泡沫の平和は崩壊し、目を覆う惨禍が市街地で繰り広げられていた。
助けを求めて逃げ惑う人々を、牙が、爪が、刃が襲う。
醜悪な笑い声を響かせ、怪物どもが我が物顔で街中を闊歩する。
「やってくれますわね…!」
遠方からでも一望できる地獄に、浅緑の騎士は朱の瞳を怒りに染める。
どれだけ死地を潜ろうと、その光景に慣れることはない。
胸中に渦巻く強烈な敵愾心、そして人々を救う絶対的な善性がウィッチに力を与える。
「うむ! その代価、必ずや命で支払わせてやろう!」
風に靡く亜麻色の髪を追って、パートナーのフクロウが意気軒昂に宣う。
インクブスとは絶滅すべき存在、それは必定である。
「国防軍が展開してるけど……避難する人に阻まれてるか」
隣を飛翔する魔女は狙撃に用いる視力を生かし、より詳細に戦場を観測していた。
「よくやってる方だが、長くは持たねぇにゃぁ」
展開した国防軍は逃げ惑う群衆を縫って、インクブスへ果敢に反撃を浴びせている。
しかし、その効果は薄く、損害が拡大していた。
市街地の至る所から黒煙が上り、爆音が鳴り響く。
「小集団に散って、対処を飽和させる気のようですわ」
現場に駆け付けたウィッチは少数、ゆえに対処できていない。
未確認のインクブスに翻弄されている者も見受けられる。
プリマヴェルデは口を強く引き結ぶ。
「なら、僕たちはネームドを優先して潰すべきだね」
最も脅威となるインクブスに最高戦力が当たる合理的判断。
今、惨禍に襲われる者の全てを救うことなどできはしない。
だからこそ、彼女たちは
「ネームドの位置は分かりますの?」
「うむ! レギ君とカタリナ君のおかげで仔細把握しているぞ!」
パートナー間のテレパシーで伝達される情報の密度は、ユグランスのファミリアの比ではない。
インクブスの種別、位置や高度、エナの総量といった情報が逐次更新される。
ネームドの特定は容易だった。
「よし、そいつらから潰そう」
「頭を潰せば体も死ぬ……連中、ぶっ殺してやろうぜ」
人を食ったような声色は鳴りを潜め、底冷えするような敵意だけがあった。
魔女は漆黒のライフルを撫で、力強く頷いてみせる。
「グリム、ユグランスに伝えてくださる?」
「うむ! 任せたまえ!」
プリマヴェルデの命を受けたパートナーが高く舞い上がる。
その眼下を跳ねる紅白の人影が
「ユグランス君は国防軍の支援と避難する人々を守るそうだ!」
「分かりましたわ」
ユグランスの権能であれば、確実に成し遂げることができるだろう。
魔女と騎士は、ただ強大な悪を粉砕すればよい──市街上空にて静止。
最も苛烈な戦闘の行われている一帯だ。
戦車砲の咆哮が轟き、インクブスの雄叫びが鳴り響く。
「行くよ」
「ええ」
短い応答の後、一斉に落下を開始する2人のウィッチ。
黒煙を潜った先、交差点にインクブスが群れている。
風で孕む装束を翻し、ダリアノワールは2m長のライフルを下方へ構えた。
「トム」
「おう、ぶちかませ!」
落下中という非常識な射撃コンディション、されど躊躇なくトリガーを引いた。
マズルから紅蓮の炎が瞬き、衝撃で少女の体が浮く。
着弾点は眼下の交差点──二足歩行のワニを貫き、その体躯を吹き飛ばす。
2射、3射と立て続けに銃声が響き、インクブスの生命を粉砕する。
百発百中にして一撃必殺、彼女が放つ弾丸は魔弾であった。
「新手のウィッチ!?」
鉄と火薬ではなく、エナの弾丸と感づいたインクブスは天を仰ぐ。
その隙を見せた横顔に対戦車ミサイルが直撃し、半身を粉砕する。
交差点よりインクブスを排除──軽やかな足音が鳴り響く。
降り立った騎士と魔女は、後続の怪物たちを睨む。
「へっ…弱い雌じゃ満足できなかったところ──」
銃声の後、下劣なワニの頭部は消し飛ぶ。
アスファルトへ巨躯が倒れ込み、血に飢えた怪物たちは一斉に地を蹴った。
「口動かすより体を動かせよ、害獣どもが」
そう吐き捨てるライフルの体表が波打ち、武骨なマシンガンへ変形する。
それを構えるダリアノワールの隣で、プリマヴェルデは一直線に駆け出す。
「参りますわ!」
「援護するよっ」
けたたましい銃声が鳴り響き、エナの弾丸がインクブスの前衛を襲う。
エナの防壁を貫通し、腕や脚を穿って機動力を奪っていく。
「ぐぁ!?」
「お、俺の脚が!」
騎士は疾駆を止めず、混乱の渦中へ突進する。
その頭上を対戦車ミサイルが通過し、眼前の爬虫類を吹き飛ばす。
視界を黒煙が覆い、千切れた四肢が舞う。
「──小癪なヒトどもが!」
黒煙を凶刃が切り裂き、オーガに迫る巨躯が姿を現す。
人型の上半身と四足の下半身をもつ異形──ケンタウロスである。
大陸でしか存在が確認されていないインクブス。
情報が少ない敵は、脅威そのものである。
「手間が省けましたわ」
だからこそ、
プリマヴェルデは足を止め、異形と正面から相対する。
「脆弱なウィッチが無手だとぉ?」
対するケンタウロスは髭面を歪め、怒気を放つ。
四足に膂力を蓄え、右腕の握る長大なソードが路面を削る。
「嘗めるな!」
刹那、アスファルトが陥没し、巨躯が消える。
ケンタウロスの突進──それは暴風の如く。
音速を超えた下段からの斬撃は、常人には回避不能。
しかし、亜麻色の線は死角となる左手へ潜り、凶刃と交わらない。
「ちっ」
空振りしようと四足で駆け抜けるケンタウロス。
その背に二足で追従するプリマヴェルデ。
包囲を試みる無作法者は、魔女の弾丸に穿たれる。
「小賢しい!」
急停止と同時に背後へ繰り出される後脚。
追撃してきた数多のウィッチを打倒してきた必殺の一撃だ。
眼前に迫る蹄──騎士は足を止めない。
紙一重で頭を逸らし、伸び切った関節へ右の裏拳を打ち込む。
しかし、体勢の悪さも相まって威力はない。
「一手っ」
これは布石──プリマヴェルデの権能が発動する。
打ち込んだ場所からインクブスの体表が
「二手!」
ケンタウロスの左半身側へ踏み込んで、左のガントレットを腹へ叩き込む。
そこからインクブスの体内が可視化される。
筋肉の躍動を視認、動作を予測──ケンタウロスの巨影がプリマヴェルデを覆う。
「痛くも痒くもないぞ!」
接地した後脚で半身を持ち上げ、ウィッチの頭上より前脚を落とす。
それを最小限のステップで躱し、無為に砕かれる路面。
四散するアスファルト片を白磁の鎧が弾き、即座に騎士は踏み込む。
「三手っ」
快音が響く。
腰を入れた鋭い打撃が前脚の関節を微かに歪めた。
致命傷からは遠い。
しかし、朱色の瞳には体内を巡るエナの循環が映る。
「このっ!」
反射的な前脚の振り上げは予測済み。
その打撃を正面から受けず、風車のように回転の力へ変換する。
「大振りが多いですわね──四手!」
舞踊のように軽やかに回り、上段蹴りを左前脚へ打ち込む。
ケンタウロスの半端に浮かせた上体が揺れる。
「ぐっ…おのれ!」
怒気に呼応し、循環するエナに毒々しい赤紫が浮かぶ。
その流動を目で追い、浅緑の騎士は自然体で構えた。
赤紫のエナは右腕へ集中し──
「これは避けられるか!」
前脚が接地した瞬間、エナを纏ったソードが振り抜かれる。
それは斬撃ではない。
エナと熱量の暴威──衝撃波で路面が抉れ、射線上の雑居ビルが粉砕される。
しかし、倒れたウィッチの姿はない。
コンクリート片の粉塵が舞い、四散したガラスが世界に降る。
そこで白磁の鎧が陽光を浴びて瞬く。
「それは甘いのではなくて?」
声の源は、空中にあった。
人馬の異形を見下ろし、朱の瞳より高く振り上げられた脚。
「五手!」
その一撃は、ケンタウロスの頭頂部へ落とされる。
「ぐぁっ!?」
体重と重力を合わせた強打に頭蓋が震えた。
それでも巨躯は倒れない──その頭頂部を蹴って、背後へ跳び下りる。
亜麻色の髪を捕らえんとした左腕は空を切る。
プリマヴェルデは軽やかに着地、ステップで間合を仕切り直す。
「おのれぇぇ…!」
怒髪天を衝く。
髭面を憤怒に染めたケンタウロスの双眸が、ウィッチを睨む。
四足に再び膂力を蓄え、突進の構えを見せる。
「……終わりですわ」
鋭く息を吐き、プリマヴェルデは脚を軽く開いて拳を構える。
ケンタウロスを構成する全ての要素は解析された。
ならば、障害は存在しない。
「抜かせ!!」
急加速する大質量を真正面から迎え撃つウィッチ。
激昂したケンタウロスは、その異常性を理解できない。
少女の拳が前胸へ入り──下半身を粉砕されるまで。
馬体の血肉が弾け、エナの飛沫が打撃方向へ散る。
「な、にが…!?」
四足が失われ、空中へ放り出された上半身。
驚愕で固まる髭面は、己の血で染まった路面を捉え──
「ごきげんようっ」
脚を振り抜くプリマヴェルデを最後に、永遠の闇へ還った。
荒れ果てた路面に骸が落下し、鮮血を散らした浅緑のサーコートが風に揺れる。
「馬鹿な!」
「一体、何を…!?」
上位者を七手で屠ったウィッチが何者であるか、インクブスは知らない。
情報を記憶する者は、災厄の軍勢に飲まれてしまった。
「次は、どちらが──」
「よくもベルナールを!」
死角より繰り出されたスピアを裏拳で逸らし、もう一手で馬体の前胸を貫く。
ウィッチナンバー11の殺法──体内のエナへ方向性を与え、脆弱部から破断させる。
エナの性質を把握した彼女に、防壁は機能しない。
ケンタウロスの下半身は、水風船のように破裂した。
「な、なぜぇぉがっ」
物理的に下がった頭部へ肘を叩き込み、四散させる。
その拳が触れたインクブスは、
「お相手してくださるのかしら?」
浅緑のサーコートを赤で染め上げた騎士は、ガントレットを構える。
◆
永遠の平和など存在しない。
人々は己の命を代価に、それを思い出す。
赤い火の手が上がり、赤い血が路面を流れる。
耳を塞ぎたくなる悲鳴が響き、心身を震わす爆発音が轟く。
見知った街──そこは戦場へと姿を変えた。
「芙花ちゃん…待って…」
「あそこまでがんばろう!」
その渦中を、東芙花は親友の手を引いて駆ける。
周囲に大人はおらず、目に入るのは倒れ伏した姿だけ。
歩道へ乗り上げて横転したバスの陰へ走り込む。
「はぁ…はぁ…」
「ど、どうして…こんな…」
バスの窓から生えた手を見ないよう涙目の親友を抱く。
姉の退院祝いのプレゼントを選ぶため、付き合わせた親友を見捨てはしない。
肺は痛みを訴え、心も溢れそうだった。
「泣いちゃだめ…!」
それでも不安と恐怖で上がってくる涙を堪え、芙花は交差点を見つめる。
泣きつける最愛の姉は、いないのだ。
「警察の人を見つけないと…」
非常事態に遭遇した時、姉は警察官を探すよう妹へ何度も言い聞かせていた。
自身がいない時を見越し、備えてきたのだ。
それが、芙花を無力な子どもにしなかった。
「また、走るよ…!」
「…うん」
必死に息を整え、震える手と手を握り合わせた。
悲鳴を聞き、2人の少女はバスの陰で縮こまる。
怪物に捕まってはならない──この短時間で、芙花は姉の言葉の意味を知った。
いつまでも縮こまってはいられない。
姉と同じように伸ばした黒髪に触れ、芙花は勇気を振り絞る。
「行こう!」
バスの陰から飛び出し、交差点を目指す。
そこを右折し、直進すれば駅と駐在所があると芙花は記憶していた。
機能しているはずもないが、持てる知恵で必死に思考を回す。
「ここを曲がれば──っ!」
コンビニエンスストアを曲がった先、歩道が円状に陥没していた。
その中心には、1人の少女が倒れ込んでいる。
淡い桃色の装束を纏った傷だらけの少女──ウィッチだ。
激しい戦闘の痕跡が残る以上、襲撃者の存在は近い。
「助けなくちゃ…!」
しかし、傷ついた少女を見捨てる選択肢はなかった。
心優しい姉を見て、健やかに育ってきた芙花には。
「ごめん……先に逃げて!」
「芙花ちゃん!?」
親友の手を離し、芙花はウィッチに駆け寄る。
己の能力を自覚して優先順位を定めることは、まだ難しい年齢だ。
芙花の行動は、間違いなく失敗だった。
「大丈夫ですか!」
意識を喪失したウィッチが、声に反応することはない。
ただ、破れたリボンの残る胸元は上下している。
近くにしゃがみ込んだ芙花は、授業で学んだ応急手当を──
「なんだぁ? 雌が増えてやがる」
悍ましい声が、至近から聞こえた。
人間ではない異形の発する言語ではない音。
全身を悪寒が駆け抜け、芙花は
「まぁ、いいか……皆殺しにしろ、なんて勿体ねぇよな?」
すぐ背後から注がれる視線は、芙花の四肢を舐め回すようだった。
恐怖で悲鳴を上げることもできず、ただ振り返るしかない。
黒い外衣が揺れ──鉤鼻の異形が邪悪な笑みを浮かべる。
少女の力では抵抗など不可能な存在、人類の天敵たるインクブスだ。
「ちょうど、手頃な雌がいるってのによぉ…!」
それも大陸で数多の少女を誘拐してきた最悪の手合。
ボガートと呼称される異形は下劣な笑いを浮かべ、芙花へ手を伸ばす──
「伏せなさい!」
汚らわしい手を止めるボガート──その顔面に音速の弾丸が直撃した。
エナの防壁は貫けない。
それは百も承知と銃声が続き、銃弾が頭部を強打する。
たまらず防御の体勢を取るインクブス。
「ちっ鬱陶しい──かはぁ!?」
脚を止めたボガートが仰け反り、宙に浮き上がる。
アンチマテリアルライフルの弾丸は、貫通せずとも軽量な体躯を弾き飛ばした。
近づいてくる足音──丸まっていた芙花は、恐る恐る顔を上げる。
まず、見慣れた国防軍の制服と武骨なライフルが目に入った。
それから視線を上げ、背後へハンドサインを送る男の横顔を見る。
目と目が合う。
「待たせたね、芙花!」
この世で最も頼もしい家族の声。
国防軍の制服に身を包んだ男──東恭輔は、愛娘に笑ってみせた。
頬に新しい傷が増えた以外、何一つ変わらない父の笑顔だ。
絶望を吹き飛ばす希望を前に、芙花の目からは涙が溢れ出す。
「父ちゃん!!」
白い制服は赤く染まっていたが、それは救護の際に付着した血であった。
確かに二足で立ち、逞しい腕で娘を抱く。
「もう大丈夫、父ちゃんが来たぞ…!」
この場に恭輔が居合わせたのは、ただの偶然でしかなかった。
失敗に終わった傀儡軍閥の九州侵攻──その際に初のベイルアウトを経験した恭輔は、戦傷を負った。
それを理由に防人の任を解かれ、家族の元へ戻る途中で、襲撃に遭遇。
駅で降ろされた恭輔は、孤立中の警察官を率いて市民の救助に奔走していたのだ。
「君、大丈夫か!」
「ウィッチ1名を保護!」
警察官2名が座り込んだ芙花の親友とウィッチの容体を確認する。
残る警察官は──不倶戴天の敵へライフルの銃口を向けていた。
戦車砲や対戦車ミサイルでなければ、一撃でインクブスを屠ることはできない。
「やってくれたなぁ…餌の分際で!」
当然のように立ち上がり、表情を歪めるボガート。
憎悪に濁った双眸は、駅に近い駐在所2階の狙撃手を睨む。
「遊んでるなよ、おい」
その背後に黒い影が降り立つ。
「まだ生き残りがいたか」
「雄ばかりかと思ったが、いい雌がいるじゃねぇか」
嘲笑を浮かべ、車道一帯を見遣る新手のボガートは3体。
恭輔と数名の警察官が下劣な視線から少女たちを隠す。
「…まずい」
一瞬で状況が悪化し、警察官の額を汗が流れる。
複数体のインクブスを制止できる打撃力はない。
防人は、自身の得物が怪物に非力であることを知っている。
「ウィッチおよび民間人の退避を優先しろ」
「了解」
臨時の上官に当たる恭輔の命令に、警察官たちが異を唱えることはない。
否、命令されるまでもなく、己の責務が何であるかを理解していた。
「あの子たちと一緒に行きなさい」
愛娘の頭を力強く撫でた父は立ち上がり、視線だけで道を指し示す。
大きな両手は、敵を退ける武骨なライフルを握った。
「父ちゃんは…?」
再会を果たした父が戦士の顔となっても、芙花は離れることができない。
聡い少女は、最悪の結末が予期できてしまった。
「悪い奴をやっつける──大丈夫、すぐ行くよ」
わずかに見せた横顔には、いつもの笑みが浮かぶ。
警察官に手を引かれ、頼もしい父の背中が離れていく。
「八つ裂きにしてやるよ!」
その光景に苛立ちの限界を迎えたボガートが地を蹴った。
腕で頭部だけ防御した、回避を考えない突進。
しかし、その速度は人間を軽々と凌駕する。
「撃て! 接近させるな!」
一斉に銃口が火を噴き、弾丸がインクブスに殺到した。
1体に対して2名1組で銃撃を浴びせるも、その脚は止まらない。
「いきなさい、芙花!」
「父ちゃん!」
駆け出す警察官に手を引かれながら、芙花は遠ざかる父を見つめ続けた。
銃声が間延びして聞こえ──少女は呼吸を忘れる。
父を、東恭輔を、切り裂かんと異形が腕を振り上げた。
「死ねっ」
閃光が走る。
肉が焼け、爆ぜる音。
異形の腕が振り抜かれることはない──その半身は二つに裂けていた。
骸は
何が起こったか、誰一人理解できず、動きを止めた。
驚異的な身体能力を有するインクブスすら知覚できていない。
「なにが」
驚愕に染まる醜悪な顔が蒸発し、残された下半身も焼け焦げる。
エナの残滓が舞って、ようやくウィッチの
「逃げっ」
天から降った眩い光が、残るボガードを連続で射抜く。
断末魔もなく消滅する怪物ども──歴戦のエースパイロットは思わず天を仰ぐ。
そして、父を救った光を確かめようと、幼き少女も蒼穹を見上げた。
「流れ星…?」
夜の訪れていない空を星が流れる。
瞬きより早いエナの輝きは、光速に匹敵していた。
それら全ては、悪辣なる怪物を滅却せんと降り注ぐ──
父の日に投稿できなかったゾ(痛恨のミス)