IS~インフィニットストラトス~ Noblesse Oblige   作:白姫彼方

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対砂塵の毒蛇後

~廃墟地帯~

 

今、この地域一帯に青白いスパークと青白い閃光がありとあらゆる処でほぼ同時に発生していた。

美緒と一夏がその機体と自身の持つ能力をフルに使っている為だ。互いのブレードで打ち合い、スパークが発生する直前に離れ、荷電粒子砲を撃ち拮抗し、『雪月』と『ツヌグイ』が飛び交いながら紅い閃光と純白の閃光が交差する。

 

―――我が主(マイ・マスター)一夏!ナノマシンによる自己修復を行ってはいますが機体損傷率50%を超えています。回避重視で戦術を組み立ててください、何度も受けれません!気をつけて!

 

『白式改』からの警告が一夏の耳に届くが一夏はそれを無視、超音速での戦闘を続ける。

一夏と美緒の戦闘の余波で廃墟は全て崩れ落ち、既に荒地を残すのみとなり、徐々にだが一夏と美緒の被弾率も上がる。

 

―――機体損傷80%突破!!危険です!直ぐに離脱してください我が主(マイ・マスター)一夏!

「まだだ!まだいけるだろ!お前なら!」

 

一夏は『白式改』の退避警告を反論しつつも美緒と鍔迫り合いをする。

 

「おぉぉぉぉ!!」

 

一夏が美緒を押し切ろうとした瞬間、青白い光が一夏を焼かんと迫り、一夏は離れた。

 

「お姉様。時間の掛け過ぎですよ?」

「ごめん、白昼夢(さだめ)

「そういうわけでお遊びは終わりですよ……織斑一夏」

 

白昼夢(さだめ)はそういうと、『スキュラ』と腰部にある収束荷電粒子砲『スキュラⅡ』を一夏に向けて放つ、一夏は『スキュラ』と『スキュラⅡ』を避け。美緒と白昼夢(さだめ)に『雪羅弐式』と機械翼の荷電粒子砲を放ち、その直後に『雪羅弐式』をブレードモードに戻し脚部のブレードを展開して美緒と白昼夢(さだめ)に突撃する。

2人は荷電粒子砲を避け、美緒は『ツヌグイ』を全基、白昼夢(さだめ)は『アクティブクロークⅡ』に収納されている『レイダー』を18基全てを射出。その直後に美緒は両腕に『月光零式』、白昼夢(さだめ)は『月光』を両腕に展開し、左右から挟撃を仕掛ける。

放たれるエネルギーの弾幕を一夏は避け、『雪月』を全基射出。『ツヌグイ』と『レイダー』に対抗しようとするも、その圧倒的な数の暴力によって『雪月』は一気に数を減らし、『白式改』の装甲と一夏自身にダメージが更に蓄積されていく。

 

―――我が主(マイ・マスター)一夏!もう機体が限界です!今すぐ離脱してください!!

「くそっ!ここまでか……!」

「逃がしませんよ織斑一夏」

 

白昼夢(さだめ)は『レイダー』で一夏を取り囲み、あらゆる角度から一斉発射を行う。その中の一つが『絶対防御』を貫き、一夏の右目の瞳と瞼を焼いた。

 

「――――――っ!!がぁぁぁぁぁ!!!」

―――我が主(マイ・マスター)一夏!?バイタルに乱れが……。仕方ありません、『白式改』のコントロールをこちらに移して離脱します。

 

一夏が右目を両腕で目を押さえて苦しみもがいているにも関わらず、反転して離脱していこうとする。

だが白昼夢(さだめ)と美緒が逃すはずも無く、美緒の『ツヌグイ』と『グングニル』、『八叉鴉(ヤタガラス)』。白昼夢(さだめ)の『レイダー』と『オクスタンガトリング』、『スキュラ』、『スキュラⅡ』。で追撃をかけるが、一夏は不自然な軌道でそれらを全て避けきり、作戦領域を離脱した。

 

 

                     ◆

 

 

『レクイエム』艦内は今蜂の巣を叩いた様に騒がしくなっている、その理由は簡単だ。

 

―――織斑一夏の負傷、及び『白式改』の大破

 

現在一夏は『レクイエム』艦内の集中治療室(ICU)に入れられ、治療中だ。

集中治療室の前に美紗緒、言峰、箒、セシリア、鈴音、シャルロット、ラウラがいるが、全員悲しげな眼差しで一夏を見ている。

 

「言峰さん、一夏さんの容態と『白式改』の修理状況は?」

「はい、既に治療は終えておりますが、右目の治療は不可能かと……。例え『白式改』の生体再生をもってしても」

 

言峰の言葉を聞いて、全員が歯を食いしばり、強くこぶしを握った。

 

「わかった、『白式改』の修理状況は?」

「損傷が激しく、向こう1週間は戦闘は不可能と」

「そう……。次の任務は?」

「はい……次の「待て、美紗緒」」

 

美紗緒と言峰の会話を箒が遮る。

 

「どうしたの?箒さん」

「次の任務は私に行かせてくれないか?」

「……理由を聞いてもいい?」

 

箒が言葉を発しようとした瞬間、『レクイエム』に衝撃が走った。それと同時に艦内にサイレンが響き渡る。

 

『総員第一種戦闘配置に着け!IS搭乗者は各カタパルトで出撃!繰り返す……』

 

美紗緒達は頷いて集中治療室(ICU)から出た。

 

 

                     ◆

 

 

紅い月が出ている暗闇の中に一夏は居た。その空間は以前、一夏が白騎士の女性、白いワンピースの少女と出会ったあの場所とは違い、そこには何も無いと言ってもよかった。

 

「ここは……一体」

「ほう……あの子以外にここにくるとは……(わっぱ)よ、随分と愛されておるようじゃの」

 

一夏が振り返ると、そこには十二単を着た女性が微笑んで一夏を見つめていた。

 

「貴女は?」

「我かえ?我は(わっぱ)がよく知る子の元となった者じゃよ」

「俺がよく知る……?」

「我はあの子であり、あの子は我じゃ」

「……よくわからないな」

 

一夏の答えに女性はふっと笑みを零すと真剣な眼差しで一夏を見つめる。

 

「して(わっぱ)よ、(わっぱ)はあの子を救いたいか?」

「救う……?美緒のことか!?」

「うぬ……あの子は今虜囚となり、繰られておるのは知っているな?」

 

一夏は頷くと、女性との間に青い半透明のモニターが現れる。

 

「これは……?」

「原初の戒めのでーた?じゃ、持っていくが良い」

 

その女性が言うと、そのモニターは光の玉となって、『白式改』に吸い込まれていった。

 

「我が出来るのはここまでじゃ」

 

その女性は泡となって消えた。

その直後に暗闇が晴れて紅い月が青白い光を放つ月となり、満天の星空とも思える夜天と草原が広がり、一夏の目の前に以前あった白いワンピースの少女と同じか或いはそれよりも小さい女の子が2人居た。

 

「貴方は」

「何を望みますか?」

「俺の望みは……家族や仲間を守って助ける力が欲しい」

「その為に」

「世界から異端者、災厄と呼ばれる覚悟がありますか?」

「あぁ、ある!」

 

一夏は真剣な眼差しで見つめる、2人の少女は一夏に悲しみが篭った笑顔を見せる。

 

「……ごめんなさい」

「本当は貴方に頼むつもりはありませんでしたけれど……」

「世界がそれを良しとしなかった」

「だからこそ……貴方に頼むしかなかった」

「お願いです!」

「私たちの相棒を」

「私たちの主を」

「「救ってください!」」

 

2人の少女の言葉に一夏がこくりと頷くと世界は歪み始め、一夏は2人の少女に背を向けると世界は崩壊した。

 

 

                     ◆

 

 

「ああもうっ!敵が多すぎよ!」

 

鈴音はそう言いつつも『龍砲』を8基全てを射出、近付いてきた戦闘機に穴を開けて爆散させ、別の方向からのミサイル郡を展開した『干将(かんしょう)莫耶(ばくや)』を投擲して切り裂き、連鎖的に爆発させる。

その直後に別の方向から鈴音はラファール・リヴァイヴの攻撃を受け、少し吹き飛ばされるもすぐに立て直す。

 

「ったいわね!」

 

鈴音はそう言って小型連弾式収束荷電粒子砲『天砲』を撃つも、攻撃を仕掛けたISはすぐに避けた。

 

「第二世代機で避けた!?このぉ!」

 

『天砲』から腕部にある『月光零式』に切り替えて鈴音は『瞬時加速(イグニッション・ブースト)』を使い。急接近するがまた別の今度は2方向から攻撃されるも、今度は避ける。

 

「ラファール・リヴァイヴ3機……まずいわね」

 

鈴音がそう呟くと同時に、本来のラファール・リヴァイヴなら、搭載されていない武装である大型レーザーライフルが3機に展開される。鈴音は直ぐに『瞬時加速(イグニッション・ブースト)』で3機から距離を取る、その直後に鈴音が居た場所に極太のレーザーが通過した。

そして鈴音は『龍砲』8基射出し、更に『干将(かんしょう)莫耶(ばくや)』を展開して3機に投擲する。

だが、3機のラファール・リヴァイヴはそれらを全て大型レーザーライフルで撃ち落した(・・・・・)

 

「なっ!」

 

鈴音は直ぐに『龍砲』が繋がっていた武装プラットフォームを大型レールカノンに変形させ、鈴音の前方にいるラファール・リヴァイヴに向けて放つ。がだそれすらもラファール・リヴァイヴは簡単に避け、3方向から同時に大型レーザーライフルからレーザーを鈴音に向けて放つ。

鈴音も避けるも、その目の前に何時の間にか近接武装を展開しているラファール・リヴァイヴがいた。

 

「しまあぐぅ!」

 

―――――――バリヤー貫通、ダメージ72。シールドエネルギー残量480。実体ダメージ、レベル軽微

 

「(通常のラファール・リヴァイヴよりも性能がかなり高い……!どうすれば……)」

 

ラファール・リヴァイヴによる近接攻撃を受け、鈴音は海面ギリギリまで落とされる。鈴音が体勢を立て直そうとするが、直ぐに追撃のレーザーが放たれるが、鈴音は直ぐに回避するも、海面に当たり、水飛沫が起こり、鈴音の視界が遮られる。

だがハイパーセンサーによってラファール・リヴァイヴの位置は見えている為、近くにいるラファール・リヴァイヴに向かう為に『瞬時加速(イグニッション・ブースト)』を使って急接近するも、他の2機からレーザを放たれる。

鈴音はレーザーを避けるがすぐ目の前に『灰色の鱗殻(グレート・スケール)』を展開したラファール・リヴァイヴが居た。

 

「(やられる……!)」

 

鈴音は咄嗟に目を瞑ってしまった。本来なら戦場で目を瞑ることは自殺行為だ、だが来るべき衝撃は来なかった。その代わりに爆発音が聞こえ、鈴音が目を開けると目の前のラファール・リヴァイヴの『灰色鱗殻(グレート・スケール)』が煙を上げて壊されていた。

そして鈴音はハイパー・センサーに新たなISの反応が出たのに気づき、その方向を見るとそこには居るはずのない人物が居た。

 

「危機一髪……ってところか?」

 

その人物は鈴音を見て微笑んだ。

 

「一夏ぁっ!」

 

そう、一夏がそこにいた。片目を閉じたままでだがそこに存在していた。

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