IS~インフィニットストラトス~ Noblesse Oblige 作:白姫彼方
~夜の海岸~
美緒は人知れず夜の海を見る為に見ていた。その手には『カィンホクキエツァ』のコアが握られていた。
「(あの夢は一体……それに心臓も何時の間にか修復されてるし……)」
短い時間ではあったが『カィンホクキエツァ』は確かに『
それと同時に
「(あの子達が……まさかね)」
美緒はふとある考えが浮かぶが直ぐに捨て去る。それは美緒がありえないと直ぐに思ったからだ。だが事実はそうである。美緒自身は知らないが『カィンホクキエツァ』は確かに美緒の心臓だけを修復していた。本来ならば美緒の体にある全ての傷を修復したかったのであろうがその時の状況が許さなかった。故に心臓だけを修復したのだった。
「(でも……なんで目の色が変わったのかな?)」
突然の身体的特徴の一つである瞳の色の変化、それに伴うナノマシンの活性化。これは一度本家に戻る必要がありそうだと美緒は思う。
「(『カィンホクキエツァ』に新しい体を作ってあげないとね……)」
美緒はポケットの中から二つのコアを取り出してぎゅっと軽く握って星空を眺める。
暫くすると後ろからざっざっと足音がする。美緒は振り返らずに声を掛ける
「こんな時間にどうしたのかな?一夏」
「いや、一泳ぎしようと思ってさ」
答えたのは一夏だった。美緒が振り返ると傷一つ無い水着姿であった。
「あれ?一夏、傷は?」
「ああ、『白式』が『
「そっか……一夏が無事で良かったよ」
「美緒の方はどうだったんだ?心臓貫かれたって聞いたぞ?」
「私も……『カィンホクキエツァ』が『
美緒がそう言うと一夏は「不思議なこともあるんだな」と言う。
「美緒はどうするんだ?専用機無くなっちまったし、することが無いだろ?」
「夏休み中に本家に戻ってこの子達の新しい体を作ることにするよ」
美緒は一夏にそう言いながら2個のコアを一夏に見せる。『
「一夏は夏休みの間、暇かな?」
「んー基本的にはな。それがどうしたんだ?」
「一夏の『白式』の燃費の悪さを克服できるかもしれないからね。もし良かったら私と一緒に本家に行かない?」
「本当か!?」
「うん。できるかもしれないだからあまり期待しないでね?」
「わかった」
一夏は美緒にそう返事をする。美緒は微笑んで一夏に抱き付く。
「み、美緒!?」
「ん~♪一夏の体暖かい♪」
美緒はそう言って一夏の胸板に顔を擦り付ける。
「ところで一夏ぁ……」
「どうしたんだ?」
「私達……恋人だよね……?」
美緒の問い掛けに一夏は固まる……その問い掛けは一夏の予想外であったからだ。美緒は一夏を見つめる。
その目は縋る様な寂しげな目であった。
「どうなの……?」
「それはだな……彼氏として間違った事をしちまうかもしれない……まだ俺も『恋』って物がわかってないんだ。だからそれでも良いのなら……美緒の『恋人』になっても良いか?」
一夏の言葉を聞いた美緒は目を大きく開けて涙を一筋流す。
「如何して泣くんだ!?」
「ごめんね……やっと……想いが通じたと思ったら……」
美緒そういってぐしぐしと目を擦って一夏に微笑む。
「悪いな……」
一夏はそう言って美緒の頭を撫でる。美緒は気持ち良さそうに目を細めて為すがままとなる。
何時の間にか二人は海岸の傍にある岩の上に座っていた。一夏の肩に頭を預けて寄り添う様に美緒は座っていた。
「綺麗だね……」
「そうだな……こんな星空を見ると、人間の悩みなんかちっぽけに思えるな。」
「それは私も同感だよ……」
そのまま二人は互いの顔を見て、目を瞑り、そのまま唇を重ね合おうとした時、こつんと一夏の頭に当たる。一夏はもう一度試みるがこつんと当たる。不審に思った一夏は目を開けるとそこにはとっても見覚えのあるフィン状の浮遊物体が浮いていた
「……『ブルー・ティアーズ』……」
一夏はビットからレーザーが発射される寸前で避け、髪の毛を焼く程度に収まった。
「一夏……貴様ぁ……」
「ほう……」
「――――よし、殺そう」
「一夏……何をしているのかな……?」
「ふふっ、うふふふふっ」
一夏が回避行動で避けて振り返った先には各々のISを展開させて怨念を漂わせるような怒気を纏っているのは箒、ラウラ、鈴音、シャルロット、セシリアだった。
「み、美緒っ!逃げるぞ!」
「えっあっ。きゃ!!」
一夏はいきなり美緒を抱える。その際に美緒は悲鳴を上げるが一夏は既に逃走を開始していた。
一夏の表情は必死だが美緒はただ可笑しそうに微笑んでいた。