IS~インフィニットストラトス~ Noblesse Oblige   作:白姫彼方

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幼馴染と本宅と強化とその2

~千条院本宅執務室~

 

一夏達がお昼を取っている間に美緒は執務室でとある人物と通信をしていた。

 

「それで?貴方は渡さないと?」

『当然だ!あれは私の物だ。どんな風に使おうと私の勝手だろう!』

「へぇ……そうなの、まぁいいよ。私はあの子(・・・)が欲しいからこうやって色々と用意したのに」

 

美緒はそう言うと画面越しではあるが第三世代機の基礎データを表示する。

 

『こっ、これは!?』

あの子(・・・)を渡せばそのデータをあげる。どう?欲しくないの?『イグニッション・プラン』から外されたデュノア社長(・・・・・・)?」

 

そう、先程から美緒と通信していたのはシャルロットの父親だ。

 

「私としては別にあげなくてもデュノア社を潰せば別に問題はないけど……穏便に済ませるに越したことはないからね。それでどうするの?」

『良いだろう……早くよこせ』

 

その高圧的な物言いに美緒はイラっとくるも我慢をしてデータを送信した。

 

「それではあの子(・・・)は私が貰いますね」

『勝手にしろ』

 

そういってデュノア社の社長は通信をきった。その直後に美緒は溜息を漏らす。頃合を見計らった様に言峰は紅茶を美緒の前に置く。

 

「美緒様、どうでございましたか?」

「問題ないよ。まぁ送ったデータはフェイクでウィルス付きだから、もうデュノア社は終わりだよ」

 

美緒はさらりととんでもない事を言うがそれはある意味当然であり、調査に基づいた当然の制裁であった。

 

「言峰」

「承知しております。美緒様」

 

言峰はそう言うと執務室から出た。美緒はその後モニターを出し、技術班に繋げる。

 

「豪、はいるかな?」

『これは美緒様……今班長を呼んできます』

 

そう言って、モニターに出ていた男は、一旦席を外すと豪がモニター前の席に座る。

 

『嬢ちゃん?一体どうしたんだ?』

「以前から製造してた、あの機体(・・・・)は今何処まで出来てるの?」

『あとは……試運転して微調整すれば完成だな』

「なるほどね……それじゃあ、演習場に持ってきてね」

『おうよ。搭乗者は決まってるんだろ?』

「勿論、千条院家(うち)の専属IS操縦者になった子だよ」

『なるほどなぁ……まぁ良いけどよ。専属は何人目だ?』

あの子(・・・)が初めてだよ」

 

美緒はそう言うと別のモニターを出して演習場の様子を見る。そこには新装備を使い、健闘している一夏と多少は戸惑っているが有利なのは変わりないラウラがいた。

 

「巧く新装備である『雪月』を使いこなしてるね……一夏は」

『みてぇだな。流石あの織斑千冬を姉に持つ弟だ』

「だけどやっぱりビットを使ってる間は……」

『あぁ、止まってやがるな。素の状態だとそれが限界か……』

あの子(・・・)でさえもきっとそうかもね……それは兎も角、言峰。演習場にあの機体(・・・・)を運び込んでおいて」

『はいよ。わかった』

 

美緒はそう言ってモニターを全て切り、演習場に向かった。

 

~演習場~

 

美緒が演習場に来ると、一夏とラウラの模擬戦は未だに決着が付いてなかった。

 

「そこだぁ!」

「まだまだ甘いぞ!一夏!」

 

一夏が『雪月』を射出して、ラウラの『ワイヤーブレード』を切断するも、『AIC(アクティブ・イナーシャル・キャンセラー)』によって『雪月』は止められる。止められた『雪月』を一夏はそのままにしておき、『瞬時加速(イグニッション・ブースト)』を使い、『雪片弐型』でラウラに攻撃を仕掛けるも『AIC(アクティブ・イナーシャル・キャンセラー)』を『雪月』から一夏に切り替え、離脱を図る。

だが、『AIC(アクティブ・イナーシャル・キャンセラー)』の束縛から外れた『雪月』は再度、ラウラを斬り裂かんとするも、残っていた『ワイヤーブレード』によって弾かれる。

 

「は~い♪そこまでっ!」

 

美緒が大きな声で言うと二人は動きを止めた。互いの首筋に『プラズマ手刀』と『雪月』の刀身が添えられていた為、引き分けとなり。二人はISを解除して、美緒の許に歩く。

 

「どうしたんだ?美緒」

「実はね、今からとあるISのテストをここで行うんだ。IS名は『朱の天空(セレスティアル・ヴァーミリオン)』『カィンホクキエツァ』の機動以外はやや劣るけど現行ISを遥かに上回り、『紅椿』を超える第四世代型ISだよ」

 

美緒が説明し終えると装甲を開放した状態で地下からの搬出口から出てくる。一夏達は皆、驚く……『紅椿』は束特製のISであり、美緒の前専用機『カィンホクキエツァ』よりも機動以外では劣ると言われれば、その規格外の性能を容易に連想させた。

 

「それじゃあ、シャルロットちゃん(・・・・・・・・・)。パーソナライズとフィッティングを始めるよ♪」

 

美緒の言葉にシャルロットを除く、全員が驚く。それは当然だ。フランス代表候補生であるシャルロットに千条院製のISを渡すというのだから、規格外のISをフランスに渡すと言うことは世界のパワーバランスが崩れる可能性が出てくるのだ。だが既に存在していたものの、自爆をした『カィンホクキエツァ』、現在でも存在していて、『亡国機業(ファントムタスク)』に奪取された『カインフィードバックヴォンディン』、美紗緒の専用機『カグツチ』だけでも脅威的なのにさらにもう一機追加されるのだ、はっきり言って異常事態を通り越している。

それにいち早く気付いたラウラは声を荒げて言う。

 

「どういうことだ!?シャルロットはフランス代表候補生だろう!何故その規格外の機体を渡すんだ!」

「ふふ♪ラウラの言うことも解るよ。鈴ちゃんやセシリィ、箒ちゃんの言いたい事もね♪でもね。既にシャルロットちゃんはフランス代表候補生(・・・・・・・・・)ではないよ(・・・・・)

「「「「「はぁぁ!?」」」」」

 

それを聞いた一夏達は頭の上に『?』マークをしきりに飛ばす……様な幻覚が見える程に混乱していた。

 

「まぁその話は置いといて、シャルロットちゃん。早く乗って~?」

「うん、わかった」

 

シャルロットはそう言って、『セレスティアル・ヴァーミリオン』に乗る。その後に美緒は『セレスティアル・ヴァーミリオン』にコードを繋げて作業に入る。その速度は以前のよりも速く、数分で終わらせた。

 

「はい♪フィッティング終了♪あとはパーソナライズを自動処理に任せておけば、すぐに終わるよ♪」

 

美緒はコードをしまいながら言う、一夏達は『セレスティアル・ヴァーミリオン』を見ながら美緒に質問をする。それに美緒は丁寧に答えていると通信が入る。

 

『嬢ちゃん、聞こえるか?』

「天童?どうしたの?」

例の機体(・・・・)が完成したぞ』

「それは本当!?」

『本当だ』

「直ぐに持ってきて!」

『あいよ』

 

美緒が焦った様に叫び、天童が返事をして通信を切ると先程『セレスティアル・ヴァーミリオン』が出てきた搬出口から機械的な装甲と洋服が一体化した不思議な物が出てくる。

 

「これが……」

「なぁ、美緒。そのISはなんだ?」

 

一夏は代表をして美緒に聞いた。そのISらしき物の形状は不可解で、洋服をかけるハンガーに胸の中央が菱形に開いた中華風ワンピースドレスがかけられているが、スカート部分に装甲が取り付けられていて、その下に太腿まであるソックスと脹脛の半ばまであるウェスタンブーツ、それに付く様に細身のアームガードが浮いていた。

 

「これは私の新しい専用機(・・・・・・)アルテミス(・・・・・)』だよ」

 

その言葉に一夏達は言葉を失う。それはそうだ、僅か一ヶ月で新型ISを製造したのだ。その驚異的な技術力に度肝を抜かれた。

 

「まぁ、これの元となった設計図を前に嬢ちゃんが見つけたからこんなに早く製造できたからな」

 

全員が振り返るとそこには豪が居た。豪は誇らしげに『アルテミス』を見つめる。

 

「しかし、こいつぁ……はっきり言って凶悪としか言い様が無いな。そう思うだろ?嬢ちゃん」

「まぁね……設計図的に『カィンホクキエツァ』、『カィンフィードバックヴォンディン』の後継機なのは解ってたけど……。私の所の技術者は変態しかいないのかな」

「それは、俺も含まれてるのか?」

「当然でしょ?何処の世界に超小型核融合炉(・・・・・・・)を搭載するISがあるの?」

 

美緒の言葉に豪と美緒以外の全員が言葉を無くす……それは当然だ。核融合炉を搭載すればエネルギーの減少を気にせずに高火力EN武器を使い続けることができ、メンテナンスを除けば操縦者の体力と気力が続く限り戦闘を行えるのだから……。二人はその重要な事実を無視して話を続ける。

 

「それじゃあ、嬢ちゃん。パーソナライズとフィッティングを始めるぞ」

「わかったよ」

 

美緒はそう言って服を脱ぎ始める。その美緒の行動に驚き、箒、ラウラは一夏を殴り、気絶させる。

シャルロット、鈴音、セシリアは美緒を止めようとするが既に服を脱ぎ終え、中に着ていたISスーツの姿になる。美緒のISスーツはかなり細く、柔軟性が有り、それでいて切れにくい強靭なワイヤーで結ばれた三角ビキニとローライズと言うほぼ水着で通用する姿だ。

 

「みっ、美緒!?いきなり脱ぐんじゃないわよっ!」

「そうですわ!何を考えているのかしら!?」

「女の子としてそれは駄目だよ!」

「?別にISスーツ着てるんだから問題ないはずだけど?」

 

美緒はどうやら本気で解らない様だ。箒、鈴音、セシリア、シャルロット、ラウラは絶句する。

絶句している5人を放って置いて、美緒は『アルテミス』を装着すると、豪はコンソールを呼び出し、指の上に2枚、指の下に2枚のキーボードと空中投影ディスプレイを8枚呼び出す。

 

「まぁ俺なんかは、嬢ちゃんのISスーツ姿なんて見慣れてるから別にどうでもいいがな、まぁ羞恥心ぐらい持って欲しいのは確かではあるな」

 

豪の言葉を聞いた美緒はますます解らないといった顔をする。そうこうしてるうちに美緒のパーソナライズとフィッティングが終わる。それと同時にシャルロットのパーソナライズも終わる。

 

「よし、これで2機のパーソナライズとフィッティングは終わりだな。後は第一形態移行(ファースト・シフト)を待つだけだ」

 

豪はそう言うと左胸ポケットから煙草を取り出し、右胸ポケットにあったジッポを取り出すと直ぐに火をつけて煙を吐き出す。

 

「ふぅ……それじゃ、俺はまた工房に戻るぞ」

「うん、ありがとう……。ってちょっとまって、第一形態移行(ファースト・シフト)をスキップして第二形態移行《セカンド・シフト》に入ろうとしてる!?」

「何!?」

 

美緒の驚いた声に豪が振り返ると『アルテミス』の背部にあった、小型スラスターの噴射口の両サイドから悪魔を連想させる機械の翼が4対生える。豪はつけたばかりの煙草を口から零す。

 

「こいつぁ……驚いた……」

「初期化しなかったから……かな?」

「さぁな、それは俺にもわからん。だがそれだけこいつら(・・・・)が嬢ちゃんに答えようとしてるのかもな」

 

豪はそう言ってその場を後にした。美緒はとりあえず『アルテミス』を待機状態にする。

 

「ちょっとハプニングが起きちゃったけど……。シャルロットちゃんの新ISのテスト始める?」

 

美緒の提案に一夏達は頷くのだった。

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