IS~インフィニットストラトス~ Noblesse Oblige   作:白姫彼方

11 / 54
幼馴染とトーナメントと

~一夏の部屋~

 

あの騒ぎから1時間後、美緒達は一夏の部屋に来ていた。その理由は……

 

「だから一夏!幼馴染である私と組みなさいよ!」

「いいえ!クラスメイトである私と組んでくださいな!」

 

一夏に詰めよってそう言ってるのは鈴音とセシリアだった。その理由は学年別トーナメントの変更によるものだった、その内容というのがより実践的な模擬戦を行う為にペアに変更すると言う内容だ。

そして一夏と組む為にいつものメンバーが集まっていた。

 

「お、おい……だから落ち着けって、鈴とセシリアも……」

「一夏がさっさと決めれば落ち着くわよ!」

「そうですわ!早く決めてくださいまし!一夏さん!」

 

そう言って中々収まらない二人に一夏は困り果てる……まぁそれほどにまで想われている証拠なのだが……そして美緒が見かねて仲裁に入る。

 

「まぁまぁ、二人とも、これを飲んで落ち着いてね?」

 

美緒はそう言うと二人に紅茶を出す。

 

「有難う美緒」

「ありがとうございますわ、美緒さん」

 

二人はそういって紅茶を飲む。だが直ぐに倒れる。

 

「お、おい!?大丈夫か?」

 

一夏が倒れた二人を見るとすやすやと眠っていた。

 

「美緒!!何を入れたんだ!?」

「うん?超即効性の睡眠薬だよ。それと一夏」

「なんだ?」

「約束……覚えてるよね?」

「……約束……だと?どんな約束だ」

 

美緒と一夏の話の最中に箒が入り込む。

 

「あぁ、美緒に『瞬時加速(イグニッション・ブースト)』のデータを見せてもらった時のお礼にな」

「私が聞いているのは何時の約束ではなくその内容だ」

「あぁ、なんだ。そのことか俺に出来ることなら一度だけ何でも聞くって約束だな」

「なっ!?あれほど何でも聞くって約束をするなと言っただろう!」

 

箒はそう言って顔を背ける。

 

「あははは……それで一夏、今回のトーナメントは私と組んでね?」

「解った、美緒なら頼もしいな」

「女の子としてはその言葉複雑だけどね……それじゃ、私は鈴ちゃんとセシリィを部屋に送り届けてから部屋に戻るね」

 

美緒はそう言って鈴音とセシリアを片手で抱える。

 

「おう、また明日な」

「うん♪お休み」

 

美緒はそう言って部屋を出た。

 

~アリーナピット内~

 

美緒と一夏のペアが決まって数週間後、あれから何事もなく、一夏の訓練が進み、最初の頃より格段に強くなっていた。

 

「いよいよ始まるね。一夏」

「あぁ、しかも一年Aブロックの最初だとは思わなかったな」

「私は手っ取り早くて良いと思うよ?」

「それは俺も同感だな」

 

美緒と一夏が話している間に対戦相手が決まる。

 

「あ、対戦相手が決まったようだよ」

「お、本当だ………え?」

「へぇ……とことんついてるね。一夏」

 

次の対戦相手はラウラと箒であった。

 

~アリーナ~

 

「一戦目から当たるとはな。待つ手間が省けたというものだ」

「そりゃあなによりだ。こっちも同じ気持ちだぜ」

「ふふふ♪そうだよ……それじゃ、今回は私のIS『カィンホクキエツァ』のもうひとつの姿を見せてあげる」

 

美緒はそう言って右腕を前に突き出す。

 

「第666虚数バイパス展開接続開始……イリーガル機関稼動開始確認!『ムラクモユニット』……起動!」

 

美緒のIS『カィンホクキエツァ』が呼応する様に蒼色の粒子を出していく

 

「コード入力SOL(スピリット・オブ・ライン)!起きなさい!『ムラクモ』!」

 

美緒が言い終わる直前に『カィンホクキエツァ』の形が変わる。半身装甲(ハーフ・スキン)であった姿が折りたたまれ、一夏達同様部分展開される。

両腕部には手甲が装着され、両手に2mはあるエネルギー型大剣『天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)』を持ち、脚部は膝までを覆う剣型のアーマー、背後に非固定浮遊部位(アンロック・ユニット)である八つ剣型のビット『八岐大蛇(やまたのおろち)』があり、カチューシャは消え、バイザーの中央上部に漢数字で十三と書かれていた。

 

「これが『カィンホクキエツァ』の5つある内の一つ『ムラクモ』……全てを薙ぎ払う姿だよ」

 

開幕直前から美緒のISの姿形が変わり、会場は静寂に包まれる。

 

「さぁ……始めようか」

 

美緒の言葉と同時にカウントダウンが始まる。

 

「美緒、悪いが先に俺がボーデヴィッヒの方に行くぞ」

「わかったよ」

 

試合開始と同時に一夏は『瞬時加速(イグニッション・ブースト)』を使い、ラウラに突撃する。

美緒は箒の懐に瞬時に入る。それに気付いた箒は近接ブレードで応戦しようとする。

 

「箒ちゃん、遅いよ」

 

美緒はそう言って『天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)』を素早く振って近接ブレードを弾き飛ばす。

 

「せいやぁ!!」

 

美緒の掛け声と共に箒は『天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)』に斬られシールドエネルギーがごっそりと持っていかれる。

 

――――バリアー貫通、ダメージ250。シールドエネルギー残量27。実体ダメージ、レベル中破

 

箒が使っている訓練機『打鉄(うちがね)』からダメージ報告が来る。それを見た箒はそのありえないダメージを見て一瞬止まる。

 

「なんだ!?この馬鹿げた威力は!!」

「これが攻撃力と機動に特化した『カィンホクキエツァ』のもうひとつの姿……『ムラクモ』だよ!」

 

美緒はそう言い放ち、箒の背後に回って『打鉄(うちがね)』のエネルギーシールドを切り裂き、戦闘不能にした。

 

「ごめんね、箒ちゃん」

 

美緒は戦闘不能になった箒にそう一言言ってからラウラと一夏の方向に向かった。

美緒が着く頃には一夏がラウラに戦闘不能にされる寸前であった。美緒は間に合えと念じながら『瞬時加速(イグニッション・ブースト)』を使い、ラウラの横合いに接近する。

 

「私の勝ちだ!織斑一夏!」

「くそぉぉぉ!!」

 

ラウラの勝ちを確信した声と負けると確信しながらも抗おうとする一夏の声が混ざり、決着がつこうとした瞬間、ラウラが横に吹き飛ぶ。

 

「ふぅ、間に合ったようだね♪一夏♪」

 

美緒はそう言いながら一夏に微笑む。

 

「悪い……助かった」

「いいよ♪それよりも一夏……戦闘はいけそう?」

「あぁ……だけどシールドエネルギーがやばいな……」

「そっか……ならあとは私に任せて?」

「いや、俺も戦う!」

「ここは私に任せて?一夏の分もぶっ飛ばすから……ね?」

 

美緒がそう言うと「そこまで言うなら……」と言った感じで一夏は引き下がる。

 

「さてと……そろそろ決着をつけようか……『遺伝子強化試験体(アドヴァンスド)』?」

 

美緒がそう言うとラウラは無言で『ワイヤーブレード』を6本美緒に向かって射出する。美緒はラウラの『ワイヤーブレード』に向けて『八岐大蛇』を通常の剣型から蛇腹剣型に変えて射出する。

『ワイヤーブレード』と『八岐大蛇』は互いに絡み合い、動けなくなる。だが『八岐大蛇』は8本であり、残り2本がラウラに向かう。

ラウラはプラズマ手刀を展開して残り2本の『八岐大蛇』を断ち切ろうとするが斬れずに弾くだけに止まった。

 

「さぁ……まだまだ行くよぉ!」

 

美緒の軽い掛け声と共に2本の『八岐大蛇』は別々の方向からラウラに近付き、絡めとろうとする。

ラウラはプラズマ手刀で弾き、絡ませんとするも、そこは実戦経験差か、徐々にだがラウラの顔に疲労の色が見え始める。

 

「ふふふ♪流石『遺伝子強化試験体(アドヴァンスド)』だね、この程度は持ちこたえれるみたいだね?」

 

美緒はそう言って『八岐大蛇』を元の剣型のビットに戻す。

 

「何のつもりだ……!!『schwarz(シュヴァルツェア) Drache(ドラッヘ)(黒き竜)』!」

「お遊びはここまでだよ『遺伝子強化試験体(アドヴァンスド)』……ここからは私は本気で往くよ」

 

美緒はそう言って姿が消える。ラウラは直ぐに上空に移動するも、目の前に美緒が現れると直ぐに『AIC(アクティブ・イナーシャル・キャンセラー)』を使う。それで美緒自身の動きは止まるが『八岐大蛇』によって注意が逸れ、『天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)』によって大型実弾砲を斬り落とされる。ラウラの意思とは関係なく大型実弾砲は強制破棄されると同時に爆散した。

 

「まだまだいけるでしょ?『遺伝子強化試験体(アドヴァンスド)』?」

「当然だ!」

「なら……今の貴女が出せる最高の攻撃をしてきなさい……『ラウラ・ボーデヴィッヒ』」

 

美緒の言葉にラウラは一瞬止まるがその意図を理解したラウラは今までの怒りや恨みから来る笑みではなく、認められたと言う普通の人では解らないような喜びの笑みを浮かべる。

 

「往くぞ!『千条院美緒』!」

「来なさい!『ラウラ・ボーデヴィッヒ』!」

 

ラウラの声と共にプラズマ手刀の出力は最高になり、美緒は『天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)』を構え、ラウラと美緒は突撃する。そして、互いに位置が入れ替わり、数秒間二人は止まったままだった。

 

『カィンホクキェツァ』――――――――バリアー貫通、ダメージ31。シールドエネルギー残量480。実体ダメージ、レベル軽微

『シュバルツァ・レーゲン』――――――――バリアー貫通、ダメージ230.シールドエネルギー残量22.実体ダメージ、レベル大破

 

二機のISからダメージ報告が終わるとラウラは膝を着く

 

「認めるよ……貴女の実力を『ラウラ・ボーデヴィッヒ』」

「漸くか……漸く認めてくれたか『千条院美緒』」

 

その時、ラウラは思った。彼女達のような実力が欲しいとそう願った。

 

『――――願うか……?汝、自らの変革を望むか……?より強い力を欲するか……?』

 

あぁ、欲しいと彼女達と同じ処へ行けるなら……と

 

Damage Level ……D

Mind Condition ……Uplift

Certification ……Clear

 

《Valkyrie Trace System》 ……boot

 

「あぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

突然ラウラから絶叫が発せられ、同時に『シュバルツァ・レーゲン』から紫電が走る。

 

「これは……『VTシステム』!?ドイツ軍め……!!」

 

すぐにその原因を察知した美緒はこの細工(・・)を施したドイツ軍に対して怒りを覚えた。

『シュバルツァ・レーゲン』の装甲がドロリと溶け、ラウラを飲み込むと球体になる。

本来ならばISがこの様な変形はしない。変形するのは『初期操縦者適応(スタートアップ・フィッティング)』と『形態移行(フォーム・シフト)』だけだ……美緒のは特別製なので当てはまらないが……なので今回のような変形はありえない。

少ししてからその球体は急速に人型の形を取り始める。その姿は誰かに似ていたが手に持った得物を見て一夏は怒りを露にする。

 

「『雪片』……!」

 

一夏は中段に構える……だが直ぐに『シュヴァルツァ・レーゲン』だったものは一夏の行動を直ぐに察知して横に薙ぐ。

 

「くっ!」

 

『雪片弐型』が弾かれ、そのまま一夏は縦一線に斬られそうになるが、後方回避によって避けるも一夏の左腕に掠り、そのまま出血してしまう。

それが『白式』の最後の力だったのか消えてしまった。

 

「それが……」

 

一夏は理性を失ったように怒り狂う

 

「それがどうしたあああああ!!!!」

 

一夏は拳を握って突進しようとする。それを箒が止めた。

 

「馬鹿者!何をしている!死ぬ気か!?」

「離せ!あいつ、ふざけやがって!ぶっ飛ばしてやる!」

 

一夏はそう言って押さえている箒を振りほどこうとする。それを美緒が一夏の頬を叩く

 

「これで目が覚めた?一夏?」

「あ………あぁ、すまない……」

「一夏が怒るのは私にも解るよ。あの技は千冬お姉ちゃんのだからね……だから一夏」

「?」

「私がチャンスを一度だけあげる……だからその一度で決めてね?」

「あぁ!勿論だ!」

「だがどうやってそのチャンスを作ると言うのだ!?『白式』のエネルギーが残っていないこの状況で」

「無ければ分ければ良い事だよ箒ちゃん」

 

美緒はそう言ってウィンクをする。

 

「始めるよ……『カィンホクキエツァ』コア・バイパスからのエネルギー譲渡を開始、対象は『白式』」

 

『カィンホクキエツァ』からケーブルが伸び、ガントレット状態の『白式』に繋がる。

そのケーブルから流れてくる力の奔流に一夏は傷ついた体に力が戻る感じがした

 

「(これなら……いけるっ!)」

 

そう一夏が確信した時、美緒はケーブルを抜く

 

「これで大丈夫、さぁ……一夏!往くよ!」

「おう!」

 

一夏は気合を入れると共に『白式』を『雪片弐型』と右腕だけ展開させた。

 

「死ぬな……絶対死ぬな!」

「当たり前だよ、箒ちゃん。私がついてるからね」

「あぁ……俺を信じろ。箒」

 

一夏は箒にそう言って背を向ける。

 

「何時でもいいぞ!美緒!」

「わかったよ……一夏!」

 

一夏の言葉に答えた美緒は『瞬時加速(イグニッション・ブースト)』を使い、一気に黒いISの元に向かう。

 

「!?」

 

予想以上の速度だったのか黒いISは驚くが直ぐに対応するように『雪片』を振り上げる。

 

「それは悪手だよ、紛い物」

 

美緒はそう言って『天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)』で『雪片』を砕いた。

 

「私の出番はここまで……一夏ぁぁ!!!」

「うおぉぉぉぉぉ!!!!」

 

一夏の咆哮と共に黒いISは斬られた。その割れ目からラウラが出てきて一夏が抱きとめた。

 

「ぶっ飛ばすのは勘弁してやるよ」

 

一夏の言葉を聞いていたのはラウラと一夏そして美緒だけだった。

 

~夕方医療室前~

 

美緒が医療室前に来ると丁度、千冬が出て来たところだった。

 

「なんだ、千条院も来ていたのか」

「はい、織斑先生。ちょっとした私用ですよ」

「まぁいいだろう……長居はするなよ?」

「当然ですよ♪」

 

二人はそう言ってクスリと笑う、そして千冬が去った後に美緒は医療室に入る。

 

「ん……?なんだ千条院美緒か……どうしたんだ?」

「あはは……フルネームじゃなくて美緒で良いよ、ラウラ」

「ふむ……お前がそう言うなら別に良いが……それで何の用だ?」

「そんな硬くならなくて良いよ……そうだね……まずは誕生おめでとうとでも言っておくかな?」

 

美緒がそう言うとラウラはククッと笑う。

 

「あぁ、確かにそうだな……私と言う存在は今日(・・・・・・・・・)産まれた(・・・・)のだからな」

「そうだね♪これからもよろしくね?ラウラ♪」

「あぁ、こちらこそよろしく頼む。美緒」

 

二人はそう言い、笑い合いながら握手をした。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。