IS~インフィニットストラトス~ Noblesse Oblige   作:白姫彼方

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少女の悲願、次世代移行

「嘘……だろ……?」

 

一夏は未だに収まらない閃光を見ながらそう呟いた。

 

「ユキアネサ!!美緒の!美緒の生存確認を!!」

―――……KIA(戦死)です。我が主(マイ・マスター)一夏

 

ユキアネサの報告を聞いた一夏は声もなく泣いた、ただ泣いていた。一夏の脳裏には美緒との思い出が再生される。

美緒と遊んでいた頃、美緒や友と馬鹿騒ぎした時等を思い出し、涙を流した。だが、閃光が収まると、一夏は目を見開く。

 

「くっ……やってくれたわね……あの小娘……」

 

そう、まだスコールは生きていた。だが、それは無傷や無事と言うほどには程遠かった。

背部の武装は全て溶け落ち、全体的に装甲は所々砕け、衝撃によるものなのか吹き飛んでいる箇所もあった。さらに右腕、左足の装甲が消えており、右足は膝まで装甲が無くなっていた。

 

「だけどこれで……ん?」

 

悪態を吐いていたスコールだが、一夏が何やらおかしい事に気付き、視線を向ける。

 

「……さねぇ、許さねぇ許さねぇ許さねぇ許さねぇ許さねぇ許さねぇ!!許せるわけがねぇよなぁぁぁ!!!!」

 

呪詛を吐く一夏は殺気、敵意、憎しみ、怒気様々な負の感情を剥き出しにしてスコールを睨む。同様の感情が向けられる事があり、慣れていたスコールにゾクリと悪寒が走り、それに驚愕する。

 

「(私がこの程度の殺気に悪寒!?ふざけないで!!!)」

 

スコールが一夏に『ロンレイ』を放とうとした瞬間、『白式改』から眩い閃光が放たれ、スコールの目を潰した。

 

 

                     ◆

 

 

そこは月が照らす夜の草原だった、満天とも言える星空が辺りを照らしているなか、一夏は当てもなく歩き始める。

そして暫くすると、湖があり、そこに行くと一人の少女が一夏を見ていた。

 

「待ってたよ……一夏」

「美緒……」

 

その少女は死んだはずの美緒であった。

だがその姿は少し薄れており、実体感も薄れていた。

 

「ここに来たってことは一夏は泣いてるんだね」

 

美緒はそっと一夏の頬に手を添える。だが、美緒が触れた頬には感触がなく、実体が完全にないのだと一夏は強く感じた。

 

「美緒……、俺は」

「いわないで、あれは私が望んだことだから」

「俺はお前を守れなかった!!」

 

一夏怒鳴り、美緒を抱きしめようとするが、触れることが出来ずに、拳を握り締めた。

 

「俺にもっと力があれば……美緒、お前を守ることが出来たのに……!!」

 

一夏は崩れ落ちて拳を地面に叩き付ける。その目から涙が零れ、拳と地面を濡らす。

 

「死なせることもなかった!!ちくしょう!!!」

「一夏……私の方を向いて?」

 

一夏は美緒に言われ、顔を上げると、美緒は一夏の視線に合わせる様にしゃがむ。

 

「私からの最後のプレゼントを受け取って?」

「美緒……?」

「私の想いが一夏の力になるから……」

 

美緒は一夏に唇を合わせる、その時一夏は美緒の唇に感触がある様な気がした。そして一夏と美緒の唇を中心に閃光が走り始める。

 

「だからお願い……スコールを……倒して……『生命戦闘体(アマテラス)』の呪縛をここで解き放って……」

 

美緒の言葉が終わると、閃光は全てを覆い、一夏を現実の世界へと戻した。その際に一夏は美緒の言葉をうっすらと聴いた。

 

『一夏……ずっと愛してるから……だから幸せにね』

 

 

                     ◆

 

 

スコールが閃光に目を晦ませている間に、『白式改』が放った閃光は光の柱となっていた。

スコールは『フレイム』をその柱に放つ、だが、高熱線砲は柱に当たると弾かれる。予想外の事にスコールは驚くも今度は『ロンレイ』、『ロンレイⅡ』を放つが、それも『フレイム』同様に弾かれる。

そしてスコールは最終手段だと思い、胸部の装甲を開き、ガンマ線レーザー砲『ジェネシス』を放とうと構える。だが、構えた直後に光の柱に異変が起こる。

光の柱は急速にその形を変え、球体状になり、『白式改』が放った閃光よりも強い光量の閃光が放たれると共に、轟音が鳴り響いた。

 

 

                     ◆

 

 

一夏が目を開けると、そこは先程いた世界ではなく、現実の世界だった。

 

―――『次世代移行(ヒューチャー・ジェネレーションズ)』が完了しました。以降分裂したコア人格が覚醒します。

 

ユキアネサの音声ではない声が聞こえ、一夏は自身を見ると、『白式改』の面影は殆どなく。全く新しい機体と思えるほどに様変わりしていた。

『アルテミス』とほぼ同型のアームガード、『カィンホクキエツァ』と同型と思えるほどに酷似した胴部と肩部の装甲、だが、その肩部の装甲には2段構造になっている謎の装置、細身でありながら強固そうなレッグアーマー、『白式改』とほぼ同じ機械翼、腰部には追加ブースターが左右にあり、口元から頬まで伸び、骨導から頭頂部とほぼ同じ高さまで伸びた、ギアレシーバーと顔面上部を覆い隠すヘッドギアとバイザーが装着されていた。

 

―――以降『白式改』から『白い閃光(ホワイト・グリント)』に名称が変更されます。

「『白い閃光(ホワイト・グリント)』……」

―――か!我が主(マイ・マスター)一夏!

「ユキアネサ!?」

―――漸く返事をしていただきましたね!?我が主(マイ・マスター)一夏!突然体から光が出たと思ったら、我が主(マイ・マスター)一夏からは何も返事が来ないし!心配したんですからね!?

 

ユキアネサからの怒涛の文句を一夏は黙って聴いていると、もう二度と聞けないと思っていた声が聞こえた。

 

―――ユキアネサ、そこまでにしておかないと一夏が困るよ?

―――えぇぇ!?誰ですか!?貴女は!!

「美緒!?美緒なのか!?」

―――嘘です!だって美緒様は先程『アルテミス』の自爆によって……

―――正確に言うと、オリジナルの記憶と人格をコピーしただけなんだけどね。

    まぁ何で()が発現したのかというと『白式改』が『次世代移行(ヒューチャー・ジェネレーションズ)』をしたからなんだよね。

    それで一夏?()に新しい名前をつけてくれるよね?名無しのままじゃ不便だよ?

    それと、『白い閃光(ホワイト・グリント)』の武装データとか見る?

 

慌てふためく一夏とユキアネサを無視した、もう一つのコア人格は、早く自身に名前をつけてくれとせがむ。だが、一夏は直ぐに答える。

 

「美緒……それしか俺には思いつかねぇよ。それとこいつ(・・・)の事は何故か解るんだ(・・・・)、だから大丈夫だ」

―――わかりました、名称を『美緒』に決定します。(マスター)

「美緒、その(マスター)ってのはやめてくれないか?美緒が言うと、俺があいつらみたいでいやだ」

―――最初はしょうがないよ。けどもう(マスター)って呼ばないよだからこれからも宜しくね?

「あぁ、宜しく頼む!」

―――もう!我が主(マイ・マスター)一夏!それに美緒も!2人で良い雰囲気を作らないでください!

 

ユキアネサが注意をすると一夏と美緒は互いに笑い、そして直ぐに思考を切り替える。

 

「決着をつけるぞ……ユキアネサ、美緒」

―――もちろんです!我が主(マイ・マスター)一夏!

―――オリジナルの悲願!ここで達成させてもらうよ!

 

一夏は新しい大型ビームブレード『月光零式改』を両腕に展開して、スコールに接近。スコールもまた、『月光壱式』を二振り持ち、一夏に接近し、両者は激突した。

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