IS~インフィニットストラトス~ Noblesse Oblige 作:白姫彼方
~演習場~
美緒が演習場に着くと、セシリア、鈴音、ラウラに捕まる。
「え?えぇ?みんなどうしたの?」
「「「美緒!私のISも強化してくれ/くださいまし/しなさいよ!」」」
「あはは……。みんな落ち着きなよ」
「そうだぞ、美緒が困ってるじゃないか」
突然の事で困っている美緒を一夏とシャルロットは助けようとするが、3人はそれでも止まらなかった。
「一夏は良いじゃない!一夏は強化武装とエネルギー問題を解決できて!」
「シャルロットは新しいISを貰ってるからな」
「
3人の本音は羨ましいと言う事だろう。一夏の『白式』は第四世代機に加え、エネルギー消費を抑える為の強化を施され、追加武装として無線誘導兵器を搭載し、より高性能の機体に仕上がっている。
シャルロットは千条院家製の第四世代機を渡されている。一夏の場合はその特異点であり、イレギュラーが故に、早急に力をつける必要があるからだ。シャルロットの場合は千条院家の専属操縦者になったから当然だ。さらに、裏取引があったとはいえ、デュノア社は千条院家に倒産に追い込まれている。
それを知らない3人は強化して欲しいと言う。
「一夏とシャルロットちゃんの場合は特殊だったからね……。だから私の家の専属IS操縦者になってもらったけど、セシリィ、鈴ちゃん、ラウラは正式な国家代表候補生でしょ?だから私は3人のISを強化することは出来ないよ」
美緒がそう言うと、3人は一旦黙る。
「私の家でセシリィ達のISを強化するという事は、千条院家がその国に肩入れをすると言う事でもあり、祖国を裏切るという事でもあるんだよ……?貴女達にその覚悟がある?大切な物を捨て、親しい人達を裏切り、敵になる覚悟が」
美緒の言葉はとても重かった。一時的な感情で言ったとしても祖国を裏切ることは出来ないと美緒は思っていたが、それを裏切る声が上がった。
「私なら別に構わないわよ?中国に未練とかないし」
そう言ったのは鈴音だった。美緒はその言葉に驚き、目を剥く。
「え?鈴ちゃん……。中国に未練はないの?」
「あったとしても母さんだけだから、別に大丈夫よ」
「…………本当に良いんだね?小母さんにも会えなくなるんだよ?」
「良いわよ。母さんの事だから元気にやっていけるだろうからね」
美緒と鈴音は互いを見つめる。すると、美緒がふふっと笑う。
「わかったよ、鈴ちゃん。『甲龍』の強化をしてあげる。その代わり、今日から貴女は私の家の専属IS操縦者になってもらうからね?」
「わかったわ、これからも宜しく」
美緒と鈴音は握手をする。そして、美緒はセシリアとラウラの方に向く。
「2人はどうするの?祖国に牙を向けれる?」
「「そ、それは……」」
美緒の問い掛けにラウラとセシリアは口ごもる。昔からの美緒を知る箒、一夏、鈴音は溜息を吐き、シャルロットは見守っている。
「はぁ……まぁ良いかな。ラウラとセシリィのISも強化してあげる」
セシリアとラウラの表情が少し、綻ぶが「だけどね……」と美緒は続ける。
「私に
美緒の提案にセシリア、ラウラは同意する。
「それじゃあ、ちょっと移動しよう」
3人は一夏達から300mぐらいまで離れる。
「それじゃ、ISを起動して」
美緒はそう言うと『アルテミス』を展開し、セシリアとラウラも『ブルー・ティアーズ』と『シュヴァルツェア・レーゲン』を展開する。
セシリアとラウラは構えるも、美緒は構えていなかった。上体を倒し、両手を垂れさせた油断しきっている格好になった。その格好の美緒に疑問を持ちつつも、セシリアは『スターライトmkⅢ』を美緒に向けて放つ、それを美緒は右腕の
2人はその閃光に驚くも、避けた。
「なっ!荷電粒子砲ですの!?」
「くっ……」
セシリアはそう言いつつも、ビットを四基射出し、様々な方向から、BTレーザーを撃ちながら、ラウラもワイヤーブレードを射出して、美緒を捕獲しようとするが美緒はその場から離れ、スカートアーマーを分離して、多機能武装ビット『ツヌグイ』にする。その数は16基と多い、美緒は『ツヌグイ』を剣戟形態8基、射撃形態8基に分け、それぞれを4基ずつセシリアとラウラに向ける。
剣戟形態の『ツヌグイ』は音速の速度でセシリアとラウラを斬り裂かんと向かう。射撃形態の『ツヌグイ』は避けた後の隙を突く様にハイレーザーを放つ、ラウラは剣戟の『ツヌグイ』を避けた後、プラズマ手刀を展開して、ハイレーザーを弾く。
セシリアはラウラと同様に剣戟の『ツヌグイ』を避けるが、射撃の『ツヌグイ』のハイレーザーを弾くのではなく、自身のビットにて相殺する。
だが美緒はその間に背部にある、『
それを不審に思ったセシリアとラウラは美緒の方を見ると。
――――――――警告!敵IS一斉発射体勢に移行。緊急回避を要請!
――――――――警告!敵IS一斉発射体勢に移行。緊急回避を要請!
『ブルー・ティアーズ』と『シュバルツェア・レーゲン』から警告が鳴り響く。その場から離れようとするも、射撃体勢に入っている『ツヌグイ』16基と『シャッテン』8基が周りを囲む、更に『アルテミス』自体も『グングニル』と『八叉鴉(ヤタガラス)』を発射体勢にしており、何時でも撃てる状態にあった。
「チェックメイトだよ……二人とも」
18門の荷電粒子砲から青白い閃光と16基のビットから紅い閃光が放たれ、ラウラとセシリア、『シャッテン』と『ツヌグイ』を爆煙が蔽い、見えなくする。美緒は『シャッテン』と『ツヌグイ』を戻し、『アルテミス』に接続させた。この程度では墜ちていないと美緒は確信していた、それを証明するかのように『アルテミス』から警告が出された。
――――――――警告!後方から小型無線誘導兵器の熱源とエネルギー収束を確認!
その警告が終わると同時に、いつの間にか射出されていた『ブルー・ティアーズ』からBTレーザーが放たれるも、美緒はそれを軽く上昇することで避けた。上昇した直後に、ラウラが『
「おぉぉぉ!」
「くっ!」
美緒は左腕の
それを美緒は避け、『ツヌグイ』を分離させ、射撃形態にし、ありとあらゆる方向からハイレーザーを放ち、その余波から『ブルー・ティアーズ』と『シュヴァルツェア・レーゲン』のハイパーセンサーにノイズが走る。だが2人はそれを無視し、セシリアは『ブルー・ティアーズ』で美緒を牽制しながら『ツヌグイ』を落とす。ラウラはプラズマ手刀、ワイヤーブレードで接近戦を挑み、『
そして美緒は『ツヌグイ』の残量ENを見て、呼び戻す直前に『シャッテン』を分離させる。入れ替わるようにラウラ、セシリアに『シャッテン』を向かわせ、『ツヌグイ』を腰部に接続させて、ENを回復させる。
ラウラは再度『
「捕まえたぞ!美緒!」
「くっ!油断した……」
「ラウラさん!そのまま、押さえてくださいまし!」
セシリアの声に呼応する様にラウラは、ワイヤーブレードで美緒の両手を縛り、離れない様にする。そして、セシリアは『スターライトmkⅢ』を構え、美緒を狙撃する。だが美緒は『八叉鴉(ヤタガラス)』の荷電粒子砲をセシリアに向けて、収束荷電粒子砲を放つ、BTレーザーは収束荷電粒子砲は拮抗することも無く消えた。
EN残量が稼動限界域に来ていた『シャッテン』を『
「なっ!?」
「漸く止めれたぞ……!」
何時の間にかラウラは左目の眼帯を外し、『
「ここで『
「あぁ……ビットが全て戻るのを待っていたからな……。以前美緒にやられた事を覚えていたからだな」
「なるほどね……けどっ!」
美緒はラウラの作戦を素直に評価した直後に『
―――――――バリヤー貫通、ダメージ300。シールドエネルギー残量27。実体ダメージ、レベル中破
『シュヴァルツェア・レーゲン』からダメージ報告の直後に、ラウラは演習場の端ギリギリまで飛ばされる。美緒は直ぐに両腕の『月光零式』を『グングニル』に変更、その際に左腕の『グングニル』はAM射撃形態に移行し、分間30発のグレネード弾を発射し、右腕の『グングニル』は荷電粒子砲を放つ。
セシリアはグレネード弾と荷電粒子砲を避け、『ブルー・ティアーズ』を展開して、ランダムの方向から美緒にBTレーザーを放つ、撃ち終わると同時に『ブルー・ティアーズ』を戻し、『スターライトmkⅢ』を構えて狙撃する。
美緒は避けつつも当たりそうな物は左腕の『グングニル』を大型ENシールド『アイギス』に変えて防ぐ。それと同時にBTレーザーは跳ね返り、セシリアの元に戻る。
セシリアはそれを少し驚くも、直ぐに避け、『ブルー・ティアーズ』を射出して多角同時攻撃を行う。それを美緒は後退することで避け、右腕の『グングニル』をEN射撃形態に移行して、荷電粒子砲を放つ、だがそれは誰もいないところであった。
「何処に撃ってるんですの?美緒さん」
「ふふ♪見れば解るよ……はぁぁぁ!!」
セシリアの問い掛けに美緒は答えると、荷電粒子砲を放ちながら、強引に腕を振るって
セシリアはそれを全て避け、『ツヌグイ』を撃ち落していく。美緒自身も左腕の『グングニル』をAM射撃形態からEN射撃形態に移行させ、『八叉鴉(ヤタガラス)』の8門全てを拡散荷電粒子砲に変え、撃ちだす。
それをセシリアは避けるが、砲撃は近くにあった『ツヌグイ』、『シャッテン』全てを破壊する。
美緒は右腕の『グングニル』を『月光零式』に移行させ、左腕の『グングニル』で荷電粒子砲を撃ちながら、セシリアに近付く。
セシリアはその砲撃を避けながら『スターライトmkⅢ』を撃ち、美緒との距離を離そうとするが一向に距離が広がらず。『スターライトmkⅢ』のエネルギーが無くなる。
「弾切れですの!?こんな時に!」
セシリアは『スターライトmkⅢ』を粒子に戻し、『インターセプター』を転送して、握る。それを見た美緒は左腕の『グングニル』を『月光零式』に移行させ、両足にも『月光』を展開して『
抵抗とばかりに虎の子でもある残り2基の『ブルー・ティアーズ』の
「これで……終わりっ!」
美緒はそう言って、横に薙ぎ払おうと構える。
『勝者!セシリア・オルコット、ラウラ・ボーデヴィッヒ!』
その言葉に美緒が硬直して後ろを見ると、ラウラのワイヤーブレードの先端が『アルテミス』の背部に刺さっていた。
「あーあ……負けちゃった」
美緒はそう言って地上に降り、『アルテミス』を解除する。それに続く形でセシリアも地上に降り、解除する。ラウラも既にISを解除しており、2人が美緒の前に来る。
「それじゃあ、約束通りに、2人のISを強化してあげる」
美緒の言葉にラウラとセシリアはほっと胸を撫で下ろす。それを美緒はくすりと笑って、その場を後にする、その後を一夏はこっそりと着いていった。
更衣室でISスーツを脱いで、普段の服装になり、更衣室から出た美緒を一夏は呼び止めた。
「よう、美緒」
「あっ!一夏♪」
美緒は一夏を視認すると、抱き付く。それを一夏は難なく受け止め、2人はこっそりとキスをする。
「「ん……」」
数十秒はそのままで居て、口を離す。
「それで……一夏はどうしてここに?」
「あぁ、セシリアとラウラとの模擬戦で最後、手を抜いただろ?」
「まぁね、2人がどれぐらい本気なのか見たかったからね♪だから最後まで諦めなかった様だから最後の一撃をあえて受けた訳♪」
「なるほどな、まぁ余り無茶するなよ?」
「解ってるよ♪それじゃ、そろそろ行こう♪」
一夏と美緒は手を繋いで皆の所に向かっていった。