IS~インフィニットストラトス~ Noblesse Oblige   作:白姫彼方

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開戦直前

~千条院家本宅執務室~

 

「さてと……。みんなに集まってもらったけど、昨日の宣戦布告……どう思う?」

 

世界に配信された宣戦布告から一夜明けた翌日。一夏達は千条院家当主の執務室に来ていた、IS学園では話し辛い内容も含まれるので、誰にも聞かれないようにと集まったわけだ。

 

「唐突すぎるな……。それにきな臭い感じがする」

 

そういったのはラウラだった、その意見に全員が同意する。

 

「お姉ちゃんが連れ去られてから1週間……。それも関係あるのかも」

「なぁ、美紗緒。美緒が連れ去られる時にスコールがやったのはなんだったんだ?」

「それは―――」

「『生命戦闘体(アマテラス)』だけに作用する服従コード(・・・・・)で御座います。一夏様」

 

一夏が美紗緒に聞いた質問は言峰が答えた。言峰は更に詳しく説明をする。

 

「服従コードとは、本来『生命戦闘体(アマテラス)』が暴走した時。若しくは裏切ろうとした時に使われるもので、『生命戦闘体(アマテラス)』に対して絶大な洗脳とも呼べる効果をもたらすので御座います。

本来なら服従コードの対となる解除コードと呼ばれるものがあるのですが、服従コードと解除コード自体が90年前に開発されて以来。一度も使われたことがないので御座いますが……。今回『亡国機業(ファントム・タスク)』に旨い事利用され、美緒様を連れ去られる結果に……。」

 

言峰の説明を聞いている間に一夏はこぶしを強く握っていた。

 

「とにかく、今は解除コードの発見若しくは製作に全力をつくしていますので―――」

 

ドカンッ!!と一夏は壁を叩いた。

 

「あの時……。俺がもっと早く動けたら……!」

 

一夏はそう言いながら部屋を出て行こうとした……が、美紗緒の前に現れたモニターによって止められる。

 

『当主代理!』

「どうかしたの?そんな慌てて」

『これを見て下さい!!』

 

別のモニターに映し出された映像を見て美紗緒は驚く、それに映っていたのは無数の空母や戦艦だった。

それを見ながら、モニター越しにでも物々しさを感じることが出来た。

 

「予想以上に早い……!」

「如何なさいますか?美紗緒様」

「ここまできたらもう引き返せないよね……?言峰さん」

「左様で御座います。美紗緒様」

 

美紗緒は少しの間、目を閉じる。

そして決心をしたかのように、美紗緒は目を開けた。

 

「千条院家の戦力は?」

「はい、第三世代機『迅雷』の壱型、弐型が12機ずつと完成したIS専用補給(・・・・・・)戦闘母艦(・・・・)が1隻で御座います」

IS専用補給(・・・・・・)戦闘母艦(・・・・)?」

「はい、美緒様がこの戦争を予想し、その為の力として建造を進めた戦闘母艦で御座います。

その火力、防御力、機動力は現存戦艦を遥かに上回っております。

現存戦艦と違い、この戦闘母艦は『PIC(パッシブ・イナーシャル・キャンセラー)』によって浮遊しておりますので魚雷は無視を出来ますが、その分ミサイル、敵主砲等に狙われ易いのですがレーザー式の迎撃武装があるのでなんとかなるでしょう。何か質問は御座いますか?」

 

言峰の言葉に一夏が手を上げる。

 

「はい、一夏様」

「詳しいスペックデータを見せてください」

「畏まりました」

 

言峰は一夏の要求を快く受け、スペックデータのみが書かれた文面が全員の目の前に現れ、目を通す。

 

「全長3000m、全高400m、全幅400m……。でかくないか?これ」

「主砲が荷電粒子砲2門!?副砲がデュアルハイレーザー4門、補助武装として大型レールキャノンが4門。迎撃用レーザーがパルスレーザー?ミサイルとかを撃ち落すならこれが妥当ね」

「対ミサイル用装備にフレアが20門にミサイルは……船首近くに散布型4門、船側に4連装分裂型ミサイル4門、船尾に散布と分裂の混合型ミサイルが8門……。すごいねこれ」

「カタパルトは船首に2基、船尾2基、船底に落下式が2基か……。これなら直ぐに出れそうだな」

「搭載ジェネレーターが4基……妥当なのか?これは」

「ブースターは船尾に高出力の大型4基に船側に……スラスター!?戦艦にスラスターって何を考えてますの!?」

「艦体全てを覆うエネルギーシールド?言峰さん。このエネルギーシールドってどんなの?」

「はい、美緒様の専用機『アマテラス』と同じエネルギーシールド『アイギス』で御座います。

ただ、その大型化故に反射はできなくなりました。」

「十分すぎるよ……。そういえば同時に補給できるISの数が出てないけど、どれぐらいなの?」

「30機でございます。記入漏れがあったようで……。まことに申し訳ございません」

 

言峰はそういってお辞儀をする。

 

「それはもういいけど……。実物はすぐに出せるの?もう余り時間がないよ」

「それは問題ありません。庭をご覧下さい」

 

一夏達が庭を見ると庭が割れて、中から艦首両舷から前方に突き出したハッチがついている脚部状のものと、通常の戦艦に使われる艦体に丸みを帯びた二等辺三角形の艦橋が取り付けられ、船底には脚部状のものと連結させる装甲が取り付けられ、その下部装甲から青白い噴射炎が見えることからブースターが取り付けられていることがわかった。

一見するとアンバランスであり、とても戦艦や補給艦には見えなかった。

 

「これが……?」

 

全員の心情を代弁するかのように、一夏が呟く。

 

「はい、IS専用補給戦闘母艦『レクイエム』で御座います。では皆様、時間がありませんので『レクイエム』にお乗り下さい」

 

言峰に言われ、一夏達は『レクイエム』に乗った。

 

 

                     ◆

 

 

『レクイエム』に乗った一夏達は、艦橋に向かう。その途中で言峰に『レクイエム』に関しての説明を聞いていた。

 

「この『レクイエム』は長期に渡る移動手段としても想定されて作られておりますので、生活区域、入浴区域、娯楽区域等も充実されております。

IS操縦者の皆様にストレスを溜めない様にとの美緒様の配慮にて、実現された物でございます」

「それにしても美緒は用意周到ね、いつから準備を?」

「はい、『銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)』事件後ですが?」

「それでも早すぎですわ……。千条院家には裏の情報網が広いですのね」

 

鈴音の問いに言峰が答え、セシリアが感想を言っていると艦橋に前に着く。

そして、スライド式のドアが開かれると予想外の人物が居た。

 

「なんだ、遅かったじゃないか織斑」

 

そこにはここにいるはずのない千冬がいた。

 

「どうした?鳩が豆鉄砲食らったような顔をして」

 

千冬を見て、一夏達は呆ける。それ見た千冬は可笑しそうに言った。

 

「どうして千冬姉がここに!?IS学園はどうなったんだよ!?」

 

一夏の疑問は確かだ。本来であるなら千冬はIS学園にいるはずだ。

しかし、千冬は『レクイエム』の艦橋にいた。千冬は少し陰のある表情をしながら言う。

 

「IS学園は……解体された」

「え?」

「名目上は無期限の休校だがな。事実上、IS学園は解体されたんだ」

 

千冬の言葉に全員が納得がいった様だ。世界大戦とも言える現状で、代表候補生やそれに準ずる生徒を敵地に居させる筈も無く、7割近い生徒と教師がIS学園から其々の祖国に呼び戻された。

結果、国際IS委員会は無期限休校と言う名目でIS学園を解体したのだった。

 

「それに、今回の戦争については美緒からある程度聞いているからな……。私はそれを含め、美緒にこの『レクイエム』の艦長をやらせてもらうように頼んだんだ」

「そっか……」

 

千冬の話が終わり、一夏達が静かになると、千冬はクルーに命令を出す。

 

「各自システムチェックを終わらせろ!時間はもう無いぞ!」

 

千冬の命令に各方面から報告が上がる。

 

「管制システムオールグリーン!」

「索敵システム問題ありません!」

「操舵及びエンジン、ブースター、スラスターに異常はありません!」

「全武装に異常無し!」

「大型エネルギーシールド『アイギスⅡ』展開に問題ありません!」

「これより『レクイエム』を発進させる!微速前進後、高度6600フィートまで上昇次第、全速前進に切り替える!」

 

千冬の掛け声と共に、『レクイエム』は浮上しながら少しずつ進み、千冬が言った6600フィートに到達すると、一気に風景が流れる。

 

「これよりIS操縦者は第一種戦闘配置、専用機持ちの織斑、ボーデヴィッヒは船首カタパルト。デュノア、オルコットは船尾カタパルト。凰、篠ノ之は船底落下口にて待機!『迅雷』の操縦者は壱型と弐型でツーマンセルを組み、各カタパルトに2組ずつ就け、各員急げ!」

 

千冬の号令により一夏達は各カタパルトに向かった。

 

 

                     ◆

 

 

一夏は『白式改』を展開して、カタパルトに接続し終えると近くにあったモニターから通信がくる。

 

『初めまして、これから専用機持ちの皆さんのオペレーターを勤めさせていただく。フィオナです』

 

フィオナと名乗る少女はお辞儀をする。

 

『それでは作戦を説明します。作戦目標はこちらに向かっているアメリカ戦力の排除です。

アメリカ戦力は海軍、空軍の混合師団。その数は巡洋艦700、空母400、補給艦200ですが、空母の中に一隻のみIS専用空母となります。

未確認ですが、既に国家代表がこの空母に載り込んでいるとの情報がきてます。情報どおりだとしたら、まともに戦うにはリスクが大きすぎます。起動前にその空母を見つけ出し、一気に破壊してください。

それでは、作戦の説明を終了します………。無事の帰還を』

 

フィオナが言い終えると、カタパルトのハッチが下り、一夏は腰を低くした。

 

『織斑一夏さん、発進どうぞ!』

「織斑一夏、『白式改』出るぞ!」

 

一夏はそういうと同時にカタパルトから出る。その瞬間に『連続瞬時加速(アクセレート・イグニッション・ブースト)』を使い、最速で、戦場へと向かった。

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