IS~インフィニットストラトス~ Noblesse Oblige 作:白姫彼方
~月曜。第三アリーナ~
先週の騒動から一週間が経ち、いよいよセシリアとの対決が始まる………が
「「ジャンケンポン!!」」
「「あいこでしょ!!」」
一夏と美緒はじゃんけんで、順番を決めていた。
「よかった!私が勝った!♪」
「ぐぁぁぁぁぁ……目が!目がぁぁぁぁぁぁ!!」
ただ普通のじゃんけんではなかったと言っておこう。
「それじゃ、一夏が最初ね♪」
「判ったよ……あ~、目が痛い……」
「だ、大丈夫か?一夏」
「あぁ、なんとかな……」
一夏はそう言いつつ、一夏の専用IS『
「フォーマットとフィッティングは実戦でやれ。できなければ負けるだけだ。わかったな」
「はい、わかりました。ちふ……織斑先生」
「宜しい、ならばいけっ!」
千冬の声と共に一夏はカタパルトに乗り、アリーナに躍り出た。
「一夏……」
「あれ?箒ちゃん。一夏の事心配なの?」
美緒の言葉に箒は驚き、しもどもどろに言う。
「な、そんな訳無いだろ!この一週間、美緒と私で鍛え上げたんだからなっ!」
「ふふ♪照れ隠しだね?箒ちゃん。でも大丈夫、例え勝てなくても一夏は良い所まで攻め立てるから」
美緒のその自信のある言葉に箒は美緒を見つめる。がその美緒はセシリアと一夏の戦闘をじっと見つめる。
それは何か決めあぐねている様な感じがする。
「あらら、セシリアが有利になったね……一夏の悪い癖が出てるし……これは一夏の負けかな」
そんなはずはないだろう!と箒が言おうとするが、その直前にセシリアが放ったミサイルを一夏が受け、爆煙に姿を消した所を見てしまった。
「一夏!」
「大丈夫だよ……
箒はじっと画面を見る。勿論美緒が言った事も気になる。そして爆煙が晴れるとそこには先程とは違う姿になった『
「一夏……!」
「成る程……
そして一夏は残る2基のビットを斬り落とし、セシリアを間合いに取らえ、いざ斬ろうとした所でエネルギーが0になり。試合に負けてしまった。
「あらら……残念♪」
美緒の表情は言葉とはまったく違う反応だが、それでも瞳の奥にある殺気は消えていなかった。
「さてと、かなり早いけど。私は先にアリーナの方に行くね」
美緒はそう言って両腕を前に出す
「おいで……『パンツァーアイゼン』」
「じゃ、また後でね」
美緒はそう言ってカタパルトに乗り、アリーナに躍り出た。
「(各部異常なし……か)」
美緒はまだ相手が来ないアリーナの中で軽く準備運動をしているとセシリアがやってくる。
「遅かったね……」
「あら、そうですの?てっきり私は貴女が逃げたと思ってましたわ」
「そう……言葉は不要だね」
美緒が言い終わると同時に二人は互いに距離を取る。セシリアの手には『スターライトMk-Ⅲ』が握られて、美緒の手には2門のガトリング砲が横に連結された『オクスタンガトリング』が両手に握られている。美緒は機械翼を広げ、多数のビット……射撃型の『ソルディオス』、斬撃型の『ブレード』、盾型の『パンツァー』を全て展開して、その機械翼上部にあるレールキャノン『ブレイズ』を展開する。
そして最後にショルダーアーマーと脚部を展開して48門のミサイル射出口を表す
「な、なんですの!?その馬鹿げた武装の多さは!」
「さぁ……圧倒的力を見せてあげる……!!」
セシリアの絶叫を無視した美緒は『オクスタンガトリング』を構え、突撃する。『パンツァー』は美緒を守りながら、『ソルディオス』はエネルギーチャージをしながら美緒に従う様に並走し、『ブレード』はセシリアに突撃をする。セシリアは『ブレード』を撃ち落す為に『ブルー・ティアーズ』を射出4基全てを展開して撃ち落すも如何せん数が多かった。撃墜を免れた『ブレード』に『ブルー・ティアーズ』は斬り落とされ、爆散をするも、別の『ブルー・ティアーズ』に撃ち落され残る『ブレード』は4基となった。その残った『ブレード』を美緒は機械翼に戻す。
「やるね……セシリア」
「これくらい……当然ですわ!」
セシリアはそう言うと『スターライトMk-Ⅲ』を美緒に放つ。だがそれは『パンツァー』によって防がれる。
「く……」
「ふふ♪じゃぁ……こんどはこっちの番だね!!『ソルディオス』!!!」
美緒はそう言い、『オクスタンガトリング』をセシリアに向け、実弾を撃ちだす。それと同時にマイクロミサイル12門、コンテナマイクロミサイル36門から全てを射出する勢いで撃ちだし。尚且つ『ソルディオス』をセシリアに向かわせる。コンテナマイクロミサイルから更に小さいマイクロミサイルが射出され、セシリアに向かう、セシリアは逃げつつもマイクロミサイルを撃ち落し、周りを爆煙だらけにするも『ソルディオス』によってシールドエネルギーを削られる。
「(まずいですわ……この状況で逆転をするには……)」
「はい♪捕まえた♪」
「なっ!?いつの間に!!」
セシリアが逆転する術を模索しようとするが美緒に両肩を捕まれる。だがただ掴んでいるのではなく腹部にある荷電粒子砲『スキュラ』がチャージを終えている。
「なっ!!」
「でも簡単には終わらせないよ……
美緒はそう言ってセシリアを右手で殴った。軽くとかを通り越して全力で、それを何回も繰り返し、次にスパイクが付いた膝蹴りを何回もする。時折セシリアの声が聞こえるが今の美緒には関係がない。
そして美緒は蹴り落とす。余りにも速い速度だったので
「さぁ……止めだよ!」
美緒はそう言って『スキュラ』を放つ、一直線に進む荷電粒子はそのままセシリアに直撃し、轟音と共に砂煙を巻き上げた。
「ふふふ……あははは……あははははははは!」
『
美緒の狂った様な嗤い声がアリーナに響き渡っていた。
~美緒対セシリア戦前ピット内~
「美緒はどんな戦い方をするんだろうな?箒」
「わからん、だけどIS……専用機みたいだからかなりのレベルだとおもうぞ?」
一夏と箒が話していると美緒が武装を展開する。
「うわぁ……なんだあれ?結構な数だぞ?」
「馬鹿な……ありえん。どうやったらあんな数の武装を積めるんだ」
「わかんねぇけど……あの戦い方えぐいぞ」
そして佳境に入り、美緒がセシリアを掴む所に入る。
「ん?美緒はどうしてセシリアを掴んだんだ?」
「恐らくあの腹部にある何かを当てるつもりなんだろうが……!!」
二人は美緒がISの腕でセシリアを殴打するのを見て一瞬硬直するも。直ぐに我に返る
「な、なんであんなことしてるんだ!?止めないと!」
一夏はそう言って『白式』を装着し、アリーナに出ようとするも目の前に千冬の顔が映し出される
『織斑。何をしている?』
「美緒を止めにいくんだ!流石に不味い!」
『駄目だ。許可はできん』
「何でだよ!?何で駄目なんだよ!」
『これはあいつらの勝負だからだ。それにもう終わる』
一夏が試合の画面を見ると地面に落ちたセシリアに荷電粒子砲を放った直後が見え、その様子を見て嗤う美緒の姿があった。
「美緒に……何があったんだ……?」
一夏の呟きは箒と千冬以外に聞かれることはなかった。
~一夏達とは違うピット内~
「(ふぅ………暴走しちゃったな)」
あの試合の後美緒は酷く落ち込んでいた。その理由はあの姿を一夏に見られたからだ。
「(うぅ……一夏に嫌われたらどうしよう……)」
『おい、千条院』
「ひゃ、ひゃい!」
『そろそろ織斑との試合の時間だ。早くアリーナに出ろ』
「わ、判りました」
千冬の言葉に美緒は答えると『パンツァーアイゼン』を展開装着して、もう一度アリーナに躍り出た。
そして美緒がアリーナにでると既に一夏が居た
「美緒……お前に何があったんだ?」
「うっ………」
「何でセシリアにあんな酷いことしたんだ?」
「(……怒ってる……ね。誰にでも優しいからそうなんだろうけど………だからこそ私は)」
「美緒聞いてるか?」
「……………さい」
「ん?」
「五月蝿いって言ったの!!」
美緒は怒鳴ると同時に『月光』を展開する。
「一夏には判らないかもしれないけど。私は大切な人を侮辱されて黙っていられるほど私は大人でもないよ。だから………だからこそ私は徹底的に叩きのめした。それだけだよ」
「だからって………だからってあんな酷いやり方はないだろう!?他にやり方があったはずだ!!」
「なら………私に勝ってから言うんだね………一夏!!!」
美緒はそう言って『月光』を構えて一夏に接近する。一夏は少し戸惑うも『雪片弐型』を構えて全速力で接近する。そして『月光』と『雪片弐型』がぶつかり合い、火花を散らす。
「おぉぉぉぉ!!」
「甘い……よっ!」
鍔迫り合いの中、空いているもう片方の『月光』で一夏の頭部目掛けて振り下ろすも一夏はそれを避ける。一夏が距離を開けたことで美緒は直ぐに『月光』の刀身を仕舞い、両腕に『オクスタンガトリング』を粒子展開し、そのまま放つ。AM・ENが入り混じった弾幕を一夏は縦横無尽に避け、直撃しそうな物は『雪片弐型』で切り払う。
だが美緒も甘くは無く、追撃とばかりにミサイル射出口を全門開き、全てを射出しながらも荷電粒子砲『スキュラ』を撃ち込み、着実に追い込んでいく。だが
カチンカチンと音が聞こえ、美緒は舌打ちをすると『オクスタンガトリング』を破棄して新たに『オクスタンガトリング』を粒子展開し、一夏に向かってフルオートで撃つも悉く避けられる。そうしてるうちにミサイルの残弾も底を付き、残る射撃武装は『スキュラ』、『ブレイズ』と手の中にある『オクスタンガトリング』のみになった。そこで美緒は『オクスタンガトリング』を収納して『月光』と電撃式蛇腹剣の『ヒートロッド』を展開する。
「それっ!」
美緒の軽い声とは裏腹に『ヒートロッド』を伸ばし、一夏を捕まえようとする。だが一夏も捕まらないようにと逃げる。逃げながらも一夏は美緒に接近する。
「うぉぉぉぉ!!」
「くっ!」
一夏の『雪片弐型』が振り抜かれ、美緒の胴部に当たり、切り裂かれる。
「やるね!一夏!!」
「へへっ!どんなもんだ!」
美緒の素直な感想に一夏は誇らしげに言う、が一夏の腕を『ヒートロッド』が捕まえる
「げっ!」
「ふふ♪油断大敵……だよ!」
美緒は一夏を引っ張り近づけさせて腹部に脚撃を何十発と浴びせていく、そしてその後に一夏をさらにゆっくりと自分の方に近付ける
「一夏……ごめんね?」
「え?」
そして美緒は一夏を強く地面に叩き付けて意識を奪った。
~保健室~
「一夏……ごめんね?」
時間は過ぎ夕方の保健室に美緒と一夏は二人で居た。箒も居ると言ったのだが、美緒が押し切ったのだ。
夕焼けのせいか、美緒の頬がほんのりと紅い。
「んにゃ、いいさ。勝負に怪我は付き物だからな」
「体の方は大丈夫?」
「あぁ、勿論だ。それじゃ、帰ろうか」
「うん♪」
美緒は一夏の腕に腕を絡ませてぴったりとくっ付く、二人の頬がほんのりと紅くなるのは当然だった。
「ねぇ、一夏………」
「ん?どうかしたか?」
「私の方を向いて目を瞑ってくれないかな?」
「ん?あぁ良いけどよ……何をするんだ?」
「いいから早く!」
「わ、わかった……これで良いか?」
一夏は美緒の言われた通りに向き、目を閉じる。
「まだか?」
「まだだめだよ!」
美緒は一夏の言葉に返事をすると爪先立ちをして……一夏の唇を奪った。
「んん!?」
美緒の柔らかい唇の感触に一夏は驚き、硬直する。数十秒ぐらい経っただろうか。美緒は一夏の唇から唇を離した。
「えへへ♪キス、しちゃったね♪」
「あ……う……」
「ふふ♪二人だけの内緒だよ?♪」
美緒は悪戯っぽい笑みを浮かべタッタッタと数歩走る。
「それじゃ、一夏。また明日ね♪」
美緒はそう言って、一夏の元から走り去った。今だ硬直している一夏を置いて。