最近、昼食以外で校舎3階に訪れることが増えた。
窓の向こうには澄み渡った青空、そして白い積乱雲が見える。
ミンミンゼミの合唱が遠巻きに聞こえ、風鈴でもあれば趣のある景色だ。
「つまり、今は待機ってことかな?」
窓から流れ込む風がアッシュグレイに染めた髪を弄び、黒猫のイヤリングが揺れる。
「そうなる」
黒澤の問いに対し、私は静かに頷く。
既にパートナー経由で情報は共有しているが、彼女たちには直接話しておこうと思った。
ラーズグリーズから得た情報とインクブスの新兵器──フェアリーリング──の実験結果から立案した作戦について。
「連中が動くまで待つ」
人の姿に擬態し、ファミリアの索敵網を潜り抜けるインクブス。
捕捉は困難かと思われたが、フェアリーリングとの交信手段に活路があった。
頭部にあるキノコを解剖した結果、あれは感覚器の一種であると判明したのだ。
エナに変換した情報を受け取る受容体――つまり、ファミリアの触角に近い。
インクブスはテレパシーに類する手段を用いている。
そして、受容体に残されたエナの残滓から波長は特定済みだ。
「まさかインクブスも逆探知されるとは思うまいにゃぁ」
黒猫のイヤリングから忍び笑いが漏れ聞こえた。
「本当に逆探知が可能なのですか?」
黒澤の隣に佇む白石が、じっと私の顔を見つめてくる。
その心配は尤もだ。
テレパシーの発するエナは微弱であり、捕捉できない可能性は誰でも思い付く。
「問題ありません」
だが、その可能性をパートナーは否定した。
窓枠に置いた私の右手へ飛び移り、前脚を振って周囲の視線を集める。
「あの受容体で受け取れる情報密度は、私たちが使うテレパシーより劣るので捕捉は容易です」
微細なエナの感知に御誂向なヤママユガは、交代で常時滞空させている。
チョウ目の雄は触角の表面積が大きくなっており、雌のフェロモンを高精度で感知する。
それを模した重量級ファミリアであれば、確実に捕捉できるはずだ。
「あれなら平文同然、内容まで読み取れますよ!」
「おお~」
誇らしげに語るハエトリグモと目線の高さを合わせた政木が小さく拍手する。
張り詰めていた空気が微かに緩むのを感じた。
「さすがですね」
「エニグマの解読みたいだ」
「おぉん、現代のULTRAかにゃぁ?」
頷きを返してくる白石の隣で、窓枠へ猫のように凭れかかった黒澤が苦笑する。
エニグマとは、第二次世界大戦でナチス・ドイツが用いた暗号機のことだ。
黒澤は容姿こそギャルだが、知識に
「歯痒いですわね……」
無人の教室を背に、気難しい表情を浮かべる御剣。
苛立ちを抑え込むように腕を組み、窓外に広がる夏空を睨む。
「…
フェアリーリングを実際に解析した
救いがあるとすれば、あれは
汚染された爆心地へゴキブリを突入させた結果、一切の異常が認められなかった。
「可能な限りの対策は講じている」
次の出現地点は市内である可能性が高い。
これまでの出現地点は全て郊外だが、市街を円状に囲っている時点で、意図があるのは明白だ。
おそらくは大規模なマジックを発動する準備――爆心地の調査を終えるまで憶測は危険か。
フェアリーリングの無力化については目途が立っている。
最悪の事態を想定し、国防軍には市内への一部展開を了解してもらった。
「ただ、どうしても受動的な対応にはなる」
変異するまで敵は人間であり、戦場が人口密集地という条件から迂闊に投入はできない。
それでも初動の早さは段違いだが。
「あ、その、責めているわけでは……」
謝罪を口にしようとする御剣を手で制し、大丈夫だと頷いてみせる。
私も気が逸らないわけではない。
インクブスどもが標的とする人々の中には、私の家族も当然含まれる。
父や芙花に再び危険が及ぶ――今すぐインクブスを狩り出し、息の根を止めてやりたい。
しかし、全力で活動中のファミリアを急かしたところで結果は出ない。
ここは軒下に巣を張ったクモのように、ただ待つ。
「気負う必要はない」
安直な言葉しか出てこないが、それでも言う。
今、この場にいるウィッチたちは
窓際から離れ、ミンミンゼミの合唱が響く廊下で御剣と相対する。
「私たちはインクブスを捕捉次第、駆逐する」
フェアリーリングへ変異する人間への対処は国防軍が担う。
ならば、インクブスを駆逐することが私たちの仕事だ。
「いつも通りにな」
為すべきことは一見複雑だが、今までと何ら変わらない。
どれだけインクブスが策を練ろうと正面から叩き潰す。
「……ええ、そうですわね」
御剣は不安に揺らぐ瞳を閉じ、迷いを断つように頷いた。
周囲を見渡せば、彼女の友人たちも同様に頷きを返す。
頼もしい限りだ。
「いつも通り…といえば、東さん」
ずっと会話に耳を傾けていた金城が、切れ長の目を私に向けた。
夏空を背景に佇む大和撫子も絵になる。
ファミリアの移動に際し、作戦を伝達した時の動転が嘘のようだ。
「どうした?」
「その、ですね……」
歯切れが悪い金城は視線を泳がせ、ちらりと私の顔を窺う。
それから一拍置いて、観念したように口を開く。
「昨夜の逆侵攻について、お聞きしたいことがあります」
昨夜、アメリカ大陸にあるポータルを掌握し、あちら側へファミリアを派遣することに成功した。
その進撃は順調だ、罠を疑うほどに。
ファミリアからのテレパシーを共に処理している金城が異変を察したなら、それは早急に対処すべきだ。
「世界を揺るがす偉業が、いつも通りかぁ……」
「慣れって怖いね~」
黒澤は偉業と言ったが、まだ予防的に配置された
橋頭堡を確固たるものにするまで油断は禁物だった。
渋い表情を浮かべる金城へ質問の続きを促し――
「先鋒を務める一部ファミリアの反応が鈍い…いえ、少々辛辣なのですが……心当たりはありますか?」
「あるはずがないだろう」
即座に回答した。
「気のせいじゃないのか」
「明らかにテレパシーの質が違います」
そんな違いまで分かるのか。
しかし、ファミリアが相手によって反応を変えるとは思えない。
「えっと、その…ファミリアにとって東さんは母親と言いますか……」
右手から肩に移っていたパートナーが、私の髪に隠れながら囁くように言う。
ミンミンゼミの合唱が止み、寂れた廊下に静寂が訪れる。
「部外者である主は警戒されていると?」
金城の首から下がる十字架の発した言葉が廊下に満ちる。
――沈黙が回答だった。
我が強くないか、私のファミリア?
「部外者って…あの邪険な態度はそういうことですか…!」
パートナーたちの見解を聞き、金城は胸の前で拳を震わせる。
ファミリアごとにテレパシーの分量は異なるが、邪険な態度というのが想像できなかった。
「あの強面でお母さんが好きかぁ……可愛いところあるんだね?」
「そんな目で私を見るな」
生暖かい視線を向けてくる黒澤は、玩具を見つけた猫みたいに生き生きしていた。
その隣で黙考する白石は、見当違いなことを考えている気がする。
「雌雄の繁殖活動によって増殖した個体は、東さんを母親と認識しているのでしょうか?」
「ふむ……つまり、おばあちゃん子ってことか」
「違う」
神妙な表情を浮かべた白石と黒澤の問答に思わず合の手を入れてしまい、脱力感に襲われる。
「静ちゃんがお父さんになれば一石二鳥ってこと?」
そして、政木の口から飛び出した突飛な発言に硬直する。
目尻の下がった眠そうな瞳が私と金城を見遣り、微笑ましげに細められた。
その発想は一体どこから出てきた?
「政木や、何が一石二鳥なんじゃ…?」
「えぇ、だって静ちゃんは――」
「律!」
切れ長の目を吊り上げた金城が、首を傾げる政木へと振り返る。
風に揺れる茶髪の隙間から見えた彼女の耳は微かに赤かった。
たしかに年頃の乙女に言うものじゃないな。
「金城さん、落ち着いてくださいまし!」
般若と化した金城を御剣が押し止めんと立ち塞がった。
身長差があっても辛うじて拮抗している。
両者は本気のようだが、傍から見る分には微笑ましい。
今は緊迫した情勢だ――だからこそ、必要な時間だ。
インクブスの攻撃が始まれば、彼女たちは人類の守護者として戦いに身を投じる。
青春の1ページにも満たない時間くらい年相応に振舞っても許されるはずだ。
「う~ん、お父さんがだめなら……お婿さん?」
「このっ…同じ意味でしょう!?」
ゴルトブルームの片鱗が垣間見える金城を前に、あくまでマイペースな政木。
その横顔には無邪気な笑みが浮かび――
「……家族かぁ」
少女たちの姦しい声に満たされた廊下で、その寂しげな呟きは妙に耳に残った。
◆
首都圏が無人地帯と化してから5年、地方都市の人口密度は高まる一方だ。
国防軍の戦力には限りがあり、人類の守護者たるウィッチが少数である以上、庇護を受けられる地域は限定される。
今でこそ鎮静化しているが、都市部から離れた地域はインクブスの跋扈する危険地帯だった。
そこから逃れてきた人々を収容するため建築は高層化し、かつての首都圏と大差ない景色が地方都市にも形成されつつある。
「あの……」
人々が忙しなく行き交う雑踏で、辺りを憚るように小さな声で呼びかける少女。
胸を庇うように背を丸め、体の線が分かり辛い暗色の服装から野暮ったい印象を受ける。
「なんですか?」
その前を歩く少女が被ったキャスケットを上げ、流し目で背後を見遣る。
蒼穹に映える白いシャツと紺のジーンズを着こなし、まるでファッションモデルのようだ。
「…どこへ向かってるんですか?」
堂々とした背中を長い黒髪の隙間から窺い、恐る恐る問う。
正反対に見える2人の関係性は不明、共通点は学校に通う年齢であるという点だけ。
「今日は掃除、じゃないですよね…?」
立入禁止のテープが張られた商業ビルの横を過ぎ、横断歩道の前で立ち止まる2人。
掃除──その言葉の真意を解する者はいない。
無数の擦過痕が刻まれた歩行者用信号機が弱々しく点滅する。
「ええ、そうです」
周囲の通行人から注がれる好奇の視線など気にも留めず、少女は頷きを返す。
現在、2人は
歩行者用信号機を見つめる瞳に青い光が映り込む。
「今日はショッピングに行きます」
「そ、そうですか──はぇ?」
普段通りの声色だが、紡がれた言葉は全くの予想外。
野暮ったい格好の少女は、餌を取り上げられたハムスターのように硬直する。
「……冗談です」
そんな
けたたましいブレードスラップ音が頭上を通り過ぎ、摩天楼の隙間を風が吹き抜けていく。
商業ビルの壁面を走る機影は、タンデムローター機──国防陸軍の輸送ヘリコプターだ。
復興支援を名目に市街上空を飛行しているが、そのキャビンに物資は載っていない。
「あなたの格好について思うところはありますけど」
風に弄ばれる黒髪を片手で押さえ、傍らの少女へ冷ややかな眼差しを向ける。
その所作の一つ一つが端正で、否応なしに人目を引く。
「あ、はい…」
長い黒髪で目を隠し、協力者の少女は視線から逃げるように俯いた。
格好を改善すれば
似合うコーディネートに目星は付けているが──その必要はない。
いかに従順な協力者でも首を刎ね飛ばした相手なのだ。
馴れ合いがしたいわけではない。
甘ったれた過去の己が顔を覗かせ、少女は行き場のない怒りを覚える。
「妙だと思いませんでしたか?」
その感情を一切表に出さず、消沈した様子の協力者へ問い返す。
2人の少女は人の流れに乗って路肩に停まる国防陸軍の車両の横を通り抜ける。
傍らに立つ隊員の任務は治安維持とされているが、完全装備だった。
「…掃除しても数が減らないところ、ですか?」
「いいえ」
少女は首を横に振り、肩に掛けたポーチから携帯端末を抜く。
目下の敵であるインクブスを信奉する者たちは、未だに活動を続けている。
しかし、懸念事項は
「あれの出現地点をプロットしてみました」
差し出した携帯端末の画面には、旧首都圏の地図が映っていた。
黒いピンの打たれた場所は、インクブスの生体兵器──フェアリーリング──の出現地点。
パニック抑制のため、一般には開示されていない情報だ。
「円形…?」
黒いピンは都市を取り囲むように打たれている。
その囲いは綺麗な円を描き、ちょうど市街中央が中点となっていた。
2人の視線が摩天楼の彼方へ向く。
「市街中央に何か仕込んでいると私は睨んでいます」
「でも、今は国防軍が封鎖してますよ…?」
インクブスによる襲撃で甚大な被害を受けた市街中央は、国防軍が封鎖している。
信奉派が侵入しても即座に捕捉、殲滅されるだろう。
だが、その首魁たるインクブスはインセクト・ファミリアの索敵網を潜り抜けているのだ。
油断はできない。
「まぁ、余計な心配かもしれませんが……」
そう言って見上げた空を国防陸軍の輸送ヘリコプターが通過していく。
蒼い光を微かに帯びた瞳は、キャビンに収まる
それは丸みを帯びた可愛らしいデザインで──
「おい、待て!」
「止まれ!」
雑踏に野太い怒声が響き渡り、騒めきが波の如く伝播する。
「な、なんでしょう?」
「さぁ…」
暴力の気配を察した人々が道端へ逃れ、少女たちも倣う。
折れた街路樹を囲うコーンバーに手を置き、雑多な足音に耳を傾ける。
「捕まって堪るか!」
足音の主は、頭髪を金に染めた小汚い男だった。
追手を振り切るため、あえて通行人を巻き込んでいく。
男を追う国防軍の隊員たちは距離を縮められず、射線も確保できずにいた。
「退けぇぇ!」
「うわぁっ!?」
押し除けられた会社員が転倒し、手に持っていたアイスコーヒーが混乱を黒く彩る。
混乱は際限なく広がり、男の逃走は成功するかに見えた。
キャスケットが宙を舞う──長い黒髪が夏空の下に翻り、厚底のサンダルがタイル舗装を叩く。
ウィッチの権能が無くとも開かれた瞳は、標的を照準している。
「ふっ!」
鋭い吐息と共に右腕を振り抜いた。
放たれたコーンバーが綺麗な放物線を描き、混乱に満ちた往来を切り裂く。
「ぐわぁっ!?」
警告色の投槍が右膝に直撃し、姿勢を崩した男はタイル舗装へ顔から突っ込んだ。
それを見届け、少女は落ちたキャスケットを拾い上げる。
「当たったよ!」
「今のすごくない!?」
「すげぇ…当てたよ…!」
少女の鮮やかな手並みを目撃した通行人たちが歓声を上げる。
「わぁぁ…!」
そこには目を輝かせる協力者の姿もあり、思わず苦笑してしまう。
キャスケットを被り直し、背後から迫る足音に道を譲る──
「行け、近藤っ」
「了解!」
すぐ傍を迷彩柄の人影が駆け抜け、小汚い男を背中から押さえ込む。
男の腕を背中へ引き、捻り上げることで自由を奪う。
「協力、感謝します」
「いえ」
国防軍の隊員は功労者の少女に頭を下げ、それから周囲の状況を確認する。
幸い怪我人は出ておらず、年嵩の隊員は安堵の息を漏らす。
そして、取り押さえられた男を鋭く睨みつける。
「離せ、アメリカの手先め!」
腕と肩の関節が極まり、激痛に苛まれているはずだが、男は怯まない。
金髪を振り乱し、拘束から脱出せんと足掻く。
「暴れるなっ」
屈強な隊員は拘束を強め、身動ぎ一つ許さない。
「ぐっ…愚かな奴ら…国防軍を牛耳るアメリカに利用されていると分からないのか!?」
タイル舗装に唾を飛ばし、周囲に敵意を振り撒く中年の男。
気圧された通行人たちは一歩下がるも、携帯端末のカメラを向ける。
「離れてください」
「危ないので、離れて!」
ライフルを携えた隊員たちが野次馬と化した通行人たちへ呼びかける。
それを好機と見た男は、より大きな声で叫ぶ。
「インクブスという幻影を生み出し、兵器を生産することで軍産複合体を潤わせっがっ!」
「黙れ」
小汚い男をタイル舗装へ強く押しつけ、低い声で警告する。
信奉派が好んで使う妄言を垂れ流す相手はテロリストと大差ない。
男が懐に忍ばせている物によっては射殺も選択肢に入る。
「10、こちら02、不審者1名を拘束した、送れ」
「目を…目を、覚ませ!」
フェアリーリングへ変異しない以上、無様に喚く中年の男は道化でしかない。
通信を終え、隊員たちは冷徹な視線で男を見下ろす。
「国防軍は人身売買した女児に改造を施し、恐るべき兵器に仕立て上げているんだ!」
「何言ってんだ、あいつ」
「信奉派ってやつだろ……本当にいるんだな」
支離滅裂な妄言を聞き、通行人たちは侮蔑の視線を向ける。
国民の過半数は、信奉派の唱える世迷言などに耳を傾けない。
「掃除しておきますか?」
その光景を見据える瞳が紅を帯び、大気のエナが流動を始める。
数多の信奉派を屠ってきた協力者──レッドクイーンが敵を捕捉した。
空間を置換するマジックは、短距離であればウィッチへ変身せずとも使用できる。
信奉派の男を
「必要ありません」
協力者への返答は淡白なものだった。
往来で喚く男は人目を引き、携帯端末を構えた野次馬が集まり出す。
それとは逆方向へ歩き出す少女は、一切の興味を失っていた。
「いいんですか…?」
その背中へ投げかけられた問いには、困惑の色が滲む。
あらゆる敵を問答無用で斬り捨ててきた者の判断とは思えない、そういう困惑だった。
「国防軍でも対処できる塵芥に、わざわざ手を下す必要がありますか?」
「そ、それは……」
今も喚き散らす男に変異の兆候は確認できなかった。
不愉快な存在ではあるが、信奉派の悪評を広める以上の影響力はない。
フェアリーリングへ変異しない信奉派──ただの道化だ。
しかし、喚き散らした内容は下らぬ妄言だった。
「私たちにしか出来ないことをやる……適材適所ですよ」
この手の言葉を好んで使う戦女神の顔が脳裏を過り、わずかに眉を顰める。
しかし、力は適切に使わねばならないのは事実だ。
いかに業物でも無闇に振り回せば
「は、はいっ」
疑いもせず頷く協力者の姿を瞳に映す。
暗い灰色のスカートには黒い染みが広がり、奇妙な斑模様になっていた。
先程の騒動でアイスコーヒーを浴びせられたことに、本人は気が付いていない。
「はぁ……替えの服を買いに行きますよ、赤坂さん」
「へ?」
間の抜けた返事を聞き流し、ポーチから携帯端末を取り出す。
協力者の少女にして同級生──赤坂美兎は目を瞬かせている。
その緊張感のない顔を横目に、近隣のアパレルショップを確認する。
これは必要な投資だと己に言い聞かせながら。
「あ、待ってください、久遠さん…!」
アズールノヴァこと久遠天峯は同級生を連れ、アパレルショップへ足を向けた。
書籍版の発売日が3月29日に決定したゾ!
発売記念小噺を執筆するなら?
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姉ちゃんは魔性の女(東芙花視点)
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ナンバーズは斯く語りき(ナンバーズ視点)
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ジェリコのラッパ(モスクワ市街戦)
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波濤の彼方より響く砲声(南アメリカ戦線)