IS~インフィニットストラトス~ Noblesse Oblige   作:白姫彼方

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ほんの僅かな休息、そして新たな戦場

~レクイエム艦橋~

 

6人はそれぞれの戦闘を終え、レクイエムの艦橋に戻ったわけなのだが……、そこで一悶着が起きる。それは一夏が右目に眼帯をしていたからだ。

その眼帯は白い帯と円形の縁で、被う部分は鮮血の様に紅く、右上部から左下部に架けて黒い線があった。それにまず反応したのは箒だ。

 

「いっ、一夏!その眼帯はどうしたのだ!?」

「あぁ、これか?これは『白式改』の新しい待機状態(・・・・・・・)の一部なんだって。そうだろ?ユキアネサ」

―――はい、その通りです。我が主(マイ・マスター)一夏

 

一夏の衝撃的な事実とその直後に聞こえた声に、一夏を除いた艦橋に居る全員が驚き、絶句する。それはそうだ、今現在のIS全ては待機状態は変えることが出来ないと知られているからだ。だが、一夏のIS『白式改』はその常識を打ち破り、衝撃の真実を知らしめているのだから。

そして一夏の様にコア人格を発現させ、会話を成立させるほどに成長(進化)させている操縦者もいない。よって一夏は誰も到達していない未開の段階を進んでいるのだ。

だが、ユキアネサの事を知らない5人は一夏に聞こうと更に近づこうとするが、千冬によって止められる。

 

「お前らは落ち着け、さて織斑とユキアネサとやら。いくつか質問をするから隠さずに答えろ……いいな?」

「わかりました」

―――了解です。千冬様

「まずは、どうやって新しい待機状態になったか……。わかるか?」

「正直に言うと俺にはわかりません。『白式改』を解除したら既にこうなっていました」

―――それは私がしました。我が主(マイ・マスター)一夏への外見的、精神的負担を和らげる為です。傷跡がある右目を晒して生活するのと、眼帯をして隠しながら生活すのとでは、その精神的負担が55.265%の差が出ることが統計で証明しています。よって私は眼帯に変えることでその負担を減らす選択をしました。

「(本当の理由(・・・・・)ではないんだけどな。けど、こればっかりは本当の事を言うわけにもいかないからなぁ)」

 

ユキアネサが事前に考えていた嘘の答えで誤魔化すが、一夏は表情的には顔色を変えてはいないがその心の中では真実を話せないが為に、後悔の念で渦巻く。

 

「ふむ……まぁいい、次だ。あの戦闘時に出てきた剣の大群と大蛇はなんだ?」

「それは……答えることはできない」

―――我が主(マイ・マスター)一夏と同意見です。千冬様

 

一夏とユキアネサの回答拒否を聞き、千冬は静かに怒気を放つ。

 

「どういうことだ?私は隠さずに言えと言ったはずだ」

「それでも答えることは出来ない」

―――尋問されても、我が主(マイ・マスター)一夏と私は話しません

 

千冬は真っ直ぐ一夏を見るが、その内心では驚いていた。あまり隠し事をしない一夏が、真っ直ぐ自分を見つめてそれを隠そうとしているからだ。

人間誰しも隠し事はある、だからこそ唯一の肉親である自分には打ち明けると思っていた、だが、それは良い意味で裏切られた。弟の成長をこれほど喜ばしいものはなかった……、ただのブラコンではあるが。

 

「そうか……。なら、今回は目を瞑ろう。だが、次はないと思え」

「わかりました」

―――了解です

 

一夏とユキアネサが返事をすると、千冬は6人に休むように言って、艦橋を出た。

 

 

                     ◆

 

 

千冬との話の後、一夏は自分の部屋に戻る。戦艦の為、私物は多くは置けないがそれでも少量の私物が置いてあった。

 

「ユキアネサ。外すぞ」

―――わかりました……。どうぞ

 

一夏はユキアネサの了解を取ると、眼帯を外した(・・・・・・)。その眼帯の下からは本来ならば皮膚が爛れているはずなのだが、その下にあったのは爛れた皮膚ではなく、上瞼から下瞼にかけて一筋の傷跡があり。

一夏が瞼を開けると眼球がある部分には、雪の様に白いコアが(・・・・・・・・・)あった(・・・)。千冬や皆に隠していた理由はこれだった。

 

「ユキアネサ。原初の戒めのデータの解析は終わったのか?」

―――はい。これを反転して再構成させる事で解除データにはなるとは思いますが、私では不可能ですね……。申し訳ございません我が主(マイ・マスター)一夏

「いや、そこまでやってくれただけでも助かるよ。ユキアネサ」

―――勿体無きお言葉です。我が主(マイ・マスター)一夏

 

一夏は再度、眼帯を着け、タッチパネル式のモニターを開く。

 

『何か御用ですか?一夏様』

 

一夏が通信を繋げたのは言峰だった。

 

「今何処にいますか?」

『今は天道様といますが』

「今から送るデータをみてください」

 

一夏が言峰にデータを送ると、言峰が息を呑むのがわかった。

 

『……一夏様……。これを何処で?』

「詳しくは言えませんが、ユキアネサだとこれを反転させればいいそうです」

『……解りました。早速作業に入ります』

 

言峰はそう言って通信を切った、直後に一夏のドアがノックをされる。それに一夏が返事をすると、ドアを開けて入ってきたのは、弾と蘭だった、そして2人は眼帯をした一夏を見て驚く。

 

「い、一夏!?その眼帯どうしたんだ!?」

「あぁ、これか?前の戦闘の時にな」

 

一夏は気にしてないように言う。だが、蘭はそれが信じられないように思えた。

 

「で、でもISには『絶対防御』って保護機能があるんですよね!?それなのに如何して……」

「『絶対防御』を貫通する攻撃があるってことだけだろ?それに、俺は後悔も悔いも恨みもない。これは俺の実力不足で受けた傷だ」

 

弾と蘭はこの短期間での一夏の変わり様に驚いていた。外見的にもそうだが、何よりも一夏の考え方がここまで変わってるとは思わなかったからだ。

 

「ところで、弾と蘭は飯まだ食べてないのか?食べてないなら一緒に食おうぜ」

 

一夏は戸惑う2人の手を握って部屋を出た。

 

 

                     ◆

 

 

全員にユキアネサが知られてから1週間後、一夏は現在今現在単独で、イギリスに向かっていた。

 

『作戦を確認します。イギリスの首都ロンドンで、敵最新鋭IS部隊と交戦している、味方の支援に向かいます。

敵ISは4機、IS操縦者はいずれも実力は上位ですが、特に警戒すべきは、イタリア代表のIS『テンペスタⅡ』です。

『テンペスタⅡ』の公式戦は、完璧です。

連戦連勝の無敗を貫き、その操縦者であるアルフォンシーナ・バルトリ自身も柔軟な思考の持ち主で、不利な状況でも奇抜な戦術を取ることでも有名です。

複数のISを相手にする、極めて危険な任務です、これまでで、最も過酷な戦闘になることは間違いありません。

以上、作戦の確認を終了します、死なないで……』

 

一夏はモニターを切ると、『連続瞬時加速(アクセレート・イグニッション・ブースト)』を使い、速度を一気に上げて向かった。

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