IS~インフィニットストラトス~ Noblesse Oblige   作:白姫彼方

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幼馴染と転校生と暴走と

~一年食堂~

 

「というわけでっ!織斑くんクラス代表決定おめでとう!」

「おめでと~!」

 

パン、パーン。とクラッカーが乱射され、わいわいと騒ぎ始める。

 

「あはは……一夏も大変だね」

「なら、代わってくれよ………美緒」

「それは遠慮するよ♪」

「だよなぁ……」

 

美緒との会話で凹む一夏。それを面白く無さそうに箒は見る。

 

「人気者だな、一夏」

「……本当にそう思うか?」

「ふん」

「はぁ………」

 

箒のその不機嫌さに美緒は溜息をつく。

 

「はいはーい、新聞部でーす。話題の新入生、織斑一夏君と千条院美緒さんに、

特別インタビューをしに来ました~!」

 

そう言って美緒と一夏の前に独りの女子が現れた。

 

「あ、私は二年の黛薫子(まゆずみかおるこ)。よろしくね。新聞部副部長やってまーす。はいこれ名刺」

 

そう言って、美緒、一夏、セシリアに名刺を渡す。

 

「ではではずばり織斑君!クラス代表になった感想を、どうぞ!」

 

ボイスレコーダーをずずいっと一夏に向け、無邪気な子供のように目を輝かせる。

 

「まあ、なんというか、がんばります」

「えー。もっといいコメントちょうだいよ~。俺に触るとヤケドするぜ、とか!」

「自分、不器用ですから」

「うわ、前時代的!」

 

そう言って薫子は美緒に向きを変える

 

「それでは!代表候補生ではないのに専用機を持っている千条院美緒ちゃん!どうして専用機を持っているのですか!」

「極秘事項の為、お教えすることは出来ません」

 

美緒はそう言って緑茶を啜る。

 

「そこをなんとか!ほんの少しでも良いから!お願い!」

 

美緒は薫子にそう言われ、少し考える。

 

「まぁ、良いでしょう……私のIS『パンツァーアイゼン』は世代的には第四世代機。開発者は言えませんが、私の実家とその開発者が手がけた『パンツァーアイゼン』は現行ISを遥かに凌駕する性能を誇っています。あとこれは……オフレコで頼みます。私のIS『パンツァーアイゼン』にはコアを二つ搭載しています。」

 

美緒の暴露に会場が凍った。それはそうだ。何せ今各国が漸く第三世代機の試験機が出来上がりつつあると言うのに美緒の機体はそれの一歩先、第四世代機だと言うのだ。

更に驚く事にそのISにはコアを二つ搭載しているのだ。現在コアの数は467機、つまり。美緒の機体は確認されていない468及び469機目と言うことになるのだ

 

「ちなみに、今の情報を漏洩した場合、貴女方全員に行動制限及び軍法会議並びに懲罰を下されるので絶対に口外しないように」

 

美緒はそう言って会場を後にした。

 

~IS学園屋上~

 

雲ひとつ無い満月の夜空が見える屋上にて、美緒は電話を掛けていた。

 

『はいは~い♪束さんだよ~♪』

「久しぶりだね♪束お姉ちゃん」

『うんうん♪久しぶりだね♪み~ちゃん♪どうしたのかな?』

「うん、実はね『パンツァーアイゼン』の事なんだけど」

『ほうほう?何か不具合があったのかな?』

「そうじゃなくて、コアの成長を見てもらう為にね?」

『そっか♪じゃあ、明日の夜に見に行こうか♪』

「本当?」

『もちのロンだよ♪天才束さんに不可能はない!♪』

「それは良かった♪あと、あのIS(・・・・)のことなんだけど」

『あぁ、あのIS(・・・・)だね?基本フレームは出来上がってるから、あとは肉付けと装甲と武装で完成だよ♪』

「うん♪了解♪それじゃ、またね♪」

『またね~♪』

 

美緒はそう言って電話を切る。

 

「さってと♪明日が愉しみだね♪」

 

美緒はそう言って自室へと戻った。

 

~翌朝教室~

 

「織斑くん、美緒ちゃん。おはよ~。ねえ、転校生の噂聞いた?」

 

美緒と一夏、箒が席に着くなりクラスメイトに話しかけられた。

 

「転校生?今の時期に?」

「そう、なんでも中国の代表候補生なんだってさ」

「ふーん」

「あら、わたくしの存在を今更ながらに危ぶんでの転入かしら」

「別にこのクラスに転入してくる訳でもないのだろう?騒ぐほどのことでもあるまい」

 

いつの間にか一夏の傍に箒がいた。箒も噂には敏感らしい。

 

「どんなやつなんだろうな」

「とりあえずは今の一夏よりは強いよ」

「だよなぁ…………」

「む……気になるのか?」

「ん?あぁ、少しは」

「ふん…………」

 

一夏の言葉に箒はそっぽを向く

 

「今のお前に女子を気にしている余裕があるのか?来月にはクラス対抗戦があるというのに」

「そう!そうですわ、一夏さん。クラス対抗戦に向けて、より実戦的な訓練をしましょう。あぁ、相手ならこのわたくし、セシリア・オルコットが務めさせていただきますわ。なにせ、専用機を持っているのはまだクラスでわたくしと一夏さんと美緒さんだけなのですから」

「一夏はもう基本動作をマスターしてるから。これからは『雪片弐型』を使った応用実戦訓練をするよ」

 

セシリアの言葉に美緒は続ける様に言い、一夏はそれに了承する形で話をする。

 

「まあ、やれるだけやってみるか」

「うん、そうだね。気楽にやると良いよ」

「やれるだけでは困りますわ!一夏さんには勝っていただきませんと!」

「そうだぞ。男たるものそのような弱気でどうする」

「織斑くんが勝つとクラスみんなが幸せだよ!」

「「あははは……………」」

 

セシリア、箒、クラスメイトが各々に好き勝手言うので美緒と一夏は乾いた笑いしかでなかった。

 

「織斑くん、がんばってね!」

「フリーパスのためにもね!」

「今のところ専用機を持ってるクラス代表って一組と四組だけだから、余裕だよ」

 

きゃいきゃいと楽しそうな女子の気概を崩すわけにはいかなかった一夏は「おう」とだけ返事をした。

 

「その情報、古いよ」

 

一夏達がその声がした方向を見ると。少女が腕を組み、片膝を立ててドアにもたれていた

 

「二組も専用機持ちがクラス代表になったの。そう簡単には「り~んちゃ~ん!!」」

 

少女の言葉を遮って美緒は抱き付く

 

「ちょ、ちょっと!美緒!私の言葉を遮らないでよ!!」

「にゅふふ~♪3年振りだね♪」

「まったく、あんたのそう言う所。変わってないわね………」

「当然だよ!私だもん!」

「まぁ、それは兎も角、今日私はあんたに宣戦布告しに来たってわけよ。一夏」

「鈴……?本当に鈴か?」

「そうよ。中国代表候補生、凰鈴音(ファン・リンイン)がね」

「何格好付けてるんだ?すげえ似合わないぞ」

「んなっ……!?なんてこと言うのよ、アンタは!」

「私もそう思うよ~?鈴ちゃん」

「ええい!美緒はこうしてやる!」

いふぁい、いふぁい(痛い、痛い)ひょ()~、うぃんふぁん(鈴ちゃん)~」

 

美緒の余計な言葉に鈴音は頬を引っ張る。

 

「おい」

「なによ!?」

 

パシンッ!と鈴音の頭を叩く音がした。

 

「もうSHRの時間だ。教室に戻れ」

「ち、千冬さん……」

「織斑先生と呼べ。さっさと戻れ、そして入り口を塞ぐな。邪魔だ」

「す、すみません……」

 

鈴音はそう言って千冬に言われたとおり、入り口から退く。

 

「またあとで来るからね!逃げないでよ、一夏!」

「さっさと戻れ」

「は、はい!」

 

鈴音はそう言い捨てると二組に戻っていた。美緒は鈴音が教室に戻ると同時に自身の席に戻っていた。

 

~昼1年食堂~

 

「ごめんね、一夏。今日は私一緒に食べれないんだ」

「ん?そうなのか?珍しいな」

「あはは……ごめんね!」

 

そう言って美緒は走って一夏の元を離れた。

 

「はぁ………はぁ………」

 

何時の間にか美緒は女子トイレの個室についていた。だが美緒の顔色は悪く、真っ青を通り越して白くなっていた。

 

「くぅ………あ………うくぅ………」

 

美緒は丸くなって耳を塞ぎ、何か(・・)からの声を聞かないようにする。

 

「来ない……で……私は貴女………じゃ………ない」

「(返して………私の体を………返して………!)」

「駄目………この体は私のだから………」

「(一夏と話したい………話したい………)」

「消えたくない………消えたくないよぉ………助けて………一夏ぁ………」

「(返して…………私の体を返して!!!)」

 

もう一人の美緒と言うべき存在の声が大きくなると同時に美緒の震えが大きくなる

 

「嫌ぁ………消えて………消えてよぉ………」

「(返して!!返して!!!この偽物(・・)!!!!!)」

「嫌………いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

美緒の悲鳴は学園全体に響き渡る。数分後に聞き覚えのある声がする。

 

「おい!千条院!何があった!!返事をしろ!!」

 

ドンドンと個室のドアが叩かれる。だが美緒にはそんな余裕があるはずも無く、ただ震えているだけだった。

 

「(返せ………!!!返せぇぇぇ!!!)」

「嫌だ………いやだぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

 

バチバチと美緒の体に紫電が走り。美緒の瞳に『Return of the primordial System Start』と浮び上がり、辺りを衝撃波が襲う。そこに一夏が女子トイレに到着し、中に入ると衝撃波で飛ばされ、倒れている千冬とISを纏っている美緒が居た。だが通常の美緒のIS『パンツァーアイゼン』とは違い、姿形こそ同じだが。装甲、武装、バイザーはより深い黒に、カチューシャ型のハイパーセンサーが白銀から白金に変わっていた。

 

「美緒!!何をやってるんだ!」

 

本来の美緒なら反応するだろう………だが今の美緒は普通では……ない

 

「見ツケタ………見ツケタヨ………一夏」

「誰だ………?」

「忘レチャッタノ?4年前引ッ越シタ千条院美緒ダヨ?」

 

そう言って美緒は一夏に近付く………が箒と鈴音に遮られる。

 

「お前………本当に美緒なのか?」

「本当ダヨ?本当ニ忘レチャッタノ?箒チャン」

「さっきまでの美緒は誰なのよ!」

「アノ子ハ私デハナイ私(・・・・・・)ダヨ。鈴チャン」

 

電子音交じりの声に一夏、箒、セシリア、鈴音は顔を歪める。

 

私ではない私(・・・・・・)?どういうことなんだ?」

「アノ子チャント説明シテナインダ……偽物(・・)ノクセニ」

 

美緒の言葉に箒が疑問を持ち、聞く。

 

「なぁ、美緒……私が……正確にはお前が引っ越して何があった?」

「フフフ………ソウダネ、チャント説明シナイトネ…………デモソノ前ニ」

 

美緒は鈴音、箒、一夏の脇を通り、校舎外に展開されている教師陣のISを見る。

 

「邪魔ナ奴ハ掃除シナイトネ?」

 

美緒はそう言って両手に『オクスタンガトリング』を展開させて、狙う。

 

「!!やめろぉぉぉぉ!!!」

 

一夏は『白式』を展開装着させて美緒を押さえる。

 

「ナニヲスルノカナ?一夏?」

「4年前のお前は………そんなことを言う奴じゃなかったのに………どうしてなんだよ!」

「フフフ………ソウダヨネ………デモ私ハ産マレ変ワッタ………ウゥン私ハ(・・)一度死ンデルンダヨ(・・・・・・・・・)一夏」

「どう言う…………ことなんだ?」

「嘘を言わないで!大体美緒がしんでたらここに居る訳ないでしょ!」

 

一夏の呆然とした声に続く様に鈴音が怒鳴り付ける様に言う。

 

「ソウダネ………デモ私はコウシテ生キ返ッテル……コノ体『生命戦闘体(アマテラス)』ニヨッテネ」

 

そして美緒は一夏が押さえているにも拘らず。『オクスタンガトリング』を教師に向け、放つ、反応に遅れた教師は『オクスタンガトリング』をまともに受け、墜落していった。

 

「マズハ一匹………」

「これ以上は……許さないぞ!美緒!」

「許サナイッテドウイウコトカナ?一夏?」

「決きまってる………美緒を取り戻す!」

 

一夏の言葉に美緒は嗤う

 

「アハハハハ………ナニヲイッテルノカナ?美緒ハ私ダヨ?」

「いいや、お前は美緒じゃない、美緒の名前を語っている亡霊だ!」

 

一夏の言葉に美緒の態度は一変する。

 

「ソウ………ソンナニ偽物ノホウガ良インダ?ナラ……一夏モアノ子ノ元に送ッテアゲル!」

 

美緒はそう言って一夏を振り払い、校舎外に出る。

 

「くそ!セシリア、鈴!悪いけど手伝ってくれ!」

「当然よ!あの馬鹿美緒を起こさないとね!」

「わたくしも行きますわ!美緒さんにはまだ借りを返してないのですから!」

 

一夏、鈴音、セシリアはそう言って各々のISを展開させる。

 

「いくぞ!」

「「了解/ですわ!!」」

 

3人は美緒の元へむかった。

 

「一夏………」

 

箒はただ自分の無力に拳を握っていた。

 

~第三アリーナ上空~

 

一夏達が辿り着くとそこは既に戦場だった。………ただ、たった一機のISによって数十機のISが落とされていくというあまりにも実力差が激しい戦いであった。

 

「遅カッタネ。準備運動ガテラ、ココノ教師達を落トシテタヨ」

「美緒………アンタは!!」

「まて!鈴!」

 

一夏の制止を振り切り、美緒に突撃する。その際に『双天牙月(そうてんがげつ)』を展開させ、握る

 

「フフフ……相変ワラズノ直情ップリダネ……デモコノ戦場デハ……」

「てやぁ!!!」

 

鈴音は『双天牙月』を振り下ろす。しかし、美緒は『月光』を打ち合わせる

 

「命取リダヨ!」

「!しまっ!」

 

美緒の言葉が終わると同時に『スキュラ』が発射される。その直前に鈴音は一夏によって難を逃れた。

 

「大丈夫か!?鈴!」

「私は平気よ!だけどあの美緒……」

 

二人が話している最中に。美緒は追撃をかける為に『スキュラ』と『ブレイズ』を放とうとした瞬間、横からビームが美緒の左肩と左足に当たり、姿勢が崩れる。

 

「チィ!」

「わたくしを忘れてもらってはこまりますわ!」

 

セシリアはそう言って、『ブルー・ティアーズ』を美緒に向かわせる。

 

「邪魔ダヨ!」

 

美緒も『ブルー・ティアーズ』を落とす為に、『ソルディオス』を15基展開させる。それを全て、セシリアに向かわせた。

 

「くっ!」

 

だがセシリアも前回の敗北を糧にしたのか『ブルー・ティアーズ』を巧みに使い、『ソルディオス』を全基落とした。

 

「ナッナンデ!?」

「貴女には美緒の様な技術が無いからですわ!」

「黙レェェェェ!!!」

 

普段の美緒ならば掛からない挑発にも今の美緒は掛かる。それが以前の美緒と今の美緒の決定的な差の一つでもあった。

 

「鈴!」

「一夏!」

「「てやぁぁぁぁぁぁ!!!」」

 

「クッ!」

 

一夏と鈴の左右からの攻撃を美緒は『月光』で受け止める……だがそれは悪手でしかならない。

 

「かかったわね!」

 

鈴音はそう言うと衝撃砲『龍咆(りゅうほう)』で美緒に奇襲を浴びせる。

 

「アァァァァァァ!!!」

 

美緒は『龍砲』を浴びつつも後退する。

 

「普段の美緒だったらあんな行動を取らなかった。何故だか判る?まぁ、判る訳ないわよな。お前には実戦経験が無いのだから」

 

一夏の言葉を聞きながら美緒は『スキュラ』と『ブレイズ』を放つ、弾幕を張る様にマイクロミサイルとコンテナマイクロミサイル、そして『オクスタンガトリング』を展開してより密度の高い弾幕にしていくも。マイクロミサイル、コンテナマイクロミサイルは『龍砲』と『ブルー・ティアーズ』によって撃ち落される。

 

「そろそろ終わりだぁ!」

 

一夏は『瞬時加速(イグニッション・ブースト)』を起動させ、一気に間合いを詰める。

 

「来ナイデェェェェェ!!」

 

美緒はそう言って首元にある小型のビームガトリング『フレア』で一夏を少しでも近付けまいとするも。一夏は軽く左右に避け、速度をそのままに美緒の懐に入る。

 

「はぁぁぁ!!!」

 

一夏の咆哮と共に『白式』の単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)零落白夜(れいらくびゃくや)』が発動し、美緒の胴を薙ぎ払った。その時に胸部アーマーと|何か(・・)が砕け散った。

 

「アァァァ……」

 

それと同時に美緒の体の力が抜け、ISが消えて落下する直前に一夏が美緒を抱き止め。美緒の暴走事件は幕を閉じた。

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