IS~インフィニットストラトス~ Noblesse Oblige   作:白姫彼方

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第三巻
美緒の過去そしてオリジナルの夢


ドクン……ドクン……

 

規則正しい心音が鳴り響く、生体培養カプセルが最初の私が存在していた世界……その世界は暗く、音もない。音があるとすればそれは私の心音だけ、光は私がいるこの生体培養カプセルから漏れる淡い光だけ、それは何も無く、何も映し出さない孤独が支配する寂しい所だった。

 

生命戦闘体(アマテラス)No.Λ-11』

 

それが私につけられた最初の名前であり製造体識別コードだった。

既に私以外で10体の『生命戦闘体(アマテラス)』は造られたらしい。けど性能(スペック)的には完成されていたが容姿が駄目だと言われ廃棄処分されたらしい。

らしいと言うのは私がここで研究員が話していたのを聞いていたに過ぎない。

 

「目覚めなさいNo.Λ-11」

 

培養液内にいるので私は返事の変わりにゴポポ……と気泡を吐き出す。その後に私は生体培養カプセルから出たところで場面が変わる。

 

そこは戦場だった。過激派集団のアジトの近くにある町だった。

 

「撃て!撃ち殺せ!!」

 

一人の男の声がして私は迎え撃つべく重機関銃『M134ミニガン』を片手1艇両手で2艇を持ち、発射する。反動は『生命戦闘体(アマテラス)』である私にとって無いも同然で弾道に少し誤差が出るも殆どの敵を駆逐する。撃ち終わった重機関砲『M134ミニガン』を捨て、未だに生き残っている敵の懐に入る。

 

「この!化け物がぁぁぁ!!!」

 

入られた敵はそう言いながら、私に向かって発砲する。私の肩や胸部に銃弾が入り込む。しかしそこに私の体に埋め込まれた自己治癒用ナノマシンが銃弾を外に出し、傷口を塞いだ。

 

「ひぃっ!?何だこいつ!!」

 

男は銃弾が効かない私に驚くがその次の瞬間、私の手で心臓を貫かれ、絶命した。死んだ男だったものを私は冷たく見下ろしていた。そしてまた場面が変わる。目に飛び込んできたのはまぶしい光だ。

 

「今回の移植素体かね?」

「はい、何でも死んだご息女に似た容姿の『生命戦闘体(アマテラス)』を用意したようで」

「金持ちの思考はわからんね。と言っても私達がやるんだからな」

「そうですね先生。ですがこの容姿にする為にいったいどれだけの『生命戦闘体(アマテラス)』が廃棄になったか……」

「それこそ私達が気にすることじゃないだろう……まぁ、気分が良い話ではないがな」

 

二人の男性がカチャカチャと器具を準備しながら話し合う。

 

「それでは『生命戦闘体(アマテラス)No.Λ-11』に千条院美緒のコア移植に取り掛かる」

 

先生と呼ばれた男性が私の右乳房の下辺りにメスを入れる。

 

「いっ!」

「我慢しろ」

 

私が悲鳴を上げようとしたら、先生はそれを封殺するように言う。そして入れたメスをゆっくりと斜めに移動しながら肉を切り裂く

 

「あぁぁ!!」

 

私はもがこうとするが両手両足を固定され、身動きが出来ない状態で体内に異物を入れられる感触を味わう。自己治癒用ナノマシンが動くので余計に痛みが増す。

 

「あがぁぁぁぁぁ!!」

「五月蝿い、手術の邪魔だ」

 

パシンッ!と私は頬を叩かれる。だが先生とその助手は興味が無さそうな顔をして着々と進めていく。

 

「やめ!いや!ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」

 

脳内に知らなかった映像や音声が流れる。それを私自身は異物だと認識する。拒絶反応が起こるが投薬によって無理矢理拒絶反応をかき消した。今の私は涙と涎、鼻水でぐちゃぐちゃになってるのだろうかと他人事のように思った。そしてまた場面が変わる。そこは豪華としか言いようが無かった一室だ。そこに私の……オリジナルの両親がいた。

 

「これから君は千条院美緒になるんだ……良いね?」

「わかりました……お父様」

「私達も貴女の事を娘と思うから貴女も私たちのことは両親と思ってね?」

「はい……お母様」

 

そうだ……これは『生命戦闘体(アマテラス)No.Λ-11』から『千条院美緒(今の私)』になった時だ……そう思った瞬間、また場面が変わった。今度は色褪せていて明確には見えなかった。

そこには男の子と女の子が居た……その女の子は私に似ていた……ということはこれはオリジナルの記憶……?

 

「ねぇいっくん……」

「どうしたんの?みっちゃん?」

 

オリジナルが一夏に声をかけて紅く俯いた

 

「もしおおきくなったら……」

「おおきくなったら?」

「いっくんのおよめさんにしてほしいな?」

「うん!ぜったいおよめさんにしてあげる!」

 

その光景が急速に遠ざかる。あぁ……これが前に言ってたオリジナルの夢だったんだ……狂ったあの時も一夏と約束したその夢を実現させたかったんだ……私はなんてずるいんだろう……私はそう思いつつも意識を浮上させた。

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