IS~インフィニットストラトス~ Noblesse Oblige   作:白姫彼方

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幼馴染と私闘と

~夕方美緒の部屋~

 

先程の約束通り、一夏は美緒の部屋に来ていた。

 

「それじゃ、早速始めようか」

「あぁ、よろしく頼む」

 

美緒は一夏に確認を取ると目の前にモニターを3枚ほど展開する。

 

「この左のデータが『瞬時加速(イグニッション・ブースト)』の出力データで右のデータが私のバイタルデータ……ってこれは不要だね。それで真ん中のが私が『瞬時加速(イグニッション・ブースト)』を使ってるときの軌道だよ」

「へぇ……凄いな。どうやってこんなにデータを取ってるんだ?」

「私の場合コアが二つ搭載されてるからね。それを利用してデータ収集してるんだ」

「なるほどな……便利なんだな。美緒のISって」

「あはは……私のISは結構癖が強い子だからね。でも慣れると良い子なんだよ♪」

「俺のISは大食らいだからなぁ……」

「微調整しつつ、出力も調整しないと駄目だからね?一夏」

「あぁ、そうだな。助かった。ありがとうな美緒」

「これぐらいならお安い御用だよ♪一夏」

「いや、マジで助かった。お礼に何でもするよ。」

 

一夏のその言葉に美緒の目がキランと輝く

 

「なら一夏、出来たときに言うで良いかな?」

「そんなことで良いのか?」

「うん♪」

「わかった。よろしくな、美緒」

 

美緒と一夏は二人でデータを見ながら『白式』の出力改良プランを組み立てていった

 

~第三アリーナ~

 

月曜日の放課後、美緒は先に一人でアリーナに来ていた。本来なら一夏とシャルルが一緒に居るのだが今日は二人とも用事があるから先に行っててくれと言われた為である。

 

「さぁ……今日も行こうか『カィンホクキエツァ』」

 

美緒はそう言ってISを展開装着する。

 

「ん……今日も調子が良いみたいだね」

 

美緒は自身のIS『カィンホクキエツァ』にそう語りかける……見た目的には独り言を呟いてるようにしかみえないが。

 

「それじゃ、慣らしでもしようかな」

 

美緒は一夏達が来るまで軽く体を動かす事を決めた美緒だったが

 

「「あ」」

 

そんな間抜けな声が聞こえたので美緒は声のした方向を見ると鈴音とセシリアがいた。

 

「奇遇ね。あたしはこれから月末の学年別トーナメントに向けて特訓するんだけど」

「奇遇ですわね。わたくしもまったく同じですわ」

 

美緒の目には鈴音とセシリアの間にスパークが走った様な気がした

 

「ちょうどいい機会だし、この前の実習を含めてどっちが上かはっきりさせとくってのも悪くないわね」

「あら、珍しく意見が一致しましたわ。どちらの砲がより強くより優雅であるか、この場ではっきりさせましょうではありませんか」

「なら私が審判してあげるよ♪」

 

二人の会話を聞いていた美緒はふよふよとゆっくりと鈴音とセシリアに近付く

 

「あら美緒。丁度良いわね。頼むわよ」

「こちらこそ頼みますわ。美緒さん」

「あはは♪それじゃ、位置について」

 

美緒が了承して言葉をかけると二人は少し離れる。

 

「レディ…………ゴー!」

 

美緒の開始の合図と共に二人がメインウェポンを取り出した直後に砲弾が飛んできて、近くに着弾し、爆炎と轟音が起こる。

 

「「!?」」

「へぇ……」

 

鈴音とセシリアは驚いて、美緒は忌々しそうに砲弾が飛んできた方向を見るとIS『シュバルツェア・レーゲン』を展開装着しているラウラが居た。

 

「……どういうつもり?いきなりぶっ放すなんて良い度胸してるじゃない」

「中国の『甲龍』にイギリスの『ブルー・ティアーズ』か。………ふん、データで見た時の方がまだ強そうではあったな」

 

ラウラの挑発的な物言いに鈴音とセシリアは口元を引きつらせるが。美緒は二人に手で静止させる

 

「それでどういった用件なのかな?『遺伝子強化試験体(アドヴァンスド)』?」

「ふん、下らない種馬(・・・・・・)を取り合う二人を倒した後貴様を倒す為だ。!『schwarz(シュヴァルツェア) Drache(ドラッヘ)(黒き竜)』!」

「今なんて言ったの?」

 

ラウラの一言によって尋常ではない殺気が辺りに満ちる。殺気を向けられていない鈴音とセシリアは立っていられずに座り込んでしまう。ラウラでさえも腕が振るえ、戸惑う

 

「もういいや、決めた。貴様を殺さずに壊し(・・・・・・・・・)てあげる(・・・・)

 

美緒はそう言ってISを解除してニタァ……と唇を三日月状に吊り上げる。それを見たラウラは後ずさる。

 

「なっ!生身でISに勝てるわけがないだろう!『schwarz(シュヴァルツェア) Drache(ドラッヘ)(黒き竜)』!」

普通(・・)ならね。まぁ……身をもって知りなさい『遺伝子強化試験体(アドヴァンスド)』」

 

そう言って美緒の姿が掻き消える。ラウラはハイパーセンサーで美緒の位置を掴もうとした瞬間、横に吹き飛ばされた。

 

「なっ!馬鹿な!!ハイパーセンサーが感知するよりも速いだと!?」

 

ラウラは空中なら安全だろうと思い空に上がる。だがそれは悪手だった。

 

「私にとって空は範囲外ではないんだよ?『遺伝子強化試験体(アドヴァンスド)』」

「なっ!?どうやってここに!?」

「それはね」

 

驚くラウラを余所に美緒は腕を掴む

 

「貴女が戦う為に存在するのなら……私はね?」

 

美緒はラウラにアッパーカットを撃ち込む

 

「ぐっ!?」

殺す為に産まれてき(・・・・・・・・・)たんだよ(・・・・)。だから貴女は私に勝てない」

 

そう言い終えると美緒はラウラの両腕を掴み、思いっきり蹴り飛ばす。ラウラは防ぐことが出来ずにアリーナのシールドに叩き付けられる。

それを見ていた美緒の瞳は冷たく、殺気で満ちていた。

 

「まだ終わったわけじゃないでしょう?『schwarz(シュヴァルツェア) Häschen(ハーシュ)chan(カン)(黒い子兎ちゃん)』?」

 

ラウラは立ち上がるも足元が少しふら付いている……どうやら脳震盪を起こしているようだ。

 

「止めを刺してあげる」

 

そして美緒の姿が消える。その直後にラウラは両腕を交差させる、その後、美緒が現れて殴るも途中で無理やり止め(・・・・・・・・・)られる(・・・)

 

「くっ『AIC(アクティブ・イナーシャル・キャンセラー)』とはまた厄介な……」

「よ、漸く捕まえたぞ……!『schwarz(シュヴァルツェア)) Drache(ドラッヘ)(黒き竜)』!」

 

ラウラはそう言うと『ワイヤーブレード』で美緒の両腕を絡めとる。

 

「それで?私をどうするのかな?『遺伝子強化試験体(アドヴァンスド)』?」

「こうするためだ!」

 

美緒の問いにラウラ自身が近付き、美緒の腹部を殴る。

 

「ぐっ」

「その顔が見たかったぞ!『schwarz(シュヴァルツェア) Drache(ドラッヘ)(黒き竜)』!」

 

ラウラの口元が釣りあがる。それは漸く復讐が出来ると確信したからだ。

 

「やっぱり生身だと『AIC(アクティブ・イナーシャル・キャンセラー)』とは相性が悪いね」

「なんだと?」

「つまり私のISは『AIC(アクティブ・イナーシャル・キャンセラー)』を打ち破れるって事だよ」

「ほう……ならやってみるが良い!『schwarz(シュヴァルツェア) Drache(ドラッヘ)(黒き竜)』!」

「後悔しても知らないからね……おいで『カィンホクキエツァ』」

 

美緒はISを展開装着させる。

 

「行くよ!『カィンホクキエツァ』!」

 

美緒の掛け声に答える様に『カィンホクキエツァ』から銀色の光が溢れ美緒を包み込む

 

「その光は……単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)だと!?」

「そうだよ……行くよ!『夢幻乱舞』」

 

その言葉と共に美緒の体がぶれ、瞬く間に無数の美緒(・・・・・)が現れた。

 

「なっ!?馬鹿な!」

『さぁどれが本物か解るかな?『遺伝子強化試験体(アドヴァンスド)』?』

 

美緒達はそう言うと一斉に散り、ラウラに接近し始める。ラウラはプラズマ手刀を展開してそのうちの一人に切りかかる。それに答える様に接近されている美緒は『月光』を展開して受け止める。

 

「貴様が本物か!!『schwarz(シュヴァルツェア) Drache(ドラッヘ)(黒き竜)』!」

「残念♪私は偽物だよ♪」

 

そう言って偽物の美緒はラウラの腕を掴み、別の方向に投げる。

だがラウラは直ぐに止まり、近くに居た美緒に大型実弾砲を撃つ、撃たれた美緒はあえて受け、爆散した。

 

「何処だ本物は……」

 

ラウラはそう言って辺りを見渡すと一人だけ、銀色に輝いている美緒を見つける。

 

「そこかぁ!!!」

 

ラウラは見つけた瞬間に『瞬時加速(イグニッション・ブースト)』を使って輝いている美緒の懐に飛び込む。

 

「おぉぉぉっ!」

「その意気込みは買うけど……」

 

美緒はラウラの腕を掴みながら歪んだ笑みを浮かべる。

 

「私こそが偽物だよ♪」

 

美緒はそう言ってラウラの背後に回って首を掴み、急降下を始める。

 

「なっ!離せぇ!」

「まだだめだよ♪」

 

美緒がそういう間に地面へとどんどん近付く。

 

「それっ♪」

 

軽い声とは裏腹にその速度は速く、地面に直撃する瞬間に美緒はラウラを手放し、地面へと激突させる。美緒自身は急制動をかけて、地面にはぶつかりはしなかった。

 

「これでわかったかな?貴女の切り札でもある『AIC(アクティブ・イナーシャル・キャンセラー)』は私にとって無意味な物で、私に勝てないと言うことがね」

「ぐっ……」

 

ラウラは苦しそうに声を上げながらも立つ、だがその姿はあまり傷は付いていないものの、満身創痍であった。

 

「それでどうするの?まだ私とやるの?」

 

美緒は何時の間にか『幻想乱舞』を解いていた。

 

「まだ……だ……まだ私はやれる……!」

 

ラウラはそう言いつつも美緒に近付く

 

「その辺にしておけ」

 

美緒は声がした方を向くとそこには千冬がいた。

 

「何の騒ぎだと思えばISを使っての喧嘩か……馬鹿馬鹿しいとは言わないがやり過ぎだ馬鹿者」

 

千冬はそう言って溜息をつく

 

「これ以上やるのであれば、月末の学年別トーナメントで決着をつけろ。いいな?」

「教官がそう仰るなら」

「私も構いません」

「では、学年別トーナメントまで私闘の一切を禁止する。解散!」

 

パンッ!と千冬が手を強く叩く、その音は銃声のように強く辺りに響いた。

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