茜色に染まりつつある空を鳥の影が横切っていく。
子どもの元気な笑い声を耳に、その影を目で追う。
木製のベンチへ体重を預けながら。
欲しい情報を探し出すだけでも一苦労、このままだと知恵熱が出そうだった。
「東さん、大丈夫ですか?」
「無謀だったな」
「基礎が必要でしたね……でも、爆薬発電機に辿り着けたのは幸運でした!」
こぢんまりとしたパートナーが前脚を上げて、喜びを表現する。
辛うじて読み解けた部分に求める知識の一片があったのは、僥倖だった。
しかし、それで今日はタイムアップだ。
「道筋は見えていますし、焦らず進めましょう」
パートナーの言葉に頷いて返す。
焦ったところで仕方がない。
焦燥感を抑え込み、しばし日常の中で黄昏れる。
「そうだな」
インクブス共をニュースで見かける頻度は激減し、人々は泡沫の平和を謳歌している。
街中に整備された公園には、子どもの笑顔が満ち、それを見守る大人の姿があった。
いずれ外出禁止のサイレンが鳴るとしても、眼前に広がる日常は前世と変わらぬ姿をしている。
──巡回中の警察官が携行する銃器を除いて。
視界の端、公園の出入口に佇む2人の警察官は武骨なライフルを肩から下げていた。
インクブスから市民を護る身近な存在とは、ウィッチでも国防軍でもなく、彼らだ。
本来、警察には不要とされる重武装は、その交戦頻度と殉職率の高さから許容されている。
今では日常の一部となっていた。
「どうかされましたか?」
私の視線を追ったパートナーも紺色の人影を捉え、頭を傾げる。
公園を後にする子どもを見送り、時に寄り道をしないよう呼びかける姿は、良き
特筆すべき点はない。
彼らだけなら。
「巡回の人数が多い」
「そうですか?」
この公園へ来るまでに徒歩3組、車両2台を見ている。
偶然と言うには頻度が多かった。
不審者の出没情報は出ておらず、交通安全週間というわけでもない。
「
潜伏中の児童連続誘拐犯もといフロッグマンを捜索していた時よりは少ない。
しかし、今回は様子が違う。
「特に…警戒を呼びかけている様子はありませんね」
そこだ。
警戒や注意の呼びかけを一切行っていない。
普段通り市民へ接し、定時連絡を取る警察官に緊張の色は見られず、外出禁止を伝達する防災行政無線も沈黙したまま。
「インクブスではないな」
「はい。索敵網は薄くなりましたが、市内への侵入は許していないはずです」
ファミリアの多くが休眠に入ったため、再構築した索敵網は層が薄い。
しかし、これまでファミリアの集積してきた情報から最適化され、穴は少なくなっている。
「…だとすれば」
「通常の警察活動ですね」
インクブスによる惨禍へ目が行きがちだが、この時世でも人の犯罪は絶えない。
指名手配犯のポスターが貼られた駐在所を見たこともある。
パートナーが言うように本来の警察活動に従事していても問題はない。
「
本当にそうか?
局所的であれ、増員を行う事態にありながら、市民へ情報開示がない。
まるで、平穏を装っているような、言い知れぬ違和感があった。
「…待機中のファミリアを呼び出しますか?」
「いや、今はいい」
その提案は、最終手段だ。
相手がインクブスではない以上、安直にファミリアを投じる判断は慎まなくてはならない。
現状、推測の域にすら達していないのだ。
「様子を見る」
「分かりました」
とは言え、長居はできない。
気まぐれで公園を訪れたが、そろそろ芙花が帰ってくる時間だ。
押し付けと分かってはいるが、芙花にとって家は心安らぐ場所であってほしかった。
不審に思われない程度に観察を──警察官の視線が一点で止まった。
「む…東さんっ」
パートナーに促され、視線を追った先には、石畳の園路を歩く少女。
長袖のブラウスにロングスカート、黒い手袋を右手に填め、サイズの大きいキャスケットを目深に被っている。
その季節外れな格好、そして左目を隠す白い眼帯が目を引く。
「保護者がいない…?」
おぼつかない足取りを見て、思わずベンチから腰が浮いた。
あの格好だと熱中症になってもおかしくない季節だ。
「行きましょう!」
「ああ」
警察官が少女の保護に動く、あるいは周囲の大人が気が付くまで待っていられない。
鞄に入れたボトルの重みを確認し、ふらつく少女へ駆け寄る。
「そこの、あなたっ」
軽度の運動で上がる息を抑え、声をかけた瞬間、小さな肩が跳ねる。
すぐさま振り向く少女の右目には、強い警戒心が浮かんでいた。
「なに?」
微かに緊張を帯びた声には、幼さが残る。
私の頭から爪先までを観察してから、幾分か警戒心が緩むのを感じた。
見ず知らずの相手へ接する時だけは、性別が変わって良かったと思える。
「足、ふらついてたから…大丈夫?」
「問題ない──」
なおも足を進めようとした少女の体が傾く。
どこが問題ないものか──細い肩に手を回し、しっかりと体を支える。
そう身長は変わらないはずだが、ひどく軽かった。
「そこで休憩しよう」
気まずそうに目を伏せる少女を木陰にあるベンチへ座らせ、顔色や発汗の状態を確認する。
衣服を緩めさせたいが、左手首から上を覆う包帯を見て、断念。
この季節外れな格好は、
「飲める?」
鞄から取り出したボトルを差し出すと、目を逸らす少女。
口はつけていないが、嫌なものは嫌か。
しかし、今日に限って手持ちがない。
弱った。
「……必要ない」
「水分補給しないと熱中症になるから」
上手い言い回しが思いつかない私は、直接的な言い方になる。
芙花と同年代の子なら、もう少し噛み砕いた表現にできるのだが。
ただ、今回は正解だったのかもしれない。
少女は渋々といった体で受け取り、ぎこちない所作でボトルのキャップを外す。
「誰か探してる?」
一息ついて、幾分か顔色が良くなった少女に問いかける。
詳しい事情は聞かないが、傷病者であることは間違いない。
であれば、保護者が同伴しているはずだ。
「……うん」
しばしの沈黙を経て、少女は頷いた。
「私
まるで祈るように少女は囁き、茜色に染まる空を見上げる。
予想外の返答だった。
救世主──名を安売りしながら、実の伴わない者が今世には溢れている。
しかし、インクブスの襲来で蔓延した新興宗教の祀り上げた偶像とは違う。
心の底から願う切実な響きからは、自暴自棄な狂気を感じない。
「見つかると…いいね」
どう答えたものか悩んだ末、ありふれた言葉を吐き出す。
安直な響きにうんざりする。
「ありがとう、お姉さん」
そう言ってボトルを返し、少女は微笑む。
今時の子どもは早熟というが、それを加味しても成熟された微笑み。
どこか痛ましさを覚えるほど大人びていて──
「…来た」
微笑みを消し、立ち上がった少女は出入口の方角を見つめる。
そこには警察官へ頭を下げる壮年の男女がいた。
おそらくは夫婦──なるほど、そういうことか。
「蘭!」
こちらに気づいた2人は、居ても立っても居られないという様子で駆け寄ってくる。
「探したのよ!」
「ごめん…」
ひしと娘を抱き締める母親。
夕陽に照らされた横顔は、安堵に包まれた表情を浮かべている。
これにて一件落着、心中で胸を撫で下ろす。
「娘を看ていてくれてありがとう」
「大したことはしていません」
ボトルを鞄に入れる私に、少女の父親が頭を下げてきた。
三白眼の鋭い視線に一瞬面食らうが、清潔感のある服装と穏やかな口調から人柄が分かる。
「手違いがあって、迎えが遅れてしまってね…」
「何事もなく良かったです」
何事もなかった。
インクブスという度し難い存在が跋扈する時世で、それは容易くない。
平和に見える公園も一時は連中関連の失踪事件が多発していた。
「ありがとうございましたっ」
深々と頭を下げる少女の母親。
子どもを心配する母とは皆、同じ顔をするのだと他人事のように感慨を覚えた。
「何とお礼を申し上げればよいか」
「いえ、本当に大したことはしていませんから…」
見返りを求めての行動じゃない。
これは心の平穏を保つためにやったこと、自己満足だ。
だから、お礼がしたいという申し出を失礼にならないよう穏便に断る。
「──本当に、ありがとうございましたっ」
私の行動に甚く感動したらしい母親は何度も頭を下げ、その隣で父親が苦笑する。
そんな二人に手を引かれる少女は、一度だけ私に振り向き、口を動かす。
その声が届くことはなかったが──ごめんなさい、と言ったように見えた。
違うかもしれない。
しかし、仮にそうだとすれば、彼女は何に対して謝ったのだろう?
「良かったですね…!」
しみじみ呟くパートナーと共に、公園を去る親子の背中を見送る。
前世で
肉親や血縁者を失った者──私を含めて──が、ありふれてしまった。
泡沫の平和が訪れても、元通りになることはない。
「ああ、そうだな」
小さく頭を下げる警察官に愛想笑いを返し、私たちも公園を後にする。
◆
夕闇に沈みつつある街で、帰るべき場所へ急ぐ人々。
そこへ紛れ込む親子に不自然な点は見られない。
娘の季節外れな格好は目を引くが、それも誤差の範囲に思われた。
しかし、国防軍の検問を躱し、郊外の住宅街へ入る者が一般人のはずがない。
『合流が遅くなった、すまん』
遠方から外出禁止のサイレンが鳴り響く中、父親
ぶっきらぼうな声に頷きで応じる少女は、被ったキャスケットを指差す。
『
『ああ、構わない』
夕闇に沈みつつある郊外から住民の姿が失われて久しい。
『この一帯は無人だ』
『…そう』
少女がキャスケットを取り去れば、狼を思わせる尖った黒い耳が天を衝く。
次いで眼帯を外し、黄金の瞳で周囲を見回す。
『暑かった』
中途半端に異形と化した少女──
右手の手袋を取れば、現れる鋭利な爪と黒い毛並み。
ポケットに手袋を入れ、替わりに取り出した髪飾りを前髪へ挿す。
『季節外れだったな』
髪飾りに扮したパートナーが主の言葉に同調する。
初夏から中夏に差し掛かる時期の格好ではない。
『でも、必要なこと』
しかし、変身に伴う人体の変化を
『目まで戻らなくなったか』
『うん……でも視力は良くなった』
黒狼は虹彩異色症ではない。
任務で再会する度、体が戻らなくなっていく様を見せられる王は、世を呪う言葉を飲み込んだ。
『お前は作戦の要だ。自身の状態は把握してるな?』
『問題ない』
そう言って健気に微笑む異形のウィッチは、口元に鋭利な犬歯を覗かせる。
──今更、呪詛が一つ増えたところで現実は変わらないだろう。
だが、これまでの犠牲、これからの犠牲へ唾を吐く気にはなれない。
たとえ、畜生道に落ちようとも。
『仮設拠点へ到着次第、すぐ作戦の調整に入るぞ』
『その前に…』
路地の前で不意に足を止め、首から下げていたチェーンを外す黒狼。
長い黒髪と頭上の耳に苦労しながら少女が取り外した代物、それは──認識票の束。
母親の仮面を取り払ってから無言を貫く女へ、そっと差し出す。
感情に乏しい目が夕闇に照らされた刻印を見つめる。
『
血を拭った痕の残る認識票。
黒狼の水先案内を務めた者たちの名を一つ一つ確かめ、目は閉じられる。
『弟は……少尉は、責務を果たしましたか?』
かつてスパイ天国と揶揄された島国は、未曾有の危機に際して免疫を急速に回復させた。
諸外国の工作員を掃討した免疫機構は、新たな芽が出る前に刈り取ってくる。
ゆえに、これは
『うん』
『しかと見届けた』
問いかけに対し、ウィッチとパートナーは堂々と答える。
『感謝します、黒狼』
小さな手に手を重ね、楊は祈るように囁く。
肩を並べて戦った大陸最高戦力のウィッチに、多くを語らせる必要はなかった。
看取る者がいた事実だけでも救いだった。
『必ず持ち帰る』
『お願いします』
認識票を強く握る少女の決意に、その任を負うべき大人が首を垂れる。
その歪な光景に王は口を引き結び、心中で世の不条理を呪った。
戦闘技術を修めた軍人──否、軍隊を凌駕する力が少女に重責を背負わせる。
かつて、アジア最強を自負した武装力量は見る影もないほど凋落していた。
『それにしても……2人が来るとは思わなかった』
楊へキャスケットを手渡し、認識票を首にかけながら黒狼は感じ入るように呟く。
いかに作戦要員が少人数とはいえ、作戦を主導する尉官が合流班にいると普通は思わない。
王は鬱屈とした感情を鼻で笑い、ネクタイを正す。
『なかなか様になってたろう?』
そう冗談めかして言うが、実際、既製服を着こなした2人は小洒落た夫婦にしか見えない。
コーディネートを担当した隊員の目利きは鋭い。
『うん、似合ってる』
軍服以外の衣服に袖を通した戦友に、ただ黒狼は微笑む。
少女は、純粋だった。
『…そうか』
気恥ずかしさを覚えた王は咳払いを一つ。
逃げるように歩みを再開し、狭い路地へ足を踏み入る。
足取りの軽い黒狼と半眼の楊を連れて。
『──合流の支援に加えて、装備の回収に人員を割かれてな』
夜の訪れが早い路地を進みながら、王は合流班に参加していた理由を明かす。
『装備?』
『そんな予定はなかったはずだが…』
作戦の要たる黒狼に重装備の支援は不要だった。
むしろ、火力は過剰供給。
細かな調整ができない
『厄介な客人の歓待に急遽必要になってな』
含みのある尉官の言葉に、黒狼は首を小さく傾げた。
想定される妨害は日本国防軍だが、蝶の活動する旧首都圏で作戦行動は避けている。
遭遇する可能性は低い。
『詳細に関しては後程説明します』
『分かった』
『黒狼の目的は当初と変わってない。心配するな』
客人の歓待は俺たちの仕事だ、と王はニヒルに笑う。
それから狭い路地を抜けて、車道に放置された車両を縫うように進む一行。
『到着だ』
車道を渡った一行の前には、寂れたマンションが1棟。
戦闘の余波を受けなかった幸運な建築からは人の営みを一切感じない。
このマンションの地下駐車場に、仮設拠点はあった。
『隊長!』
上空から死角となるピロティの下に立つ人影が一行の接近に気が付く。
『上士、2班は』
音もなく駆け寄ってきた若い上士に上尉は問う。
合流の支援に当たった2班も市街地を脱し、ここへ到着している時刻だった。
『まだ戻りません』
『そうか』
2班の状況は無線封鎖下のため確認できない。
パラ・ミリタリーまで動員し、警戒を強める国防軍は侮れない相手だった。
健闘を祈るしかない。
『引き続き警戒しろ』
『了解』
艶消しされたライフルを携えた若い上士は、黒狼を一瞥だけしてピロティの下へ戻っていく。
『王上尉』
大口を開けた地下駐車場の入口で黒狼は改まった様子で切り出す。
その視線は、生活の痕跡が微かに残されたマンションの上階に向けられていた。
『どうした?』
地下駐車場内から漏れ出す光を目印にスロープを下る王は、その声に覚えがあった。
手に余る人命を抱え込もうとする時、絞り出す硬い声だ。
『仮に……蝶を失ったら、この国は?』
合流地点として市街地を選択せざるを得なかったとはいえ、
そこで生きる人々を見て、言葉を交え、少女は作戦遂行上で無用な葛藤を抱くことになる。
重い溜息を一つ吐き出し、王は傍らの楊へ目配せする。
『地方を放棄し、都市部へ人口を集めることで、ウィッチと軍の戦力を集中させるでしょう』
『それは
大陸では一般的な防衛体制であり、何一つ画期的な点はない。
むしろ、苦々しい敗北の記憶を甦らせるものだ。
大陸最高戦力の戦歴は無数の戦術的勝利、そして戦略的敗北が連なる。
『あれは急場凌ぎに過ぎない』
『そうだな』
弾薬が尽き、戦意が挫け、嬲り殺される兵士。
敗れた末に凌辱され、連れ去られる幼きウィッチ。
そして、陥落した都市でインクブスの嘲笑が木霊する──それを繰り返させまいと旧北部戦区は戦ってきた。
そう訴える真直な目と相対する王は努めて感情を殺す。
『ただ…未熟なウィッチが経験を積み、軍が持久戦に備える時間を蝶は与えた』
その時間の価値は、黄金にも等しいだろう。
しかし、蝶の庇護を失えば、この島国の平穏は容易く崩壊する。
インクブスとの総力戦に耐え得る国家は、存在しない。
『十分だろう?』
それを理解し、世の不条理を呪いながら、淡々と言葉を吐き出す。
『俺たちは瀕死の盗人だ……他者を気遣う余裕はない』
黒狼の開きかけた口を閉じさせる弱者の言葉。
際限なく救済の手を広げようとするウィッチに、現実を思い出させ、取捨選択させる。
まず、優先すべきは旧北部戦区に生きる人々だ。
『黒狼、私たちの両手で守れるものは少ない』
『…分かってる』
多くを救うため、多くを捨てたウィッチは俯くしかない。
自己を犠牲にしようと、全てを救うなど傲慢だ。
誰もが閉口する現実──重い沈黙が満ちる。
光源に灯火管制の処置が施され、随所に闇の残る地下駐車場。
そこで回収した重装備を黙々と点検する部下の影。
手広く見えて小さく収まっている仮設拠点を見回し、王は再び足を──
『蝶との対話が
その足を、黒狼の言葉が縫い留めた。
強い意志を宿す黄金の視線と現実を諭す尉官の視線が交錯する。
『これに変更はない?』
『変更はない……成功の可能性は低いがな』
黒狼の強い要請で残された対話というオプションは実現性が低い。
既に接触を図った部下3名、情報収集中の諜報員2名が死亡している。
人類の希望は、己の領域を侵す者全てに容赦がない。
ゆえに、司令部が至った結論は──大陸最高戦力による無力化。
無力化の後、
傀儡軍閥の拠点を制圧した際、得られた外法の技術を用いて。
『誰も蝶と
『うむ…インクブスの走狗と同列へ成り下がるのは、それからでも遅くはない』
パートナーの辛辣な言葉に王は口を噤む。
旧北部戦区に手段を選ぶ余力などない。
しかし、インクブスの傀儡を拒んだ人間として、捨ててはならない矜持がある。
その葛藤を正面から揺さぶる言葉だった。
『私たちは彼女が守ってきたものを見た』
インクブスの脅威、飢餓、貧困に怯える心配のない世界だった。
正反対の世界に身を置く者ならば、不条理を呪う光景。
しかし、誰もが渇望する平穏を
『きっと目指すものは、同じ』
その力を簒奪するのではなく、庇護を得るという夢想。
戦場で無慈悲な決断を下しながら、理想は捨てなかったウィッチは現実に抗う。
その代償が、さらに己の体を蝕む結果になろうとも。
『協調も不可能ではない』
言葉を尽くし、ついに意志を変えること叶わなかったパートナーは、ただ背中を押す。
願わくば、少女の双肩にかかった重責が減ずることを祈って。
『私は、蝶を信じる』
ウィッチナンバー2──黒狼は、これまでの犠牲に恥じない選択を選び続ける。
Q.救いはないんですか!?
A.作者を信じろ(曇りなき眼)