げていった。
「大丈夫か?キラ」
『ありがとうございます。大尉』
「無事ならそれでいいさ。助かった」
『はい』
「とりあえず、サイーブの所に行くぞ」
『わかりました』
機体をレジスタンメンバーの近くに降ろし機体から下りる。
「で、彼らはどうするんですか?大尉」
「ん。そりゃあ、決まっているだろう」
座り込んだトールにさも当然と言う顔でそちらを向く。
三人が見た先にはひしゃげたジープがあちこちに転がっていて、
サイーブとキサカによって亡くなったレジスタンスメンバーの亡骸が集められている光景だった。
「手ひどくやられたな」
「死にたいんですか?こんなところで…なんの意味もないじゃないですか…」
そんなキラの呟きに、アフメドを介抱していたカガリが怒りを露わにした目で近寄ってきた。
「なんだと…貴様!見ろ!みんな必死で戦った…戦ってるんだ!
大事な人や大事なものを守るために必死でな!」
「それで、何を得た?」
「なんだと!」
カガリの言っていることは綺麗事だとソーマは切り捨てた。
「結果そこに転がっている死体は無駄死にだ。感情でものを言うのはいいがな。それが現実だ。
自分たちの力量、相手の力量も把握せずに勢いで突っ走った結果がこれだ。
だから俺は言ったんだ。お前達は虎から対当に戦う相手として見てもらえてすらいない。
それを自覚しろと」
「でも」
ソーマの言葉に尚も反論しようとしたカガリにキラは遂に怒りが頂点に達しカガリの頬を叩いた。
いきなりの事に驚いてカガリはそちらを見る。
「気持ちだけで何が守れるって言うんだ!」
全員が黙るしかなかった。
力が無ければ何も守ることが出来ない。
結局はそう言う事だ。今回、レジスタンスのメンバーはそれを命と言う代償を払って
思い知らされた。
「限界だな」
そんな中サイーブが口を開く。
全員がそちらを向いた。
「遅かれ早かれ迎えていた事だ。俺たちじゃ戦争はできん」
サイーブは持っていたライフルをソーマに投げた。
と同時にサイーブは思う。
限界をもっと早く理解していれば、認めていればこの場にいる者たちは死なずに済んだのかと。