モブトラマンは嫁が欲しい。 作:樫名低志
コスモス世代でしたが、やっぱウルトラマン面白いですね。
イマジネーション登録したんでEXPO見終わったら次はメビウス行きたいなぁ。
真っ赤な荒野に、叫び声が響いた。
「ちきしょー!離せー!俺がいったい何をしたー!!」
荒縄で両手足を縛られ、立木に逆さ吊りにされた青いウルトラマン。
彼は、きつく縛られた荒縄から脱出しようと、ビチビチとのたうちながら不満の声をあげるが、頑丈な縄が解ける気配はなく、ただ荒野に虚しい影が落ちる。
K76。
M78星雲の外れにあるこの星では、つい先日からウルトラ兄弟にゼロを託されたウルトラマンレオによる日夜を問わない修業を開催されていた。
そんな、もはや刑務所と言っても過言ではない、っていうか修業という名のタコ殴りが凶行されている時点で刑務所のほうが多分マシかもしれない場所に、この品行方正で成績優秀な俺まで連れてこられるなんてどう考えてもおかしい!と吊るされた男こと青トラマン、管理番号4570は憤慨していた。
本当に、彼はなにをしてしまったんだろうか?
プラズマスパークに手を出そうとしたウルトラマンゼロのように、取り返しのつかない行いをしてしまったのか。
はたして、縄に括られて暴れる彼の横から現れたアストラは、溜め息を吐き、自らの額を手で覆いながら彼に答えた。
「なにって、無断惑星外飛行に緊急時外のウルトラサインの使用と、訓練校に通うウルトラウーマンへの執拗な組手の催促、銀十字の女性達へのセクハラ、覗き、その他もろもろだよ…」
「そんなん若い年頃の!健全な青少年の些細な知的好奇心の探究やろ!罰が重すぎるわ!罰が!!なんでわざわざ、こんな辺鄙な星に連行されにゃあかんのや!」
白く光るウルトラアイの下から顎下にまで彫られたラインを赤く燐光させるのは、彼の感情が昂ぶっている証拠だろう。
本星のウルトラ族には珍しく、嫌というほど伝わってくる悲しい雄のサガから、アストラはソッと目をそらした。
「君は、度が過ぎるんだよ…。毎度毎度、80さんに注意されても聞かないらしいし。しかもゼロがプラズマスパークの事件起こした次の日に、あろうことか緊急回線で個人的なウルトラサイン出したんだって?」
「俺にとっては最も重要な緊急案件だったんで(キリッ)」
「だからってウルトラサインで嫁を募集するかな普通…。とにかく!君には暫く本星からは隔離した上での謹慎が決まったんだから、大人しくしててよね」
「いやや、いややー!!!悪いのはあかんならあかんって法律に書いとらへん光の国やないかー!ちょっと装備外したとこ覗いただけで何が謹慎じゃー!男女不平等に俺は断固立ち向かうぞー!」
「そんなだから、被害者の女性達から君が改心するまで光の国から追放してほしいって要望されるんだよ」
「ウッ」
「ただでさえゼロの事があって忙しいのに、勘弁してほしいのは僕のほうなの…わかるよね?」
「…はい」
なお、以上の雑談を交わす二人の視界の端では、ウルトラ兄弟として数えられるあのレオさんに殴り飛ばされたゼロが崖にぶつかり、赤い土煙と岩雪崩の音を響かせている。
あれは間違いなくオーバーキル。
なのにまだ追い打ちをかけるべく飛び上がったレオの残像に、彼は頬を引き攣らせた。
「あの…つかぬことをお聞きしますが…、まさか俺もあんな目に遭うなんてことは…」
もしそうなら、生きては帰れる気がしない。
「流石にしないよ。本星からは隔離自体が君への罰だと言われてるしね。僕ら以外は人がいないこの惑星で、しっかり反省するといい」
よかった…。此処は大人しく反省したフリをして、とっとと光の国に帰るべきだな。
「そうだ」
「?」
「ただ大人しく待つのも時間の無駄だし、やっぱり君にも少し訓練に協力して貰おうかな」
「!?」
◇
「此処辺りの星雲はね。古来光の国を照らしていた太陽が消失して以来光源が乏しいんだ。だから、ただ活動するだけならともかく、レオ兄さんやゼロのように極限まで身体を酷使するのなら自発的にエネルギーの回復に努めなければいけない。でも、熱源は自星の中心部に集中しているし、大気中の水素が極端に少ないから、水源を確保するためには地表からではなく地下へ1㎞より下へ掘り進まなければいけないんだ」
「だからって身一つで井戸を掘らすか普通…」
俺が必死こいて素手で土掘ってるのを、悠々と見下ろすアストラ…様。
もちろん手を貸してくれる気配はない。
せめてスコップくらい用意してはくれんのか。いくらウルトラ族とはいえ、素手で土掘るとか普通に拷問やぞ。
「拘留を除く君への罰については僕に一任されている。君が本星に帰れるかどうかは僕の報告次第だ」
「そんな殺生な」
「だから早く帰りたかったらキリキリ働くように」
あかん…。コイツは俺のような平民の苦しみなんぞわかるようなヤツじゃない。*1
あのゼロだって、かなり喧嘩っ早い癖に裏では女子にキャーキャー言われとるらしいし、完全に俺のようなモテナイ男の敵でしかない。
こんなところにずっといてたまるか。
早いとこ罰を終わらせんと…
なにより、女が一人もいない惑星なんかでずっとコイツらみたいなバトルジャンキーに囲まれて暮らしとったら、こっちの頭までおかしくなりかねんッ!
──そもそも、何故に俺がこれほど必死なのか。
光の国。
いたく眩しいこの国に産まれ、宇宙の生態系のピラミッドでは頂点を約束された人々には圧倒的に不足してるものがあった。
オナゴだ。
世の雌雄生物なら当たり前に供給される繁殖バランスは崩れに崩れ、かつて理想とされた人類学的な三角形は今や老が若を押しつぶす綺麗な逆三角形に変わり、雌のいない男共は抱えた鬱憤をチカラに変えて、やれ警備隊だ銀河の平和だ光こそパワーだと飛び回り、あちらこちらで争いに首を突っ込んで憂さを晴らしては国でその自慢話をネタにオナゴにアピールする社会を形成しているのだ。
まぁ、ちょっと前にいたエンペラだかテンプラだかの星人と戦争してからは逆三角形もちょっとばかしマシになったらしいが、にしたって産まれてくるオナゴが増えるわけではない。
俺はこれを幼年時代から嫌というほど目の当たりにしてきた。
見上げるウルトラ面のいい6兄弟に声援を上げる同世代に紛れて僅かに見えるクラスの女子生徒が頬を赤らめる姿。
その近くには学園一の成績かイケた面を保つ奴がいて、更にそのイケメンの隙を伺うように四方を囲む2番手、3番手。
そしてソイツらを囲みながら筋違いな雄叫びをあげるのが俺らモブトラマンの雄なのだ。
チクショー!!!
だからこそ、だからこそだ!
俺はせめて一目見るくらいはと、あっちこっちを駆けずり回り、他の奴らの悔しさの一欠片くらいは晴らしてやろうとやな!!!
それの何が悪いんじゃあああああ!!!
「なんでもいいけど、日が沈んだら僕は帰るから。その時は独りで夜を明かして井戸を掘るんだよー」
くそう、人が感傷に浸っとると言うのに、このNo.8は人の心が無いのか。普段のお偉い集会だのじゃ一言も喋らないか喋っても「レオ兄さん」やないか…。俺をいびるのが、そんなに楽しいんか。
「ちなみに此処、夜は怪獣が出るけど」
「すんません勘弁してください!」
「大丈夫だよ。君も学校で習ってるような普通の怪獣しか出ないから」
怪獣に普通も普通じゃないもあるかいっ!
そもそも戦闘狂に狩りつくされて怪獣が絶滅した光の国出身者には怪獣自体が非常事態じゃ!!
「はい、考えないで手を動かす」
「うぉぉん」
くそぉ、L77星の元王子様か何か知らんが、人をこき使いやがって。
俺は絶対に諦めん。
こんな枯れた星から何としてでも脱出して、可愛いオナゴといちゃいちゃしたるんやあああ!!!
?「どチクショー!!!」
Z「えっ、あぁ…行ってしまった…」
0「お、ゼット。こんなところで何してたんだ?」
Z「その声は…師匠!!!!」
0「ゥッワ、往来でそんなデカい声出すなよ…、恥ずかしいだろ。」
Z「すいません。…じゃなくてですね、いまちょっと変な方がいたんですよ」
0「変な???ァー、一応聞くけど。…お前の言う変なやつって、どんなよ?」
Z「はい。なんかこう、最近のぬー?じぇね?とかで一番モテてるウルトラマンは誰なのかと、突然背後から尋ねられまして、」
0「ニュージェネレーションな。それくらい覚えろ。ジードやトリガー、後はタイガとオーブとかの新しい時代のウルトラマンのことだな」
Z「流石師匠!詳しいですね!」
0「…ああうん。…とにかく、そういう最近新しく注目されだしたウルトラマンを、纏めてニュージェネレーションって呼ぶんだよ」
Z「なるほど。ウルトラ勉強になります!!」
0「おう」
Z「そっかー。じゃあもしかしたら、俺もいつかそう呼ばれる日が来るんすかね!」
0「さあな。もしお前が無事に試験に合格して警備隊に入隊出来たら、そう呼ばれることもあるかもしれないな」
Z「くぅ〜!ウルトラやる気出てきたぜ!!」
0「…、いや。で?」
Z「え?」
0「だから、お前はなんて答えたんだよ。そいつに。」
Z「あ!あー!はいはい!気になっちゃいます?」
0「今の流れで気にならないのも変だろ」
Z「オレはですね、ニュージェネレーションってのはよくわかりませんでしたが、とりあえずモテるってところにはバッチリ!ゼロ師匠が一番だって答えておきました!!」
0「ふーん。そうかオレ…、…チガウヨ?」
Z「え?」
0「いや、俺はニュージェネレーションには含まれてないからな?」
Z「ッぇえええ!??なんでですか師匠!?」
0「いや、なんでって…それは上の人がそう決めたんだから、仕方ないだろ」
Z「だって師匠!ジード先輩の時とかウルトラ活躍したって言ってましたよね!?」
0「ウンまぁそうなんだけど…、いつまでも俺が一番だとな。ほら、大人の事情としてはあんまり宜しくないっつーか…。そうなっちまったもんは仕方ないだろ!!!」
Z「えー、そりゃそうですけどぉ…ぐすん」
0「あれ?泣いてる…?どうした急に」
Z「だって、もしそのニュージェネに俺が入れたらいよいよ弟子として肩を並べられるんじゃないかと思ったのにぃ!」
0「バカ。偉大なる俺は今後もお前達を導く伝説として活躍してくってことなんだよ」
Z「うーっ、では今後とも師匠としてのご指導ご鞭撻、宜しくお願いしますッ!!」
0「うむ!自然な感じで認めて貰おうとしてるが、だから俺はお前の師匠ではないッ!」
Z「えぇー自然な感じだったんなら認めて下さいよお!」
0「2万年早い」
Z「ウルトラショック!」
0「はぁ…。しかし、お前相手にそんなことを聞いてきたヤツって想像つかないな…。どんな
Z「…?、どんな?」
0「あるだろ。ほら、背が高いとか低いとか、」
Z「ハイハイハイ、えーと、身長は俺より低かったですね!」
0「ふんふん。で?」
Z「種族は多分、ブルー族で、ちょっと此処らじゃ見ない顔立ちでした」
0「へぇ、ブルー族か」
Z「特に、身体のラインの色が変わった感じでですね。ベースは薄めの青なんですけど、ラインは紫と銀がこう、」
0「ホウ、」
Z「あ!あと、なんか昔の師匠の幼なじみだって言ってました!」
0「…。うん?」
Z「?」
0「え?幼なじみ?」
Z「はい。…あれ?師匠?」
0「スー…、。」
Z「あ、もしかして師匠、勘違、」
0「もしかしてだが」
Z「ハイ」
0「そいつってこう、額のあたりに三角模様のバンダナみたいなプロテクターがあって、」
Z「はい、」
0「口元はマスクを装着してて、ちょいちょい言動がウルトラマンじゃないような、そのくせ妙ーに脚が早かったりするヤツか?」
Z「あ、やっぱりお知り合いなんですか!」
0「いや…知り合いっつーか。…あいつ、まだそんなこと聞いて回ってんのかよ」
Z「え?あれ、どこ行くんですか?師匠ー??」