IS~インフィニットストラトス~ Noblesse Oblige   作:白姫彼方

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終焉の終わり、手紙

激突した一夏とスコールは互いに離れ、一夏は3連装式超高熱線砲『グレイズ』、スコールは『フレイム』を構えて極超音速下に突入しながらも熱線砲、を互いに撃ち合う。『短距離加速(クイック・ブースト)』を使い、一夏はスコールの背後に回り『無反動急旋回(クイック・ターン)』をし、そのまま超高熱線砲を放つ。

だが、スコールは横に『短距離加速(クイック・ブースト)』をして避け、『無反動急旋回(クイック・ターン)』をすると左腕の『ロンレイ』で一夏を狙うが、『連続瞬時加速(アクセレート・イグニッション・ブースト)』を使って姿を掻き消す。姿を消した一夏をハイパーセンサーで探すが、いたるところに反応が出て、スコールを混乱させる。

左に気配を感じたスコールは、『ロンレイ』をその方向に放つ。だが、そこには一夏はいなかった、外したと思った瞬間、スコールの右肩に衝撃が走り、吹き飛ばされる。

 

―――一夏!『ツヌグイ』借りるよ!

「わかった!」

 

美緒の言葉に一夏が答えると、『白い閃光(ホワイト・グリント)』から30基のビット『ツヌグイ』が射出され、6基の『ツヌグイ』が斬撃形態になり先行する様に速度を速め、残り24基の『ツヌグイ』は一夏の近くにいながら荷電粒子砲を放つ。スコールはそれらを避けるが、後退が出来ずに一夏の接近を許してしまう。

『月光零式改』と脚撃用の大型ビームブレード『月光零式』を展開した一夏は、スコールに接近してまずは左脚で蹴りを放つ。スコールは右腕の『月光壱式』で止めようとするが、一夏は当たる直前に左脚部のブースターを噴かせ、威力を上げる。

スコールの右腕には『月光壱式』が握られていたが、角度が違い、『月光壱式』には当たらずにそのまま右腕を脚撃で斬り取り、血が噴出す。スコールは舌打ちをすると、左腕の『ロンレイ』を構えるが、美緒が繰る『ツヌグイ』によって左腕の武装が貫かれ、そのまま爆散し、左腕に大ダメージを受ける。

 

―――我が主(マイ・マスター)一夏!美緒!『アサルト・アーマー』使用します!

 

ユキアネサの宣言と共に美緒は『ツヌグイ』を機械翼に収納、一夏は更にスコールに近付き、両腕を掴む。それと同時に一夏の周りに白い粒子が集まり、徐々にその粒子が光を放ち始める。

スコールは危険だと判断して一夏の拘束を振りほどこうとするが、体中が傷だらけでかなりの大ダメージを負っている為、振りほどくことが出来なかった。そして球体状に光が集まり、急速にその球体がぶれるが、一夏が手を離すと轟音、閃光と共に大爆発を起こす。

この時、一夏はバイザーによって視覚保護を受けていた為、『アサルト・アーマー』の光量によって一定時間、目が見えなくなると言うことはなかった。そして『アサルト・アーマー』が起こした光が収まると、『終焉』の装甲は背部以外なくなり、スコールの四肢も、一夏の脚撃によるものを除けば吹き飛んでいた。

 

「がふっがはっ……潮時のようね……」

「あぁ、終わりだなスコール」

「こんな様になるとは思わなかったわ……だけど覚えておきなさい」

 

スコールが何かを言おうとした時『終焉』の残った装甲から紫電が走る。

 

「貴方が起こしたこの結果で……人類が壊死するのだと……!」

「ならば俺……いや、俺達がそれを見届けよう、お前を倒した俺の義務だ」

 

一夏の言葉を聞いて、スコールは呆気に取られるが可笑しそうに笑う。

 

「ふふふ……。なら、見届けなさい!織斑一夏!!この世界の未来に答えがあるのか!」

 

スコールはそう言って、力尽きたように海へと落ち、それと同時に光が発し、消滅した。

 

 

                     ◆

 

 

スコールとの対決から3時間後に一夏は『レクイエム』に戻った。そこで待っていたのは千冬、箒、鈴音、美紗緒、簪、セシリア、シャルロット、ラウラだった。

だが、千冬以外の皆の表情は暗く、一夏に何か聞きたそうであった。

 

「皆どうしたんだ?こんなところで」

「織斑、その姿はどうした?」

 

千冬は皆が聞き辛いことはあえて聞かずに、まず一夏の姿が変わったことを聞いた。

 

「それも含めて全て話すから他の場所にしないか?」

「ならブリーフィングルームに行くとしよう。そこなら大丈夫だろう」

 

千冬の意見にその場の全員が賛成し、ブリーフィングルームに向かう。

そして、全員がブリーフィングルームに入り、腰を掛けると、千冬が口を開いた。

 

「それでは織斑、あのISはなんだ?『白式改』はどうした?」

「あぁ、あれは機体名『白い閃光(ホワイト・グリント)』、『白式改』が『次世代移行(ヒューチャー・ジェネレーションズ)』をした姿だ」

 

一夏の言葉に全員が疑問に思う。『次世代移行(ヒューチャー・ジェネレーションズ)』など聞いたことがないからだ。皆が驚く中、一夏は言葉を続ける。

 

「『次世代移行(ヒューチャー・ジェネレーションズ)』をする条件は、コアの人格が覚醒していること、『第三形態移行(サード・シフト)』をしていることらしい。詳しい事は俺よりもユキアネサの方が知ってるから、ユキアネサに聞いてくれ」

「わかった。なら、ユキアネサ。詳細の説明をしろ」

―――はい、最低条件となるのは我が主(マイ・マスター)一夏が先程説明したとおりです。次に説明することこそが、『次世代移行(ヒューチャー・ジェネレーションズ)』の絶対条件です。

一つ、コアが二つ搭載されている事。

一つ、二つのコアは分裂した物であること。

一つ、多数のISを撃破すること。

一つ、『次世代移行(ヒューチャー・ジェネレーションズ)』をするのは第四世代機から。

以上が『次世代移行(ヒューチャー・ジェネレーションズ)』をする絶対条件です

「そうか、わかった」

 

ユキアネサの説明を聞いた千冬は、少し考え込む仕草をする。その間にユキアネサ、美緒は一夏に『プライベート・チャネル』を繋げる。

 

―――よくも短時間で、あんな嘘を考え付く物だね?ユキアネサ

―――当然です!我が主(マイ・マスター)一夏に余計な負担を強いる必要性が、全くありませんから

『まぁ、今回美緒が出るわけにはいかないからな。この後に聞かれるし』

―――ごめんね?一夏

『気にすることはないぞ?な?ユキアネサ』

―――えぇ、だからこれからも宜しくお願いしますね?美緒

「なら、次の質問だ。いいな?織斑」

「あぁ、次の質問ってのは美緒に関することだろ?」

 

千冬の質問の意図に気付いていた一夏は、聞き返し、千冬を驚かせる。だが、それと同時に他の全員の表情が暗くなる。

 

「皆が知っている通り、美緒は死んだ。俺や皆を生かす為に」

 

一夏の言葉にシャルロット、鈴音はぐすっと涙ぐむ。

 

「詳しい事はわからないけど、後悔が無い様に見えたなそれが見えるほどの笑顔で……な」

 

暗かった雰囲気が更に暗くなり、泣き出す者は居なかったが、すすり泣く音が増えた。それを聞いた一夏は、ブリーフィングルームを出る。

ブリーフィングルームの扉の近くで言峰が幾つかの封筒を持って待っていた。

 

「一夏様、これを」

 

言峰は、一夏に白い封筒を渡す。受け取った一夏は、言峰を見る。

 

「これは?」

「美緒様からの……、といえばお分かりになりますでしょうか?」

「!!有難う御座います!」

 

一夏は受け取った封筒を大事に抱えながら自室へと戻った。

 

「これで良かったので御座いますね……美緒様」

 

言峰の呟きは誰にも聞こえなかった。

 

 

                     ◆

 

 

自室に戻った一夏は、鍵を閉めて封筒から一通の手紙を取り出し、読む。

 

『一夏へ

 この手紙を読んでるって事は、私がもうこの世に居ないって事だね?

 私の予想が正しければ、私の記憶と人格をコピーしたコア人格が覚醒してる筈だから、仲良くね?

 さてと、前書きはこの位にして、本題に入るよ。

 一夏は私の死に責任を感じてると思うけど、前から私は死ぬつもりだった。

 理由は言わないけど、私の夢(・・・)が関係してるのは確かだよ。

 だからってコア人格に聞いても駄目だよ?乙女の秘密なんだからね?

 まぁ、元々教えるつもりもないからコア人格の記憶にも移してないけどね。

 多分私が死ぬ直前に言ったと思うけど、私を忘れて幸せに生きてね?

 じゃないと恨んで枕元に化けて出てくるからね♪

 長くなるといけないからここまでにしておくね。

 それじゃ、一夏さよなら…………愛してるよ

                         貴方を愛する美緒より』

 

手紙を読み終えた一夏の目からポタッポタッと涙が落ちる。

 

―――ユキアネサ

―――わかってますよ。美緒

 

美緒とユキアネサが互いを呼ぶと、一夏からは何も聞こえなくなる。泣き出したい一夏を気遣って、通信をシャットダウンしたのだろう、一夏にとってそれは有難かった。

そして一夏は泣いた。今まで溜めてきた物を吐き出すようにただ泣き叫んだ。

 

 

                     ◆

 

 

この日から3日後、世界はICHN陣営に和平を申し込み、戦争は終結した。

全ての人々はこの戦争を『第三次世界大戦』『IS戦争』と呼んだ。

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