IS~インフィニットストラトス~ Noblesse Oblige 作:白姫彼方
それから……
和平から幾日が経ったある日、一夏は千冬と一緒に居た。
「どう言う事だ一夏!」
「もう変えるつもりはないよ。千冬姉」
一夏は千冬にそう言うと背を向ける。一夏は千冬に日本を出ると言ったのだ、それを千冬は止めさせようと説得をするが、一夏は一向にその意思はないと伝える。
それでも一夏を千冬は止めようとする。
「行くな!一夏!!」
「悪いな……千冬姉」
一夏はそう言って、『
「ユキアネサ、座標は?」
―――はい、こちらです
千冬からは見えないが、一夏の目にはその座標が見えていた。
「必ず戻ってくるから、待っててくれよ千冬姉」
「一夏……」
「じゃあ、行って来る」
『
そして、一定の高度と速度になった瞬間、辺りに轟音を響かせ、超音速飛行に移り
のちに一夏は両陣営から『英雄』と呼ばれる事になる。
旧ICHN陣営からは『白き英雄』、アメリカ等の敵対していた国からは『災厄の英雄』もしくは『異端の英雄』と呼ばれ、『ブリュンヒルデ』よりも有名になる。
同時刻に一人の少女が織斑一夏と共に行方不明になるが、それはまた別のお話。
◆
あれから5年後、一夏は違法IS研究所にいた。終戦してからも、こういった違法なIS研究が数多くある為、一夏はそれを潰して行った。
「こちら『
「なっ!?『災厄の英雄』だと!?だが!こいつに勝てるわけがない!」
一夏の警告に叫んでいた男性の背後から、巨大とも言える大型のレーザーカノンを持った、『ラファール・リヴァイヴ』が現れ、一夏に狙いを定め、白い粒子を纏ったレーザーが収束する。
「火力だけでは何もできん、遅すぎるこれは……落ちろ!」
一夏は言い始める直前に『月光零式改』を展開、そして言い終わる直前にレーザーカノンと『ラファール・リヴァイヴ』を両断する。
その後に、一夏は『アサルト・アーマー』を使って、その違法研究所を消滅させた。
『こちら『
『了解よ。早く戻ってきて』
一夏の報告に戻って来る様に言った女性は、一夏の妻であった。
『あぁ、すぐに戻る』
一夏はそう言って、ブースターを噴かした。
◆
更に15年後、一夏は懐かしのとある場所に戻ってきていた。
「懐かしいな」
―――本当に懐かしいね、一夏
15年前からの相棒のコア人格、美緒が一夏の呟きに答える。
―――この場所で私達が出会ったんですよね?
「そうだな、ユキアネサ」
そして一夏に話しかけたのも15年前からの相棒のコア人格、ユキアネサだった。一夏達の後ろから人影が3人近付いてくる。その内の2人は、15か16ぐらいの少年と少女で、もう一人は一夏より背は低いものの、かなりの黒髪美人であった。
「父さん、僕達が通うのはここ?」
「あぁ、6年前に復校した『IS学園』だ」
そう言って、一夏は15年前に解散していたIS学園を見る。その校舎は昔と全く変わりがなく、懐かしさを誘う。
だが、少年は不安げな顔をする。
「けど父さん。僕にIS適正があるわけないって」
少年が言うのも無理はない、今現在もISは一夏を除いた男性は皆動かすことができないのだから。
だが、一夏はそれを否定する。
「いや、
「何処からそんな自信がでてくるのさ……父さん」
「あはは……まぁ、お父さんの自信は兎も角、私はここに通うんだよね?」
一夏と
「
一夏は落ち込んだ様子で言うが、大して気にしてなさそうに言い、IS学園内に入る。すると、偶然にも、『ラファール・リヴァイヴ』が運搬されている最中であった。それを見て閃いた様に、『ラファール・リヴァイヴ』を運搬させている車を止める。
「何か御用ですか?」
「あぁ、今運搬してるのは、『ラファール・リヴァイヴ』だろ?それをこいつに触れさせて欲しいんだ」
一夏の言葉に少し疑問を持つが、そこは『白き英雄』と呼ばれる一夏が頼むのだからすぐに許可を出した。
「さぁ
「う、うん……」
一夏の言葉に
一夏とその妻の黒髪美人以外の全員が驚く中、一夏はこう言った。
「おめでとう
◆
とある地下研究所に、生体ポッドが一つあった。その中にまるで胎児の様に、丸くなった少女がいた。
「認識……認識……各部異常は見られず……『
言い終えると同時に少女の目が開く。その目は右目が銀、左目が
その少女は誰もいないのににこりと笑顔を作る。
「やっと会えるんだね……お父様」
少女はそう呟くと歩いて生体ポッドがあった部屋を出た。