IS~インフィニットストラトス~ Noblesse Oblige   作:白姫彼方

50 / 54
終焉との対決、少女の最後

一夏、美緒、スコールが戦い始めて既に2時間が経っていた。

陽電子(ポジトロン)砲、荷電粒子砲が飛び交い、一夏と美緒の『雪月』、『ツヌグイ』、『シャッテン』、『ナハト』は既にスコールによって全て破壊されており。残った武装で戦っている一夏と美緒は不利に陥っていた。それを嘲笑うかのように、スコールは背部に搭載されている、2門の3連装砲をハイレーザーの『エクスエムⅡ』で一夏を狙うが、一夏は『雪羅』をシールドモードに切り替えて防ぐ。

美緒は『連続瞬時加速(アクセレート・イグニッション・ブースト)』を使って、スコールの懐に飛び込んで斬り裂こうとするが、肩部に搭載されている大型ガトリング砲『エレバス』によって弾幕が張られ、思うように近付けない。それでも美緒は被弾覚悟で懐に飛び込み、スコールの腹部に『月光零式』を突き刺した、と思ったが既にスコールの姿は無く、ハイパーセンサーを使って探すとスコールは、美緒がいる地点から20kmも離れた地点に居る事が解った。

直ぐに一夏と美緒は『連続瞬時加速(アクセレート・イグニッション・ブースト)』を使い、スコールに接近する。が、スコールは両前腕部に搭載されている3連装式高熱線砲『フレイム』、背部に搭載されている3連装式荷電粒子砲『グレイムⅡ』に切り替えて、一夏と美緒に対して弾幕を張る。

 

「美緒!先に突撃する!ユキアネサ!」

―――『神羅烈風(しんられっぷう)』を起動!前方にエネルギーシールドを展開します!

 

一夏の前に不可視のエネルギーシールドが展開され、突撃する。美緒は一夏を援護する様に荷電粒子砲をスコールに向けて放つが、スコールはそれを容易く避け、一夏に『フレイム』、『エクスエムⅡ』、『エレバス』を放つ。

エネルギーシールドは、3種の攻撃を受けるが最初は無傷だったものの、徐々にスコールに近付くにつれて皹が入る。そして一夏がスコールの目前に到達した瞬間、エネルギーシールドが砕け、その場で大爆発が起き、スコールと一夏にダメージを与える。

美緒はそれを好機だと捉えて『連続瞬時加速(アクセレート・イグニッション・ブースト)』を使い、接近しようとするが、爆煙の中から美緒に向かって荷電粒子砲が放たれる。美緒はそれを避け、荷電粒子砲で爆煙が晴れると、スコールは一夏の首を掴んでいた。一夏は首を掴んでいる腕を、『雪羅』のブレードモードで斬り落とそうとするがスコールはそれを読んでいたかのように、一夏を海面へと投げる。

美緒は『連続瞬時加速(アクセラレート・イグニッション・ブースト)』で間合いを詰め、スコールは『月光壱式』で切り払おうとするが、美緒は直前でスコールの背後に回り、左足のスラスターに切り込みを入れるものの、すぐにスコールの姿が消え、前方20kmの地点から反応が出る。その直後に陽電子(ポジトロン)砲が放たれ、美緒がそれを避けると、目の前にスコールがいて『月光壱式』で腹部と左前腕部を斬られ、海面へと蹴り飛ばされる。

美緒と入れ替わりに一夏がスコールへと迫り、エネルギーブレードと『月光壱式』で切り結ぶ。だが、スコールは『エレバス』を一夏に向けて零距離で放つ、それを一夏は後退の『瞬時加速(イグニッション・ブースト)』で回避に成功し、『連続瞬時加速(アクセレート・イグニッション・ブースト)』で近付いてきた美緒に合わせる様に左からエネルギーブレードでスコールを攻め、美緒は右側からスコールを攻めるが、スコールは『月光壱式』を逆手に持ち、一夏と美緒を纏めて弾き飛ばす。

弾き飛ばされた2人は、互いに交差する機動を取り、スコールに接近、スコールも『ロンレイ』、『ロンレイⅡ』、『エレバス』で弾幕を張り、連携を崩そうとするが、スコールと同族の『生命戦闘体(アマテラス)』である美緒、既に人間としては規格外で異端者の一夏には意味を成さない。弾幕を張ることに意味がないと判断したスコールは、『月光壱式』を構えてその超加速を利用しての音速衝撃波(ソニック・ブーム)で一夏と美緒の体勢を崩し、前腕部の3連装式荷電粒子砲『グレイム』で追撃を掛け、一夏と美緒の距離を離す。

 

『言峰……。聞こえる?』

『はい、聞こえておりますよ。美緒様』

あの子達(・・・・)は順調に育ってる?』

 

美緒は言峰と通信をしつつも、スコールの猛攻を避け、自身も荷電粒子砲と『ソドム』を放ち、『連続瞬時加速(アクセレート・イグニッション・ブースト)』でスコールに接近する。

 

『はい……。順調に育っております』

『そう……。なら良かった』

 

美緒は他人から見れば痛々しいと感じるほどの哀しい笑顔を浮かべる。

 

後の事は手筈通り(・・・・・・・・)に頼んだよ』

『……。本当に実行されるのですか?』

『うん、だってもうこれしかないからね……。本当はもっと生きて居たかったけど……状況的に不可能だからね』

『解りました。美緒様』

『不甲斐無い当主でごめんね』

『いえ、美緒様は十分すぎるほどに出来た当主で御座いました』

『ふふ♪そう言ってくれて嬉しいよ……。今まで有難う』

 

美緒はそう言って、言峰との通信を切る。

 

「さぁ『アルテミス』!私達の最後!華々しく飾ろう!」

―――単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)武神降臨(ぶしんこうりん)』起動!

 

『アルテミス』から金と銀の粒子が溢れ、『連続瞬時加速(アクセレート・イグニッション・ブースト)』を使用していないにも拘らずそれ以上の速度を出し、スコールに迫る。突然の美緒の出現にスコールは驚き、『月光壱式』を振るうが、美緒はそれを避け『月光零式』を展開、スコールの左前腕と腹部を切り付ける。

それによって『終焉』の左前腕部と腹部の装甲がほんの少し抉れるが、背後から一夏が荷電粒子砲を叩き込み、スコールの体勢を崩す。体勢を立て直す為にスコールはあの超加速を使い、一夏と美緒から離れるが何時の間にか美緒が目の前に居て海面へと蹴り飛ばす。

 

―――『武神降臨』使用限界まで後5分

「(なら5分後にタイマーをセット!『武神降臨』終了と同時に起動!)」

―――了解しました。

 

『アルテミス』からの報告を聞いた美緒はそう指示をして、スコールと再度激突する。一夏は美緒の様子がおかしい事に気付くも、スコールを倒すことが最優先だと判断して、荷電粒子砲を放った。

一夏が美緒の様子がおかしいと感じたのも無理はなかった、何故ならば『アルテミス』に搭載している超小型核融合炉が臨界点を超え、内部で融解が始まり、その影響を生身で受けているからだ。それでも美緒はスコールに『月光零式』で切り結び、脚撃用の『月光』でダメージを徐々に与えていく。

 

―――『武神降臨』使用限界まで後2分

 

『アルテミス』の報告を聞いた美緒は心の中でニヤリと笑い、わざと大振りの攻撃を仕掛ける。それを隙だと判断したスコールは、『月光壱式』で美緒の腹部を貫いた。

 

「がはっ!!」

 

美緒は腹部を刺された事により、大量の吐血をする。

 

「美緒!!?貴様ぁぁぁぁっ!!」

 

一夏はそれを見て激情に身を任せてスコールに突撃しようとするが、そんな一夏に『個人間秘匿通信(プライベート・チャネル)』が入る。

 

『ねぇ……。聞こえる?』

『美緒!?今助けるからな!!』

『うぅん、このまま聴いて?』

 

美緒はそう言いつつも、スコールの両腕をしっかりと握り締め逃がさないようにする。

 

『私はね……。普通の生活に憧れてた……一夏が居て、箒ちゃんが居て、鈴ちゃんが居て、友達や皆が一緒に学校生活を送る日々をね……』

 

スコールは『グレイムⅡ』で美緒を離そうとするが、自身と距離がかなり近い為、発射できずに居た。

 

『IS学園に入って……。そこに一夏が居たことには吃驚したけど、そこでも新しい友達が増えて嬉しかった。この時間がずっと続けば良いのにとも思ったよ。

でもね、この戦争が終わればまた、あの日々が帰ってくるとも思ったけど……。そうも行かないみたいだね』

―――『武神降臨』使用限界まで後1分

 

『アルテミス』は報告と共に、この通信を世界に繋げる。本来ならばそれは出来ないはずだったが、何故この時何故出来たのかは数年後の未来でもわからなかった。

 

『ねぇ、一夏……。私はずっと……一夏の事好きだよ……でも、私のことは忘れて幸せになってね』

『おい……何を言ってるんだ?美緒!!やめろ!今すぐやめるんだ!!』

『一夏、箒ちゃん、鈴ちゃん、セシリィ、シャルロットちゃん、ラウラ、美紗緒、千冬お姉ちゃん、束お姉ちゃん……皆、ありがとう!』

 

美緒はそう言って笑顔になると同時に『アルテミス』が放つ光と共に何も残さずに消えた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。