IS~インフィニットストラトス~ Noblesse Oblige   作:白姫彼方

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エンディング
それから……


和平から幾日が経ったある日、一夏は千冬と一緒に居た。

 

「どう言う事だ一夏!」

「もう変えるつもりはないよ。千冬姉」

 

一夏は千冬にそう言うと背を向ける。一夏は千冬に日本を出ると言ったのだ、それを千冬は止めさせようと説得をするが、一夏は一向にその意思はないと伝える。

それでも一夏を千冬は止めようとする。

 

「行くな!一夏!!」

「悪いな……千冬姉」

 

一夏はそう言って、『白い閃光(ホワイト・グリント)』を纏い、浮かび上がる。

 

「ユキアネサ、座標は?」

―――はい、こちらです

 

千冬からは見えないが、一夏の目にはその座標が見えていた。

 

「必ず戻ってくるから、待っててくれよ千冬姉」

「一夏……」

「じゃあ、行って来る」

 

白い閃光(ホワイト・グリント)』の肩の背部側下部の装甲が、横にスライドして上部の装甲に接続され、三角形のカバーハッチが開き、ブースターノズルが迫り出し。腰部にある追加ブースターのカバーハッチが開き、背部のブースターが点火すると、腰部の追加ブースターにも点火し、徐々に高度と速度が上がる。

そして、一定の高度と速度になった瞬間、辺りに轟音を響かせ、超音速飛行に移り衝撃波(ソニックブーム)を起こしながら日本を離れた。

のちに一夏は両陣営から『英雄』と呼ばれる事になる。

旧ICHN陣営からは『白き英雄』、アメリカ等の敵対していた国からは『災厄の英雄』もしくは『異端の英雄』と呼ばれ、『ブリュンヒルデ』よりも有名になる。

同時刻に一人の少女が織斑一夏と共に行方不明になるが、それはまた別のお話。

 

 

                     ◆

 

 

あれから5年後、一夏は違法IS研究所にいた。終戦してからも、こういった違法なIS研究が数多くある為、一夏はそれを潰して行った。

 

「こちら『白い閃光(ホワイト・グリント)』、直ちに投降せよ。さもなくば実力で排除する」

「なっ!?『災厄の英雄』だと!?だが!こいつに勝てるわけがない!」

 

一夏の警告に叫んでいた男性の背後から、巨大とも言える大型のレーザーカノンを持った、『ラファール・リヴァイヴ』が現れ、一夏に狙いを定め、白い粒子を纏ったレーザーが収束する。

 

「火力だけでは何もできん、遅すぎるこれは……落ちろ!」

 

一夏は言い始める直前に『月光零式改』を展開、そして言い終わる直前にレーザーカノンと『ラファール・リヴァイヴ』を両断する。

その後に、一夏は『アサルト・アーマー』を使って、その違法研究所を消滅させた。

 

『こちら『白い閃光(ホワイト・グリント)』、任務を終えた。帰還する』

『了解よ。早く戻ってきて』

 

一夏の報告に戻って来る様に言った女性は、一夏の妻であった。

 

『あぁ、すぐに戻る』

 

一夏はそう言って、ブースターを噴かした。

 

 

                     ◆

 

 

更に15年後、一夏は懐かしのとある場所に戻ってきていた。

 

「懐かしいな」

―――本当に懐かしいね、一夏

 

15年前からの相棒のコア人格、美緒が一夏の呟きに答える。

 

―――この場所で私達が出会ったんですよね?我が主(マイ・マスター)一夏

「そうだな、ユキアネサ」

 

そして一夏に話しかけたのも15年前からの相棒のコア人格、ユキアネサだった。一夏達の後ろから人影が3人近付いてくる。その内の2人は、15か16ぐらいの少年と少女で、もう一人は一夏より背は低いものの、かなりの黒髪美人であった。

 

「父さん、僕達が通うのはここ?」

「あぁ、6年前に復校した『IS学園』だ」

 

そう言って、一夏は15年前に解散していたIS学園を見る。その校舎は昔と全く変わりがなく、懐かしさを誘う。

だが、少年は不安げな顔をする。

 

「けど父さん。僕にIS適正があるわけないって」

 

少年が言うのも無理はない、今現在もISは一夏を除いた男性は皆動かすことができないのだから。

だが、一夏はそれを否定する。

 

「いや、夏音(かのん)お前なら動かせるはずだ」

「何処からそんな自信がでてくるのさ……父さん」

「あはは……まぁ、お父さんの自信は兎も角、私はここに通うんだよね?」

 

一夏と夏音(かのん)と呼ばれた少年の会話に入り込んだのは母親に似た黒髪を持った少女だった。

 

鈴夏(すずか)、お父さんの自信は兎も角ってなぁ……」

 

一夏は落ち込んだ様子で言うが、大して気にしてなさそうに言い、IS学園内に入る。すると、偶然にも、『ラファール・リヴァイヴ』が運搬されている最中であった。それを見て閃いた様に、『ラファール・リヴァイヴ』を運搬させている車を止める。

 

「何か御用ですか?」

「あぁ、今運搬してるのは、『ラファール・リヴァイヴ』だろ?それをこいつに触れさせて欲しいんだ」

 

一夏の言葉に少し疑問を持つが、そこは『白き英雄』と呼ばれる一夏が頼むのだからすぐに許可を出した。

 

「さぁ夏音(かのん)、触れてみろ」

「う、うん……」

 

一夏の言葉に夏音(かのん)は頷いて触れる。すると、夏音(かのん)の頭に甲高い金属音が響き、膨大な情報が意識に入り込み、夏音(かのん)IS(・・)を装着した(・・・・・)

一夏とその妻の黒髪美人以外の全員が驚く中、一夏はこう言った。

 

「おめでとう夏音(かのん)、今日からお前は史上二人目の男性IS装着者だ」

 

夏音(かのん)の耳には、父親である一夏の言葉がこびり付く様に残った。

 

 

                     ◆

 

 

とある地下研究所に、生体ポッドが一つあった。その中にまるで胎児の様に、丸くなった少女がいた。

警報(アラート)と共に、生体ポッドに満ちていた液体が抜かれる。それと同時に丸くなっていた少女は自然とその中に立つ様に、姿勢を直し、完全に液体が抜かれるのと同時に生体ポッドのガラス部分を砕いて外に出た。

 

「認識……認識……各部異常は見られず……『生命戦闘体(アマテラス)』No.Λ-11X起動を確認……」

 

言い終えると同時に少女の目が開く。その目は右目が銀、左目が(ブルー)虹彩異色症(オッドアイ)だった。

その少女は誰もいないのににこりと笑顔を作る。

 

「やっと会えるんだね……お父様」

 

少女はそう呟くと歩いて生体ポッドがあった部屋を出た。


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